「“緊縛の影には縄原あり”だね」
「そのようですね。真っ先に疑うべき相手を忘れていました。」
「でも…どうしよう。こんな手も足も出せない状況だし……」
沙希は改めて自分たちの身体を確認した。身体中に張り巡らされた縄は沙希たちの身体を完璧に拘束していた。
「ふふふ、心配ないのです。」
和奏は得意げに続ける。
「古町流忍法“縄抜けの術”」
和奏がそう唱えると一瞬のうちに縄の縛めから脱出した。
「すごいよ!和奏ちゃん!」
「えっへんなのです」
胸を張りドヤ顔を見せつける和奏。
「っ…和奏ちゃん…その……えっと…」
沙希は和奏から目線を逸らしながら恥ずかしそうに告げた。
「ん?どうかしたのですか…?ってうわぁぁ!
?」
和奏は自分の身体に視線を落とした。
和奏の制服は縄とともに脱げてしまい、下着姿になっていた。髪色と同じピンク色の可愛らしい下着が晒され、和奏は両手で身体を隠した。
「…古町流忍法はえっちなんだね…」
「うぅ…否定できないのが悔しいのです……。どうも服まで脱げちゃうのが癖になっているみたいでして…」
和奏は自分の下着を一瞥しながら呟いた。そして、ローターによって刺激されていたせいかショーツにシミがついていることに気づき、急いでローターを外して制服に着替えた。
「沙希さんの縄も解いてあげますね」
「ありがとー」
クナイを用いて縄を切り、沙希は自由になった両手を使ってローターを外した
「それでさ…とりあえず縄原のところに行ってみないとだけどさ、縛られてない私たちが街中を歩いていたら怪しまれるし…どうしよう」
「ふふふ、そこは心配不要なのです。」
頭を悩ませる沙希に、和奏は自信たっぷりに返す。
「どうするの?」
「こうするのです!」
和奏は沙希をお姫様抱っこした。
「わぁ!」
和奏は軽々と沙希を抱え上げた。
「大丈夫?重くない?」
「大丈夫ですよ。それよりもしっかりと掴まっててくださいね」
「え、なにするの…?」
「ふふふ、街中を歩けば怪しまれるかもしれませんが“上”を行けば見つかることもないのです」
そういうと窓を開ける。
「え、うそ…」
和奏は、3階にある生徒指導室の窓から飛び出した。
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屋根を伝うように駆けていくくノ一。
その懐にはお姫様抱っこされた女子高生がいた。
「空を飛んでるみたい!すごいよ和奏ちゃん!」
屋根を伝いながらの移動は沙希にとって初めての経験で目を輝かせていた。
「ありがとうございます。高いところは怖くないですか?」
「和奏ちゃんに抱えられてるし大丈夫だよー」
「優奏が初めてこの修行をした時なんて怖くて泣き出していたのに、沙希さんはもしかしたらくノ一に向いているのかもしれませんね」
「和奏ちゃんにそう言われると嬉しいな〜。くノ一か、たくさん縛られそうだし楽しそうだよね」
「あはは…できれば捕まることなく任務を遂行したいのですけど……」
和奏は縛られた時の記憶を思い出し下腹部が熱くなった。
「縛られるのは好きだけどさ、やっぱりこの世界は苦手かな。毎日、毎時間ずっと縛られてると縛られた時の喜びも半減すると思うんだよ。」
「と言うと…?」
「縛られるのが日常…つまり“縛られてあたりまえ”になっちゃうと縛られること自体に特別感がなくなるというか…」
「なるほど…。言いたいことは分からなくはないです。」
「縄原に会って解決するかは分からないけど…」
「それでも私たちにできるのは縄原のところに行くことだけです。」
「そうだね。なんとか元の世界に戻さないと…」
「そうですね…頑張りましょう。あっ役所が見えてきました。護衛を相手にするのは面倒です。窓から突っ込みますよ。」
そうして和奏は窓から市長室に侵入した。
__________________________
「あら?」
市長室に縄原は居た。
「縄原さん、皆さんに何をしたんですか!」
和奏は縄原に言う。
「…誰よ、貴女たち。」
「え……」
いつものように和奏たちを揶揄う縄原の姿はそこにはなかった。
「勝手に市長室に入ってくるなんて非常識よ。」
縄原は冷たい視線で告げた。
「と、とぼけても無駄です!どうせ黒忍さんたちを遣って洗脳まがいなことをしたのでしょう」
「っ…黒忍について知っている……?何者なの?」
縄原は驚いた表情を浮かべていた。
「和奏ちゃん…なんか縄原の様子がおかしいよ……」
「どうせ私たちを揶揄っているだけです。こうなれば実力行使です!」
和奏は縄原に向かって駆けていった。
「遅いわ。」
縄原は和奏の腹部に拳を入れた。
「ガハァ…」
和奏はその場に倒れる。
「っ…はぁ…はぁ…」
和奏は腹部を押さえて蹲った。
「和奏ちゃん!?」
沙希は和奏の元に駆け寄る。
「本当なら警察に突き出すところだけれど黒忍について知っているなら尋問が必要ね。秘密の地下牢に拘束するわ。」
縄原は指を鳴らして黒忍を呼びつける。
「あら?みんな出払っているのかしら。仕方ない。私が拘束しましょう。」
そうして縄原は麻縄の束を取り出した。
「私たちが大人しく縛られると思ってる?」
沙希は和奏の前に立ち両手を広げて縄原に抵抗の意思を伝えた。
「チッ…面倒ね。」
次の瞬間、縄原は沙希の背後に移動し、手刀を喰らわせた。
「ぁう…」
沙希は気絶し、その場に倒れた。
「ぅ…沙希さん……」
「その状態じゃ、抵抗もできないわよね。大人しく縛られなさい。」
「くそ……」
和奏は抵抗する力も残っていなかった。
「手錠があれば良かったわ。縄で縛るのは面倒ね」
「貴女はいったい…こんなの縄原さんじゃない…」
「うるさいわね。口も塞がれたいの?」
「っ……」
「それで良いのよ。」
「(痛い…こんな縛り…縄原さんの縛りじゃないです…)」
それは今までに感じたこともないほど冷たい縛りだった。
ふぇむと
2024-07-10 11:26:41 +0000 UTCのべ
2024-07-10 02:26:16 +0000 UTCふぇむと
2024-07-07 13:00:55 +0000 UTC