【Skeb】(前書き付き)カーと家出少女
Added 2024-01-22 18:30:00 +0000 UTCSkebのご依頼で書いたSSです。
少し前段解説入れてます。見たくない方はpixivでも公開しましたので、そちらをどうぞ!それによかったらブクマなど、スコアに反映もされますので、ご協力頂けましたら幸いです!
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21442794
コメントもお待ちしてます~🙇♂️
ディ〇ニーのジャングルブックより、カー様の催眠丸呑みSSのご依頼を頂きました……!老獪な性格に、アニメ的なしわしわで柔らかそうな身体、優しい声……どれも最高に素敵なキャラですよね!Dのキャラは子供の頃に何度オカズにしたか覚えてないくらいに好きです。スカ―様に時計ワニ、LMに出てくるサメさんに……ほんとアニメーションならではの柔らかそうな肉感がとてもとても!
作者曰く、「D作品は丸呑み的な意味以外でもかなり観てるので、キャラ感の掴み方は自信あります!王道過ぎて逆に書いてなかった蛇作品の最初をカー様で書けて幸せです!蛇は胃袋と食道をちゃんと区別して書くのがジャスティス」との事です。D系は日本だと大っぴらな二次創作が微妙なのであれですが、今後は蛇系にもリソースを割く余裕が出てくるかもしれませんね!
よかったらお楽しみ下さい。
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ジャングルの奥深く。そんな場所におよそ似つかわしくない、白いワンピースの少女が大またぎに歩いていた。薄金色のまつ毛を纏った美しい目の周りを真っ赤に腫らし、その頬には幾筋もの涙の跡が残っている。
「こんなの要らない!」
苔の生えた腐葉土をぐちゃぐちゃと踏みしめながら、リリィは髪についていた何かを投げ捨てた。銀に星型のクリスタルが嵌められた、可愛らしい髪飾り。冒険家の両親がいつかプレゼントしてくれた、お気に入りのひとつだった。
「もうやだ……死にたい……」
少女は近くの大木に背を預けると、うつむきながらうずくまる。どこまで来たのか分からない上に、寝巻に裸足でここまで来てしまった。慣れない悪路に小さな足は疲れ、悲鳴を上げている。癇癪を起こして両親の居るキャンプから飛び出して来てしまったものの、今更戻る気にはなれなかった。そもそも、帰り道も分からない。
「おやおやおや、どうしたのかな」
突然耳に入る声に、少女はビクりと背筋を凍らせる。こんな場所に人が居る訳がなかった。よくよく考えなくても、ここはジャングルの中。武器も持たない人間なんて、動物たちにとってはただの御馳走だ。自分のしでかしてしまった事にようやく後悔しながら、慎重にあたりを見回した。
「うふふふ、上だよぉ、お嬢さん」
聞こえた声に顔を上げた途端、生臭くぬるりとしたものが鼻を撫でた。
「ひぁっ!!?」
それが何かを確認する間もなく、声の主の頭が鼻先に近づいてくる。
「こんな所で、一体どうしたんだい」
焦点の合わない目に、暗いオリーブ色の体色が飛び込む。それは薄暗いジャングルの中でもてらてらと鈍く輝いており、それが体毛ではなく、鱗に覆われた生き物である事を示していた。不思議と匂いがしないのは、当然と言えば当然だろうか。こうして獲物に気づかれずに近づくと、そのままその太い胴でぐるぐる巻きにし、絞め殺して……そう、頭上の木のから垂れ落ちていたそれは、巨大なニシキヘビの姿だった。少女は凍り付いたまま、目の前の生き物を注視することしかできない。
「かわいそうにぃ、こんなに泣いてしまって……」
再び生暖かいものが、べろりと少女の頬を撫でる。
「っ……!!」
恐怖に声も出せない少女。泣き腫らした頬に残っていた涙の粒を、ゆっくりと大蛇の舌が舐めとっていく。冷たくひえた肌に、熱い異質の体温が這って行く。まるで自分の大事な部分を侵されたかのような気分に、彼女は嫌悪感を覚えた。
後ずさろうとしたが、がっちりとした大木が背中を支え、これ以上下がることはできない。本来ならば安心を与えてくれるはずのそれは、今や少女をその場に留めるためだけの戒めでしかなかった。蛇の舌はそのまま彼女の頬を舐め上げると、返す舌の裏で鼻先をべとりと舐め下す。食べられる……!動けなくなった彼女は顔を横に背け、ぎゅっと目を瞑る。
「そそんなに怖がらなくても……あたし、あたしはただ……」
だが、頭上から聞こえてくる声は、少女が想像していたものよりも遥かに優しいものだった。おそるおそる目を開けた彼女の目に入ってきたのは、わるびれたように首をしなだらせこちらの様子を伺うヘビの姿。獰猛な、という言葉とはおよそかけはなれたそれは、逆にこちらがかわいそうに思ってしまうほどひ弱な姿だった。
「そ、その~、お嬢さんが酷く泣きじゃくってたもんだから」
「ごめんね、びっくりしちゃって……」
少女の顔よりも小さな頭は、申し訳なさそうにゆらゆらと揺れていた。思えば、こんな小さな動物に恐れをなす事はなかったかもしれない。リリィはこれまでにも両親の冒険についてきたことがあった。恐ろしい虎に追いかけられたり、テントに象が突っ込んできた事だってある。蛇は本来臆病だから、こちらが危害さえ加えなければ危険な事はない。ただこのまま立ち去ればよいのだ。リリィは我に返ると立ち上がり、裾に付いた土を手で払った。
「じゃあね、蛇さん。その……慰めてくれてありがとう」
そう言って少女は、ヘビの顔をじっと見つめたまま、湿った土をそうっと踏み締めていく。ヘビもまた、名残惜しそうに彼女の顔を見つめていた。目を離さないように、ゆっくりと歩を進めるリリィ。しかしそのせいで、地面に何か根のようなものが横たわっている事に気づくことができなかった。
「ひっ、あっ……!?」
躓きバランスを崩した小さな身体は、受け身を取ることも出来ず、背中から思い切り叩きつけられる。と、彼女は瞬時に身構えていたのだが、実際にそうはならなかった。彼女を襲ったのは、ほんの少しひんやりとした腕に支えられたような感覚。目の前の大蛇が助けてくれた事に気づくまで、そう時間はかからなかった。
「うふふ、ほら、前を見ないと。危ないよぉ」
太い、少女の身体ほどもあるその身体は、彼女のお尻のあたりをぐるりと支えていた。そして、ぐるりともう一巻き。お腹にずしりとした重みがかかる。リリィは浮き輪のように巻きついてきたヘビの身体に一瞬戦慄を覚えるも、彼が助けてくれたという事実になんとか理性を保っていた。
「あ、ありがとうねっ……って……ん……」
ふよふよと頭上で揺れながら自分を見つめる大蛇に答えながら、腰に巻きついたその身体を引き離そうともがいてみる。地面についた足を踏ん張りながら、手で押し、身体を捩らせるリリィ。つるりとした鱗は、押せば押すだけ強い弾力で少女の手を押し返す。大蛇の身体という分厚い筋肉のチューブは、おそらく成人男性でも抜け出すことは困難で、ましてや少女程度の力ではびくともしなかった。
「ねえお願い、そろそろ離れて。私行かなくちゃ」
数度ほど試して、自力ではどうにもならない事が分かると、少女は頭上に声をかける。助けてくれたヘビが気を悪くしないように言葉を選びながら、それは優しい声色だった。
「行く?行くってどこにだい」
「自分の家よ」
大蛇は理解できない、という風に首をかしげる。
「どうして?さっきはあんた、死にたい~、嫌だ~って、あんなに叫んでたじゃない」
少女の声色を真似しながら顔を左右に揺らすその仕草に、リリィは顔を赤らめた。独り言を聞かれるほど恥ずかしい事はない。
「さっきのは――」
「まあ人生色々、そういうこともあるさ」
彼女の言葉が続けられる前に、大蛇は急に身体をほどいた。自由になった少女はその急激な重力変化に耐えきれず、とすんと軽く尻もちをついてしまう。
「だけどね、お嬢さん」
蛇は素早く身体を滑らせ、尻もちをついたリリィの周りをぐるりと取り囲むようにする。
「ここには恐ろしい獣だって出る。それこそ、お嬢さんなんてぺろりと食われちまうかもしれない。あたしたち弱~い動物がどうやってそいつらから身を守っているか……そう、木の上だよ」
早口でまくしたてながら、その長くしなやかな全身をくねらせる大蛇。それはいつの間にか少女の身体の下にも潜り込んでおり、あれよあれよという間に彼女を宙に浮かせてしまった。
「木の上なら、あいつらだって気軽には襲ってこれないんだ。あたしたちの、うひひ、とっておきの、憩いの場だよ。そこにお嬢さんを招待してあげる」
降りようとしたときには、地面はもう何メートルも先に遠ざかってしまっていた。がさり、と枝葉を掻き分ける音がしたが、少女の頭上を大蛇の身体が守っており、その柔肌に傷をつけるような事はない。
そうしてほどなく、木々による薄暗い闇が晴れた。
「ここなら、もうだ~れもこない」
絶景だった。ジャングルを上から見るなんて経験を、リリィはしたことがなかった。あまりにも美しい、翠玉のきらめき。時折飛び立つ鳥たちの声が無ければ、そこが現実だなんてことは忘れそうなほどだった。まるで天国のような景色。
「きれい……」
思わず嘆息した少女を、大蛇は満足そうに見守っていた。
「ほら~、あたしを信じてよかったでしょう?」
まるで主人のご機嫌取りをする商人のように首を傾げながら、大蛇は少女の顔を覗き込んだ。
「まぁ、そうね……私……私はリリィ、あなたは?」
「うふふ、あたしはね、名乗るほどのもんじゃないけどね、カーって言うんだよ」
「カー、ありがとう」
そう言った少女の目には曇りもなく、まるで先ほどまでの悩みなんて吹き飛んでしまったように晴れた顔をしていた。カーの瞳をじっと見据えながら微笑みかけるその顔は、その景色も相まってか、まるで天使のようですらあった。
「うふうふうふ、これは、どういたしまして、本当に、本当に……」
両目を閉じて思わずくねくねと身体を躍らせる大蛇。突然の動きに少女が驚く間もなく、次に彼の目が開かれたときには、それは今までと違った怪しい雰囲気を放っていた。
「信じてくれて、ありがとう」
今までの距離感が嘘のように、その顔面を彼女の顔に近づけると、双眸がまっすぐにその小さな瞳を捉える。リリィは困惑しながらも、彼から目を離すことができなかった。
「えっ?ええ、こちらこそ、どういたしまして……」
それは物理的に、ではなかった。どういうわけか、顔前にある彼の瞳から目を離すことができない。見ているだけでなんだか平衡感覚がおかしくなりそうで、まるで眠りに落ちる直前のような気分に抗いながら、少女は言葉を紡いでいた。
だがほどなくして、彼女の足元は崩れる。そのまま倒れれば地面に真っ逆さまだったかもしれないが、ほんの一瞬意識を失うようなその感覚に抗うことができない。幸い、大蛇の太い身体が、再び彼女の身体を支えてくれた。
「おっとぉ、危ないあぶない……綺麗な身体が、傷ついてしまうよぉ」
まるで夢見心地の中で、背中に感じる柔らかな蛇体。それは極上のハンモックのようにリリィを支えると、まるで子供をあやすかのようにゆらゆらと揺らされた。
「あり、ありが、とぅ」
ふわふわと、意識が飛びそうな中でこぼれ出る言葉。
「本当にいいお嬢さんだぁ~、折角だからもぉっときもちよぉ~く、お眠りなさいな~」
耳から入っているはずなのに、脳内に直接響いているかのような、大蛇の声色。気持ちよく、と言いながら揺らされ続けると、身体の力がどんどんと抜けていく。徐々に虚ろになっていく少女の目を確認すると、大蛇の頭はどこかに消えていった。
「ちょぉ~っと、くすぐったいよぉ」
「ふぇっ……?んゃっ!?」
リリィが蚊のように小さな叫び声を上げる。おそるおそる視線を落とすと、寝巻がふっくらとふくれ、中で何かがもぞもぞと動いている。それがカーの頭であることは、裾から繋がった太い胴体がはっきりと示していた。そして、素肌に感じるチロチロとした刺激に、少女は覚えがあるのだった。
「ひゃっ……やめっ……舐めっ……」
カーの滑らかな舌が、少女の胸の膨らみを滑る。細長く、ヌルヌルとしたものが這いまわる感触は、頭がはっきりとしていればとても耐えられるものではなかったかもしれない。乱暴に、両の乳房を味わうように這いまわる蛇の舌。頂部を絞り上げるように、胸の谷間を掻き分けるように。二股に分かれた、大蛇の生暖かい舌が少女の敏感な部分を撫でまわし続ける。
ネバネバとした濃密な粘液で少女の胸が汚されると、苦悶とも、悦楽ともとれるうめき声をリリィが上げ始める。大蛇の頭がゆっくりとその位置を下げていき、唾液の絡んだ少女のワンピースが、直接彼女の乳首に絡みつく。舌はそのまま腹部を舐めまわし、少女のおへそを出入りしながら、やがてふっくらとやわらかな両太腿の間に行きついた。
「ゃぁっ……そんな……きたな、いよぉっ……」
股間に感じ始めた獣の舌先に、息を小刻みに発するだけだったリリィが抗議の声を上げる。
「おや、ごめんよぉ……やっぱり蛇の舌なんて、お嬢さんには汚かったかしら……」
寝巻の裾が大きく盛り上がると、カーがその頭をもたげたのが分かる。チロチロとした甘い刺激の雨が止むと、その余韻に少女は身体を捩らせた。まだ生暖かい唾液の絡んだ衣服が、彼女の柔肌との間でニチャニチャと淫靡な音を立てる。火照り、赤みを帯びた肌色と、熱くて速い息遣い。リリィは身体を動かす事を止める事が出来ず、止んでしまった行為に切なさを覚えながら言葉を絞り出す。
「……ふぁ……そっ……そういう、意味じゃ……」
「あぁ、よかった、それじゃぁ」
「んきゅぅっ!?」
突然べろりと、熱い粘膜がそこに押し付けられた。少女の秘部を圧し潰す蛇の舌。言質を得たとばかりに容赦なく舐めまわす肉の鞭は、襞の隙間やお尻の割れ目、それらに沿って激しい往復運動を始める。淫靡な粘液音を纏いながら与えられる感触に、リリィは必死で声を押し殺していた。
数分か数十分か、それとも。ジャングルの中に時計はない。繰り返される舐めまわしに何度も達しそうになりながら、少女は快感に震え続けていた。舌先は彼女の表面だけでなく、その割れ目の奥深くにまで潜り込む。ざらざらと波打つ桃色の内壁はとろとろとした分泌液で濡れそぼっており、それらを蛇の器用な舌が丹念に舐めとっていくのが分かる。
「……ふにゅっ……はーっ、はぁっ……」
虚ろな目で息を荒げるリリィ。眠気のようなもやに包まれた頭でも感じる、強烈な快楽。そこに羞恥心や理性など入る余地もなく、まるで寝床の中に溶けていくような感覚に、少女は身を任せるしかなかった。そうしているうちにもカーの身体は、彼女の頭しか見えないほどに幾重にも巻きつき、覆いかぶさっていく。
「じゃあこれからお嬢さんを、もぉ~っと素敵なところに連れてってあげるよ」
満足げに舌を出し入れした大蛇は、虚ろな目をした少女の眼前に頭を移動させると――その巨大な顎をぱっくりと開いた。
「ふぇっ……ぁっ……」
とろりと糸を引く唾液は、獲物に対する期待の表れだろうか。少女の頭の何倍も広く開かれた、桃色の口内。体外の硬質な鱗とはうってかわって、その体内は柔らかな粘膜がうねうねと波打つ。その歯は異様に小さく、恐らく少女の身体が引っかかることはないだろう。カーの口はまるで百科事典のように大きく開かれ、その根元の粘膜がばくりと割れてみせた。表面の粘液を膜引かせながらひくひくと蠢く喉肉の奥からは、大蛇の体内で暖められた空気が吹き出し、少女の鼻先へとかかる。
「ほぉら、温かくて……やわらかくって……心地良~い場所さぁ」
呆けた目で見つめ続ける彼女の身体は、もう意識もはっきりしないのだろうか。だらりと全身を弛緩させたまま、カーの声だけが耳へ流れ込んでいた。大蛇はその様子を見て取ると、尾の先を器用にくねらせ、瞬く間にその衣服をはぎとってしまう。露わになった、柔らかで華奢なリリィの身体。少女は太く弾力のある蛇体でぐるぐる巻きにされたまま、甘くて心地良い、意識の奥底へと堕ちていく。
「安心して、ゆっくり……あたしのお腹の中へ、いらっしゃ~い……」
彼女の顔へと、咽頭の肉がぐちょりと押し付けられた。それは新しい衣服のように、頭からすっぽりと覆い包んでいく。額を、鼻を、顎先を……少女の身体が押し込まれるたびに、大蛇の喉がぷっくりと膨らんでいくのがわかる。だらだらと涎を糸引かせながら、首元までを簡単に呑みこんでしまうと、次は身体だった。
傍から見れば大仕事だったかもしれないが、彼の喉肉と顎は柔軟に広がると、頭の倍はありそうな少女の両肩をもすっぽりと包み込んでしまう。人体で最も幅のある部分を過ぎてしまえば、その後がスムーズにいってしまう事は想像に難くない。あぐあぐと顎を動かしながら、胸、お腹、お尻……彼女の身体の柔らかい部分を、喉肉で抱きしめるように呑みこんでいく。
とぐろが徐々にほどかれながら、少女の身体がゆっくりと大蛇の喉奥へと消えていく。リリィの身体は時折もぞもぞと動きながらも、おとなしくされるがままになっていた。カーの食事は、誰にも――獲物自身にすら邪魔されることなく進んでいく。ぬめりの強い唾液にまみれた小さな身体は、蛇の喉の動きとともにその体内へと納まっていく。
足の小さな指先がつぷりと粘膜の中に消えると、少女の全身はすっかりなくなってしまった。いや、まだすぐそこ……大蛇の喉にある大きな膨らみ……そこに確実にリリィの全身が――それもまだ生きたままで――中にあるはずだった。それは蛇の肉や脂肪、体組織に包まれ、外界からは確実に隔たれている。きっと彼女の全身は、大蛇の喉の中で粘液に塗れ、柔らかい肉の筒に包まれているのだろう。だが、その姿は誰にも確認する事はできない。食べられてしまったという事。その事実だけが、少女の存在をただの食物と変えていた。こうしている間にも、喉のふくらみはゆっくりと、大蛇の腹部へと進んでいく。
「どうだい、リリィちゃん……あたしの中の居心地は」
奥へと送られる塊に向かって、カーは話しかける。注意して目を向ければ、その塊はもぞもぞと蠢いていただろうか。返事が返ってくるはずもなかったが、彼は膨らみに向かってわざとらしく耳をそばだてる。久しぶりに味わう少女の、それも無垢の柔肌は、嗜虐趣味の大蛇を満足させるにはこの上ないごちそうだった。
「それじゃ、暖かくって~やわらか~~~い、“大蛇の胃袋”の中で……」
消化を誰にも邪魔をされぬよう枝の上でとぐろを巻くと、少女の入った膨らみを愛しそうに抱きかかえるカー。
「ゆ~っくり、おやすみ」
そして大きくあくびをすると、目を瞑る。その消化器官が充分な働きをするようにと、暖かな日差しの元で午睡を取るのだった。
◇◆◇◆
何かを叩くような、そしてスライムをこね回すような音。こもった、まるでお風呂の中みたいな反響と蒸し暑さ。魚やお肉の腐ったような、すっぱい匂い。
「……っあっ……」
リリィは蛇の体内で目を覚ました。全身にぴったりと吸い付いた粘膜と、どろどろと絡みついた粘液が、彼女の身体を奥へ奥へと送り込んでいるのが分かる。どうして……カーと話していて、ゆったりとした気分にさせられて、それで……気を失うまでの記憶を巡り、たどり着いたそれに少女は顔を赤らめた。
「そんな……私っ……」
大蛇に舐められて気持ちよくさせられてしまった事。そしてそこから先は記憶が曖昧だったが、彼が“もっといい場所”に連れて行ってくれると言っていたような事。その結果がこれなのだろうか。どちらにせよ、少女は逃げる事に失敗して、恐らく彼に丸呑みにされてしまったのだ。その事に戦慄すると、自らを包み込んでいる肉の膜を破ろうと身体を動かす。
「嫌ぁっ……いやっ……」
正確には、“動かそうとした”だった。全身をぴったりと包んだ蛇の食道は少女が体勢を変える事すら許さない。たとえ許したとしても、粘液で覆われた柔らかな肉は、彼女の非力な身体や爪では傷一つ付かなかっただろう。抵抗むなしく、その身体は彼の体内の奥へとどんどん潜り込んでいってしまう。
「あぁっ……あぁ……」
パニックになりながら身体をよじらせても、その動きが止まることはない。むしろその意志とは裏腹に、とろとろの柔軟な肉壁に擦れた双丘の頂点は固くなるばかり。ぼうっとしそうになる頭を理性で必死に抑えながら、リリィは全身で抵抗しようとした。だが――
「ん、むにゃぁっ!……はぁっ……」
つるつると滑らかな肉壁が、急にその質感を変えたのだった。ぼこぼこと凹凸があり、ぐちゃぐちゃと柔らかい。まるで溶けたような肉が、少女の頭を包んでいた。そして、その情報を頭で整理する間もなく、それは全身を順々に包み込んでいく。
「ひぁっ……あぁっ……」
狭い事には変わりなかったが、腕や足をほんの少し動かす程度の余裕はあった。だが、今度は今までとうって変わってねっちょりと絡みつくような肉壁が、彼女の動きを阻害していた。動けば動くほど、柔らかく細かい肉の襞がリリィの全身を揉みしだく。思わず小さな叫び声を上げたその口に、先ほどまでよりも遥かに強い臭気が流れ込んだ。
「うえぇっ……いやっ……ぁっ……だして、ぇっ……」
そこは蛇の――いや、事実を理解したくなかった。彼女の全身を包み込んでいる、うねうねと蠢く肉の袋の正体を。こんなにも臭くて、ぶよぶよで、熱くて、狭くって……上げればきりがないくらい不快な場所。素敵な場所だなんて言ったカーに、今更腹が立ってたまらなかった。少女はあらん限りの力で身体を肉壁に押し付ける。
「嘘っ……うそつきっ……」
だが少女の抵抗など、柔軟な肉壁が全て吸収してしまう。もちろんカーからの返事もなかった。代わりに、と言うべきか、少女の全身を肉の袋が圧し潰す。
「ひんっ……んみゅぅっ……」
締め付けが緩んだ時には、少女の全身はネバネバとした液体に覆われていた。すっぱい匂いのするそれが何なのか。リリィにはもちろん分かっていたものの、脳内が必死に言語化を拒む。どうしてこんな事になっているんだろう。ここは素敵な場所じゃなかったんだろうか……。
ドクンドクンと、聴覚を支配するリズミカルな心臓の音。酸欠と、裸体に与えられ続ける粘膜の抱擁。そして、吞み込まれる直前の記憶が、頭を再びぼんやりと曇らせていく。むしろそれは、現実を直視したくない彼女にとっても好都合だったのかもしれない。
「あひっ……あえ……」
ぶるぶると、下腹部の方から登ってくるむず痒さが、食べられる直前の記憶と一瞬リンクする。落ちていく意識の中で感じたカーの舌の感触、……気持ちよく、信じて、眠って……カーの紡いだ、心地良い言葉。彼の心臓の音に合わせて、その言葉が少女の脳内をぐるぐると回り始めた。
全身を揉みしだくねばねばとした粘膜が、臭いはずの体内の匂いが、蒸し暑いはずだった体温が――不快さに包まれているはずだった彼女の全身が、薄れ行く意識の中で多幸感にすら包まれていく。大蛇の胃袋の中で全身を捩じらせながら、ドロドロの胃液を全身に絡みつかせながら。リリィが切なそうに身体をくねらせると、胃壁はそれを優しく包み込んだ。それが消化のための動きであることは疑いようもなかったが、意識を支配された彼女にとっては、まるで“おやすみ”と言ってくれたように感じられていた。
「ふぁ……ぁ……おや、すみなさぃ……」
布団のように身体をくるんだ粘膜。その中でもぞもぞと蠢きながら、少女はぽつりと呟いた。大蛇にかどわかされ、生きたまま丸呑みにされてしまったリリィは、このまま眠るように意識を失っていくのだろう。そして美しかったその身体は、大型の獣も溶かしきってしまうほどの強力な胃液で跡形もなく消化されてしまう。ゆっくりと数日間以上をかけて行われるその行為の後には、髪の毛すらもほとんど残らない。少女の生きた身体は余すところなく蕩かされ、彼の栄養となってしまうのだ。
「ぁ……」
大蛇の胃袋に包まれながら、少女が最後に感じたのは何だったのだろうか。動いた口元から出てきたのは、言葉にならないか細い声。彼女が安らかに目を閉じたのを最後に、胃液で粘ついた肉壁がその全身を余すところなく包み込んでしまう。粘液の音と、規則的な心音の中で。
大蛇の眠る木の下には、少女の髪飾りだけが鈍く光っていた。