SakeTami
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クラウストラムの後継者 #10 蹂躙

 エマは丸太小屋にたどり着いて着慣れた自分のメイド服を身につけ、それから館へと急いだ。  やがて自室に戻ったエマは、後ろ手に部屋の扉を閉め、しっかりと鍵を閉める。  ポケットから白く輝く魔玉を取り出すと、そっと机の上に置く。  そこまでしてからエマはやっと緊張を解いてホッと息を吐き出した。   ひとまずはシャワーを浴びて、体にこびりついたゴブリンの匂いを洗い流さなくてはならない。  その時。 「どこに行ってたんだよ。エマ」 「うわっ!びっくりした!」  唐突に声をかけられて、エマは思わず声をあげた。  部屋の奥に視線を向けると、そこにはフェイとノルンが待ち構えていた。  ふたりとも心配そうな表情を浮かべている。 「ふ、ふたりとも……どうしたの……ていうか、勝手に人の部屋に入らないでちょうだい」  かすかに震えた声で答えるエマに、ふたりはゆっくりと詰め寄った。 「何言ってるんだ。食事の当番もさぼって消えてしまって。本当に心配したんだからな」  フェイがひくひくと鼻を鳴らす。   「エマ、なんだかゴブリン臭いよ」  それを聞いたノルンの顔が、険しい表情に変わった。 「もしかして、エマ……ひとりであの巣穴に行ってたのか?」 「あ、あの……」  エマは苦笑いの表情を浮かべて、詰め寄るふたりに告げた。 「……ふたりとも、あんまり白々しいのは、やめにしない?」  エマのその言葉を聞いたノルンは表情を変えた。  生真面目な普段のノルンなら決して浮かべることのないニヤけた表情だ。 「いや、心配してたのは本当だぞ。もしもうまくいかなかったらどうしようかと思ってたんだ」  ノルンの隣に立つフェイも、普段の素直で屈託な彼女が浮かべるはずもない、イヤらしい表情に変わっている。 「でも、うまくいってよかったよね。アタシはもっと時間がかかると思ってたんだけど」  言いながら、フェイは自分のエプロンの紐を解き始めた。  一方のノルンはすでにメイド服を脱ぎ捨てて、下着姿になっている。 「何しろあたしは、もう、限界だったからな……グヒッ」  息を荒くしてエマに詰め寄るノルンの瞳は凶々しく縦に避け、黄色く濁った輝きを放っている。 「ずっと、我慢していたんだ。エマ。オマエをコレで、ムチャクチャにして!ヤるノヲ!」  ノルンの股間から、おぞましいゴブリンの器官がゆっくりと立ち上がった。  エマは息を飲んで後退り、それから頬を染めた。 「ねぇ、アタシ、知っているヨ。エマは、それヲ、のぞんでいたヨネ」  フェイもゴブリンの本性を表して、エマににじり寄る。  ふたりはエマよりもずっと前にゴブリンにすり替わっていたのだ。  そして彼らは、この時をずっと待っていたのだ。  エマが自分達の仲間入りをする、この時を。  観念したエマは自らもするすると上衣を脱ぎ捨てると、下着姿になり、ふたりに向き合った。  ゴブリンの精の濃厚な匂いが部屋の中に充満している。  エマはゴクリと唾を飲みこんだ。  フェイの言うことは正しい。  巣穴でそれを味わった時から、自分は、[[rb:大地と樹木の精霊 > ドライアド]]の娘は虜になっているのだ。  卑しい[[rb:腐れる地の精霊 > ゴブリン]]のなすがままに蹂躙され屈服することを望んでいるのだ。  汚れた精を全身に浴びて、恥辱に酔いながら身悶えることを望んでいるのだ。  気高きものが下劣なものに貶められ、汚され尽くされることを、望んでいるのだ。  開いたエマの身体から、花の蜜のような芳しい香りが立ち上り始めた。 「うはぁ……たまらない……いいニオイだぁ……エマぁ……」  だらしなく口を半開きにして、涎をたらしながらノルンはエマの肩を乱暴に掴んだ。  痛みを覚え、軽く悲鳴をあげると、エマはノルンの胸に片手を置いた。 「そのっ……あたし、初めてだから……お願い……もっと、優しくして……」  ノルンをさらに滾らせ、自らをより激しく蹂躙させるべく、エマはそう告げた。  エマの目論見通り、今やノルンは完全に理性を失ったようになって背中からエマにむしゃぶりついた。  そのまま強引に身体を傾けられたエマの中に、容赦なくノルンの、ゴブリンの邪悪な器官が押し込まれた。  エマの皮を被った障魔は、痛みとともに味わう初めての感覚に戸惑いながらも愉悦の息を漏らした。  その瞬間。  エマの鳶色の髪の毛が掴まれて、開いたその口に、もうひとつのゴブリンの器官が押し込まれた。  見上げると邪悪なゴブリンの瞳をしたフェイが、耳まで避けた口に笑みを浮かべ、傲然とエマのことを見下ろしていた。  魔性に成り変わられた3人の精霊の娘達は、その本能のままに存分に互いを汚しあう。  ふたりに前後から攻められながらエマは、机の上に置かれたものに目をやった。  白い輝きを凝集した、[[rb:幻力 > マーヤー]]の魔玉だ。  これからエマは自身の使命を果たさなくてはならない。  魔玉の力を、クラウストラムの後継者に及ぼすのだ。  [[rb:幻力の面紗 > マーヤーのヴェール]]によって、精霊達を総べる王を無垢な精霊の少女の姿に閉じこめてしまうのだ。  無力な館のしもべのひとりに変えてしまうのだ。  魔玉の力を持ってすれば、それは容易いことのように思われた。  [[rb:幻力の面紗 > マーヤーのヴェール]]はその者の姿だけではなくその者の内面をも包み込む。  歓びと快感をその報酬として与えることによってその者をあてがった姿にふさわしい存在となるよう仕向けるのだ。  その力の源泉は覆われた者の内に秘めた力だ。  魔玉の力に囚われた者は、内に秘めた魔力が強ければ強いほど、自ら屈辱的な立場へと追い込んでいくのだ。  フェイやノルンが、そしてエマ自身が下劣なゴブリンに成り果てたように、一度魔玉の力に囚われれば、クラウストラムの主もすぐに心の奥底までも無力な精霊の少女に変じてしまうことだろう。  そして、その後は。  エマは想像した。  館の地下にある石牢に、入ってくる人間がいる。  目深に被ったフードを取り払うと、ゴブリンそっくりのおぞましい顔が露わになる。  ゴブリンマスターだ。  だが、それも所詮仮の姿に過ぎない。  魔装を取り払うとその下から現れたのは、火傷と傷で醜く崩れた男の顔だ。  その場にいるエマも、フェイもノルンもその男のことを知っている。  かつてその邪まな欲望をクラウストラムに拒絶された男。  [[rb:蜍没 > よもつ]]だ。  例え、復讐に燃える邪法使いの邪悪なその正体と目的を知ったところで、もはやクラウストラムの主には、抗う術はない。  すでに彼の精霊のしもべたちは全て魔性の手に落ち、彼自身すらも無力な精霊の少女に塗り替えられてしまっているからだ。  館のしもべとして隷属し奉仕する歓びに囚われた少女は、目の前に立つ仇敵に喜んでひざまずき新たな主として迎えるだろう。  石牢の中でゴブリンの精に塗れ、陶酔し虚ろになった目で、自らその全てを蜍没に差し出すのだ。  全てを差し出し意思すら持たぬ人形となり、未来永劫邪法使いの忠実な奴隷となるのだ。  かつてエマは誓った。  満月遊跳に何があろうとも、自分はいつもその側にいる、と。  例え、邪法使いの奴隷人形に貶められたとしても、その誓いは変わらない。  常にその傍らで、蜍没の命ずるままに彼女を嫐り、辱め、汚し続けるのだ。  かつてのエマが大切にしていたものを、そうやって蹂躙する未来を妄想しながら、美しい精霊の姿をした魔性に前後から貫かれ、エマは絶頂を迎えた。 (続く)


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