カーテンの隙間から、朝の日差しが差し込んでくる。
下着姿のまま、鏡の前で髪を結っていたそのとき――
「……え?」
突然、ドアが開く音がして、私は反射的に振り返る。
そこには、彼がぽかんとした顔で、こっちを見つめていた。
「~~~~っ!!」
心臓が跳ね上がる音が、部屋中に響いたような気がした。
慌てて腕で胸元を隠しながら、一歩後ずさる。
視線は合わせたくないけれど、彼の目線がどこに向いてるのかは痛いほどわかる。
「な、なに勝手に入ってきてんのよ……っ!
ノックって知ってる!? ノック! あと“入っていいよ”って言われてから入るって、習わなかったの!?」
顔が熱い。耳まで真っ赤なのが自分でもわかる。
怒鳴りつけたいのに、声がうわずってしまうのが悔しい。
だけど――
彼はどこか気まずそうに目を逸らして「ご、ごめん…」なんて言ってきて。
その瞬間、私の中の怒りも、不意にしぼんでしまった。
「……も、もう……。
ほんとに、次から気をつけなさいよね。次は許さないんだからっ」
そう言いながら、私は視線を外したまま、そっと背中を向けた。
髪の先から伝う水滴が、床にぽつりと落ちる。
(――びっくりした…けど、ちょっとだけ、嬉しかった…とか、言えるわけないじゃない)