こちょクエ!? ⑧『序盤のボスに負けるわけない……という強気な発言はここでは通用しません』
Added 2025-08-22 14:05:58 +0000 UTC8:『序盤のボスに負けるわけない……という強気な発言はここでは通用しません』 『で、で、でけぇ……』 森の最奥にある不自然に木が開けた空間にそのボスは堂々と鎮座していた。 名をラフ・ラフレシアという。名前が示す通り、姿は現実世界のラフレシアという花によく似ており……世界最大の花であるのを体現するような重量感と大きさを有していた。 所々白い斑点を配した真っ赤で大きく肉厚な5枚の花弁が特徴的で、その花弁の中心には半ドーム型の口のようにも見える花核がありその花核の中には雌しべと見られる針状の触手が何本も生えそろってユラユラと揺れている様子を見せつけている。 その姿はまさに図鑑で見たラフレシアそのものであるのだけど、大きさは現実の物とは比べもにならない程大きく……見た目はまさに人食い植物そのものであるという風格さえ漂わせている。 現実世界のラフレシアは、開花後三日もすれば枯れてしまうという短命な花なのだけど……目の前のコレは流石はファンタジー世界の花だと言わんばかりに生気に溢れている。元気なのもさることながらこの花には現実のラフレシアにはない様々な異質な特徴も有しており、これがファンタジーの世界だという事を改めて私に教え込んでくる。 『確か……ラフレシアって根も茎も葉も持たない寄生植物だったわよね? なのに……なにアレ? 花の幹っぽい所に脚みたいな根がウネウネして歩いているみたいだし……周りからは手みたいな蔓が何本も生えまくって私のこと威嚇してるし……これはもう、私の知ってるラフレシアとは別物なんじゃない?』 寄生植物は他の植物の根に寄生している為そこから動けない……というのが前提の知識としてあった私に、このラフ・ラフレシアは異様に映った。だって……このラフレシアは自分の脚を持っているし、自分の手となる触手も持ってしまっているのだ……こんな異様な花は現実に存在などしない。ゲームの世界なのだからこういうのが居ても当然だ……と言われればそれまでなのだが、しかし目の前で花が自律歩行して動き回っている姿を見ると違和感を覚えない訳にはいられない。 『うぅぅ……気色悪いぃ!!』 肉厚の花弁はパタパタと羽根を上げ下げするかのように上下に動かし、脚となっている根はジュルジュルと湿った音を立てて蠢いて私の方へとゆっくり近づいてきている。 花弁の下から生えた複数の触手蔓は、何本か鞭のようにしならせて地面をパチンパチンと叩いて私を威嚇している。 もはやこれは植物ではなく立派なモンスターだ…… その様に私が認識すると、機械然とした音声が耳の奥に響きこのモンスターとの戦闘開始のアナウンスが告知される。 【ラフレシアの森のボス……ラフ・ラフレシアが襲ってきた!】 その告知を聞くや否やラフレシアの形に似せたソレは、触手として掲げていた2本の蔓を勢いよく私めがけて振り下ろし先制攻撃を仕掛けて来る。 「っ! あ、危なっっ!!」 私はその蔓を寸前のところで見切り、半身を引いてその攻撃を避ける。 ズンッ! という重い衝撃音が響き、鞭のようにしなったその蔓は到着点の地面に拳大の穴をあけた。 「ちょっ! 何この威力っ!! こんなのに叩きつけられたら、私の身体なんて一発でグチャグチャにされちゃうじゃないっ!!」 そのあまりの威力に驚愕した私は、操作が解除され自分の意志で避けられた事に感謝しつつも、腰に下げていた剣を鞘から抜き防御の構えを取る。 ラフレシアはその構えを見ても躊躇する事無く2本の蔦を交互に振って、鞭をしならせる様に攻撃を加えて来る。 ――バチン! バチッ! バチンッ!! そのしなる鞭を頭上で横に構えた剣の腹でどうにか受け、ダメージを負わないようガードする私だが鞭の威力は私の想像よりも重く……攻撃を受けるとその都度手が痺れるような感触を味わってしまう。 「くっ! 重くて速い! こんなの……防御だけで受け続けるのは悪手だわ!」 現実世界で剣道を長い間履修していたお陰なのか、ラフレシアの素早い攻撃を見切る事だけは出来ているが……それをこの重い剣だけで防御させるとなると私の腕が先に力尽きてしまいそうだ。なるべくなら攻撃を避ける方にシフトしたいとも思うが、この重い剣を握ったまま避け続けるのも無理が出て来るだろう。そう思った私は、一歩引いて蔓の間合いから一時的に逃れ、剣の構えを下に構え直して攻勢の構えに切り替える。 『剣が重くて……思い通りに出来るかは分かんないけど、防御し続けるよりはマシか……』 私はギリッと奥歯を噛んで力を込めその様に片方の蔓を集中して見る。 ラフレシアは脚の根を動かして私との距離を再度詰めると私が睨んでいる方とは逆の蔓を振り上げ、打ち下ろしの攻撃を仕掛けて来た。 「くッ!」 私はその攻撃を視界の端に捉え、寸前のところで身を横にずらして躱す。 ――バチン! 蔓は私の居た場所に正確に攻撃を繰り出し地面に穴をあける。私は視線をもう片方の蔓から外さず意識を集中させた。 すると、ラフレシアもそれに応える様にその蔓を僅かに持ち上げ攻撃態勢に入る。 『来るっ!!』 私がその様に察すると、蔓は勢いよく振り下ろされ鞭のようにしなって私に襲い掛かろうとする。私の目にはその鞭の振られる姿が一瞬スローモーションのようにコマ送りで映り、剣を握る手に力がこもる。 そして、鞭が私の頭を叩き伏せる距離まで接近したのを見計らって、下に構えていた剣先を一気に斜め上へと切り上げてみせ…… ――ズパッ! その瞬間、私の頭に振り下ろす直前で鞭の先端は切断され宙に吹き飛ばされる事になった。 振り下ろす勢いを殺す事無くあらぬ方向へと飛んで行った鞭の先端は、やがて一本の木の幹にぶつかると力なく地面へと落ちていった。 「ハァハァ……良かった、ちゃんと振り上げられた……」 私は、剣の重さに振り回され踊る様に身体を捻ってようやく剣の勢いを殺し切って構え直すと、蔓の先端を切られたラフレシアが痛そうに甲高い悲鳴を上げるのを見て満足の笑みを浮かべる。 しかし、優越感に浸る間もなくラフレシアは切られた蔓を無傷の別の蔓に入れ替えて構えを取った為、私は軽く舌打ちを零しつつ再び剣を下段に構える事を余儀なくされた。 『もう一回同じことが出来るかどうかは怪しいし……蔓の替えはいくらでもありそうだし無意味よね……』 私が見る限り、花弁の下からはいくらでも蔓が生えて来そうな雰囲気があった。1本切るのに苦労したのにそれを何度も繰り返すのは効率が悪すぎる…… 『だったら……やっぱり“本体”の方にダメージを与えないと駄目か……』 そう思った私は、下段の構えはそのままに柄を握っていた左手を剣の柄底に移動させて底を支える様に持ち方を変える。 これによって剣は右手一本で持つ事になった為右手に更なる負荷がかかる様になったが、それもやむなしと意識を切り替えてラフレシアの胴体に視線を集中させる。 『あの鞭を躱して……懐に潜り込む……そして、この剣を突き刺す……』 頭の中でその様に自分の行動をシミュレーションしつつ、滑りやすいサンダルを脱ぎ捨て素足になって地面を踏みしめ力を込めていく。 アシ・ヨワクナールの効果はまだ切れておらず足裏が直接地面に触れればこそばゆさを感じずにはいられない筈だったが……戦闘に集中している私の意識にそのこそばゆさは伝わってこない。生か死かの真剣勝負の真っ最中なのだから、アドレナリンが出過ぎてそれすらも感じる隙が無い。 そう……私は今……真剣なのだ。巨大な害敵を目の前にして、自分がどうやったらこの戦いに勝利できるかを考える事で頭はいっぱいなのだ。 だから、こそばゆい……などというふざけた感触に意識を割く訳にはいかない。今、私の頭の中は……いかにしてあの高速の蔓を避けて懐に飛び込むかのシミュレーションしか浮かべられない。 『振り下ろしが始まった後じゃ私の足では避けきれない……だから、攻撃が始まるモーションを取った瞬間に動き出さないと……』 っと、そう結論を導き出すや否やラフレシアの右の蔓が振り下ろしの為に僅かに持ち上がる様子が視界の端に映った。私はそれを合図に、踏ん張っていた足に地面を蹴らせて飛ぶように前進を試みる。 ――シュッ! 振り上げのモーションの直後、すぐさま鞭のように振り下ろされた右の蔓。私はその蔓を視界に納める事無く真っ直ぐに花の胴を見据えて更に地面を蹴って前進する。 ――バチン! 素早く振り下ろされた蔓の鞭は私が直前に居た地面を虚しく叩いた。私の身体は寸前のところでその鞭を躱しさらに前進する。 前進と同時に下段構えの剣の切っ先をほんの少し持ち上げ地面と平行になるよう構え直し、胴に適切な距離まで近づくや否や左手で柄底を支えながらそれを思いっきり前に突き出した。 前に進もうとする力と剣を突き立てる勢い全てを乗せて、その切っ先はラフレシアの胴体めがけて“突き”の攻撃を試みる。 ラフレシアはそうはさせまいと反対の蔓を私めがけて振り下ろして来る。 その狙いは頭ではなく、背中…… 頭は前屈みになって懐まで潜り込んでいたから、狙えるのは背中しかなかった。 鞭は振るう準備が整っていなかったのか、スピードに乗り切れていない。私はそれを感じて『やれる!』と確信を持ち、剣を突き刺して更に深く押し込んでラフレシアの胴を貫いた。 ラフレシアの蔓はその直前で私の背中に鞭撃を加えるが、痛みをものともしない私の突き攻撃はラフレシアに致命傷を与えるべくその柔らかい体に深く突き傷を付けていく。 「ビギャアァァァァァァァァッァ!!!」 その直後、植物とは思えない悲鳴がラフレシアの森に響き渡った。 私は、遅れて感じられた背中の痛みに片目をつぶって漏れそうになる声を我慢するも、剣を抜く気力も湧かずその場にへたり込んでしまう。 「ハァハァハァ……や、やった……?」 背中の痛みは現実では有り得ないくらいにすぐに引いていき、傷や痣すらも残っていない事も感じられた。そこは流石ゲームの中だと感心するが、確かに倒した手応えのあったラフ・ラフレシアが今だ藻掻き苦しんでいる様に見え……私は嫌な予感を過らせてしまう。 「ちょ、な……なに? 倒したらすぐに消えるんじゃなかったの?」 っと、私が言葉を零していると、今度は私の足に力が入らなくなり何かに乗っ取られたような感覚に陥る。 「あっ!? ちょ、何? なんで今更私を操作しようとするの!?」 その原因は勿論現実のワタシであり、彼女は“ここからが本番だ”と言わんばかりに操作を再開させ、私の身体から自由を奪い始める。 「ひっ!? ちょ、う、嘘でしょ!?」 ワタシは手始めに私の身体を起こすとすぐさま持ち物欄からワキ・ヨワクナールとオシリ・ビンカンニナールを取り出してそれを一気に私に飲ませた。 「ゲホゲホゲホ! な、何すんのよぉォ!!」 飲まされた瞬間、私の身体の中でも上半身……特にワキの周辺と、下半身……特にお尻の周辺が強烈にムズムズし始め、全身に身を捩りたくなる程のムズ痒さを覚え始めてしまう。 「ほひょぉぉぉっっ!? や、や、やばいぃぃぃ!! 立ってるだけでこそばいぃぃぃ! 何これっっ!!」 私が全身を襲うムズ痒さに悶えさせられていると、今度は目の前のラフレシアにも変化が表れ始め私は驚愕を強いられる事となる。 『あ、れ? アイツまだ死んでない? ってか……蔓が増えてる??』 それはRPGのボスにありがちな、第二形態……とかいうやつで、倒したと思ったら本性を表わしてここからが本番……的なまさにアレをラフレシアが体現していた。 『あ、あ、あ……ヤバッ! 絶対強くなってるよね? アレ……』 花弁の裏から這い出した蔓は最初とは比べ物にならない程に多く、その数はもはや数えられる本数ではないくらいに増殖している。元々赤かった5枚の花弁は怒りを露にする様にさらに赤みが増し、白い斑点は黒い色に変色を果たして強者感を増していた。花全体から強烈な臭気が垂れ流され、それを吸うと私の意識は朦朧とし体が宙に浮いているかのような錯覚を覚えさせられる。 『や、ヤバイ……離れないと……ヤバ……』 私は意識をもうろうとさせながも、この第二形態はヤバイと判断し足を引かそうと力を込める。しかし、私の足はいう事を聞かずその場に留まる事を選択し……私を逃そうとはしない。 『え、ヤバいって! ねぇ! 今すぐ剣を抜いて後ろに退避しないと……』 焦る私に対して、画面外のワタシは無情にも一切の抵抗を禁じる決断を操作という理不尽な方法で私に伝えて来る。 その場に留まり、あろう事か両手を万歳させて無抵抗を演じさせたのだ。 『ば、バ、馬鹿じゃないの!?!? なに無抵抗になろうとしてんのさっ!! 反撃しろっ! 反撃が難しいなら防御の構えでも何でも良いからっっ、せめて身を守りなさいよぉォ!!』 敵のボスの前で間抜けに万歳の格好で白旗を振っている私……ラフレシアはそんな私を攻撃ではなく拘束する方に舵を切って蔓を向かわせ始める。 『ちょ、ちょちょぉぉぉ!! 逃げてよ! 早く逃げてぇぇ私ぃぃ!!』 手を動かそうとしても足を動かそうとしてもビクともしない。私は、ゆっくりと接近してくる蔓を向かい入れるように万歳の格好を維持し蔓が手首に巻きついていく様子を見守る事しか出来ない。 『ヒィィ!? 蔓が巻き付いて……身動きが……』 と、思った時にはもう遅い。 しっかりと手首に巻きついた蔓はギシッっと手首を締め付け解けないよう何重にも巻き付いた。そして、その手を軽い動作で持ち上げると……私の身体はその力によって地面から浮かされてしまう。 『あ、う、うぅぅ! これヤバい……。ってか、何でボスが第二形態に変身するの? 前はこんな変身ギミックなんてなかった筈なのに……』 そもそも……最初のボスに第二形態など存在していなかった筈だ。簡単に倒せるボスとして有名だったのだから、あの一突きで完封出来ていた筈だった……それなのに、何故? 何故私も知らない第二形態なんてモノが発動してしまったのか? っと、変化した現状に訳も分からず疑問符を頭に浮かべていると…… 『あぁ……それはアップデートで追加された新要素だよ♪』 頭の中の疑問に応えるようにピリカが脳内会話を繋いできた。 『し、新要素?? アップデートぉ?』 『そうさ。君がこのゲームを起動した時……新しいファイルをダウンロードしてたのは覚えているだろ? それの中に今回の大型アップデートのファイルも含まれていたのさ』 私がこの世界にコピーされる直前……いつも通りこのゲームを立ち上げた時に確かにアップデートファイルを自動でダウンロードしていたのは覚えている。それに、私は知っていたのだ……こちょクエが大型アップデートを予定していたことも、そのアップデートの予定日が一昨日であったことを…… 『ま、まさか……そのアップデートにこの変身ギミックも??』 『そういう事♪ まぁそれだけでなく一部のこちょイベントも表現や内容を変えたみたいだから、君が覚えている道筋とは変わっているはずだよ?』 『そ、そんな……。じゃ、じゃあこのボスの処刑シーンも……今までと、違う??』 私は一抹の不安を感じそのように問いかけるが、ピリカはその問いに否定の言葉で応じた。 『いや、このボスの処刑シーンは一緒だよ。このゲームの代名詞になってるシーンだからね、そこに手は加えていなかったみたい。ただし、それに至る過程は更新されてるから……それは新しい要素だと思ってもらって大丈夫だね♪』 新しい要素……という言葉にギクリと体を強張らせてしまう私だが、その緊張はラフレシアには一切伝わっていないらしく、私を拘束した蔓をひょいと持ち上げ私の身体をさらに浮かせる仕草を取った。 「ひぃぃっっ!?!?」 私はその行動に悲鳴を上げて怯える仕草を取るも、ラフレシアはお構いなしに私の身体を自身の花核の上空まで誘導して私を宙吊りの状態のままその場に留めてしまった。そしてその状態を維持したままラフレシアは私の記憶にない行動を見せ始め私を大いに焦らせる事になる。 『うっ!? 嘘っ!? 花弁が……閉じようとしてくる!?!?』 ラフレシア本体の中心上空で万歳の格好を強いられたままの状態で宙吊りにされた私に、今度は5枚の肉厚な花弁が私を花の中に取り込もうとゆっくりと閉じる様子を見せ始めた。 私の記憶の中では、ラフレシアに負ける際はただ体力がゼロになって画面が暗転して処刑シーンが始まる……というシンプルな流れだった為このような大掛かりな攻撃など見たこともなかった。これがピリカの言うアップデートで変化した部分であることは言われなくても理解できるが……だから尚更、どんな攻撃が加えられるのか想像もできず、余計に焦ってしまう要因となった。 『や、や、ヤバイって! 絶対これ……閉じたらそのまま食べられちゃうヤツだよね? 演出が加えられた分えげつなさが増してるよぉぉ!』 5枚の花弁は花を蕾の状態に戻すかのように閉じていき、私の身体を花の中心に閉じ込める為に花弁を重ね合わそうとする。足の真下には私を食そうとする様に口を開けた花核が雌しべである触手を粘液で濡らして私が閉じ込められるのを待っているようにも見える。 通常の負けイベントであれば、この花にくすぐられながら食われるという悲惨な末路が描かれていたはずだから……恐らくこの花弁が閉じ切ったなら同じシーンに移行するのは間違いないだろう。私はそう危機感を募らせ、焦っている自分を落ち着かそうと試みる。 『くっ! このまま大人しく食われてたまるかっっ!!』 花弁が完全に閉じたら私は食われてしまうっ! と警戒した私は不自由な身体でも精一杯の抵抗をしてやろうと大きく股を広げ両足を2枚の花弁に押し当てた。それでどうにかこの二枚だけでも花弁が閉じないように時間を稼ごうとしたのだが…… 「……ッっ!?!?」 花弁の表皮に足先が触れた瞬間、その足に違和感を覚え私は瞬時に顔を歪ませる事になる。 「ふぎっ!? ひっ!!」 足先で花弁を押そうとすると、その花弁にビッシリと生えそろっていた小さな触手が反応し、私の足先にそれを触れる動きをとってきたのだ。 その小さな触手達は私が素足であるのを良い事に先端を足裏まで伸ばし、それでコチョコチョと撫でる動作を始める。 その刺激は敏感になっていた足裏の肌を激しいこそばゆさで埋め尽くしてしまい…… 「ぷぁぁぁっっはははははははははははははははははははははははは!! 待って! やめてっっへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、今ぁ足の裏に触るのは卑怯よっっほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほ、やめっっへへへへへへへへへへへへへ、触らないでぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 股を開いて足先に力を込めて花弁の閉じ込めから身を守ろうとした私だが、支えにと押し当てた足に強烈なこそばゆさが広がってしまい、危うく足をその花弁から離しそうになってしまう。 しかし、他3枚の花弁は既に私を囲む姿勢が整ったと言わんばかりに私の目の前と後ろに壁のように立ちはだかっており、この足を放してしまうとすぐに閉じ込められる事が分かってしまうため足の支えを外す事が出来ない。 ラフレシアは私がそんな状況であると理解していて楽しんでいるのか、手首の拘束を解こうとはせず私を宙に吊ったまま足の妨害に力を注いでくる。 「だぁ~~~~っははははははははははははははははははははははははは、くすぐったい、くすぐったいぃぃひひひひひひひひひひひひひ!! やめてぇへへへへへへ、力が抜けるぅぅふふふふふふふふふふふふふふふふ!!」 ググっと閉じる力が強まっていく圧を足先に感じられる為、この足を放せばすぐに花弁が閉じてしまう事は言われなくて分かる。 花弁を押し退ける事に必死な私だが、その私の必死さに対して花弁の触手は実に優しく実にいやらしく足裏を撫で回して私の足から力を抜かそうと画策してくる。 花弁の閉じる力に対抗するために足指を花肉に食い込ませつつ力を足先に集めてようとしている私の足は、爪先以外の部位が果肉は触れておらず宙に晒されている状態となっている。それ故、くすぐりに弱い足裏は完全な無防備に晒されており、触手もその弱点を突こうと足裏に集中して魔手を伸ばしてきている。 抵抗できない……逃げる事も出来ない……防御する事も叶わないこんな無防備に晒された足裏を、無数の触手がワラワラと群がってきて優しい刺激で撫で回して来るのだ……くすぐりに弱くされた私がこの刺激を我慢出来るなどあり得ない話だった。 「ギャ~~~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、だめぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、力入んないぃぃひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、足に力入んないぃぃぃ!!」 せめて裸足の状態でなければ、こんな優しい刺激など少しは耐えられただろうけど……私の足裏は神経が剥き出しになっているほかと思えるくらい敏感にさせられていて、しかも無防備にされている。こんな状態でくすぐられて笑わずに居る事など出来やしない。私は首を激しく左右に振って笑い悶える事を余儀なくされた。 ――ググググッ!! そうこうしていると、花弁の閉じる圧がさらに強まって来る。それに反して私の足で支える力は弱くなっていく…… このままでは力に負けて閉じ込められるのは時間の問題だ……と、私は大笑いを零しながらもその様に危機感を募らせていた。しかしそこに…… 『っっ!? はぎひっ!? な、な、なに? 今度は……何がっ!?!?』 私に更なる苦悶を与えようと花弁側が新たな動きを開始する。 先に準備を終えて壁のように立ち塞がっていた3枚の花弁の表面からニョキニョキっと白くて細い触手が何本も生え伸びてきて、私の無防備な身体めがけてそれらの触手を這わせ始めたのだ。 「ほにゃっっはっっ!?!? ヒヒッ!? いひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! ちょ、嘘でしょ!? 他の触手がぁぁぁ~~~っははははははははははははははははははははははははははははは、他のが私の身体をぉぉほほほほほほほほほほほほほほほほ、撫で回してぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!?」 3枚の花弁の表面から伸びて来た無数の触手は、私の露出している腹や背中、腰、首筋、内太腿、膝裏などに群がって足裏同様に優しい力でコチョコチョとくすぐりを開始した。 そのおぞまし過ぎるこそばゆい刺激は、足裏だけに翻弄されていた私の笑いに更なる燃料を投下して笑いを一層激しいモノへと昇華させてしまう。 「ほぎゃ~~~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、やめぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、だめぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 ホットパンツに丈の短いタンクトップという軽微な衣装しか纏っていなかった為、この触手達のくすぐりはダイレクトに私の肌に伝わっている。そのくすぐったさたるや少し撫でられただけでも気が狂いそうになる程で……薬の効果も相まって私の全身から笑いを搾り取るのに十分な刺激を備えてしまっていた。 「ひゃは、ひゃはっっひゃははははははははははははははははははははは、くすぐっひゃいぃぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひ!! 体中がくすぐっひゃいので埋め尽くされてるぅぅふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ、くぁははははははははははははははははははは!!」 笑えば力が抜けてしまう。力が抜ければ花弁の圧に足が負けてしまう。花弁を閉じさせるわけにはいかない……だから、再び足に力を込めようとするけれど……触手達が足裏をくすぐってその力を抜かそうとしてくる…… 足は離せない……でも、足を離したくて仕方がない。そのジレンマに私は気が遠くなる思いで必死に笑う事と足に力を込めなおす事を繰り返す事になる。 少しでも時間を稼ぎたいっ! 時間を稼いでどうなるということもないだろうが、せめて処刑に至る前に出来うる抵抗はやっておきたい! っと、私は必死に確約された死から逃れようと努力するのだが…… そんな私の努力を嘲笑うかのように、正面の花弁から伸びて来た触手が……私の“弱点”を刺激しようと進軍を開始した。 「にゃひっ!? だめっっへへへへへへへ!! そこやめっっ!! ダメ!! やめてぇへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 白くユラユラと揺れて伸びて来る細い触手は、私の胸の横を通り過ぎ……腕の付け根へと向かって距離を縮めて来る。 細く柔らかい先端は意志を持つかのようにピョコピョコとそれを上下に揺らして、刺激のデモンストレーションを私に見せつけてくる。 狙いは私の“腋”だ。タンクトップの袖から堂々と露出させている私の腋の肌を狙って伸びてきている。 あんなものにワキを撫でられたらどんな苦悶に晒されるか分かったものではない。元々弱かった腋はワキ・ヨワクナールの効果でさらに弱さを増しているのだから……そこを攻められれば死ぬほど苦しく笑わされるに決まっている。 私は腋を触られる事に恐怖を覚え……身体を嫌がる様に左右に捩って抵抗しようとするが……しかし、両手を万歳の格好で縛られて宙に浮かされている私は、その触手から逃れる事など出来やしない。 触手が距離を縮め、触れるその瞬間までを見届ける事しか私には許されていない。 触手は、そんな私の無防備な腋に一切の遠慮も見せず……肌に触れ、指を動かすように上下に撫で、触手の表面に付いていた粘液を塗りたくり、またその腋を撫でる……という行為を繰り返した。 「ぎひぃぃぃっっ!?」 体中のくすぐりに加え弱点の腋までその様な責めに晒されてしまった私は、折角ローに入りかけていた笑いのギアを二段階くらい飛ばしてハイに入れ直し激しい笑いを口から吐かされる事となった。 「ギャ~~~~~~~~~~~ッッッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、いぎゃ~~~~っはははははははははははははははははははははははははははははははは、無理ひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、ワキは無理ぃィぃィひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!!!」 身体が反射的にビクンと反り返りガクガクと全身を震わせ激しい笑いを吐き出した私だが、足だけは離すまいと最後の力を振り絞って花弁への圧に対抗する。 その力はもはや花弁の閉じる力に完全に負けてしまっているが、しかし何もしないよりはマシだと足だけは添えている格好だ。 花弁が閉じ切るのは放っておいても時間の問題だし、もはや私に抵抗出来る力など残されてはいないという状況だが……ラフレシアはそんな私にトドメを刺すべく内太腿を撫でさせていた触手に最後の攻撃を仕掛けさせた。 『ッっ!?!?!? ちょ、やっっ!! ズボンに触手が……入り込んできたっ!?』 太腿や内太腿を撫でていた触手が本体の指示を受けたかのように同時に脚の付け根の方へと這い上がって来て、ズボンの裾の隙間から次々に侵入し始める。そしてその触手たちは私の股の間やお尻に移動してくると、その肌を無遠慮に撫で回すよう行動を開始する。 「ほぎょぁぁっっっひゃ!? ぃぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 下着すらも履かされていない私の股間やお尻は、ズボンの中を這って移動する触手達に激しい嫌悪感を覚えるが、私がその嫌悪感を発露する前に触手達は私に耐え難い刺激をそこに生みだして私を更なる笑いの深淵へと突き落そうとしてくる。 ――コチョコチョコチョコチョコチョコチョ♥ 「ほぎゃ~~~~~っひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、アヒャ~~~ッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、股ぁぁははははははははははははははは、股やめてぇへへへへへへへへへへへ!! お尻もダメぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、お尻の割れ目ぇぇ撫でないでぇへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 花弁を支える為に大きく左右に開く格好になっていた私の股間・足の付け根は、足を支えるための最後の防波堤であり我慢の主軸となる場所だったが……そんな私の最後の弱点を、あろうことかズボンの中に入り込んで来て直接触り触手達がくすぐりの刺激を加えて来たのだ。 「だめぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、そこ駄目ぇへへへへへへへへへへへへ、無理ぃひひひひひひひひひひ、こんなの耐えらんないぃぃひひひひひひひひひひひひ、ぁはははははははははははははははははは!」 触り方はワキを弄ぶ触手と同じで、開き切ったアソコの直前……一番刺激に敏感な足の付け根の部分を細い触手の先端でナデナデと撫で回してこそばゆく刺激している。 そのこそばゆさたるや筆舌に尽くしがたい。寒気が走る……などと言う生易しい刺激に留まってはいない。 それは笑う事を強制し、足から力を全て抜き去るに足る刺激だった。 しかも股間への責めはそれだけで済んではいない。それに加えて尻への刺激も加えられたのだ。 股を開いているのだから、私のお尻の穴も割れ目も限界まで開いた状態になっていた。その無防備極まりないお尻の弱点を、小指よりも細い触手達がモジョモジョと焦らすようにこそばして来るのだ……それがどれ程の嫌悪感とこそばゆさを生んだか、私が持つ言語では表現すら出来ない。 「はぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁははははははははははは、無理ぃひひひひひひひひひ、もう限界ィィひひひひひひひひひひひひ、やはははははははは! あっ! あぁぁぁっっっ!!」 それらの攻撃に晒されて数秒も間を空けることなく、私は反射的に足を閉じ花弁への抵抗を諦めざるを得なくなった。 あまりに現実離れしたくすぐったさを味わい、私はもうこれだけで意識が飛びそうになる感覚を味わった。 「あっっははははははははははははははは、やだぁはははははは閉まっちゃう! 足閉じちゃったからぁははははははははは花がぁはははははははは、閉じちゃうぅぅふふふふふふふふふふ、いぎぃひひひひひひひひひひひ!」 しかし、地獄はこれで終わったわけではない。 むしろここからが、ラフ・ラフレシアの“死にイベント”の本番なのだ。 私は、閉じていく花弁を大笑いしながら見送り……絶望した。 もう自分が助からないと悟り……死を覚悟した。 覚悟した私に……無情にも私の脳内に機械染みた女性のアナウンスが響き渡り……私に当然のようにこう告げるのだった。 【勇者は抵抗虚しくラフ・ラフレシアによって捕食されてしまった……】と。