SakeTami
庄名 泉石
庄名 泉石

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#21 少女の肖像

うおお、庄名です。


いつも観ていただきありがとうございます。

今日は少し気楽なイラスト描こうかな…と迷いながら描いていたら、

いつものように、ユーリちゃんがショートストーリーを付けてくれたので

記事にしてみました。


あと、近況、というか、嬉しかったお話を一緒にお届けできればと思います。


それではしばしお付き合いください…!(*’ワ’)


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 絵の中の少女は、静かな瞳で僕ではないどこかを見ている。

 僕はそれに惹きつけられ、立ち去りかけた足を再びそちらのほうへと向けていた。





     『少女の肖像』




 戦火で焼け出された画家の家からみつかったそれについたタイトルは、この絵の正体がなにひとつ知れてはいないことを伺わせる。

 死後何十年もたってはじめて開かれたこの個展では、知る人ぞ知る、どころか皆がはじめて目にする作家に違いない。

 説明によればこの画家は、空襲で焼け死んだとも、遠い南の島で玉砕したのだとも伝わる。

 つまり、それほど謎に包まれた人物なのだということらしい。

 そういう僕自身も、予定までの暇つぶしに立ち寄ったにすぎなかったのだが。


「綺麗だな……」


 凛とした瞳、けれどどこか薄暗い、年頃の溌剌さの失われた表情。

 僕に着物の価値などわかるはずもないが、薄絹らしいそれを身に纏う自然さは、育ちの良さを伺わせている。

 そしてなにより、その手にしているもの。

 はじめはうっかりと見逃しかけた。

 だが、その瞳が気にかかって引き返してきて、三度見ほどしてから僕はその手の違和感に気づいた。

 ナイフ。いや、描かれた時代としては、短刀というべきか。

 少女はそのあどけなさを残す年齢のその手に、短刀をぐっと握りしめている。それも、逆手に。


「なんでだ……?」

「お気に召して頂けたようですね」


 気づけば隣にひとりの女性が立っていて、僕は驚いて身を引いていた。

 年のころは少し上か、笑みを含んだ柔らかな声に、僕は一気に心臓が鳴り出すのを感じていた。


「驚かせたようで、失礼しました。この個展を開かせて頂いた者の家族です」

「はあ」


 それはどうも、と僕は間抜けに頭を下げた。


「なにか、この絵に気になるところでも?」

「いや、なんというか……」


 時間潰しになんとなく入っただけだから、とは言い辛い。

 僕には絵の素養も、時代に対する深い知識もない。


「なんとなく惹かれて?」

「まあ、そうです」


 人に言われると、なんだかしっくりこないが僕はとりあえず頷いた。


「そうですか、不思議な絵ですものね」

「そうですか?」

「だって、女の子に短刀を持たせた肖像がなんて聞いたことないじゃないですか」


 彼女に絵の知識があってそう言っているのか、そうでないのかはわかりかねたが僕は更に頷いて追随する。


「実はかなり年上の人だったり」

「うーん……だとしても、短刀はないんじゃないでしょうか」

「そうですね」


 名のある短刀であれば、見えるところになにかが記されているのではないだろうか。

 手にすっかり隠れてしまっていて、柄は見えそうにない。


「まるで、これから誰かを殺そうとでもしているみたいだ」


 考えなしに言ってから、僕はああそうなんだ、と納得してしまう。

 そう、きっと。彼女はこれから誰かをその手にかけようとしている。


「まさか」

「も、妄想です」

「あ、いえ、そういうことではなくて」


 彼女はコホンと咳払いをひとつして、失礼、と続けた。


「この絵に惹かれて足を止めていかれる方は、皆そう言われるんですよ」

「そうなんですか」

「私の祖父がこの画家の絵を集めたそうですが、祖父も貴方と同じことを言っていたそうです」


 短刀ならば、そう考えてしまうのも仕方のないことではないだろうか。


「というか、この絵をきっかけに全ての絵を集めたのだとか」

「へぇ」


 この個展の目玉だったりしたのだろうか。

 僕はチケットをポケットから取り出してみたが、チケットには入口近くで見た別の絵が印刷されている。


「私どもには、不釣り合いな、というようにしか見えないんですけどね」

「殺意は見えないと?」

「そうですね……というか、まるで、意志のないお人形さんみたいで」


 彼女は明らかに首を捻っているので、そう思うこともまた自然なこと、なのかもしれない。

 けれど、それは個展を開いている側の言葉ではないだろう。

 僕がそう思ったのと彼女が気づいたのは同時だったらしく、慌てて誤魔化すように口を指先で抑えた。


「それだけ綺麗だ、ということです」

「そうですね」

「ええ、そう、そうです」


 僕にはなんだかもうどうでもよくなっていて、改めてじっと「少女の肖像」をみつめる。

 戦火に焼け切られなくて本当によかった。 


「貴方たちはまるで、絵の中の少女に恋をしてしまったかのようですね」


 そうして、くすくすと笑いながら上品に女性は離れていった。

 僕は少し頬が熱くなるのを感じながら、そっと頭をかく。

 しかし、熱はすぐに冷えた。そうだろうか。僕がこの絵の前に立って、まだ小一時間ほどにすぎないはずだ。


「そう、かなぁ……」


 僕は彼女の言葉に最後まで違和感を覚え、首をひねった。

 恋などという、陳腐な言葉で片づけたくない。そう、ただただ、離れがたい。


「そう、でしょう? 僕がまさか、絵に恋をする、だなんて」


 僕は何度目か、彼女の姿をじっと目にとらえ、語りかける。

 報われぬ恋どころではない。描かれた時代を考えても、きっとこの世のどこにもいない人だ。

 やはり、彼女の瞳はこちらを向いていない。

 だったらなにを、彼女は見ていたのだろう。


 僕は浅く長いため息をついて、けれどももう長いこと、その絵の前を離れられないでいる。




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絵:庄名泉石 文:柊ユーリ


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昔の人が「時間軸が違うだけで、生きてた」というシンプルな事実に感動します。

絵の世界のキャラは現実で生きている証明は勿論ないんですけど、

その世界に実際に生きていたらどうしていたかっていう部分は出来るだけ考えてあげられたら、と思います。



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 GWに、何年ぶりだろう?ってぐらい久しぶりにまとまった休みを得て帰省してきました。

仕事や体調、会いたい人達のタイミングが噛み合い、めちゃくちゃゆっくり出来て、古い友人達にも会いに行けてとても満喫できました…!!



母に教わって、人生で初めてパッチワークしてみました。

途中まで作って時間がなくなったので仕上げは母がしてくれて、

一緒に作ったものとか無かったのでとっても嬉しかった。


布地も一生懸命組み合わせを考えたりして楽しかったです!



長距離移動するのが困難、という話を以前したかもしれませんが、そういう不安をふっとばすぐらい楽しい休暇でした。

山ほど行きたい所があったけど、今回はかなりのんびりめに無理せず行けたのが良かったですね。


リフレッシュしたから、ここからまた頑張ろう🙌



それではまたね!(‘ワ‘)ノ


庄名泉石

#21 少女の肖像 #21 少女の肖像 #21 少女の肖像 #21 少女の肖像

Comments

更新お疲れ様です! 表情を読み取ることができない、不思議な雰囲気のイラストですね……! 正体不明の画家が描いた古い肖像画という表現すごくしっくりきます 先生の絵の世界のキャラが現実で生きている”証明はない”という言い回しにジンと来ました✨ 旅立っていった人を覚えていればその人の心の中で生き続けるように キャラも誰かに忘れられない限り生き続けるのかもしれない 今回のイラストとお話の内容も合わさってそんな感想になりました! GWはご友人やお母さまとの楽しい時間をお過ごしになられたようで嬉しいです✨ 合作のパッチワーク綺麗に縫ってあってすごく素敵です!かわいい⸜(。˃ ᵕ ˂ )⸝ お体に気をつけてこれからも頑張ってください!

ななつ


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