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サメゲーム 2

※22:25 テキスト追加 サメゲーム2回目です。 超長いテキストも一緒にご堪能ください。 【1】 ・・・いったい何があったのか、始まりすらも思い出すことができなかった。 目覚めは全身が何かに包まれ押さえつけられるような不快な閉塞感と共にやってきた。 視線の先の天井には大きな鏡が埋め込まれていて、そこにいたのは全身が光沢のある生地で覆われた海洋生物のような「何か」であった。少し身をよじると鏡に投影されていた何かも同じ動作をしたため、そこに映し出されていたのが自分自身だと何となく理解できる。 「お目覚めの気分はいかがでしょうか」 鏡を遮るように白衣を着た初老の男性が俺に話しかけてくる。 ここはどこだ? 俺はそう話しかけようとしたが、発せられたのはくぐもった声だった。 その原因はすぐに理解できた。口に何かを咥えさせられている状態になっている。 「今鏡をご覧いただいたのでお分かりかと思いますが、今のあなたは人型のサメを模したラバースーツを着ています。現実のサメに寄せた見た目にするために両腕は交差する形でスーツの内側に固定しております。喋ることが困難になっているのはそのラバーマスクの構造上の仕様になります。あなたが咥えている部分を介して問題なく呼吸はできますがしばらくは違和感が残るでしょう。すぐに慣れるかと思いますが……大変申し訳ございません」 こんな理不尽な状況にも関わらず、声の主が異様なほど落ち着いた口調で淡々と話している様子に、俺は怖さを感じずにはいられなかった。 ただこの体ではこの場から逃れることもできないだろう。体の自由が利かないこの姿で変に取り乱しでもしたら何をされるか、そのことを考えるほうが怖かった。 俺はその不安を押し殺しながら相手の話を落ち着いて聞く演技を続けるほかなかった。 「あなたはこれから私どもが考案した余興の主役として参加していただきます。大変申し訳ございませんが参加は強制になりますので拒否権はございません。・・・余興にはあなたと同じ姿になった仲間達がたくさん参加しからね、寂しくはないと思いますよ」 余興・・・何かゲームのようなことをさせられるというのだろうか。 「もしこの余興を終えて無事でいられたならば、あなたには対価としてすばらしい見返りをさしあげることを約束いたします。どうかご武運を。・・・では、もうしばしお休みください。失礼いたします」 言い終わると白衣の男性は俺の呼吸穴に何かが染み付いた布を押さえつけた。 それを介して何かの薬剤の臭気が俺の体内に流れ込み、俺は急激な眠気に襲われて意識を失ってしまった。 ・・・そして再び目が覚めた時、俺は水中に沈んでいた。 肌を覆うラバーの生地に生暖かい水の温度感と水圧が伝わってきて、その抵抗は風呂に入っているような時よりもずっと強く、恐らくとても深い場所にいるのだろう、ということが容易に想像できた。 周囲には俺と同じようにサメの人魚とでも例えればいいのだろうか。人の胴体と下半身の輪郭そのままにパック包装されたかのような容姿で水底に浮かんでいる者達が数多くいるのが確認できた。 それらは全て口の部分にチューブ状のものが連結され、遠くの水面に向かって精密機械の内部の配線のように複雑な模様を形成していた。 ・・・やはりとても深い場所に沈んでいる。 身長の軽く数倍はありそうな深さで、今までの人生で経験したことがない光景だった。 俺自身も同じように口にチューブが固定されていた。ここからは酸素が供給されているのだろうか、特に息苦しさというものは感じることは無かった。 水中に漂う形で浮いているために不思議とリラックスできている感覚すら覚える。 【2】 ・・・でもなぜ浮上しないのだろう? その原因を探ろうと俺はもう少し詳しく周囲を観察し直すと、1つの異変に気がついてしまった。 水底に並んでいるサメのラバースーツたちの足先、魚類の尾びれのような形状になっている部分には足環がはめられ、そこからリードのようなものが伸びている。 その先端には・・・それぞれが大きな立方体の石材かコンクリートのようなものに繋がれていた。 恐る恐る自分自身の足元に視線を移動させると、同じように足環で水底の石材状のものに繋がれている。 俺は試しに体をくねらせてリードにテンションをかけてそれを動かそうと試みたが、びくともしなかった。 自分の全体重かそれよりも重たいものなのだろう。これが浮上の枷となっているのは明らかであった。 でもどうしてこのようなことになっているのか? さっきの場所で話しかけてきた人物が話していた「余興」がこれなのだろうか。 だとしたら、俺達はいったい何をされるのだろうか・・・。 不安が募る中、想定される様々な事案を考えているとチューブの遥か先の水面のほうから色鮮やかな照明の光が差し込み始めてきた。水上で何かが始まったのだろうか? 光は届いてくるが音が一切聞こえてこないので少し不安になってしまう。 そして変化があったのは光の演出が止まった直後だった。 股間の内側から突如猛烈な刺激が発せられたのだ。 それはピンポイントで俺の股間の陰茎をまさぐり、揉むような感覚であった。 俺はそれを止めようと腕を動かそうと試みるが、交差状態で固定されていた腕は全く動くことはなく、全身をくねらせても状況が好転することもなく、試行錯誤を繰り返している間も陰茎への刺激は休むことが無く続く。 やがて・・・俺はあっけなく射精をしてしまった。 股間の生地のファスナーらしき部分を貫通してそれは水中に放出され、水圧であらゆる方向に飛散していくのが見える。 周囲では俺以外のサメのラバースーツ達も同じ責め苦を受けていたようで、体を揺らしながら続々と限界を迎えて暗色の生地の股間部分から白い液体が生物のようなうねりを伴って水中に放たれていくのが垣間見れた。 視界に見える者達が一通り絶頂した頃、俺の股間の刺激もぱったりと止んでいた。目の前には自分が射精した名残が行き場を求めて浮遊したままの状態だ。 なぜこんなことを俺達にさせるんだ? これが余興だと言うんだろうか・・・? 悲しいかな、このような状況でも無理矢理ではあるが快楽を伴う射精をさせられたことで少しだけ気分が晴れたのか、俺は落ち着きを取り戻していた。同様に強制射精をさせられた仲間たちが周囲にいたこともその効果を助長させていたのかもしれない。 この時はずいぶんと大掛かりでアブノーマル、極めて悪趣味なプレイだと俺は思っていたが、本当の悪趣味なプレイはこのような生ぬるいものではなかったのだ・・・ 【3】 「では、これからシャークチャレンジの本番に入らせていただきます」 地上では司会者がふたたび登壇して進行を始めていた。 「この後、挑戦者達の命綱である呼吸用のチューブを一斉に解除します。それを合図にゲームスタートとなります。ゲームの勝利の条件は単純明快です。息が続いている間に水面に1cmでも顔を浮上させること、ただそれだけです。先ほどのオープニングでも説明させて頂きましたが、挑戦者達にはそれぞれの体重に応じて150kg~200kgの重りを足首の尾びれ部分に連結させて沈めています。通常であればこの状態で水面まで浮き上がるのは無理がありますが、人間は窮地に立たされると本来の何倍ものポテンシャルを発揮することがあります。この状況下でそれを発揮できた者だけが地上まで浮上することができるのです。 でもそれが叶わなかった挑戦者達は…そうです。このプールの水底で儚く命を落とすことになります。このシャークチャレンジの最大の見せ場は生死を争う状況で限界を超えた力を発揮できるか、その部分に込められているのです。挑戦者達が着用しているサメのラバースーツのラバーマスクは、インフレータブル構造になっていて人とサメの顔の輪郭の余剰部分には供給されていた酸素が溜まっています。この酸素も加味し、これらが尽きるまでに水面に上がることができれば生還となりますが、それが無理な場合は徐々に酸素が希薄になり、やがて空気圧の関係で口内に逆流してくるプールの水が肺に流れ込んでしまい意識が混濁して最終的には溺死となってしまいます。極限状態で生き残るために己と戦う挑戦者達の白熱のチャレンジをぜひ、生でご覧ください!」 抑揚をつけた語りで司会が一気に語ると、観客席からは大きな歓声が鳴り響いた。 「なお、前回は惜しくも全員チャレンジ失敗という残念な結果となってしまいましたので、今回は若干ですが条件を修正しておりますのでご安心ください。生還する挑戦者の勇姿を目の当たりにご覧いただくのはもちろんですが、チャレンジに失敗した挑戦者達の命が燃え尽きる瞬間の姿もここでしかご覧いただけない大変貴重な映像になります! それでは、水中で待機している挑戦者達にチャレンジの説明をした後、本番を開始させて頂こうかと思います。状況はこちらのメインディスプレイに逐一表示いたします。くれぐれもお見逃し無いように!」 司会が降壇するのと入れ替わりでスタッフ達がプールサイドの各所に置かれた呼吸チューブに酸素を送る機械の前にスタンバイをはじめた・・・。 【4】 水中。 四方の壁面の一部分がスライドして切り替わり、LEDパネルのようなものが現れた。 俺を含めてこの場にいたサメのラバースーツ達は何かが起こると思ったのか、全員がそのパネルに注視をする。 【挑戦者のみなさま、今回はご参加ありがとうございます。これから行うゲームのルールについてご案内させていただきます】 【これから挑戦者のみなさまには、この深さ5mのプールから水面に浮上していただくゲームを行っていただきます。皆様の足元には重りを括り付けてあります。重量は100kg以上あります。この状況を加味して体の振りなどを駆使して浮上してください】 【ゲーム開始の時間は今この文字情報が流れているLEDスクリーンで表示いたします。カウントダウンが0秒になるとスタートになりますが、同時にみなさまが付けている呼吸用のチューブを全て外させていただきます。ゲームを安全に行うための仕様となりますのでご了承ください】 【それでは、みなさまの幸運を祈っております。地上でお会いしましょう! Good Luck!】 説明が何回も繰り返し流れ、俺を含めた全ての参加者達は今置かれている状況を把握できたようだ。 微動だにせずにいる者、体を揺らして明らかに動揺している者、それぞれ見受けられる。 そんな中で俺は、騙された…という感情を抱いていた。 そして、この場にいる理由をうっすらとだが思い出してしまったのだ。 (人生をやり直せるとしたら、チャレンジしてみる勇気があるかい?) それは普段からSNS上でやりとりしている知人からの何気ない一言だった。 色々と悩みを抱えていた俺は、そのような知人からの誘いに疑う余地も無く乗っかってしまったんだ。 後日知人宅で飲み会に誘われ、そこで昏睡するまで飲み明かした…んだと思う。 気づいたときにはこの姿だった。 あいつの真意は何だったのか、それを問いただすためにも俺はこのゲームには勝たないといけない。絶対に・・・ そのためには今は冷静になって少しでも優位になることが先決だと思い、周囲の参加者の状況など余計なことは考えないようにしようと決めた。 そして・・・LEDモニターには「ゲーム開始まで5分」という時間表示がされ、しばらくしてカウントダウンが始まった。 【5】 地上。 「ご観覧のみなさま、間もなくシャークチャレンジが始まります。誰が成功するか、ぜひ予想の上ご観覧ください!」 カウントダウンは着実に進み、あと1分、30秒、10秒…そしてついにその時が訪れた。 「ではシャークチャレンジ、スタートです!」 司会の一声でプールサイドで構えていたスタッフ達は酸素供給用のチューブを引き上げ、全挑戦者たちの空気の供給の道が断たれる。 総立ちになった観客席からは拍手と歓声が沸き起こり、誰一人として料理に手をつけるものはいなくなっていた。 メインスクリーンは細分化されてそれぞれに数名ずつ挑戦者の姿が映し出されている。酸素供給用のチューブを引き抜かれてしまったことへの動揺なのか、既に何体かは激しく体をくねらせながらチューブが連結されていた呼吸穴から貴重な酸素を放出し始めていた。 「ちなみに、挑戦者達の状況が視認しやすくするために、挑戦者が意識を失う状況になると瞳の色が黄色からグレーに変化します。色が変わりつつある挑戦者はまもなく意識が無くなり、じきに死亡するという目安です」 生死を分ける状況を司会が冷淡に解説している間にも状況が刻一刻と変化していく。 開始数十秒で既に数体の挑戦者の口からは激しい気泡が吹き出していた。そして・・・ 「おおっと! 最初の脱落者が出てしまったようです! 21番、21番の挑戦者脱落です! 続いて13番も瞳の色が変化してしまいました! 残念ですね!」 淡々と実況をしているが、21番と13番のサメのラバースーツは頭をぐったりと下げたまま身動きひとつしなくなっていた。 【6】 微動だにしなくなった13番と21番のサメのラバースーツ。その瞳は黄色い輝きが失われ、灰色に変化していた。 つまり、もうこの二人は既に意識を失い死を待つだけの状態という認識になる。たとえ瞳の色がグレーになってもプールサイドにいるスタッフは挑戦者を引き上げようとする素振りは一切なく、ダイバーらしき姿もそこには一人も存在せず、ゲームの脱落者には死が与えられるという残酷な設定が改めて浮き彫りにされていた。 そしてこの脱落者=死亡というルールは、水面下でうごめいている参加者達には一切伝達されていなかったのである。 「このシャークチャレンジはゲームスタート時にいかに平静を保っていられるかも長時間の生存に必要不可欠な要素になっております。13番と21番はスタート同時に大量の酸素を消費してしまいましたので、早々に脱落をした形になってしまいました。この教訓を次回に繋げて頂ければ…おっと、もう2体とも再起不能なので無意味ですね。おっと、今度は18番が脱落してしまったようです!」 観客席からは次第にヒートアップした歓声が飛び交うようになる。○○番、○○番とそれぞれの推しの挑戦者の番号を絶叫する光景はまるで競馬などのギャンブルに熱狂する様子そのままであった。 「しかし脱落者だけではありません、こうしている間にも挑戦者たちは生き残るために頑張っているのです! ・・・あっ! 動きがありそうです! 14番! 14番の重りが動き始めました! 皆様ご注目ください!!」 司会の声量が大きくなり、それにつられて観客の声援も14番に集中していく。 14番の挑戦者は腰と膝を大きくくねらせ、その反動で徐々にではあるが水面から浮上を始めていた。その様子はラバーを着た人間というよりは、まるで子孫を残すために命の危険を顧みずに川を遡上する魚のように、しなやかで無駄の無い動きであった。 「14番完全に浮き上がりました! このままあと2.5m上がれば私達のいる地上に上がってきます! これが生存本能で限界突破をした人間の生への執念の姿です! 皆様より大きな声援をお願いします!」 司会もここぞとばかりに絶叫状態で実況を続けている。 14番と表記された挑戦者は少しずつではあるが浮き上がっていった。水深が浅くなっていくことで水圧が低減され、その速度は徐々に速さを増していく…

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Comments

テキストの文字数制限のため日本語と英語のお話を分けさせていただきました。 あわせて【6】のお話を追記いたしました。

V A Y U

これはあまりにも残酷で、彼らが最後に救出され、同様のゲームに参加し続けることを望みます

Aanmliy


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