「お行儀よくしなさい」
お母様にも茶道の先生にもよく言われております。
名家に産まれたからには常に「礼」を失してはなりません。
例え相手がどんなに、
矮小な超弱者だとしてもです。
超弱者人類とお話する際は、
どうしてもわたくしの頭の位置が高くなってしまいます。
それではいけません。
失礼です。
では、頭を極限まで下げ、土下座のような形で地面に接地させるのはどうでしょう?
これもいけません。
わたくしの美しい顔面が超弱者人類のみなさんを圧殺いたしてしまいます。
正直、それはどうでもいいのですが、唇や鼻で潰してしまうと、
絶対に食欲を刺激してしまい、
「暴喰モード」になってしまいます。
とても失礼なことです。
顔面を都市上空のスレスレで停止させても結果は同じです。
超弱者人類の身体は埃やゴミカスよりも遥かに軽い、いえ重さがゼロでいらっしゃいます。
鼻孔で都市もろとも吸い殺し尽くしてしまい、
肉や血の匂いに理性を失ってしまいます。
そのため、
一番理想的な対話姿勢は、
正座でございます。
極限までゆっくりと座るのが、重要です。
乱暴に座ってしまうと、
ダウンバーストで対話対象が全員圧死します。
直接、わたくしの脚で、
多少の、数千万人ほどの肉粒が犠牲になるのは仕方のないことですので、
どうでもいいのですが、
上手に正座できたときの指標として、
お尻の真下、両足かかとの間の空間に、
生存者が2割近く残っていればよろしいでしょう。
さて、それにしても困りました…。
今回のわたくしの対話対象の都市を見失いました。
立っているときに発見したのですが、
ゆっくり正座することに集中しすぎて見失いました。
わたくしの乳房で下界が見辛いです。
超弱者人類の建築物はただの白いカスにしか見えないので、見分けがつきません。
目印として、惑星最大のタワーがあるはずなのですが…。
おや…?
もしかして、わたくしの左ふとももの下に見える、「つまようじ」みたいな棒切れが…。
わたくしとしたことが、失態を犯しました。
座る方向を間違えるなんて…。
もう少し大きい建物を建てれば、
わたくし達巨女族も見失わないで済むのに…。
これじゃあまるで、超弱者人類の最大建築物とぶっとすぎる太腿を比較してるみたいではないですか…。
脚がぶっといのがコンプレックスなのに…。
非常に、不快です…。
おや?
お尻の下の空間が騒がしいようです。
どうやら、核ミサイルをわたくしの肛門に発射しているようです…。
ふぅん…。
生存者4割にまで抑えてやったのに…。
恩を仇で返されたようですね…。
遺憾です…。
あっ…。
ごめんあそばせ。
腹が煮えくり返るのを抑えようと下腹に力をいれてしまいました。
ぶぼっと音を立てるのは失礼ですので…
音の無い《すかっしっぺ(サイレントジェノサイド)》にいたしました。
とはいえ、超弱者人類の鼓膜には不気味な重低爆音なのですが…。
さて、すかっしっぺで消し飛ばしたところで、腹の虫はおさまりそうもありません。
そもそもわたくしという名家の令嬢が来訪することは、事前に通知したはずなのに、
相応の歓迎もみられません…。
まことに無礼極まりません…。
無礼者に「礼」は不要です。
武蔵坊pencase
2025-01-10 12:30:34 +0000 UTCtake
2025-01-10 12:19:11 +0000 UTC