白い宇宙
Added 2024-03-03 04:02:57 +0000 UTCとある街外れの日本家屋。小鳥のさえずりと木々のざわめきが聞こえる静かなその家の、縁側がある一部屋。その縁側で、長身の女性が鼻歌交じりに洗濯物をたたんでいた。着物に包まれたその体は豊満で、着物をこれでもかというほどに押し上げる、一つ一つに赤ん坊どころか子供が入ってしまいそうな乳房と、晒されたむちむちとした太ももがまず目立つ。深い深い谷間が、着物の中からのぞく。
彼女の名は白扇(びゃくせん)。自分から輝いているように見える薄めの銀色の長髪の上に生えた大きな狐の耳と、腰から出ている九本のふさふさとした尻尾が、彼女が人間ではなく、妖狐の神霊であることを示していた。
全知全能に近い彼女が自分で洗濯物をたたむのは、彼女の伴侶と、彼との間に授かった子供のためだ。
ただ、その胸の巨大さのせいで、手元が見えるわけもなく、洗濯物を自分の手でたたむことは難しそうだ。実際にはテレキネシスのような超能力で服を折りたたんでいっているのだった。
「いい天気ですね……いつもこのようであればいいのですが……」
外の様子をちらりと見る。日光がさんさんと降り注ぐ、あたたかな春の日和。
そんな平和な一日はしかし、間もなく波乱の一日に変わろうとしていた。
「さて、これで終わり……と」
畳み終わった洗濯物を、床の上に置いては見えなくなるのか、自分の爆乳の上に置こうとする。だが、その上から洗濯物が前にずり落ちていってしまう。
「む、不便ですね……。でも、もう少し大きくすれば……」
彼女は少し目を閉じる。すると、すでに巨大な胸がムクムクと大きくなり、洗濯物を置いてもずれ落ちなくなった。フフンと得意げな顔をする彼女だが、そこで異変に気付いた。
「なん、ですか……おっぱいが……止まらない?!」
巨大な二つの乳房が、目の前でバインッとさらに大きく膨らんだのだ。おかげで、せっかく畳んだ洗濯物が崩れて飛んでいってしまう。
「あ、あっ……ちからが……おさえきれないっ……!?」
彼女の、人間にしては豊満な姿は、さらに巨大な妖狐の姿を押さえ込んだうえでのものだ。その押さえ込む力が、どんどん弱くなって、彼女の体……というより胸が、数秒おきに膨らみ、倍のサイズ、さらに倍のサイズへと、巨大化していく。
「だめ……ひゃぅっ……とめな、いと……でも!!」
胸の膨張からくる刺激に、ビクンビクンと体を震えさせる白扇の表情は、最初は焦りを見せていた。
「おっきくなるのっ……きもち、いいっ!!」
だがその顔はやがて紅潮し、焦りは興奮へと塗り替えられていく。さらなる膨張を続ける乳房に激突され、バリィッと音を立ててふすまが破れても、やがて家の骨組みが乳肉にメキメキと押し曲げられて行っても、白扇の耳には入らなくなる。
彼女の長身よりも高くそびえる胸は、ゴウン、ゴウンッと重低音を立てて、さらに巨大化する。底なしの彼女の霊力が、どんどん胸につぎ込まれていく。
「もっと、もっとぉっ!!」
さらにタガが外れたのか、変化は胸だけにとどまらなくなった。彼女のヒップもミチミチと膨張して、着物がはだける。さらけ出された後も、ミチミチと膨らみ、想像を絶する質量感をかもしだしていく。
表面に露出した太もももミチィッと膨らみ、全身がさらにムチムチに育っていく。
さらに、その身長も天井に向かって伸びはじめる。
「ふくらむの、いいよぉっ……!!!」
恍惚の悲鳴にも似た大声とともに、白扇の体の成長が、一気にスピードをあげる。その質量が一気に数千倍になって、家の天井や壁を粉砕し、地面すら抉る。
「あは、あはは、また、こわしちゃった……!」
荒い息を立てながら下で土煙をたてている家の残骸をなんとか見て、苦笑いとも、愉悦とも取れるような笑みを浮かべる。ガラガラと崩れる建材の中でズーンッと鎮座する巨大な白扇は、家という殻から脱皮してきたようにも見える。
「ひゃぁあんっ!!」
その全身が、またグワンッと数倍に巨大化する。家の周りにあった林の木々が、白扇の胸や太ももの下敷きになって、メキメキと押し倒され、街中にとどろく地響きで、いたるところからカラスの喚き声が聞こえてくる。
「まだまだ、とまらない、おっきくなるぅっ……!」
とどまるところを知らない白扇の巨大化。彼女が動かずとも、体の成長だけで丘や川がえぐれ、一つ一つが山より大きい乳房は、バインバインと揺れつつも、周囲に大きな影を落としていく。
「きもちぃぃ、とめられないぃっ!!」
ときにゆっくりと、ときに爆発的に、白扇の体が占有する体積が増大していく。
「あうぅん……っ!」
巨大化する絶大な乳房と山脈がドゴォオンッ!!と轟音をたててぶつかった。すると当然というように山の方がえぐり取られ、肌色の塊がそこに鎮座して、さらに地面を掘っていく。
「さきっぽが……こすれて……んっ!」
白扇の乳首が山を一つ一つ削り倒し、さらに巨大化していく。
ヒップも負けじとばかりに建築物を押し倒し、押しつぶし、すりつぶす。
白扇がビクンッと体を震わせれば、それは地面を揺らし、声を上げれば数キロ先のガラスを割るほどの音響になる。
いまや白扇は、周りのすべてを破壊しつつある。しかし、白扇にとってはこれが初めてではなかった。神霊である彼女にとってはこの現象は取り返しのつかないものではなく、あとで巻き戻せるのだ。彼女は、心のゆくまま、快感に身を任せる。
「んひゃぁっ!!」
そして、彼女の体はさらに急激な巨大化をとげる。関東平野はおっぱいで埋め尽くされ、日本アルプスが彼女の肢体で平らに整地される。
おっぱいはまるで海水を飲み込むように、ブルン、ブルンと大きく揺れながら太平洋になだれ込む。しかし、その大半は水面上に出たままで、まるで大海を浅い水たまりと笑うようだった。さらに前進に前進を続け、太平洋の深い青が数百キロメートルにも及ぶ肌色で埋め尽くされていく。
一方で、白扇の足は日本海の底をズリズリと削り、ユーラシア大陸へ上陸していく。彼女のヒップは数千キロ先からでも見えるくらいに巨大になり、しかもそれがズイッ、ズイッと膨れていく。
「あぁんっ!!」
すでにおっぱいの重さで歪んでいた地球の表面が、その圧力についに耐えられなくなり、おっぱいにメリメリと剝がされていく。表層の裏にあった高熱のものに白扇の体が触れると、地球が持つ熱やエネルギーに刺激されたのか、それともそれを吸い込んでいるのか、白扇の体はビクンッと震えると成長のスピードをさらに上げ、日本列島などあっという間に完全に下敷きになってしまった。
「ちきゅうから……いろんな、ものがっ……ながれこんでぇっ!!」
地球全体を揺らし、歪ませ、壊して、白い妖狐はグググググゥゥーッッ!!と大きくなり、ついに地球と同じサイズになる。その下では、白扇につぶされたせいで球体からはほど遠くなった、見るも無残な地球がガラガラと崩れて行っていた。露出した灼熱の地球の中核は、白扇に熱を奪われて、地球の外に少しの間だけ見せた光を失っていく。
「んんっ……ちきゅうすごい、すごいぃっ!!」
地球の持つエネルギーを全て取り入れ、白扇の巨大化スピードのギアがまた上がって、一瞬のうちに何十倍もの大きさになる。ついに地球は、彼女の谷間の中に消えて行ってしまった。
グインッ、グインッと大きくなるその体は地球よりも大きな重力を発し始める。月がその重力に巻き込まれ、白扇の腕にぶつかって、その勢いでグシャッと潰れるのに数秒もかからなかった。白扇はそれを気にも留めることなく、太陽に向かっておっぱいを膨らませていく。
「あれも……のみこんじゃったら、わたしっ……すごいことにっ!」
白扇の体はもはやブラックホールも顔負けの重力を発して、無意識に火星や金星を飲み込んでいく。水星は白扇の乳房をスイングバイして太陽に超スピードで突っ込んでしまい、その太陽も白扇が発する重力に形を歪まされる。
「おひさま……っ!おひさまぁっ!」
いまだ続く快感に幼児退化したような言葉しか発せなくなっている神霊は、その胸の谷間で、必死に燃え続ける太陽を体に取り入れた。
「からだが……あ、あつ……あついぃぃっ!」
白扇の全身が光り出すと、超新星爆発のように、光の速さを圧倒的に超えて超巨大化していく。太陽系は一瞬で彼女の乳房に飲み込まれ、光速でも数年かかるほど離れたケンタウルス座α星も、1分あとには彼女の一部となった。
「もっと……もっと、おおきくなるぅっ!!」
さまざまな恒星を取り込み、白扇は、自身が超巨大な星となりながら、さまざまな天体を飲み込んでいく。
やがて銀河のような大きさになると、今度は銀河の中心にある超巨大ブラックホールの質量を、自分の大きさに変換し始め、さらにスピードを上げた。
さらなる巨大化によって、その乳首だけで銀河系と同じサイズとなるような、途方もない大きさになる白扇。
銀河団や暗黒物質によって、白扇はさらに何億光年もの大きさに膨れ上がり、あまりの成長速度の速さに物理法則が壊れ始める。
「すごい……わたしのなかに……いっぱい、いっぱいはいってくるぅ……っ!もう、おさえきれないぃっ!!」
ついに宇宙のすべてをその一部とした白扇の体。その中で凝縮されたエネルギーはビッグバンを起こし、新たな宇宙を作りだしたのだった。
—-
「はっ……私ったら変な夢を……?」
白扇は、自分の前に、たたまれていない洗濯物が置かれているのを見た。春のあたたかさで、居眠りをしてしまったようだ。
少なくとも、彼女はそう思った。その空が、彼女の髪のような銀色に包まれているのも知らずに。その世界が、大きくなり過ぎた白扇が、無意識に再構成したものであることも知らずに。