俺の目はパソコンモニターに向けられたまま、阿呆みたいに固まっていた。
早上がりの平日。俺は現場からそのまま帰宅して、軽い気持ちでパソコンを触っていた。
本当に軽い気持ちだった。
ひとっ風呂浴びて着替えるつもりだったもんで、鳶シャツに三超――いわゆるニッカポッカ姿のままだ。嫁に見つかったらはっきりキツめに文句を言われる泥臭ぇ格好だ。そんな格好から着替えもせずパソコンの前に座ったもんだから汗の臭いが自分でもキツイ。
髭も風呂で剃るつもりだった。つまり今の俺は、なんともオヤジ臭い髭面の男そのものってもんだ。
「う……ハァ……ハァッ…………」
そんな男が、発情期の獣かってくらいに荒い息で、センズリ覚えたてのガキのような前かがみで、ただモニターの文字と写真を追っちまっている。
検索しなけりゃよかった。
忘れていたままにしときゃよかった。
後悔してももう遅い。俺は思い出しちまった。
息子用に調整された小さい椅子にデカいケツをなんとか収めながら、俺は次のページへのリンクをクリックした。
この忌々しいパソコンには息子が使い込んだ形跡のファイルやら検索履歴が残っていた。そもそもこの自宅用のパソコンを買ったこと自体、息子の中学入学がキッカケだ。最近流行りのパソコン通信、もといインターネットに触れとくのがよかろうという妻の教育方針だ。俺のような体が資本の土建屋にはしたくない、ってのが薄っすらと見えた。
しかし妻の目論見は半分ほど失敗していた。その証拠がこの息子の『検索履歴』だ。あいつが使ったあとのPCは、先走った性欲まみれの単語で溢れていやがった。
「まあ俺もあれくらい歳ん時はこんなだったか」
俺が若い頃にこんなもんがなくてよかった。俺の親父にバレていたら、確実に拳骨をもらっていただろう。そんなことを考えていると、自然に当時の記憶――自分のおかずのことを思い出していた。
それが間違いだった。
「…………なん、だったかねえ」
俺はキーボードを打ち込む手を止めて、軽い気持ちで思い返した。最初の性の目覚め……確か、なんでもない特撮番組だったような気がした。
「…………? そう……だったか?」
妙に曖昧な記憶だ。
どうも引っかかる。
髭の生えた顎をしゃくりながら俺は自分の記憶を手繰り寄せた。最初の思い出といえば、否が応でも鮮烈な筈だ。
…………なにか。
そうだ、ヒーロー番組で間違いはねえ。
あれはそうだった。
毎週やってる、何十年と続いている特撮番組――。
「うっ」
心臓が跳ねた。
喉が鳴った。
体が火を焚べられたように熱くなった。
ニッカの中で竿がじわじわと勃ち始めた。
俺の記憶の中にいたのは、色気のある敵の女幹部でもなければ、味方のヒーローの活躍でもなかった。
青いピッチリしたスーツを着た男のヒーローが一人、頭を抱えて股をおっ広げて地面をのたうち回っている姿だった。名前も思い出せねえ。なんとか色だけは思い出せる程度の記憶だ。
ヒーローの目の前にいるのはいかにもゴテゴテしたきぐるみの……ナントカって怪人がいた。怪人の能力は、自分の笛の音色で人を操り人形にするだとか、そういう話だった。単独でそれを突き止めたこのブルーは、今まさに返り討ちにあっちまっているってわけだ。
ヒーローは耳を塞ぎ、仰向けになりながら廃墟の床でゴロゴロと転がっている。
…………。
なんて無様で意味がねえ抵抗だ。耳をふさいでも無駄なんだ。笛の音は容赦なくヒーローの頭の中でガンガン響いてる。…………。ほれ、案の定無駄だった。
あれほど暴れまわっていたヒーローが、力なく仰向けで大の字になった。ほんの少しの沈黙。やがてヒーローはゆっくりと立ち上がった。
マスクで顔は見えない。だからこそだろう、テレビの前の視聴者にわかりやすいような『ある動作』をした。
敬礼だ。
正義の味方が、悪に対してまっすぐな敬礼を返していやがった。
「うぉ……おぉぉおッ…………」
突然聞こえた野太い声に自分でも驚いた。
俺はただ一人で、記憶を反芻していただけだ。ただそれだけで、セックスの時にもしないような情けない声を吐いていやがったのだ。
俺一人だ。
そうだ、息子はまだ部活動から帰ってきていない、妻もいない、だからパソコンを弄っている。
独りで、隠れるように。
なんで隠れるようにこんなことをした。なんだ、なんだこの記憶は。
勿論あれはよくあるヒーローのピンチシーンだ。番組を盛り上げるための演出だ。実際、その話の最中にヒーローは正気を取り戻し、10分かそこらもしないうちに怪人は退治された。
翌週からはそんな過去はなかったかのように、また新たな問題が起き、敵が襲来し、ヒーローたちの戦いは続いていった。
いい気なもんだ。ヒーローは忘れても俺は違う。
俺は…………俺は忘れてなかった。俺の……俺の頭の中には、残っていた。
種だ。
グチョグチョに湿った種が、ずっと俺の頭の中に入ってやがった。
それに水が与えられ、芽が出始めている。
他ならぬ俺の手によって。
「やべ……え……っ」
当時は今よりも世間の風当たりも強く、俺は自分が男が好きだということも明かさず、ずっとこの性分を我慢し、何も知らぬ顔で生きてきた。
稀にそういった雑誌を買うことはあった。だがそれも、あくまでセックスしている普通のシーンで抜いていた。勃起したチンポだとか、掘られまくるケツを見て興奮して、一発抜いて、家庭にもって帰らずゴミ箱に捨てて文字通り「処理」してきた。
そうして生きていくのだろう思っていた。
それが、なんだ。
なんで俺はこんなもんに興奮してやがるんだ。
もう息子も卒業したようなヒーロー番組、たった一回の洗脳シーンだぞ。
洗脳。
うっかり頭の中で文章にした言葉の一つが、俺の頭の中でぐわんと殴りつけた。
マズイ。
そうだ、今の俺には……あれが洗脳シーンだってことくらいわかる。脳を弄られて、もとの俺が壊れて、相手の言いなりになる情けねえ敗北。
…………。詳しくは知らない。洗脳……名前とぼんやりしたイメージだけがある。だが今、目の前には文字を打ち込むだけで結果が出てくる忌々しい箱がある。
やめろ。
とまれ。
そこまでだ。
俺のアタマの中の俺が大声で怒鳴り立てている。現場でヘマをした若造相手にもしないような大声だ。だがそんな俺の姿は頭の中で育っていく種に、蔓で絡め取られるようにすぐに消えちまった。
止まらなかった。俺はキーボードに「洗脳」とだけ打ち込んだ。
最初の一回は現実の事件や単語の説明ばかりでろくな結果はでなかった。
それがより一層俺を焚き付けた。俺は例の特撮番組を追加しようとした。名前が思い出せなかった。まずはシリーズの名前を調べた。それから候補を三つほど出した。一つ一つ確かめるつもりだったが、一発でヒットした。してしまった。
そこはどうやら個人で運営しているサイトのようだった。
あくまでその番組の純粋なアーカイブだ。単なる趣味の情報の集合体。普段の俺ならば、いい歳こいてまだこんなのが好きなんだなと笑い飛ばしちまったかもしれない世界だった。
だが、そこに一枚だけ掲載された写真、洗脳されて敬礼するヒーローの姿に俺は完全に勃起していた。
自然に手が股間に、乳首に、性感帯に伸びる。う……とかおっ……とか情けない声が上がった。
情けねえ。ああ、本当にとんでもねえ姿だ。このホームページを作った人間はただヒーローや番組が好きなだけ。俺はそれを見て興奮している……とんでもねえオヤジだ。
惨めな気持ちになるってのに俺はさらに……それを求めるようにネットを続けた。
まるで操られているみてぇに指がクリックを止められねえ。
操られる。
手が勝手に動く。まるでそうしろと誰かに指示されている。そんなことを考えるとますます俺の脳にたまらねえ快感が流れちまう。
俺は現場仕事でゴツゴツ太くデカい指で、縮こまりながら慎重に操作した。何度も打ち間違えながら、俺は次々に世界を広げていった。
洗脳。操られる。
催眠術。
これはあまり良くなかった。
親父。空手家。鳶職人。
俺は生唾を飲み込んだ。だが微妙に俺の求めるものは違った。
ヒーロー。洗脳される。変態。
とんでもない言葉を繋げてるのはわかっていた。
だがそこでついに俺は見つけた。見つけてしまった。
「う……あっ……なんだよこりゃあ」
俺は椅子に背筋を擦り付けて、パソコンから逃れるように仰け反った。だが目だけはまったく動いていない。それどころか瞼はかっぴらき、これ以上ないほどに出力された映像を見ていた。
まるで初めてエロ本を見つけた中坊のように興奮していた。
5円玉を見つめながら間抜け面をする若造。
俺のようにゴツい男が操られて拘束される写真。
逞しいヒーローが悪に屈してチンポを勃起させて射精と引き換えに自分の人生すべてを捧げる小説。
俺は夢中になってそれらを見漁った。
ここ数年は大人しかったチンポがガチガチになって、ニッカのなかでダラダラ汁を垂らし続けた。
もう駄目だ。思い出した。思い出しちまった。完全にわかっちまった。
俺はコイツを求めてたんだ。ずっと。
俺は片手でマウスを操作しながらもう片方の手でチンポを引っ張り出した。
洗脳される男たちを眺めながら、俺はあの日のように囃し立てた。
もっと挑め。
そして負けちまえ。
自分が嫌ってる相手忠誠誓っちまえ。
ヒーローがやられる姿を見ながら、俺はそんな歪んだ「応援」をしていた。
だが……少し違った。
俺のチンポが完全には喜ばない。
負けるヤツを見つめているのはなにかが違う。
俺は椅子から立ち上がった。仕事上がりの土建屋の汗臭い体だ。ちょっと押された程度じゃビクともしないガッチリ太い体幹、ぶっとい両腕、盛り上がった胸板、男臭い硬いケツ。どこもかしこも、そうそう負けようがねえ雄のガタイだ。
そんな男が――
そんな…………俺が…………
「俺が、こんな……う……ハァ……ハァッ」
俺は漫画の中のヒーローがするように、自分の胸板の乳首をコリコリと弄くった。鳶シャツをかき分け、汗ばんだ胸板のデケえ突起を指先で握りつぶす。
「ああ――スゲッェ……」
普段独りでするのとはわけが違った。俺の指であって指じゃない。勝手に動いちまうんだ。勝手に気持ちよくなっちまうんだ。センズリなのに、まるで誰かに誰かに好き勝手にイジられているような屈辱感。
俺はパソコン画面にいる哀れな男と同じ動作を繰り返した。
チンポの扱いたとあれば同じように竿をシコシコと片手で擦りまくった。ケツを掘られたと書いてあれば服の上から尻の門を小突いた。
たまんねえ……気持ち良すぎる、アタマん中がどろっどろになっちまう。
これだ。
これが……俺は……たまんねえんだ。
俺は……洗脳……されちまいてぇ……洗脳に負けちまう土建屋親父なんだ……。
「お――――ッ」
自覚した瞬間、俺のあたまのどこかにピタリとピースがハマるみたいな気持ちよさがあった。脳がまるで違うものに切り替わったみたいな、ぞっとするような爽快感。
「せ、洗脳やべえ……ッ!」
ついに俺はその言葉を吐いちまった。
一発出したらもう止まらねえ。厳つい格好のままチンポを丸出しにした男がでろっでろの情けない顔で腰を振ってやがる。これが洗脳じゃなきゃなんだってんだ。
俺の口が開いていた。
ヨダレまみれで、息も上がっている、犬のように情けなく舌を垂らしながら俺は呟いた。
「お、俺は、かんっぺきに……洗脳……」
それは画面の中に表示されたセリフだった。俺はパソコン画面の向こうの存在に自分を重ね、あの日のヒーローになったような気持ちでセリフを言った。
「――――!!!」
まだ言葉の途中だってのに、俺はもう中坊の息子のように我慢できずサルのようにチンポを弄りだした。
気持ちいい、これたまんねえ、洗脳チンポと洗脳乳首気持ち良すぎる――!
俺はどうしちまったんだ。なんだこの変態のセンズリは。俺はこんな男だったのか。
そんな筈ねえ、これは間違いだ。
そう否定しようとして、ドツボにハマっている事に気がついた。
誰かが俺を操っている。
俺はそんな男じゃねえ。
そんな言葉が、ますます俺の脳の中を掻き回す。
「ち、違ぇぞ……俺はそんな……!」
否定の言葉も、このセンズリを盛り上げるおかずになる。
俺が俺のおかずになる。逃げられねえ、前にも後ろにもいけねえ。全部が俺を気持ちよくしてくる。
つまり俺は「そう」なるように洗脳されちまったんじゃないのか。誰か。いつか。どこかで。
そんな妄想がさらに俺を追い詰める。
それじゃこの抵抗もすべて無駄ってことじゃねえか。
「あああ俺はかんっぺきに洗脳されちまって……るうぅううッ♥♥」
俺は声を張り上げて仰け反った。
まるであのヒーローのように俺は無駄な抵抗をしている。どうせ結果は変わらねえ。もう俺は逃げられねえ。
イッちまったら駄目だ。
認めることになる。
洗脳されたことになる。
脳が駄目になる。
俺が駄目になる。
そう考えれば考えるほど俺のチンポはどんなセックスよりガチガチに勃起した。射精する。出る。洗脳チンポは我慢ができねえ。
このままイくしかねえ。もう俺は我慢できねえ。洗脳でイきてえ……!!!
もっとくれ――! もっと気持ちよくしてくれ!
いや違ぇ……もっと、ください……!
「チ、チンポくれ、いや……ほ……欲しいっす……!」
俺は口を尖らせながら、ねだるような台詞を吐いた。
完全に雄として負けちまった人間じゃねえと言えねえ言葉、見せられねえ面、そうじゃねえと味わえない気持ちよさだった。
「おぅぅぅう、チ、チンポ欲しいっす、土建屋親父、洗脳されてチンポ欲しくなる変態になっちまいました押忍ッ……!!」
ついに俺はパソコンにも表示されていないような、とんでもねえ言葉を吐いた。たまんねえ。こんなこと言ってる、この俺が。恥ずかしすぎてどうにかなっちまいそうで……アタマが弾けちまう。
ああ……チンポから雄汁が噴き上がった。イク……イクぞ……洗脳種汁出しちまう…………!
「ただいまー」
「な!? あ……はぁ…………ッ!?」
その、まさに絶頂の瞬間、背後から声が聞こえた。
俺は腰を抜かしそうになった。いや、実際腰が抜けた。
(マズイマズイマズイッ! ああああ!!!)
完全にパニックになりながらも、俺のチンポからは気持ち良すぎた証の白いドロッドロの種汁が噴き出していた。
(やばすぎる気持ち良すぎるどうなってんだ俺息子がもうここにくるってのにチンポから汁止まらねえおぉぉお――すげえすげえすげえ!!!)
洗脳されていた俺と、父親として威厳ある姿を見せなきゃならねえ俺、二人の自分が正面衝突して思考はこれっぽっちもまとまらない。
ただ気持ちいいってことを馬鹿みてえに反芻しながら、俺はなんとかチンポを握りしめた。
(は、は…………早くしまわねえと! それより履歴か! ああ出る、出ちまってるッ――!)
俺はビュクビュク精液を出し続けるチンポを大慌てで手で包むと、イカ臭い汁まみれのチンポを無理やりニッカの中に押し込んだ。亀頭が擦れる刺激に唸りながらパソコンの電源ボタンを長押ししてぶつんと切った。
「お、おぉお……おかえり……俺ぁ……風呂入ってくる……!!」
息子が部屋に入ってくる寸前、俺はなんとかその場から逃げ果せた。一瞬目があった息子が、腰を引いて不格好な格好で歩く俺を見ていた。
この臭い、この慌てっぷり、……男同士だ、さすがにナニをしていたかくらいはわかっちまってただろう。
「そ、それくらいなんでもねえ……」
ああ、そのとおり、どうってことないことだ。
そこまでならば。
まさか厳つい親父の俺が洗脳されていたなんて――想像もしねえだろう。
「ハァ……ハァ…………」
俺は後ろ手にドアを締めて、脱衣所で一人になっていた。
風呂にも入っていないのに全身汗だくだ。とんでもねえ臭いがする。
「あぶな……かった、あと少し早かったら、全部聞かれちまってた……」
俺はとてつもない後悔と共にゼエゼエと息を吐いていた。
後悔だ。
俺は悔いていた。
歯を食いしばるほどに。
「せっかく、すげえ……気持ちよかったのに……よぉぉ……」
…………。俺の脳はつい一時間前とは別物になっちまっていた。
変態センズリをかましちまった後悔よりも、射精の快感に集中できなかったことのほうがよっぽど悔しかった。
「あぁ……すげえ……格好じゃねえか……」
俺は鏡を見つめながら呆然と呟いた。
服の外にも中にもどろっどろの汁だらけだ。
仕事一筋で浮気もせずに生きてきた土建屋親方が、いきなりこんな変態になっちまった。
洗脳された以外にどう説明がつく?
きっと俺は、誰かに……どこかで、脳を弄られていたんだ。そうだ、そうに違いねえ。
「ハァ……ハァ……」
気がつけば俺は射精したてでヌルヌルのチンポをまた弄りだした。
「あぁ……洗脳すげえよぉ……たまんねえっす……押忍……」
今度は息子が家にいるってのに。
さっきイッたばかりだってのに。
いい歳の親父が思春期真っ盛りみたいにガチガチに連続勃起だ。
どうにかなっちまってる。
そうわかっているのに止まらねえ。
あのときの快楽が忘れられねえ。
もう戻れねえ、あの気持ちよさはとんでもなかった。
たとえ今、父親の不審な様子を気にして息子が来たとしても……今度こそは止められねえ。
どうしてそんなことになっちまった。どうしてこんな有り様になっちまった。
自問自答が勝手に口からこぼれ出た。
「――そ、それは、俺が洗脳されえちまったからっす……、う――おぉぉッ♥」
口に出したときの気持ちよさは格別だ。
俺は自分の恥より、息子のことより、チンポが気持ちよくなることを求めちまいます。それが洗脳された髭面土方親父の使命だからっす。
俺は誰にでもなく、鏡に向かってそう宣言。
ああ……宣言……そうだ。
「お、俺……俺は……」
そうして片手でチンポを弄りながら、もう片方の手を持ち上げた。
段々とそれは額に近づいていく。
汁まみれの臭いゴツい人差し指が、ピタリと俺の額に吸い付いた。
敬礼だ。
あのときのヒーローみてえに。俺はいもしない主に向かって、完全服従の証を見せつけた。
髭面の親父の敬礼姿。俺は自分を見つめながら、いよいよ興奮の絶頂にたどり着いた。心臓がバクバクする。頭が何も考えられねえ。
そうして俺は小声で叫んだ。
「お、俺は、完全に……洗脳されちまいました…………たぁ……!!」
小声。
そうだったのは最初だけで、後半は本当に叫んじまった。
かろうじて洗脳という言葉だけは隠せたかもしれねえ。だが、確実に「なにか」を叫んだのは伝わる声量だった。
「あぁ……すっげえぇえ………………」
そんな恥ずかしさを全身で堪能しながら、俺は猛烈にチンポをしごいた。
敬礼しながらシコシコ。必死に擦りまくる。
二発目の洗脳射精はすぐだった。
「うぉ――おぉぉぉッ! イグゥウウ……でるぅぅう――ッ♥♥♥」
白い種汁が敬礼親父の真ん前に飛び出した。
俺は厳つい顔面で無様に寄り目になりながら、腰を揺らしながらどくどくと二発三発と種を吐きまくった。
鏡には鳶職人の格好のまま勢いよく射精する髭親父がバッチリ写っていた。
「お、おれぇ…………おれはぁぁ…………」
ヘロヘロの声を出しながら俺は崩れ落ちた。
……どうなっちまったんだ。俺は。
いや――『どうなっちまうんだ』
変態すぎる自分をしっかり記憶に収めながら、俺はいいようのない不安に包まれていた。
だが、それ以上に期待に胸と――チンポを膨らませていた。
洗脳。
その気持ちよさが確実に俺を支配していた。

「親方ァこのタイミングで工期の短縮なんて無茶っすよ、どうなってるんっすか」 「騒ぐんじゃねえ、わかっとるわ」 今日は朝からかなりの冷え込みだってのに、朝礼は熱気や殺気で湯気が立ちそうになっていた。 「本社命令だ。工期の短縮事態はもう決定事項と来てる。来週までには必ず終われってな」 「いや無理っす、そ...