SakeTami
小梅
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女軍人くすぐり拷問白書 4

 軍に限った話ではありませんが……

 仕事というのはどれだけ慣れようが、自分の勘を過信するべきではなく、常にある程度の客観性を念頭に置くべきだと思います。

 しかし反面……やはり最後の命綱は、やはり危険を察知する経験則……勘であったりする矛盾性も帯びている……というのが私の持論です。


 なのであのときは、連日連夜、勝利の美酒に酔いしれ、致命的なまでにその勘が鈍っていた……というのが敗因だったのでしょう。


 芋づる式に上がっていく高官たちの不詳事。

 順調すぎる麻薬カルテルたちとの断絶に、資金的体力も、マンパワーも、最早あちらには抵抗する力は何も残っていない……そう決めつけていました。

 後先無くなった手負の獣に一矢報いと嚙みつかれる……その危険性も忘れて――

「う……っ」


 不自然なほど重い眠気をこじ開けるよう、あまりにも寝苦しい体勢から、私はゆっくりと瞼を開けていきます。


「………………」


 思いだすのは、何時間、何十時間前か――

 国境付近、偵察向かおうとビジネスホテルの客室で準備をおこなってきた所へ襲撃した屈強な男たち。

 完全に不意打ちと大した抵抗も出来ぬまま、同行する部下共々に床に組み伏せられ、首筋に打たれた注射針の痛みと、すぐさま襲い掛かる朦朧な眩暈と眠気。

 そして――


「…………」


 ――このざまというわけか……。


 廃墟になった駐車場のように、コンクリート打ちっぱなしの壁に囲まれる、がらんどうとした空間。

 その中で、宙吊りと両腕縛り上げられた私は、己の格好を見下ろします……。


「………………」


 逃亡の恐れと尊厳を奪うため、衣服を剥ぎ取られる……。

 というのは、誘拐や拉致の定石なのですが、そのほうが遥かにマシと思えてしまう――

「…………っ」


 まるでコールガールの仕事着のよう、乳首や陰部が剝き出しとされた卑猥すぎる下着姿――


「くっ……」


 当時もう30近かった女が何を生娘のように……と思うかもしれませんが――

 自ら一切肌身を隠せれない現状、不当ですが相当の恨みを買っている輩からの悪意ある辱め……。

 それらが私の精神を効果的と入り乱し、これから自分の身に降りかかるネガティブな想像を否応なしと膨らませてしまいます。

 そんな中――


「グッモーニン! マリア大尉~!」


 想像よりも……遥かに高く拙い声が、部屋中に木霊します。

 それもそのはずで――



「ごめんね! この島にホテルなんて洒落たものないからぁ、こんなところで寝かせちゃって~」


 数人の褐色肌な若い娘たちをぞろぞろ引き連れながら私に話しかけてきたのは、あなたたちとそう歳も変わらない、鮮やかな赤毛の髪が特徴的な少女でした。


「ま……ここも元々荷物でいっぱいだったんだけどね~。あなたたちのおかげで、今じゃ、男の子たちのサッカー広場になっちゃってるんだ」

 

 これ見よがしと手を空に広げくるくる回り踊る少女を尻目に、よくよく見れば部屋の隅には空のドラム缶が乱雑にまとめられており……ここがどういう用途で使われていたのか、嫌でも見せつけられます。

 お前にぴったりの処刑場だ……そんな意図も含め。


「……私は現場の制圧というよりも事前の下準備が主だったので、こうして仕事の成果を見せていただき、本当にありがっ――」


 隣にいた筋肉質の若い女に喉元を握り捕まれ皮肉を遮られる中、赤毛の少女はずいっと唇が触れるほど顔を近づかせこちらを覗き込んできます。


「あはぁっ、女子供だからって舐めてる~♪ わかりやすーい」

「ぐっ…ふっ――」


 ぎりぎりと握力強めていく女の腕をぽんぽんと叩き止めさせると、少女は咳き込む私の周りをぐるぐると回るように歩き始めます。


「あたしだってこんなこと、本当はやりたくないんだけどね~。なんかお父様めっちゃ怒ってて、手伝わないとお小遣い減らされちゃうんだぁ」


 姉や、下手すれば母親ほど年上であろう女たちを引き連れているあたり、やはり彼女は村の有力者……おそらく族長の娘のようです。


「それは――」

「自業自得~? じゃあ大麻は? お酒は? タバコは? ギャンブルは? どれも依存性高くて八百屋さんの資金源になってるよー。駄目な基準ってなにかなー? そっちで勝手に決めてーこっちに押し付けるの?」


 口を尖らせ、父親に吹き込まれてそうな撒くしたての慨嘆を聞き流しながら、私はこの悪い大人に洗脳され続けた哀れな子に同情心宿らせていると――


「ま、そんなこと、どうだっていいんだけど」


 その年代とは思えぬほど、妖艶な笑みを向けられ、先ほどの憐みは軽率な間違いだったと……本能的に悟ります。

「結局勝てばいいだけの話だよね。善悪とかルールとかそういうのなんて、後付けしていけばいいんだし。もう正直、お父様たちの負け犬の遠吠えとかうんざりだし」

「……その理屈で言うなら、あなたたちのこの行いは……無意味です」

「えー、100連敗からの1勝目だったらさ、心行くまで愉しむほうがお得じゃん」


 成長抑制剤でも投与した女狐の類だろうか……。

 そんな勘ぐりをしていると、侍女のよう少女の横に傅いていた女が、民族衣装には場違いなPCタブレットをこちらに差し向けてきます。


「というか、もう愉しんじゃってるし♡」

「…………っ」


 液晶画面に映るのは、私と共に捕らえられた、今回が初任務に当たる……はずだった、アイシャ・パターニ伍長。


『ふぅっ……ふっ……うぅ……』


 その姿は……私に負けず劣らずの卑猥な格好で……自分がどのような姿か知ってしまっているのか――

 目隠しされた状態にも関わらず、画面越しでも丸分かりと、羞恥のあまり真っ赤な顔を歪ませ、

 性器丸出しと開脚された太ももをプルプルと震わせながら、落ち着きない身動ぎを繰り返しています。

 しかし――


『アイシャちゃーん、いい加減なんかしゃべってくれないかなー?』

『無視とかひどくなーい』

『うっ……くっ――』


 髪を弄られ、頬を突かれながらも、アイシャ伍長は頑なと唇を噛みしめ口を開こうとはしません。

 

 新兵時代、男女共同のシャワー室で裸を見られ泣きじゃくっていた少女が、このような屈辱的な格好にされ、視界が暗闇に囚われ小突かれる中でも、懸命に黙秘を貫いている……。

 そんな部下の健気な姿は、恐怖と不安に呑まれそうな私の心を光と奮い立たせていきます。


 ……しかし――


「わーすごぉい。こんな状況でも取り乱さないなんて~、さすが誇り高き軍人さんだね~。立派な部下をお持ちになられてぇ、マリア大尉も鼻が高いんじゃない?」


 ――うんうん、立派立派。

 ――かっこいい~、惚れちゃいそ~。


 クスクスと耳障りな嘲笑。

 まばらと響く乾いた拍手。

 そんな明らかと部下を小馬鹿にした態度に、苛立ちを覚えていると――


「あ、やばい、しまったぁ、まちがえたぁ」


 不意に、私の首を絞めていた筋肉質の女が、わざとらしく芝居がかった声を上げてきます。


「これ間違えて、録画のやつ流してました」

「えー、もーダメじゃん。シャルちゃんってほんとこういうの苦手なんだからぁ」

「すみませんすみません……あー……えーと……あ……こっち? あぁこれで大丈夫かな」


 仲間たちに横から教えられ、シャルと呼ばれた女の指先がタブレットの上を何度か滑った後、再生されるのは――

『ぜっ…ぜんぶぅ……! ぜんぶっ……いいまひたぁ゛ぁぁ……!』


 変わり果てた、アイシャ伍長の姿でした。


『も゛っ……も゛う゛っぜんぶっ……ひっ! なっ、なひぃっ! なにぁぁがききっ…たひの゛ぉぉ……っ!』


 無防備と晒された腋、腹、太股。

 身を捩らせた続けた反動で、下着からズレ見えてしまっている乳頭や、あいかわらず丸見えの性器など――

 若々しい柔肌に白い羽毛を這わせられるたび、アイシャ伍長の甲高い悲鳴と泣きじゃくりが叫び漏れています。


『うあ゛っあ゛ぁあああああぁああっ!! い゛あ゛っ!! も゛ぉ゛いひゃあぁあぁああああっ!!』


 汗粒で濡れ光る腋下と首筋に執拗と羽根先を這わせられ、アイシャ伍長はヒステリックな泣き声と共に両膝をガクつかせ、拘束する椅子をギシギシと大仰に軋み鳴らしています。


『う゛ひうぅうぅうううっ! も゛ぅいっひゃぁあぁああ……ぜんぶっ……しゃべっ……も゛っもう゛なひぃいぃいいいっ!』


 目隠しの隙間から、ぼろぼろと大粒の涙を伝い零すアイシャ伍長の泣き漏らす通り……

 政府の代々的な掃討作戦だということは、周知の事実あり――

 そもそも私たちを尋問したところで、もう負け戦確定な状況の中、あちらが得るものなど何一つこちらは持ち合わせていません。

 そんな中、褐色肌の若い娘たちが、泣きじゃくる伍長の耳元に囁き自白促したものは――


『にゅ……にゅうたい……するまえの……は……はなし……あ゛っ…あぁっ! まっへぇっ……しゃべるかひゃっま、まっ、まっへぇぇええぇっ!』


 自分の一番秘密としている恥ずかしい話――

 そのようなお題を出され、もう散々な羽根の刺激に撫で脅されながら、アイシャ伍長が吐露した内容は――


『そ……そのあとぉ……従兄の子を先に上げたお風呂でぇ……一人でぇ……ひちゃってましたぁぁ……あっぁああああぁあ……さ、三回っ! 三回イきまひたぁぁああぁあっ!』


 当時弟のように可愛がっていた、一緒に暮らす少し歳離れた年下の従兄。

 その子が最近色気づいてきたのか――

 一緒にお風呂へ入るのを照れ嫌がっており、よくよく視察、考察し判明した主な理由は、自分の裸に欲情し幼い陰茎を勃起させたことに罪悪感を覚え、バレるのを恐れていたとのこと。


『まい……にちぃっ! まひにひじてましたぁぁあっ! それかかひゃあぁあああっ! き、きもちよかっだですぅうぅうううううっ!」


 少しでも言いよどみ取り繕うような素振りを見せれば、たちまち陰湿さを増していく、ゆらゆらと妖しく舞い踊る羽根たちの刺激。

 そんな一時の気の休まらない鬼畜な尋問を前に、アイシャ伍長は半ばやけっぱちと、懺悔室の前で咽び泣く敬虔者のように、精通前な従兄の子の勃起を気づかぬふりしながらも……

 初めて感じる性の恥じらいと戸惑う様を糧に、毎夜自慰に耽っていた赤裸々の告白を泣き叫んでいます。


「あははっ! で、このむっつり伍長は何分で音を上げちゃったんだっけ?」

「うーんと、10分ちょいですかねー」

「ふふっ♪ ま……早いか遅いかは……マリア大尉次第かなぁ」

「ふくっ!?」


 唖然としていた私の首筋にこそばゆい刺激が走り、思わず背筋を硬直させ甲高い悲鳴を上げてしまいます。

 そして目を向けると、そこには――


「くっ……」

「ふふっ♪」


 10分でアイシャ伍長を号泣させたものと同じ……白く柔らかそうな羽根をひらつかせる、褐色肌の娘たち――


「せっかく私たちの島にお招きしたんだから、マリア大尉にも、ぜひわたしたちの文化に触れてもらおっかな♪」

「……ぶ、文化?」


 私の当惑した視線を悪戯っぽく見つめ返しながら、赤毛の少女は謡うようにご機嫌な口調で続けていきます。


「隣島の漁師さんと不貞しちゃったミアちゃんは、コレ……されてみてどうだった?」

「えぇ……あれはもう……心の尊厳を剥がされ、己の弱さを全て剥き出しにされるような……とても貴重な体験でした」


 大きな乳房と垂れ気味の目元がやたらと艶っぽい、ミアと呼ばれた少女は、なぜか熱っぽく淫靡と身をくねらせながら応えます。


「男衆以外禁止な弓狩してたのバレちゃったときのシャルちゃんも……やられすぎて泣いちゃって……すっごく可愛かったよねぇ……」

「あ、あんなのされたら誰だって……あぁなっちゃいますって!」


 筋肉質の少女、シャルという少女は勝気な笑みを赤面の恥じらいと歪ませながら、視線を横に逸らしています。


「ここの罰はね、みーんなこれって決まってるの。今も昔も、身内も……外の人も」


 再び差し出されたPCタブレットには、私とまるで面識のない、若く、幼く、妙齢な、肌の色もまちまちと、様々な国籍の女性たちが映し出されています。

 しかし、誰しも共通することは――


『ぎゃははははははははははははははははッ!!! ごっごべんなひゃいいいぃいいいいいいいいいいいいぃいいッ!!!』

『お゛っお゛かねぇええぇえええぇええッ!!! お゛かひぇだしゅからぁあぁあああ!! やべでええぇえええぇえぇえぇええええッ!!!』

『たしゅげでぇええええぇえええ!!! う゛ひゃあ゛はははははははははははははははははははははははははははッ!!!』


 私と同じく偵察任務でヘマをし捕らえられた、アジア系の若い女兵士。

 悪意はなかったが、クルージングの遊覧でここの漁業の邪魔をしてしまった、ブロンド髪なセレブの母娘たち。

 知的好奇心が仇となり、文化体験とここの娘たちの口車に乗せられしまった、二児の母親である民俗学者。

 その誰もが例外なく、半裸や全裸の状態で拘束させられた挙句、くすぐり犯され――

 首元まで真っ赤に染まる間抜けな笑顔を張り付かせ、涙、涎、鼻水、しまいには排尿まで撒き散らす、

 哀れな笑い踊りをカメラの前で晒してしまっています……。


「こんなふうに精一杯おもてなしするから、マリア大尉も心行くまで堪能していってね♡」

「あっ……はっ…うっ!」


 いきなりの目隠しで暗闇に捉えられた矢先――

 筆の毛先で首筋を撫でられ、その鳥肌沸き立つ感覚に思わず嬌声を上げてしまいます。


「ほらほら、気持ちいでしょー♡」

「うっ……はぁっ……くっ――」


 アイシャ伍長を見下していた、というわけではありませんが……

 若く、かつ内向的で肌身を他人に触れられた……情事の経験も皆無であろうことから、特段にこの手の類な責め苦には弱かった。

 その推測は、筆や猫じゃらしのようなものを一撫で一撫で肌身に触れ這わされるたび――


「ぐっ……うぅうっ! はぁっ……んっ!」


 間違いだったと、嫌でも思知らせていきます。


「あはっ、大丈夫? これもしかして、アイシャちゃんより弱いんじゃないの~?」

「んはっ……あふぁっ!」


 暗闇の中、どこにくるかも身構えられず、四方八方と撫でつけられる柔毛たちの感触。

 腹の底から笑いこみ上げる未知の衝動。

 身体の爪先から頭の天辺まで支配していくこそばゆい焦燥感に、嫌な汗が噴き出すのをまるで止められません。


「んっ…ん゛っ……んふぅうぅっ!」

「あはは、また三分ちょいだよ~」


 弱みなど決して見せたくはない。

 そう強く想い願いながらも、早々と差し迫る限界の兆しに、私はたまらず――

「ふっ……ううぅぅっ! はぁっ、はあぁああっ!」

「おー、セクシーだね~マリア大尉~」


 纏わりつく柔毛を振り払うように腰や臀部をくねらせ、少しでもこの妖しい刺激を紛らわそうと躍起になっていました。

 しかしそれはむしろ逆効果と――


「じゃあこっちもチップ代わりにサービスしちゃおっかな♪」

「ひぐっっ!?」


 筆や羽根を倍と増やされ、私の汗で濡れ湿る肌の上を、我が物顔で這い踊っていきます。


「ううぅうっ! はぁっ! ん゛ううぅぅぅううううっ!」


 自分の姿見えなくても、嫌が応にも分かってしまう……腰や臀部をくねり揺す見っとも無い動き。

 しかしもう私には、この……今にもアイシャ伍長のよう泣き叫びたい妖しい刺激の悪戯を、ただただ微動だとせず耐え忍ぶ余裕など微塵もありません。


「はぁっ…はあぁっ! くぅっ…あぁああっ!」


 卑猥な下着も合わさり、まるで新人のぎこちない踊りするストリッパーと、カメラの前、敵前でくねくねと身を揺すり続けてしまいます。


「はぁっ……ふぅうっ……うぅうんっ」

「おー、すごいすごい十分耐えきった! これで上官の面目は保たれたね~」


 恥ずかしいことに……赤毛の少女が憎らし気と語る通り――

 10分前、拷問始まった当初は、何日でも耐えきってやろうとした気概……それも消え失せ――

 ただただ、部下であるアイシャ伍長よりは長く耐えれた……

 そんな矮小の自己満足に寄り添うよう、ぐったりと項垂れながら弛緩の安堵をしていました。

 しかしこの幼い拷問官は、そんな私に、より陰湿なサプライズプレゼントをしっかりと用意しており――


「じゃーこっからは、この子にやってもらおっかなー」

「うっ――」


 目隠しを外され目を窄める中、私の目の前に立っていたのは――


「た……大尉ぃ……」

「ア……アイシャ伍長!?」

「ご……ごめんなさい……むりです……しかた……ないんです……」


 当時何度も矯正させた、顔を俯かせ内股となる猫背の姿勢。

 そんな新兵時代に舞い戻ってしまったよう……一糸纏わぬアイシャ伍長は、おどおどと落ち着きなく視線を左右に彷徨わせています。


「さ……さっき羽根のあとぉ……指でもっと……きついのされてぇ……やるって言うまで止めないって――」

「アイシャちゃーん」

「ひっ!」


 舌足らずなのに……謎の圧を纏う赤毛少女の声に、アイシャ伍長は尻尾踏まれた猫のよう全身を跳ね上げています。


「別に言い訳とかぁお願いしてないよね~。それに軍人さんがべらべらおしゃべりなのって……駄目なんじゃないのかな~」

「あっ……うっ……」

「うーん、またちょっと眠ってもらおうっかな♪ 起きた後のお仕置き、お愉しみだね♡」

「あっあ゛ぁああぁああっ! ごめんなさいっ! ごめんなさいいいぃぃっ!」


 取り巻きの若い女たちが、これ見よがしとスタンロッドやスタンガンを取り出し持ち上げます。


「う゛うぅうぅぅうっ!」


 やりますっやりますっやりますっ! と――

 鼻をすすり、嗚咽を上げながらアイシャ伍長はバタバタ慌ただしく私の背後へと回り込みます。


「た……大尉ぃ……」


 泣き濡れた小声で、伍長はごめんなさいと何度も繰り返した後――

「んはぁっ!?」


 私の腋下に触れる寸前と、両手の指先を掲げてきます。


「はっ……はっ…あぁっ」

「あんまり我慢するのも身体に毒だからぁ、アイシャ伍長が大尉のやせ我慢から解放してくれるってさ。よかったねー♪」


 無防備と晒された腋下に狙いを定める……プルプルと震え揺れる指先。

 首筋にかかるアイシャ伍長の熱く怯え乱れた吐息に、感覚がより鋭敏となっていくことを止められません。

 しかし――


「くっ……」


 ニヤニヤと不快な笑みで私たちの動向を眺める、褐色肌な娘たちに対する敵対心。

 罪悪感で今にも圧し潰れそうなアイシャ伍長のため、私は血が出るほどに強く唇を噛みしめ、何が何でも耐え忍ぼうと……心に強く決意を固めます。

 ……けれど――

「はっっはああぁああああああぁあああああぁああっ!!」


 ぴとりと――

 腋下に指が優しく触れた瞬間、背筋にゾクゾクと電撃が走り抜け、気が付くと私は腰砕けになりながら甲高い悲鳴を上げていました。


「はぁ……はぁ……はぁぁっ」

「た……大尉……」


 ガクッと項垂れた視線の先――

 所々汗粒が落ち濡れるコンクリの床を見つめながら、私の頭の中には受け入れがたい真実……目を逸らしたくて仕方のないものが押し込められていきます。


「はぁっ……はっ……」


 さきほどまでの嬲るような羽根責めは……手加減というのも言い阻まれるほど、遊び程度にすぎない。

 くすぐりという拷問の中では、ほんの序章でしかないと――


「大尉……ごめんなさい……」

「あっ……うっ……」


 こんなの……一秒だって耐えられない……。

 そのおぞましい確信に、わたしは一分前に滾らせていた反逆心も忘れ、震え戦慄く唇を開き――


「おっ……おねがい……やめっ――きひゃあぁああああぁああああああああぁあああッ!!!」


 プライドを全て投げ捨てた、涙ながらな部下への懇願。

 しかしそれを阻むよう、アイシャ伍長のわきつく指先が、私の鋭敏になった腋下へ襲い掛かります。

「きっっきゃあぁああああああああああああああああぁああああッ!!! きゃーーーーーーーーーっはははははははははははははははははははははッ!!!」


 この島という、蜘蛛の巣に引っかかった者たちの哀れな末路。

 さきほど見せられた被害者の女性たちの見るも耐えがたい痴態を前に、同じ女として決してあぁはなりたくはない……そう思わずにはいられない――

 そんなひどく間抜けな笑顔晒す、品性の欠片もない悶絶の大爆笑。

 しかし……発狂の刺激を前に私もまた、己を自制できず同じ道を辿っていきます。


「ぎゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃあああぁあああああッ!!! え゛ひいぃいぃいいいっ!! うひぃいいいいいいいいいいいいぃいいいッ!!!」


 ぐにゃぐにゃと身体の内部を弛緩させ、そのくせ矛盾と腹筋を酷使させて止まない笑いの衝動。

 そんな混沌極まる衝動に、私は腰を何度も前へ前へと突き上げ、いままでの人生で上げた事も無いような大笑いを鳴き叫んでしまいます。


「びゃう゛ははははははははははははははッ!!! くっっくしゅぐったいぃいいっぃいぃいいいいぃいッ!!! くしゅぐったひぃいいいいいいいいいぃいいいぃいいいいッ!!!」


 気が付くと私は、顔中を真っ赤に染めながら、まるで癇癪を起した幼子を何十倍ひどくさせたよう、己の苦悶を泣き……笑い叫んでいました。


「しっっじんびゃううぅうううううううううううぅぅうッ!!! ぐしゅぐっっびゃいぃいいいいいいいいいいいいいぃいいいいッ!!! わ゛あ゛ああぁあああははははははははははははははははははははッ!!!」


 この地獄の悶絶を作り上げた元凶たちに、同情の無き乞いなど無意味――

 少しでも冷静さ残っていれば、私も泣き喚きながらの爆笑の懇願をするという、ひどくシュールなこともしないでしょう。

 しかし――


「うぎゃははははははははははははははははははッ!!! じっじぬうぅううぅうううううッ!!! くしゅぶっびゃいぃいいいいいいいいいいいいいいぃいいッ!!!やびゃっでぇえええぇえええぇえへへへへへへへへへへッ!!!」

 

 ぐにゃぐにゃ……うねうねと‥…。

 内から笑いの弛緩で精神が崩壊していく衝動に、ただ黙って受け入れることなど出来ず――

 0%であろう停止の懇願を、品性の欠片なく唾液を飛び散らせながら、真っ赤な顔で何度も繰り返し叫んでしまいます。

 

 そんなことを数分間繰り広げていると、まさか願い通じたのか――


「はぁっ……はっ……はぁぁっ……」


 急にアイシャ伍長のくすぐりがぴたりと止み、わたしはぐったりと項垂れ、ヒクヒクと腹筋を痙攣させながら、不足した酸素を貪るよう必死と呼吸を整えています。

 しかし、それは束の間の休憩に過ぎず――


「マ……マリア大尉」

「はっっはぁあああああああああぁあああぁああああぁッ!!」


 腋下に軽く指先を触れるだけであっさりと、敵前にも関わらず情けない悲鳴を上げてしまう。

 そんな上官を憐れむ視線で見つめながら、アイシャ伍長はしどろもどろと耳元で囁きます。


「わ、わたしだけ恥ずかしい告白するのは……ア…ア…アンフェアです……。上官として……部下と同じ……い、いえ……それ以上の辱めを……

すすんで……うける……べきです」


 明らかに言わされているのであろう……大根過ぎる芝居がかった口調。

 けれど、それはあまり問題でなく――


「ほ、ほらぁ……早く言わないと……こ、こうですよっ」

「ひっっひゃあぁあああああああぁあああッ!!! びゃああぁあああああひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!」


 あまりにも短い休息から、またしても始まる発狂悶絶のくすぐり地獄。

 しかも、それだけではなく――


「ほ、ほらぁ……うぅっ……はやくいってください……は、恥ずかしい……せ、せ、性体験! 笑い死にたいんですかぁ……っ!」

「う゛へひひひひひひひひひひひッ!!! ぎゃへはははははははははははははははははははははははははッ!!!」


 ――絶対……何があっても軽蔑しませんから、だから早く言ってください……。


 そんな意図が滲み出る、アイシャ伍長の泣き濡れた必死の急かし。

 ……いえ、本当にそう思っていたのかは……この責め苦に屈した弱い私の、都合よい願望なのかもしれません……。

 けれど結局、もうこの散々な発狂の拷問を……拘束を解き腋下を閉じさせてくれるのならば……喜んで靴だって舐めるまでに追い詰められた私には関係なく――


「イサビとうのぉっ……ヌーディ…ストビーチぃぃいっ!!」


 自白を促すためか、意図的とくすぐり弱める中――

 私はくすぐりの大波に溺れ、必死ともがき顔を出すよう、自身の一番卑猥な性体験を……間抜けと笑い歪む真っ赤な顔で、必死に吐露していきます。


「そ、それでぇ……にちぼつまでぇぇ……ひひいぃいっ……気をうひなふまでぇぇ……ずっとじてまひたぁぁ……ああぁああひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃあぁああぁああッ!!!」


 まだ……当時は私も、若かったのでしょう……。

 元婚約者とハネムーン。そこで行った、スペインのイサビ島というところにあるヌーディストビーチ。

 どこもかしも、石を投げれば情熱的と絡みまぐわうカップルたちばかりという状況に……つい当てられてしまったのか……

 公共の場にも関わらず、10より先はもう……正確な回数は覚えてないほど、波音と周りの嬌声を聞きながら、まるで獣のように燃え盛り、気を失うまで情交行為を繰り返した体験を――


「えひひぃぃいいいっ!! ひっっひっぱいイがされてぇぇえぇええっ!! ひままでぇぇえひちばんぎもちよかったですぅぅぅうぅううッ!!」


 腰をガクガクと揺らしながら、このくすぐり地獄からの解放という一縷の望みに抱き縋るため、私は混濁する頭を必死に働かせながら、出来得る限り事細かと鮮明に……当時の事を、泣き笑いながら媚びと自白していきます。

 

 しかし、そんな私の努力は――


「あはっ♪ お堅そうに見えて意外とむっつりさんなんだねー、マリア大尉。でもアイシャちゃんとは違った意味で、なかなかエグくてよかったよ~」


 R-18指定なら確実に引っかかるであろう幼い赤毛の少女は、ご機嫌な口調で好き勝手な感想を述べています。


「それでね~、どっちのほうがエロかったかみんなで決めて、負けた方は罰ゲームで、もっとハードにこちょこちょしてあげるって話なったんだけど~」

「はっ……はひぁっ……はぁぁぁっ……」


 ようやく訪れた休息に、息を荒げ項垂れる私の顔を覗き込みながら、赤毛の少女は白い歯を覗かせるよう淫猥と微笑み――


「どっちも甲乙つけがたいくらいド変態……じゃなかった素敵なお話だったんだけどぉ、リア充すぎてちょっとムカつくってことで~

罰ゲームはマリア大尉に決定しました~♡」

「あっ……あぁあぁあぁっ」


 絶望と染まっていく私の顔を甘露味わうように見つめながら、赤毛の少女は身を縮こませ怯え見守っていたアイシャ伍長のほうに視線を差し向けます。


「じゃあアイシャちゃん、教えられた通りにね~。ちゃんと……やるんだよ~」

「は……はい……」


 最早どちらのほうが年上なのか分からない……ビクビクと弱々しく返答するアイシャ伍長は、鼻を啜りながら再び私の背後へ立つと――


「で…ではぁ……今からこの……公共の場で発情し……な、何度もアクメSEXをかました……騎乗位大好きの……へ、変態メスイヌ大尉をこちょこちょして……し、躾ていきたいと……おもい…ます……」


 これから起こる現実への直視を脳が放棄してか……キーンと耳鳴りが頭を支配する中、ようやく私は我に返り――


「まっ……って……まって! まってぇ……お、お願いアイシャ伍長っ!!」

「だ…めです! い……いい子だからぁ、うぅ……お、おとなしく……おとなしく、素直に……こちょこちょされましょうね……大尉……」

「まっ――ぎゃへははははははははははははははははははははははははははははははッ!!!」


 泣き濡れた懇願はやはり届かず、10以上は年下な部下のくすぐりに一秒も耐え切れず、阿鼻叫喚と笑い悶えてしまいます。


「ほ、ほらぁ……ち、ちゃんと反省しました? あ、青姦大好きスケベ大尉……!」

「びゃはははははははははははははははははははははッ!!! ごべんあひゃああああぁあぁあああああぁああああぁああッ!!!」


 いつの間にか、赤毛少女の取り巻きたちも加わり、腋下だけでなく、臍や耳、首筋に脇腹や太もも、臀部や股間まで、くねり踊る指先たちが

殺到していきます。


「ゆ゛っっゆるじでぇえええええええへへへへへへへへッ!!! ぎゃあああぁあああははははははははははははははははははははははッ!!!」


 この妖しい刺激にあっさりと屈服し、部下の前で痴態の限りを尽くしてしまっていることか……。

 公共の場……ヌーディストビーチではしたなく性欲催してしまい……何度もオーガニズムを迎えるまで情交行為を繰り返してしまったことか……。

 何に謝っているのか、もう私自身にも分からず――


「びゃう゛ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃはひゃひゃひゃひゃああぁあああッ!!! ごべんなひゃいいぃいいいぃいいいッ!!! ごびぇんなひゃいいぃいいいいいいいいいいいぃいぃいいいッ!!!」


 乳頭を限界まで尖り勃たせ、股間から垂れる愛液を振り撒くよう腰をガクつかせながら、私は気を失うまで、ただひたすらと笑い狂っていました。













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