セントラルシティの石畳を叩くブーツの踵は、その主の内心を映すかのように、やけに苛立たしげなリズムを刻んでいた。
街は活気に満ちている。
だが、リザ・ホークアイ中尉の耳に、その喧騒は届いていなかった。
「大佐ったら信じられないわっ! また別の女とですって?! それも今回は流石に一線を越えたわ! 聞けば家から女が出てきたっていうタレコミもっ あれだけもうしないでと言ったのに!」
道行く人々が訝しげに振り返るが、構うものか。
怒りと、それ以上にみじめな感情が、リザの胸の内で渦を巻いていた。
濃紺の軍服は、彼女の背筋を規律正しく伸ばさせてくれる。
だが、その生地の下にある身体は、ここ数年で持ち主の意思とは関係なく、女としての丸みを主張し始めていた。
本来であればゆとりがあるはずのズボンの生地は、平和な二年間で豊かに実った臀部のラインを拾い、歩くたびに腰の曲線がくっきりと浮かび上がる。
上着の胸元に並んだ銀のボタンも、以前より心なしか張り詰めているようで、その下の柔らかな膨らみが制服の硬質なラインに抗っているかのようだ。
最近、この軍服が少し窮屈に感じるようになったのは、決して気のせいではなかった。
「約束の日」と呼ばれた、国を揺るがした最終決戦から二年。
英雄となったロイ・マスタングと、その傍らに立ち続けた自分。
軍の規則が二人の結婚を阻んでも、互いが唯一無二の存在であることは疑いようがなかった。恋人ではない。
だが、誰がどう見ても、この二年間、二人は実質的な恋人だった。
肌も、何度も重ねてきた。だというのに、あの男は…。
思考を断ち切るように、リザは近くにあった酒場の扉を押し開けた。
昼間から開いているその店は、薄暗く、紫煙とアルコールの匂いが混じり合っている。隅の席に腰を下ろし、一番強い酒を注文する。琥珀色の液体が注がれたグラスを、一気に煽った。喉を焼く熱さが、心の痛みを少しだけ麻痺させてくれる。
「…あの、バカ…」
グラスをテーブルに叩きつけるように置く。
もう一杯、とバーテンダーに合図した時だった。
不意に、低く、それでいて凛と響く声が背後からかけられた。
???「美人がやけに愚痴ッているかと思えば、どうだ、一つ、酒の相手になるぞ?」
その声には、聞き覚えがあった。
だが、アルコールで鈍った頭は、すぐには声の主を特定できない。反射的に、苛立ちを隠さずに振り返った。
「ナンパならお断りよっ! チャラけた大佐のような男はこの世で一番きら――――――――――い…は!?」
そこに立っていたのは、男ではなかった。
自分と同じ、濃紺の軍服を纏った一人の女性。
だが、その存在感は尋常ではない。
胸には少将の階級章が輝き、金色の長い髪が、ムーディナ薄暗い照明の中でも気高く光を放っている。
そして、その引き締まった身体のライン――特に、ベルトで締められた腰から下の、ズボンの股間部分に見える不自然なまでの膨らみに、リザは見覚えがあった。
「ほう、ナンパに聞こえたか。まあ、今のは我ながらそう聞こえんでもないか。なあ?―――――――――――ホークアイ中尉?」
「―――――――――――――――」
◇
「も、申し訳ありません、アームストロング少将! ご無礼を…!」
顔面蒼白、という表現がこれほど似合う瞬間はなかっただろう。
リザは跳ねるように椅子から立ち上がると、背筋を伸ばし、完璧な敬礼を捧げた。
先ほどまで喉を焼いていたアルコールの熱は、一瞬にして冷や汗へと変わり、全身の血が引いていくのが分かった。
目の前にいるのは、ただの女性軍人ではない。
アメストリス国軍少将、ブリッグズの北壁、オリヴィエ・ミラ・アームストロングその人だった。
長い金髪は一切の乱れなく、その鋭い眼光は片目が隠れていようとも、こちらの全てを見透かすような威厳を放っている。
濃紺の軍服は彼女の身体によく馴染んでいるが、その布地の下には、屈強なアームストロング家の血を証明するかのように、女性としては規格外ともいえる肉体が収まっているのが見て取れた。
特に、引き締められたウエストとは対照的な、豊かな胸部と臀部のラインは、軍服という硬質な殻の中に封じ込められた圧倒的な生命力を感じさせる。
しかし、オリヴィエはそんなリザの狼狽を意に介さないかのように、厚い唇の端を上げて寛大に笑った。
「はっ、面白いものが見れた。気にするな。階級はここでは忘れろ。ただの酒飲み仲間だ」
そう言うと、彼女はリザが座っていたカウンターの隣の席にどかりと腰を下ろした。
その動作一つにも、一切の迷いがない。
「…ですが、少将」
「私を前にして、まだ酒も飲めんのか? ホークアイ」
「…失礼、いたします」
オリヴィエの有無を言わさぬオーラに、リザは再び席に着くしかなかった。
それが、軍の管轄が違うとはいえ、二人が任務以外で初めて交わす、まともな会話の始まりだった。
一時間が経過する頃には、カウンターの上には空になったグラスがいくつか並んでいた。
「…というわけで、北方の連中はまだまだ手がかかる。平和になったからといって、牙を研ぐのをやめるわけにはいかんからな」
「分かります。中央も同じです。規律の緩みは、組織の死に直結しますから」
意外なほど、会話は弾んだ。互いに抱える軍人としてのストレスや、平和な時代における軍の在り方。
立場は違えど、共有できる悩みは多かった。
リザは目の前の上官が、ただ苛烈なだけではなく、深い洞察力と責任感を持つ本物の指揮官であることを再認識し、少しずつ心の警戒を解いていた。
オリヴィエもまた、リザの的確な相槌と、その奥にある揺るぎない意志に、好感を抱いているようだった。
「それにしても、だ。おまえほどの女が、あんなに思い詰めた顔で酒を呷っているとはな。原因は、だいたい想像がつくが」
「…お恥ずかしい限りです」
すっかりほろ酔いになったリザは、オリヴィエの言葉に苦笑いを浮かべる。
理性はまだしっかりしている。
だが、アルコールは確実に口を軽くしていた。
「どうせ『英雄様』のことだろう。あいつの女癖は、ヒドイと聞く」
「…ええ。昔から、そういう人でしたから。分かっていたはずなんです。でも…」
堰を切ったように、言葉が溢れ出した。
「でも、最近は度が過ぎます。昔は遊びだと割り切れていた。でも、今の私たちがああいう関係なのは、軍の中でも周知の事実です。それなのに…! 超えてはならなかった肉体関係を持っている女も…!」
オリヴィエは黙ってリザの愚痴を聞きながら、自分のグラスを傾けていた。
その共感的な沈黙が、リザをさらに饒舌にさせた。
「はっ、同情する。私なぞは、こんな女だからな。恋愛の一つもない。せいぜい、性欲が溜まったら…風俗に行くくらいだ」
「え…? 女性が、風俗…ですか?」
リザは思わず素っ頓狂な声を上げた。この国の風俗は、基本的に男性のためのものだ。
「まさか…女性趣味だったのですか?」
酒の勢いと、女性同士だからという気の緩みもあって、リザは踏み込んだ質問をしてしまった。
オリヴィエはフッと息を漏らすように笑うと、グラスの中の氷をカランと鳴らした。
「まあ、どうだろうな。恋愛には興味がない人生だからな。ただ性欲は、軍人ながら自分を律せないものでな…そういう理由で相手もいない、なら合法的にいける男性用風俗というわけだ」
「は、はぁ…なるほど?」
リザは曖昧に頷くしかなかった。
彼女の思考は、その返答よりも、別のことで占められ始めていた。
オリヴィエが「トイレに行く」と言って席を立った時、リザはその光景を再び目にすることになった。
カウンターから立ち上がり、こちらに背を向けたオリヴィエの軍服姿。
以前から、軍務で会うたびに疑問に思っていたこと。
女性の身体の構造上、そこにあるはずのない、硬質な棒のような膨らみが、ズボンの股間部分を不自然に押し上げている。それは、決して気のせいなどではなかった。
オリヴィエがトイレから戻ってきても、リザの視線は無意識にその一点に吸い寄せられてしまう。
会話の内容が、頭に入ってこない。
ここ二ヶ月、大佐への呆れもあって、夜の営みはご無沙汰だった。
元々性欲はある方で、日々の業務のストレスも溜まっている。
アルコールと、場の雰囲気と、目の前の圧倒的な存在感を放つ上官。
そして、ずっと胸の内で燻っていた、決して口に出してはいけないはずの、あの疑問。
リザは、自分が何を言おうとしているのか自覚しながらも、もう止めることができなかった。
「あの…アームストロング少将」
「なんだ?」
「大変…不躾な、そして階級を無視した、個人的な質問であることを承知の上でお伺いします。その…あなたの…」
リザは意を決して、オリヴィエの股間を指さした。
「その…膨らみは、一体…何なのですか…?」
オリヴィエは一瞬、その鋭い目を驚きに見開いた。
そして、何かを言い淀むように視線を彷徨わせると、観念したように、重い息を吐いた。
「…なんのことだ? 膨らみだと? 軍服の裁断の問題だろう。気にするな」
オリヴィエはそう言ってグラスを呷り、努めて平静を装った。
だが、その視線は僅かにリザから逸らされている。
長年の付き合いで培われたリザの観察眼は、それが単なる取り繕いであることを見抜いていた。
「いえ…失礼を重ねて申し訳ありません。ですが、そのような仕立ての問題には見えません。まるで、その…硬質で、はっきりとした棒のようなものが、そこにあるように見えます。 その、臀部を守るガードで…?い、いやでも女性で…」
アルコールが、普段なら決して口にできない言葉を滑り出させる。
リザは、もう後には引けなかった。
オリヴィエは深く、長い溜息をつくと、観念したようにリザを真っ直ぐに見据えた。その瞳には、いつもの威厳とは違う、どこか言い淀むような、複雑な色が浮かんでいた。
「…生まれつきだ。私には、男と同じものがついている」
「……え?」
一瞬、何を言われたのか理解できなかった。
リザの思考が完全に停止する。
男と同じもの? そんな馬鹿な。
「ご冗談を、少将。そのようなことが、ありえるはずが…。何かの、その、新型の装備か何かでは…?」
「はっ、装備か。面白いことを言う。…そこまで疑うのなら、いっそ触ってみるか? 詰め物でも何でもないことは、触ればわかるだろう? なんていう冗談をだな」
オリヴィエは、自嘲するように、あるいはリザを試すように言った。
それは間違いなく、この場の空気を流すための冗談のはずだった。
だが、リザの耳には、悪魔の囁きのように響いた。好奇心と、アルコールと、そして心の奥底で燻っていた得体の知れない渇望が、彼女の理性の最後の砦を突き崩す。
「…さ、触ってみても、いいですか?」
「!?」
リザの真剣な眼差しに、オリヴィエは一瞬、言葉を失った。
そのあまりに真っ直ぐな問いかけは、酒精に任せた戯れなどでは断じてない。
「じょ、冗談のつもりだったのだが…」
思わず狼狽し、そう口走る。だが、リザは怯まなかった。
それどころか、悪戯が成功した子供のように、ふふ、と厚い唇の端を緩やかに吊り上げた。
その軽やかな笑い声は、薄暗い酒場の空気と相まって、どこか艶かしい色気を帯びている。
「あら、少将ともあろうお方が、そのようなご冗談を?」
「いや、まあ、女ながら付いているんだ。本当なんだが…」
「本当ですか? 信じないという話というより、ね…?」
リザはそう言って、意味ありげに視線を落とす。
オリヴィエは思わず足を閉じようとして、寸でのところで思いとどまった。
ここで動揺を見せるのは、ブリッグズの北壁の名折れだ。
彼女は内心の動揺を押し殺し、あくまで堂々とした態度を保った。
リザはその視線の先で、改めて軍服のズボンを押し上げる、その不自然な膨らみを詳細に観察する。硬質な生地の上からでも分かる、それは確かな存在感。
余りにも、サイズが可笑しい。
「…隣、座っていいですか…少将?」
「か、構わんが…」
リザは静かに立ち上がると、オリヴィエが座る隣の席へとゆっくりと腰を下ろした。
すぐ間近に感じる体温。ふわりと鼻腔をくすぐる、清潔なシャンプーと、爽やかなシトラスの香り。
間近で見るオリヴィエの横顔は、まるで彫刻のように整っていた。
リザは周囲に人がいないことを、ちらちらと視線で確認する。
「…さ、触るつもりか?」
オリヴィエの声が、硬くなっている。
「…ここはバーの隅っこ、人目もあまりありません…ど、どうでしょうか? け、けっしていやらしい意味でではなくてですね、その、信じられないというか…」
「だ、だからといってだな…」
「だ、だってその、」
「だ、だからなんだっ! 煮え切らん奴だなっ!」
オリヴィエが思わず声を荒らげた。その剣幕に一瞬怯みながらも、リザはついに核心を口にした。
「だって、信じろと言う方が無理です! その…軍服の上からでも分かるのですよ? 女性の身体に、これほど大きく、硬いものが備わっているなど…常識では考えられません。もしそれが本物だというのなら、あまりにも…規格外すぎます! 触りでもしなければ信じられませんよ!?」
「…」
「ほ、本当に…?」
「…構わんっ! す、するなら速くせんか!」
リザはゴクリと喉を鳴らし、震える指をゆっくりと、その禁断の領域へと伸ばしていく。
酒場のざわめきが、遠くに聞こえる。
今、この薄暗い席だけが、世界の全てだった。
指先が、硬質な軍服の生地に触れる。
その瞬間、リザの脳を貫いたのは、想像を遥かに超えた感触だった。
布地一枚を隔てているというのに、その下にあるモノの存在感は圧倒的だ。
それは詰め物などという生易しいものではない。確かな質量と、弾力、そして、生命が宿っているかのような、微かな熱。
「デッカ…♡」
思わず、吐息と共に言葉が漏れた。
厳格な軍人であるリザ・ホークアイが、その生涯で最も似つかわしくないであろう、気の抜けた一言。オリヴィエの肩が、びくりと硬直するのが分かった。
リザは、自分でも信じられないほど落ち着いていた。
いや、アルコールと最近の性事情が、恐怖と羞恥心を麻痺させているだけなのかもしれない。
彼女の手は、もはや彼女自身の意志とは無関係に、その膨らみの上を滑り始めた。
さー、さー、と乾いた生地を撫でる指先に、その下の形状が克明に伝わってくる。
太い。
指で円を作っても、収まりきらないであろう太さ。
そして、長い。ベルトのバックルのすぐ下から始まり、脚の付け根の奥へと続いている。
指が先端らしき場所を探り当て、その傘のような輪郭をなぞった時、オリヴィエは息を呑んだ。
「ん…お、おいホークアイ中尉っ! も、もう、い、いいだろっ!」
オリヴィエは焦ったように周囲に視線を走らせる。誰かに見られていないか。
ブリッグズの北壁と鷹の眼が、酒場の隅で何をしているのかと。
だが、リザの手は止まらない。まるで未知の生物を観察する研究者のように、その感触を確かめずにはいられなかった。そして、一番先端の、最も硬く張り出した部分に指の腹が触れた、その時だった。
「んぉ゛…」
オリヴィエの喉の奥から、低く、押し殺したような声が漏れた。
リザはその反応に驚いて手を止め、改めて目の前の規格外のブツを見つめた。
「こ、これ…その、通常時、ですか…っ?」
信じられない、という響きを隠せないまま、リザは尋ねた。
オリヴィエは早くこの状況を終わらせたい一心で、何か答えようと口を開きかけた。
だが、その言葉が紡がれる前に、リザの掌に、新たな感覚が伝わってきた。
それまで静かだったソレが、ドクン、と力強く脈打ったのだ。
布地の下で、硬質な塊が確かな意志を持って、その熱と大きさを増し始めていた。
「あっ…♡」
リザの手のひらの下で、硬質な塊が意思を持ったかのようにドクン、と脈打った。
それは一度きりではない。
心臓の鼓動と同期するかのように、規則的で、それでいて力強い生命の主張。布地を押し上げる力は次第に増し、リザの手は抗いがたい力で押し返され始める。
指の隙間を埋めるように、そのブツは熱を帯びながら、さらに太く、長く、その存在を誇示していく。
「ま…待て、ホークアイ…っ! もう、やめろ…!」
オリヴィエの声は、もはや上官の威厳を保てていなかった。
それは命令ではなく、悲鳴に近い懇願。
その額には玉の汗が浮かび、机を掴む指は白くなっている。
氷の女王が、たった一人の部下の、気まぐれな指先一つで完全に制御を失っていた。
だが、リザの手は止まらない。むしろ、その驚くべき変化をもっと知りたくて、無意識に指が、熱く張り詰めた竿の輪郭を確かめるように動いてしまう。
(嘘…まだ大きくなる…!? 私が、触ったから…? これが、まだ…? うそ…♡)
勃ってきた、それは、手でも帯びてくる熱と、軍服のだぼだぼのズボンの皺が長くなるのを見るだけで分かる事。
オリヴィエはチンポが勃ってきたことを自覚して恥ずかしくなっている。
「ん…お、おいホークアイ中尉っ! 聞いているのか! んっ…!」
リザの親指が、一番硬く張り出した亀頭の先端をぐり、と押した。オリヴィエの身体が大きく跳ね、喉から漏れた声は、もはや言葉にすらなっていない。
その反応に、リザの中の何かが、ぷつりと切れた。
「…静かにしてください、少将。誰かに、気づかれます」
「なっ…! おまえが、原因だろうが…っ!」
「これは…本当に、あなたの身体の一部なのですか…?」
リザはうっとりとした目で、自分の手の下で脈打つ巨根を見つめながら囁く。
オリヴィエはその様子に絶句し、羞恥と興奮で顔を真っ赤に染めた。
このままでは、本当にまずいことになる。
「…立て、中尉」
オリヴィエは、最後の理性を振り絞り、歯を食いしばって命令した。
「え…?」
「いいから立てと言っている! 話は、場所を移す!」
オリヴィエは乱暴にリザの腕を掴むと、無理やり立ち上がらせた。
その勢いのまま、彼女は会計をカウンターに叩きつけ、リザを引きずるようにして酒場の出口へと向かう。
リザの手は、まだオリヴィエの熱く硬くなったままのイチモツを、軍服の上から握りしめていた。
「ど、どこに行かれるのですか!? あ、あの!」
夜のセントラルシティの冷たい空気が、火照ったリザの頬を撫でる。
オリヴィエに腕を掴まれたまま、よろめくように石畳の上を歩かされながら、リザは必死に問いかけた。オリヴィエは振り返らず、前を向いたまま、楽しげに、そして意地の悪い声で答える。
「逆にどこだと思う? さっきから、どこに手を置いていっているんだお前は?♡ ん~?」
その言葉に、リザははっと自分の右手を見た。いつの間にか、その手はオリヴィエの軍服のズボンの上から、先ほどまで熱く硬くなっていたブツを、まだ固く握りしめたままだった。
慌てて手を離そうとするが、オリヴィエが掴む腕の力が強まり、それは叶わない。
まるで、その状態を維持しろと命じられているかのようだった。
「あっ…♡」
(だめ…離せない…それに、まだ硬いまま…♡)
リザの思考は、羞恥と興奮でぐちゃぐちゃにかき混ぜられる。
オリヴィエはそんなリザの内心を見透かすように、口の端を吊り上げたまま、大通りから一本外れた、静かな路地へと入っていく。
清潔そうな一軒のホテルの前で、ようやく足を止めた。
有無を言わさず中へと入り、受付で一言二言交わすと、鍵を受け取ってリザを再び引きずるようにエレベーターへと向かう。
部屋に入り、背後でカチャリ、と鍵の閉まる無機質な音が響いた瞬間、リザはここがもう逃げ場のない密室であることを悟った。
オリヴィエはそこでようやくリザの腕を解放すると、ゆっくりと振り返った。
その瞳には、先ほどまでの狼狽の色は微塵もなく、獲物を前にした捕食者のような、静かで絶対的な光が宿っていた。
「さて、ホークアイ中尉。ここでなら、誰にも見られる心配はないな」
オリヴィエはそう言うと、まず自分の肩から重厚なロングコートを滑り落とさせた。
次に、銀のボタンが並んだ上着を、一つ、また一つと外していく。
「私が、なぜ場所を移したか分かるか?」
「い、いえ…」
「おまえが、あのまま私のイチモツを撫で続けていれば、私はあの場で射精していたからだ♡」
「なっ…!?」
「軍の少将が、酒場の隅で部下に扱かれて果てる。面白いスキャンダルになっただろうな?」
オリヴィエは最後のボタンを外すと、上着を脱ぎ捨てた。
白いシャツ一枚になったことで、その圧倒的な爆乳のシルエットがより鮮明になる。そして、リザへと一歩、また一歩と近づいてくる。
「軍人が公衆の面前で理性を失うのは、死を意味する。おまえは、私を殺しかけた。…なあ、中尉。その責任、どう取るつもりだ?」
その言葉には一切の怒気がなく、むしろねっとりとした甘ささえ含まれていた。オリヴィエはリザの目の前で止まると、その震える指先をそっと持ち上げた。
「おまえのその指が、―――――――――――――全て悪い♡」
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