SakeTami
錫(あおがね)
錫(あおがね)

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Special 4th イラスト連動SS

「あぃたっ!」 倉庫で整理をしていた柚子は、うっかり傷んだ床を踏んでしまい、 地下に落下してしまったのだ。 落下してる際に、木の破片で衣服をびりびりに破いてしまい、地下に落ちた頃には生まれたままの姿になってしまった。 幸いにも外傷はなかった。 「うーん・・・この倉庫もそろそろ建て替えた方がいいと思うんだけど、いてて・・・。」 柚子は辺りを見渡した。 土の壁に石の柱、固められた土の床、ホコリの舞う空間、朽ちた美術作品の数々、人の形をした彫刻。 そして柚子の下には・・・手のような形をしたオブジェがあった。 柚子はそのオブジェを撫でてみた。 金属で出来ているらしく、なにやら冷たく、なめらかで硬い質感が伝わってくる。 「それにしてもヘンな形のオブジェね。手の形がリアルじゃないし、習作にしてはちょっと出来が悪いんじゃないかしら?・・・しかもこれがたくさんあるなんて、ちょっと趣味悪いわね・・・。」 よく見ると、周囲には手のようなオブジェが複数あり、どのオブジェにも人の姿をした彫刻が乗っていた。 オブジェの色に応じて、人の姿の彫刻も変えられている。 灰色のオブジェならば彫刻も灰色に、緑色のオブジェならば彫刻も緑色に・・・といった具合だ。 柚子の乗っているオブジェだけ彫刻が乗っていなかった。 そしてそのオブジェの色は、ホコリで分からなかったが、どうやら金色のようだ。 「まるでミダス王の呪いにかけられた人達ね。周りの人達がその呪いで彫刻になってるとしたら、私はこれから金の彫刻になっていたりして、うふふふ♪」 そんな妄想をしながら柚子は、地上に戻るべく、立ち上がろうとした。 ・・・が、何故か立ち上がれない。 「・・・あれ?なんで?」 何度も立ち上がろうとするが、どうにも立ち上がれない。 しばらくすると、何やら腕が重くなったような感覚が柚子に伝わってきた。 「・・・え?どういうこと?」 やがて柚子の両腕がまったく動かなくなってしまった。 不審に思った柚子は自身の下半身を見つめた。 「・・・えっ、うそでしょ!?」 なんと、柚子の下半身が金色に変色していたのだ。 それだけでなく、金属光沢まで現れている。 そう、まさに柚子は今、黄金像へと変化しつつあるのだ。 「やだ、これ、本当にミダス王の呪いがかかってたの?だからこんな地下に保管していたのね?」 そんなことを言ってるうちに柚子の身体はじわじわと金に飲み込まれていく。 しかし、柚子の表情は困惑ではなく、どこか期待するような表情であふれていた。 「もしかしてミダス王は、私を黄金像にしたいがために、この黄金のオブジェを残してくれてたのかしら?」 もちろんそんなことはなく、ただ偶然、黄金のオブジェが残っていただけである。 柚子が訳の分からない妄想に浸っているうちに、柚子の身体は金色で染まりつつある。 「ああ・・・気持ちいい・・・、このままミダス王に愛されながら、一生を黄金の身体で過ごしていたいなあ・・・。」 ・・・ついに柚子の身体は金で染まった。 柚子は人間ではない、黄金の彫刻へと変わり果てたのだ。 周囲のオブジェに乗っている元人間たちは、絶望の表情や助けを呼ぶようなポーズを取っている中で唯一、柚子は彫刻になる自分の運命を受け入れ、明るい表情をしていた。 ・・・数か月後、柚子以外の彫刻に変化していた人々は救助され、元の人間に戻ることが出来たのだが、 柚子だけは黄金のまま元に戻らなかったそうな。


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