SakeTami
霊符
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Skeb OP~前半まで

Skeb 依頼品です。 かなり序盤で筆が迷ってしまっていたので一旦OP部分で投下。 こんな感じで来るんだな~ と思ってくれれば嬉しいな。 ----------------- 『助けて怪盗団、どうか愚かな私を改心させて下さい…!!』 怪盗団のチャンネルに書き込まれた奇妙な依頼。 「告解」のようなその依頼にジョーカーたちは話を聞いてみようとメメントスに向かったのだが……。 「な、なんだこりゃあ!?」 「門、って感じ。なんだっけ、こういうのあったよね……えっと、ダビデ?」 驚くスカルと首をかしげるパンサー。 とりあえずそれは「ダンテ」ではないだろうかとパンサーの疑問に回答しておいて―― そこには、メメントスを材料とした構造物的でありながら生物的なグロテクスさを持ち合わせた奇妙な”アーチ”が存在していた。その先はより下層に向かうようだが、しかし階段ではなくずぅっと下まで降りていく斜面が続いている。 ジョーカーがモナにこう言ったものを見たことがあるかと尋ねるが……。 「いや、吾輩もこんなのは初めて見る。 罠である事も警戒するべきだとは思うが……。」 ちら、と門の先。斜面をずぅっと降りた先に奥に小さく見える依頼人らしきふくよか女性の"シャドウ"。その表情は悲し気に歪んでおりジョーカーにはそれが演技の様には見えなかった。それに……。 【っても依頼人は、隣町のシスターさんだったぞ?やっぱりシスターはこう、真っ白なんじゃないか?光属性的に。】 通信でそう返すのはナビ。事前に調べる限り依頼主はただの一般人であり、それも近所の評判も悪くない、ごくごく普通のシスターのようだった。 ともかく一回話を聞いてみない事には判断も出来ないだろう、とジョーカーは門をくぐることを決める。モナに声をかけて全員でモナカーに乗り込んで進むと―― ガシャーンッ!! ≪ふぎゃぁぁっ!?≫ 「うおぉぉぉっ!!?」 「きゃぁあぁっ!?!」 思い切りぶつかったクラッシュ音と、重なる悲鳴。 しかし―― 「いてて……っ、アン殿!?」 「ぱ、パンサー!? おめぇどうやって外に!?」 「知らないわよぉおおーっ!!いやぁあーーっ!?落ちるぅーー!!」 見えない壁によって急停止したモナカーから、どうすり抜けたのかパンサーだけが勢いのままに前に放り出されてしまっていた。大事故だが、不幸中の幸いかここは認知の世界。悲鳴を上げながらも猫のようにしなやかに空中で態勢を整えながら着地に備えている。とはいえ、斜面がそこそこの角度を持っている為かそのままどんどん奥へ奥へと飛んで行ってしまっている。 「くっそ、どうなってやがんだ! こなくそ、ジオンガ!! ……んなっ!?弾かれた!?」 「どけぇスカル! 今行くぞアン殿ぉおーーっ!! ――ぐべぇっ!!」 そして見えない門で遮られた壁をスカルとモナがどうにか突破しようとするが、ビクともしない。 ジョーカーも手を当てるが、バチっとバネにはじかれるように手をつくことも出来ない。 パンサーと自分たちの違い、といえば……。 【そ、そうか!性別! よし、すぐに助けに行くぞパンサー!!】 ワイルドでペルソナなども揃えられる自分が進めないことを考慮して推理した内容を呟けば、ナビが勇んで立ち上がる音が聞こえてきたので、慌ててクイーンとノワールにも同行してもらうように伝えて、拠点に戻ることにした。 ................ ......... .. 一方、落ちていったパンサーはというと―― 「あちゃあ、なんかつるつるして登れないし……ジョーカー!!スカル―ッ!!モナーー!! …………。……………声も聞こえない、かぁ。」 不本意ながら単独でメメントスの奥地に降り立ってしまったパンサー。「悪魔」との戦いは個人では(相性の問題もあるので)限界がある事を理解しているパンサーはその危険さも理解していた。しかし―― 「え、ええと。とりあえず私が話を聞いてあげる。『改心したい』っていうのはどういうこと?」 『嗚呼、有難う御座います……私は……私は大変罪深い女なのです……。』 シャドウにしては理性的な話しぶりのシスターの告げる内容を持ち前のお人よしさで丁寧に聞き出していくパンサー。曰く―― 「心に住む悪魔を退治してほしい、ねぇ。」 パンサーが進んだ先。門を潜り降りた斜面から更に奥へ進んだ其処はまるでジェイルのような"もう一つの世界"。そのモチーフは―― 「でもまぁ、思ったより普通依頼でよかった♪ ふふ、お菓子の国だなんて素敵じゃない!」 そこは町一つを再現したような巨大な空間。果てはあるのだろうが、とにかく目を引くのはその構造物。クッキーを敷いたアスファルト、スティック菓子の電柱にモナカの塀で区切られた何棟も連なるお菓子の家。クッキーボックスのようなアパートや、グミのアソートボックスが巨大化したビルと「普通の街」一つがお菓子と入れ替えられてしまった異空間だった。 そしてその街中には確かに肥満体のシャドウ――仮面を被った悪魔――が闊歩している。 既に述べた通り、単独での戦闘は群れを成す傾向にあるシャドウとの戦闘では危険だが、しばらくパンサーが観察するにどうやらこのお菓子空間では皆集まると「暑がる」のか、積極的に単独行動をする傾向にあった。(井戸端会議をするように群れる性質のおばさん型シャドウもいたが) 「みんなが此処に援軍にこれるかも分からないし、まずは当たって砕けろ!!」 砕けてはそこでゲームオーバーなのだが、兎に角一人シャドウの仮面を素早いステップで翻弄してわりとあっさり仮面を剥ぎ取るパンサー。そして「悪魔のカタチ」を取ったソレに 「いくよ、『カルメン』ッ! ――アギラオッ!!」 雪ダルマのような見た目の相手に、自身のぺルソナが指し示す先の地面から噴火の如く火柱が立ち昇り、一瞬で蒸発させる。 「よしっ!」 緊張感の解放と、達成感で思わずぐっとガッツポーズをとるパンサー。相性のいい相手だったのもあるが、この程度の相手なら1:1を続けられれば自分だけでも十分に戦える実感を得たパンサーは果敢にも更なる悪魔を探してお菓子の街を駆けていく―― ...................... .............. ....... 「ナビ、此処であってる?」 「バッチリ位置は合ってるぞー。ほらクイーン、ノワール。門が見えてきたぞ。」 「わぁ、本当に門なんだねぇ。パンサー大丈夫かな……?」 《心苦しいがノワールたちが頼りだ、杏殿を頼むぞ!!》 パンサーの離脱から30分。あれから急ぎトラエストーンでメメントスの入り口に戻り再編成を行って急行したが、無事門はその存在を維持していた。 ナビ曰くジャミングされているかのように中の様子はわからないが、パンサーの生命反応ぐらいはわかるとのことで彼女の無事は確認できているものの、万が一に備えて様々な道具を持たせて女性陣3人を送り出す。 「それじゃあジョーカー、行ってくるわね。」 「パンサー見つけたらすぐ戻ってくるからな!」 「少しの間だけど二人きりになるから気を付けてね、ジョーカー、モナちゃん。」 3人に無事を祈って声をかけて坂道を滑り降りていくのを見送ってからモナと中間層の休憩室を目指す。 三人には2つずつトラエストーンを渡してある。最悪バラバラになったとしても誰かがパンサーと合流できれば戻ってくれる手はずになっている。 後は何事も無ければいいのだが……。 ...................................... ........................... ........ 「せいっ!!」 詰められた距離を離す時間も惜しんで蹴りだされたヒールが悪魔の腹を打ち、撃破する。 「ふぅ、ふぅ……よし、ここもだいぶ片付いてきたかな……。」 この異空間での戦闘もだいぶ慣れたもので、1体だけであれば反撃を一切許さずに制圧出来るほどの練度を得ていた。しかし常にそうではない為、時には2体纏めて。ある時にはちょっとずつおびき出しながら戦い続けていた。しかし順調といってもいい戦果を挙げながらパンサーは物憂げにため息をつく。 「でも、ジョーカーたち心配してるよねぇ……。        ・・・・・・・・・・   あれからもう3日も経っちゃってるし……。」 ――そう、かれこれ彼女はこの異空間で24時間どころか72時間を過ごしていた。その理由は見た目以上に広大であったこともそうだし、安全マージンをきっちり取り続けて居た事が理由だった。 しかしそれは新たな疑問が浮上する。 いったいどうやって彼女は3日間も異空間で戦うことが出来たのか? 手荷物一つ持たずに(普段はジョーカーがアイテムを管理している)落ちてしまったパンサーは勿論食料どころかペットボトル水ひとつ持たずに異空間に置き去りにされていた。しかしその問題は彼女を観察していれば容易に氷解するだろう。 「ま、とりあえず休憩休憩っと……はむっ」 突如「塀」を掴んだパンサーは何を思ったかそのまま齧りつく――モナカで出来ているその塀は見た目通りに軽々と歯を通し、咀嚼すればもしゃもしゃとした触感に餡子が混じってくど過ぎないさっぱりとした甘みを与えてくれる。 「ん~~っ、いつ食べてもおいひぃっ♪」 そう、この異空間のありとあらゆる構造物は食用として――最初は空腹のまま錯乱して噛みついたのだが――成立しており、魔法をぶつけたところでビクともしないわりに食べようと手でつかめばパキリと割れる。 「街」としての認知と「お菓子」としての認知が混ざっているような挙動のソレに、しかしパンサーは敢えて気にすることも無く甘味を堪能する。 (水は噴水などからシュワシュワとした清涼飲料水が吹き出ていた。) 誰にとがめられるわけでもなく、口いっぱいにお菓子を頬張る至福を味わえば体力も気力も持ち直し、再び戦う活力が湧いてくるようだった。 ただ……。 「ごちそうさま――うぷっ」 ぎち、と音を立てるのはパンサーの怪盗服……真っ赤なライダースーツのファスナー。 空腹だけでなく戦闘のたびに容赦なく削られる気力体力の回復にお菓子のサイズで作られていないお菓子を食べてきたパンサーのお腹周りはいつしかぽっこりと膨れており、普段はともかく食後ともなれば動くたびにギチギチと嫌な音を立てている。最近は屈むとお尻が引っ張られるような感覚もあるし…… (太った……ってこと? でも、そうだよね。"あれだけ食べれば太って当然"だし……。) ざわ、と女性的感覚と直感でうなじの辺りがチリつくようだが、絶食で戦う事は不可能。そして待つにしてもどれだけの日数がかかるのかもわからない限りただ待つだけではいられない。 せめてダイエットが可能な体型でいられるうちに脱出の手がかりをつかめればいいな、とパンサーは公園のベンチ(固めのスポンジ生地だ)で寝転んだ。


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