「ひ、ひいいい!食べないでください!」 「何でもしますから…!」
「そ、そんなことなら…」 「よし、撮ったぞ…!」
「そ、そんな…」 「無理だ…」 人々はかなり失礼な言葉を漏らした。 たしかに可愛く撮るなんて不可能だ。 何故ならどの角度から撮ろうと超ローアングルになってしまう。
※※※※※※※※
約1000人を収容できる大型旅客機。
600トンにも及ぶ鉄の塊と乗客の総体重60トン。
計660トンを大空へ飛ばすことが可能になるまで、
百年以上の人類の歴史がある。
人類の科学技術の粋を結集させた傑作が空を飛ぶ。
人類の誇りだ。
その誇りでさえ、巨人女にとっては鼻息一つで消し飛ばせてしまう埃以下のものでしかない。 現に飛行機の窓の外から見える景色が、その現実を思い知らせる。
雲海の遥か彼方に浮かぶ都市。
浮遊する都市の重量は乗客を運んでいる飛行機の、
何万倍か何百万倍か分からないほどの超重量だ。
その巨大質量を浮遊させているのは
ジェットエンジンでもない、
ファンタジー世界の飛行石でもない。
巨人の筋肉だ。
「で、でけえ…」
「と、都市が丸ごと軽々と…何て筋力…」
都市が岩盤ごと超巨大爆乳グラビアアイドルの掌に乗っている。
その手には明らかに力は入っていない。
実際に巨人アイドルは、
その都市をまるで綿でも掌に乗せているかのように、重さを少しも感じていない。
突然途轍もない轟音と共に飛行機が乱暴に上下する。
大空が丸ごと振動している。
巨人が喋っている。
音圧で飛行機は消しカスのようなサイズまで、
圧縮されてもおかしくない。
だが、なにか不思議な力により、飛行機も乗客も無傷だ。
何人か鼓膜が破れたり、骨が折れる程度で済まされた。
声が質量を持っているかのようで、人間の可聴域を遥かに逸脱した重低音のはずが、
乗客たちは、意味を解せた。
巨人女は、ある条件を満たさなければ都市を捕食すると宣言した。
条件とは、
巨人女の“かわいく写った写真”を撮りSNSに投稿するというものだ。
だが乗客には関係ない。
とにかく誰も写真を投稿しなくていい。
その間に飛行機が安全圏に達すればそれでいい。
「頼む…早く…!」
「巨人から遠ざかってくれ…!」
乗客はひたすら祈る。
その祈りが通じたのかようやく、都市を乗せた巨人の左手から遠ざかることができた。
だが、巨人の肉体の横幅は彼らの予想よりも遥かに広大だった。
つまり、左手から右手までの距離。
「な、何だよ…あれ…」
「スマホ…巨大な…」
という金属と肉が擦れる音が巨人の指から轟く。
落とさないように、少しは力を入れている証だ。
左手の都市は重さを感じていなかったが、
右手の巨大スマホは多少の重さを感じているようだ。
無理もない。
彼女の軽いタップの度に、
何テラトンという重量がスマホの画面に叩きつけられる訳だから、
並の密度の金属では一瞬でひしゃげてしまう。
と、その巨大スマホを持った手が飛行機に近づいてくる。
「ぶつかる…!!」
「叩き潰されるぞ!!」
しかし、ギリギリのところで巨大な液晶画面は進行を止めた。
巨人がスマホの画面を観るために少し近づけただけだった。
「た…助かった…!」
「神様…ありがとうございます…」
そう安堵する乗客たちだが、
1人が青ざめた顔で窓の外を指さす。
「おい…写ってるのって…」
「う、ウソだろ…終わった…」
繰り返しになるが、
生存の条件は“かわいく”写った彼女の写真をSNSに投稿すること。
そこ巨大液晶にデカデカと映し出された彼女の顔は、
とてもじゃないが“かわいく”写ってるとは言えない。
むしろ…
「ブサイク」「怪獣」「バケモノ」「臭そう」 という言葉がお似合いだ。 いくら美少女アイドルだろうと、 極端のローアングルで写されればブサイクになる。 ましてや涎を垂れ流し、食欲に飢えた舌を淫らに突き上げる様は、 超巨大な肉食獣を思わせる。 本来の美少女アイドル愛とは真逆の顔。
リポストやいいねが爆増している。
コメントも毎秒投稿される。
『これアイドル?マジ?ブサイクすぎて草』
『鼻の穴デカすぎw
鼻糞が小惑星くらいの大きさしてそう』
『鼻毛がジャングルすぎる
鼻毛一本でビルより太くない?
陰毛はもっとヤバいだろうなw』
という轟音を立てながらスワイプし、 コメントに目を通す巨人アイドル。
『バケモノ怪獣こわすぎ
怪獣映画より迫力あるのすげえ』
『くさそう』
『涎垂らしすぎ くさい涎で溺死するとかやだな〜 巨大肉食獣みたいな顔してる』
『口と鼻から雲出てるけど
絶対くさいやつ』
巨大な眼球に大河のような血管を血走らせる。 こめかみに血管の筋が浮かび上がる。 巨人女性専用スマホも途轍もない握力でひしゃげだす。
『舌ぶっと』
『こんな顔ブサイクでも、
おっぱいデカけりゃグラドルになれるんだね
まぁデカすぎだけど』
『ファンやめます』
『今窓開けたら、
巨人の汗とか唾液とかのメス臭いニオイが入ってきて最悪
洗濯物に染み付いて取れない最悪…
事務所にクレーム入れればいいのかな?』
『ネットで好き勝手に誹謗中傷コメントできるの気持ちいい〜w
って悦に浸ってたけど
こっちまでずっと振動来てるのこわすぎ
体重どんだけあんの?』
ドス黒い憤怒が燃えたぎる。
マグマのような血液が巨大な全身を巡り、
見る見る大気温度が上昇する。
巨体の全筋肉がパンプアップする。
怒りをぶつけるにしても、
ぶつける矛先が問題だ。
好き勝手にコメントした数千もの人間も許しがたいが、
そもそも最初に投稿したひとりの人間が絶対に許せない。
ただでさえ凄まじい音圧の巨人ボイスが、
ドスを効かせたことで更に威力が増す。
人間を遥かに超越した巨大な肉体の彼女は、
精神面では年相応に、幼くて短気だった。
体に見合わず心の器は狭小。
しかしこの事実は、
ちっぽけな人間1人が、
神以上の肉体の彼女を簡単に怒らせてしまう
ことができるという危うさを孕んでいる。
ただのか弱い人間が指先一つで、SNSを介し、
一個の恒星を動かし得るような危険性。
テラトン級の唇が閉じる。
超巨大グラドルは口の中の都市を味わう。
しかしすぐに飽きて…
数千万の魂と共に都市を呑み下す。
愛はスマホを見て、
SNSの反応を確認する。
ファンからの擁護コメントを期待して…
『かわいい』
『デカかわいい』
『食べられたいです!』
などのコメントを妄想してコメント欄をのぞく。
コメント数は更に増加しているが…
『やば』
『一口で都市食べた』
『こわすぎ』
『大量に喰い殺しておきながら、バッキバキにふたなりチンポ勃たせてるとか
ガチの変態巨人女じゃん』
『都市を丸呑み?
怪獣映画でもそんなの聞いたことないぞ』
『喰われる直前の映像がこわすぎる
被食者がいかに無力かわかる
人喰い大巨人のくせに、
本人はかわいいキャラを演じてるのはガチでイタすぎ』
『軍隊は何やってんの?
早くこんなヤバい巨人は駆除してほしい』
突然しゃがみ込む愛。
肛門が突然降下し、ピンクのぬらぬらした肉穴が人々の頭上に降臨する。
巨大肉天井に潰さられるような錯覚を覚える。
とネットリした香ばしい臭気が都市を襲う。
ニオイの塊でアスファルトとビル群が波打ち潰される。
ヒクヒクとくぱくぱと肛門が開閉するが、
人間の耳には
重々しい巨大な肉のこすれ合う轟音にしか聞こえない。
無意識に肛門を開閉するが、
人もビルも区別なく吸込み咀嚼し圧縮してしまう。 そんな地上の阿鼻叫喚など関せず、
事も無げに都市を掬い上げる。 砂浜の白砂のように容易く…
見る見る内に更なる巨大化を遂げた。
※反応があれば続くかもです…
武蔵坊pencase
2025-07-28 14:59:56 +0000 UTCtake
2025-07-28 14:56:21 +0000 UTC