SakeTami
Casapig
Casapig

fanbox


吸血考察

作中世界において、吸血鬼に噛まれた人間は心身にどのような変化が起きているのか、詳しく解説した記事です。

今回は、最新作を例に吸血鬼の眷属にされる女性被害者の設定を紹介します。

第一段階


吸血鬼に襲われた犠牲者の変化は噛まれる前から始まっている。

彼女達は吸血行為を楽しむ為に、首筋を舐めたり、軽くキスをするなど"前戯"を行う傾向にある。


実は、この段階で既に獲物は手遅れ。

吸血鬼の権能は、牙だけでなく彼女達の血や体液にもあるのだ。


唇や舌先がちょっと触れた程度でも、吸血鬼の唾液が皮膚を溶かしてしみ込んでくる。そして、血流に乗って後述の変化を起こしゆっくり全身を侵し始めるのだ。

 彼女達の唾液が皮膚に一滴でも付けば十分に致死量であり、直接牙で噛まれなくとも犠牲になることは避けられない。


唾液の効果は吸血鬼によって個人差があるが、遅かれ早かれ同じ結果になる。

まして、麗華のように長く肉厚な舌でベットリと唾を塗り付けられれば、ここで彼女から獲物を引き剥がしたとしても生存は絶望的である。


第2段階


首筋に牙が差し込まれ、血を吸われ始めた状態。

もはや、これ以降は獲物の生存可能性について論ずるのは無意味である。

犠牲者の運命は、死ぬか吸血鬼化するかの二択になる。


血を吸われると同時に、猛毒の唾液が大量に流し込まれ忽ち全身に巡っていく。

ヴァンパイアの唾液に含まれる淫毒によって細胞は変質していき、吸血細胞となればそれ自体も大量の淫毒を産生するようになる。


淫毒は強力な快楽物質でもあり、牙を差し込まれる痛みはすぐに消え、獲物にされた人間の身体には蕩けるような快感が広がっていく。

(第一段階の前戯を経ていれば、噛まれる痛みさえ快感と認識するようになってしまっている。)


この段階で感じる快感の強さにも吸血鬼によって個人差があり、個体によっては快楽の強さを自在に調整することもできる。鏡花など一部の上位者の中にはわざと緩慢な快楽を長引かせてプレイを楽しんだり、獲物を骨抜きにしてしまう者もいる。


まだ人間の心が許容できる範囲の快楽ではあるものの、それでもセックスドラッグと同等かそれ以上のものであり、一度味わえば獲物は抵抗する意思をほぼ全て奪われてしまう。


第3段階


身体が半分以上吸血細胞で置き換えられ、血流に大量の淫毒が含まれるようになった状態。


内臓もほぼ吸血鬼化し終わったため、獲物自身の体内で淫毒以外のあらゆる吸血鬼因子や魔力も生成されるようになり、ありえない速さの心臓の鼓動によって全身に拡がっていく。


もはや、感じる快楽は人間の肉体が許容できる限度を超え、多幸感に浸る余裕などなくなってしまう。


人間としての肉体的な死が目前に迫っている為か、ほんの一時だけ獲物の意識は冴え渡り、明確に死が迫る実感に恐怖と後悔の念が急速に押し寄せてくる。


だが、それは死ぬ直前のラストランと同義であり、いくら生へ執着しようともはや抵抗は不可能。


この時、獲物が流す涙や必死に衝動に抗おうとする表情は、極限の恐怖と消えゆく理性の最後の残滓である。


粘膜や、目、唇など皮膚が薄い一部には赤みを帯びるなど目に見えて変化が表れてくる。同時に、それらの変化は吸血鬼化後に彼女たちの容姿を妖艶に引き立てる化粧としての役割ももっている。


このまま快楽で狂い死にするか、これ以降の段階に進むかどうかは吸血鬼の裁量で決まるが、獲物が男性だった場合には以降の変化に体が耐えられないため体の崩壊が始まることが多く、必然的に最期が訪れることになる。


第4段階


体内はほぼ吸血鬼に作り変えられ、身体の表面の皮膚にまで吸血細胞化が進行した状態。人間から吸血鬼への肉体的な変化のピークであり、人間としての死と、ヴァンパイアとしての生の始まりが交差する段階。


容姿こそ生前の原型を保っているが、もはや体内は魔力によって動くまったく別の生体システムに置き換えられつつあり、心臓やその他の臓器は吸血鬼因子を身体中に巡らせるという最後の役目の為だけに動いている。


血色は失われてやや青白くなり、粘性の強いヴァンパイアの血液が、途轍もない速さと強さで体を巡るため血管が浮き上がる。


ついには、牙や耳が伸び、瞳孔の形が変わり、骨格や体形すらも魔物のそれに代わっていく。


人間でいえば、10代後半から20~30代の肉体の全盛期に当たる容姿に向けて変化する。


肉体に最も急激な変化が現れる段階であり、快楽も最高潮に達する。

そして、それにより同時に心にも急激な変化が起こる段階である。


第3~第4段階にかけて桁違いの快楽により人間だった頃の理性や意識などは吹き飛び粉々に破壊される。 最後は意識を無くしたり朦朧としたまま倒れ伏す。


心臓は最後に大きく鼓動して停止し、人間としては心も体も死を迎えるのである。


休眠状態

吸血鬼が首筋から牙を抜いた直後になることが多い状態。

極まれに、この状態を飛ばして一気に第5段階に至る者もいるが、ぐったり倒れて動かなくなる者が大半で外目では死んだように静かになっている。


麗華の場合は、濃厚な淫毒により過剰な快楽を流し込むため、襲われた獲物ほぼ確実にこの状態になる。


 気絶している間にも体内で急激な変化が進行しており、巨大な快楽は常に肉体を襲い続けている。

だが、体が本格的に吸血鬼としての生命活動を始めるにつれて強大なその快楽にも耐えられるようになり、心の方もそれに適応し慣れていく。


最後は意識もはっきりとして立ち上がれるようになり、だんだんと思考もできるようになっていくのである。


第5段階


休眠状態を経て、自律的に動けるようになった後の段階。

第4段階が肉体的な変化のピークなのに対して、第5段階は精神的な変化のピークを迎える。


目覚めた直後は、記憶や性格、思考パターンなどは、吸血鬼化前のそれとほぼ変わらないが、その体は既に吸血衝動という新たな欲求に支配される物に変わっており、それに引っ張られるように犠牲者の精神は遅かれ早かれ吸血鬼のそれに変化していく。


人間だった頃の倫理観や常識から最初の獲物を襲うことに戸惑ったり罪悪感を抱く者もいるが、彼女達の身体には吸血鬼化の際に味わった巨大な快楽が染みついてしまっており、もはや人間の倫理や常識の範囲内で欲望を抑えることはほぼ不可能。


敏感になった嗅覚により離れた場所にいる人間の匂いも感じられるようになり、わずかに混じる血の匂いに食欲と性欲を激しく揺さぶられるようになる。

誰一人その衝動に抗うことはできず、目の前の人間を襲ってしまうのである。


そして、一度人間を襲えばすぐに吸血の快感と愉悦に酔い痴れ、心の底まで享楽的で残酷な魔物へ一気に堕落してしまう。


早ければ、二人目以降は見境なく欲望のままに襲うようになり、そうでなくとも数人襲ううちに人間の心はどんどん壊れていく。


彼女達の心から人間だった頃の倫理や規範などあっという間に消え去ってしまうだろう。


この段階に至って、犠牲者は吸血鬼として”目覚めた”といえるのである。


第6段階


いわば、吸血鬼として完成してしまった状態。


吸血鬼化直後の空腹を大量の犠牲者の命で満たしたことで落ち着き、冷静に思考ができるようになる。


吸血衝動や肉欲を自分の意思で抑えることができるようになり、人間との会話も成り立つなど、一見して理性的であり、むしろ変化前より知的な様子を見せる者さえいる。


生前の記憶や性格、大半の思考パターンをほぼそのまま残しているため、それまでの生活や人間関係にも容易く溶け込むことができ、周囲の人間も変化には気付かないほど。


これこそが何よりも吸血鬼を恐ろしい存在たらしめている所以である。


一見、吸血鬼化前とは変わらない彼女達だが、こと倫理観に関しては生前とは別人のレベルに変化してしまっているのである。


生存に必要な量を越えた吸血や、単に肉欲を満たすための衝動的な情交によって獲物を犠牲にすることに何の感慨も湧かないどころか、過剰に獲物を甚振ることを楽しむようにすらなる。


生前の交友や信頼関係を自らの欲望の為に消費することにも何ら抵抗が無いうえに、

すれ違っただけの人間や、それまで親し気に会話していた友人すらほんの気紛れで襲い喰らうようになってしまうのである。


救いようが無いのは、このような行動が“自発的”なものであり、自分を噛んだ吸血鬼による洗脳の結果では決してないことである。


第5段階初期の様子からわかるように、精神そのものは生前と地続きのものであり、この変化は吸血鬼として多くの人間を襲ううちに嫌が応にも心が適応してしまった結果なのである。


新たな力への全能感や快楽へ忠実な者はもちろんのこと、生前は理性的な心を持っていた者であっても、そのような自己の変化を肯定するために吸血鬼としての新たな宗教観に染まってしまうのだ。


自分は上位者として選ばれた存在。下位の存在である人間はどのように扱っても良いという思想に染まり切っており、そのことを後悔するどころか前向きに捉えているので、更生する可能性はゼロに等しい。


結果的に、生前は理性で抑え込んでいた内なる欲求や本能に忠実になり、それらと吸血衝動が結びつくことで、異様なまでの加害衝動や嗜虐衝動を見せる者達ばかりとなる。


吸血鬼達が往々にして残虐で奔放な性格をしているのは、このためである。



その後

これらの変化に加え、吸血鬼は人間を喰らう限り老いることも死ぬこともないので、生前どんな人物であったとしても、人間の死生観や宗教観、文化が肌に合わなくなってしまう。


自然に、思想を同じくする同族同士で集まり、彼女達は吸血鬼としての新たな社会と文化を築いていくようになる。


当然ながら、それは生きた人間を"資源"として扱い収奪することで成り立つ恐ろしい社会構造であり、人間社会に害を成すものである。彼女たちはそれを当たり前の権利とみなしており、今日もまた人を襲い喰らっていくのである。


もはや彼女達は、人間だった頃の姿をしているだけの魔物であり、人間に害を成す恐ろしい上位存在である。。





吸血考察 吸血考察 吸血考察 吸血考察 吸血考察 吸血考察 吸血考察 吸血考察

Comments

私はそれが一番好きです。 救いのない暗い結末は、想像するだけでワクワクしてくる。

唯识无垢

私自身、このストーリーを作るうちに吸血鬼への変化過程の美しさを再確認いたしました! これからの作品でもぜひ丁寧に描いていきたいと思っています。 生前、どんな人物だったかによって吸血鬼化のプロセスや変化中の心の変化は様々だと思います。 でも行きつくところは同じで、人間時代の信頼関係や常識になんら価値を感じなくなってしまうのです。 そして、彼女達は自分の変化を肯定して魔道に堕ちてしまうでしょう。

Casapig

彼女達の身体を構成する吸血細胞は、それ自体が触れただけで生者の命を吸取る危険物です。 愛撫などされたら細胞レベルで致死量の淫毒を注ぎ込まれますし、抱擁されれば抱き合っているだけで全てを吸われてしまうでしょう。 麗華みたいに性格の悪い吸血鬼なら、わざと前戯だけして放置する遊びをしそうですね!ぜひ妄想してください。

Casapig

とても素晴らしい考察でした。 特に、第一段階の吸血されていない状態で愛撫等で体液を着けられた過程で既に手遅れである…という点がよかったと思います。 また、肉体の変化の後に起こる精神の変化過程も丁寧に考察されていてよかったです。 吸血鬼の愛撫だけを受けて、吸血からは逃れた犠牲者がゆっくりと吸血鬼化する話とかも妄想出来ますね! 本当に素敵な考察をありがとうございました。

sengoku

本当に素晴らしかったです。 設定を追加しながら。先生の作品に出てくる女吸血鬼が、こんなにも好きな理由が見つかったような気がした。 鏡花さんのような大人っぽい捕食者も魅力的ですが。しかし、もともと純粋な少女が吸血衝動に駆られて貪欲な捕食に変身する姿も美しい。一度吸血の快感を味わったら、もう後戻りはできない。 吸血鬼化した描写にとって、変化の前後のコントラストは重要である。考え方の転換の描写は、 日葵が吸血鬼になってからの、それまでとの大きな相違をよく説明している。 また、吸血鬼化は徐々に進行していくプロセスであるという考え方もあります。身体は完全に吸血鬼化しているとはいえ、心の変化はゆっくりとしたプロセスであるはずだ。彼女たちを完全に変えてしまった理由。自分の大切な人に手を出したり、他の吸血鬼に誘導されたりしているのだろう。 自分自身がより高級な存在になったため、かつての友人や家族は彼女たちにとって手に入れやすい獲物に過ぎなかった。かつて彼女たちが好きだった相手にとっては、吸血鬼に転化するか、吸死するかの二択しかないのだろう。

唯识无垢


More Creators