SakeTami
h8wqtgc9
h8wqtgc9

fanbox


セティオくんがんばる 15:クルーザーは行く

エロなし回 地理の説明についてはのち図を用意する予定 □■□■□■□■□■□■□■□■□■ //15:クルーザーは行く    リゴーは誰も食べなかった。  シャワーを浴びてきたセティオは、鎖につながれた海賊たちがまだ残っているのを見て…… 「あれ!?食欲ないの?」  と、運転席でクルーザーを航行させるリゴーに聞いた。 「血は飲みましたよ」  とリゴーは運転しながら言う。  彼の背中には、新たに3対の翼が生えていた。どうも、本当に栄養を取ったらしい。 「ただの血で翼が生えるって、信じられない。食べ足りるの?」 「ふふふ、セティオ様もサン・サタン海洋学校へ行けば、何名か会うと思いますよ」  目の前には複雑な現代機器類の並ぶ、鉄の森のような操縦席。窓からは青い、青い海がどこまでも広がっている。波を分けて、クルーザーは進んでいた。 「でも、3人ほど取っておいてくれると助かります」  と彼は言った。  セティオは「ふーん」と聞き流した……だが。 「……3人?」 「へ?」 「あのエサたちって残り4匹でしょ。けっこう食べるの?」 「ああ……はい、まあ」  ――海賊は7人いた状態から、アデリーン、エリー、セティオがそれぞれ1人ずつエサにしている。主人であるアデリーンは同族化妊娠としてハスキーのアルフレートを育てているところなので栄養が必要だ。  だが、そんな主人や客人であるセティオを差し置いて――この黒山羊悪魔の執事は、残り4人のうちの『3人』と言ったのだった。  結構食べるんじゃないか、とセティオは思った。  豪胆なのかもしれない。    クルーザーの乗船時にリゴーがはしごをかけてくれた最上部、風が心地よいアッパーデッキ。  そこに円形プールが現れていた。普段は蓋で隠されていて、使うときだけ開くらしい。そこで、水着姿のアデリーンがジャグジーを浴びながら、防水タブレットで読書をしている。セティオはそのまわりを、青オオカミのエリーにまたがり、「わーい」などと言いながら、歩き回っていた。 「そうだセティオくん。入学書類が届いたわ。書類という名のデータだけど」 「あっ!!ありがとうございます!!」 「国はうまく取り計らってくれたみたい。働きが評価されたのね。これからフランスとスペインの国境のあたり……ビスケー湾に向かうわ。その先に学校がある」    ――サン・サタン海洋学校は、大きなクルーズ船である。その船の中に学校がある。  普段は海を漂っているが、なにやら表の世界にはあまり顔を出さないらしい。イタリアやフランスのある地中海だとか、その反対側、自分たちがいるイギリスやノルウェーあたりの海に現れる事があるという。  毎年、「不審船を見た」と言い出す漁師や港湾関係者がいる。彼らの報告は伝えられ、しかるべき組織の上まで伝達されていき……握りつぶされ、報告は闇へ消える。  幽霊船伝説として、古くから噂となっている。  その正体を、多くの一般人は知らない。    ローマ世界にキリスト教の秩序が広まるよりも前から、彼ら――悪魔は存在している。古代の人々の多くは、彼らを信じた。神は嘘っぱちだが、悪魔は違う。  悪魔たちが、竜も神も知性もまだ生まれていなかった時代のものたちに対して、セックスを教えた。そのために、今の人々は自らの血潮から、魂の中の衝動から、その方法を探り当ててくるようになった。  殺し、奪う事を教えたのも、優しい悪魔たちの善意である。神を信じる者たちの手から身を守り、富むための方法を教えたのである。  こうして現在、世に悪徳とされているものは、世界に広まった。  性交のありかたが世に広まってからというもの、王族たちの歴史にも彼らは介入している。彼らは、たくさんの子供をこしらえる。誰かが殺されてもいいようにか、誰かが不出来でもいいように。そうしてできあがるのは『余り』の子供たちだ。  失敗作たち。  彼らは、政略結婚の手駒だとか、火種となる前に暗殺しておくか、適当にほどほどの権力を与えておくか――そんな運命の者だ。  悪魔たちは、そんな彼らのそばに寄り添った。 「大丈夫だよ」  と、声をかける。 「僕がついているからね」  ――そうしてある者は性の自由さを教えられる。ある者は、夫や妻を性的に喜ばせることの心地よさを知って、元の場所を離れ、性にふけることに生き甲斐を見いだす。  またある者は勇気づけられる。かつての父王や兄弟に反旗を翻し、大抵の者は死んでいく。だが悪魔たちはそうして死んだ信者たちの魂も拾い集めていく。そうして、 「どこまでも、一緒だよ」  と、肉体なき後も、囁くのである。  ――そんな中で、ごくまれに、反乱に成功して、権力を握る者も出てくる。彼らは密かに、恩を返すとばかりに、国の金を悪魔たちへ流した。そうしてできたのが、今日のサン・サタン海洋学校である。  裏の世界から出てこないが、さまざまな国とのつながりを堅としたまま、今日も海を渡っている。    アデリーンが言った目的地……ビスケー湾は陸・海を横断する地下トンネルが通っており、地中海世界へと通じているらしい。現在、その地中海に、サン・サタン海洋学校は漂っている。  元々「海上」ルートは2つあるが、海中のルートは最近、新たに開拓された。  海上ルートとはすなわち、アフリカ大陸とヨーロッパを挟むジブラルタル海峡か、その南東、エジプトに人の手によって作られたスエズ運河だ。  ここに、3つめの通行ルートたる地下トンネルが作られた。フランス・スペイン合同のプロジェクトである。

Comments

ウオーありがとうございます!!!!!!没入感に関わりそうなのと元々設定厨なのでがんばりました

大腸菌力発電機暴走事故遺族会長

しっかりした世界観いいですねぇ……スキ


More Creators