——世界三大美女 世界史上に於いて特に美しい女性——”小野小町”、”楊貴妃”、”クレオパトラ”の三人を指す言葉である。 彼女達は己の美貌一つで国や歴史に大きな影響を与えた正しい意味での”傾国の美女”であり、その美しさは女神”イシュタル”や”アフロディーテ”にさえ匹敵した。 玄宗皇帝からの過剰な寵愛が内乱の原因となった楊貴妃、ローマの将軍とのラブロマンスや悲劇で知られるクレオパトラ七世フィロパトル、この二人は世界的にも共通の認識となっている。 絶世の美女としての逸話を持つ女流歌人——小野小町については日本の中だけであり、世界的にはギリシャ神話に於けるトロイア戦争の原因となった”ヘレネー”が三人目として数えられた。 彼女達に共通するのは類稀なる美貌によって、物語や詩などの題材にされる、波乱に満ちた人生を送ったことだろう。美しければ楽に幸福になれるとは限らず、人々の魂をも魅了する美貌が、悲惨な末路へと導くこともあるのだ。 絶世の美女に対する嫉妬故の悪評だったのか、それとも真実だったのかは定かでは無いが、後世では悪女や馬鹿であったと誹りを受けている。 最後のファラオと呼ばれたクレオパトラも、多くの創作物の中では愛に溺れ、国を私物化した妖艶で悲劇的な美女として描かれることが多い。 その原因を辿って行くとどこぞで風評被害にあった”某妖精王”と同じ、四大悲劇で有名な”劇作家”の作品『アントニーとクレオパトラ』による影響があったりする。 創作では無く真実を語るのならば—— クレオパトラは聡明で深い思慮を持ち、特に経済手腕に関しては天賦の才に秀でた才女であった。並ぶ者のいない王という考えが強いファラオにしては珍しく、強国に従うだけの合理的な考えを持ち、統治した国を富ませた才色兼備の女王である。 彼女のことを愛したローマの将軍達も、その美貌と知性の両方に惚れ込んでいたのだ。 軍事力に劣るプトレマイオス朝エジプトをクレオパトラの采配によって、世界有数の経済国家にまで押し上げた正真正銘のトップレディである。 生涯で”カエサル”と”アントニウス”——二人の男を心から愛した女王も、盛者必衰の理には抗えなかった。アクティウムの海戦に敗れ、最期は毒蛇に自らを噛ませた自決である。 最後まで彼女が愛した男達への想いに、断じて嘘などは無かった。しかし、後世はおろか当時でさえ『ローマの将軍達を誘惑した魔性の女』と、為政者や民衆を問わず陰口を囁かれていたのもまた事実である。 その結果、死後に英霊として座に刻まれた時には、”魔性の美貌で男を誘惑する女”として存在を得ていたのだ。 ”無辜の怪物”のように風評によって歪められた彼女ではあるが、最後の矜持として寄り添い好きになるのは素敵な殿方だけだと決めていた。 共に死んでも惜しくないと思える誠実な人、嘗て自分が愛した男達に負けない魅力を持った相手にだけ、クレオパトラは己の美貌と手練手管を用いて誘惑するのだ。 ——魔性の美女となった彼女は、英霊になっても熱い恋をする。 —————————————————— 満月から降り注ぐ優しい光とキャンドルホルダーから漏れる蝋燭の火の柔らかな光が、ゆらゆらと揺蕩う水面に当たり、小さな波に合わせてキラキラと反射している。 オープンテラスから吹き抜ける優しい夜風が、広い湯船から立ち昇る湯気と身体の火照りを冷ましてくれた。 此処はシミュレーションルームで再現された、古代ローマをモチーフとしたテルマエ(大浴場)である。巨大な彫刻作品のような芸術性の高い建築物の中に、人肌よりも温度の高いお湯の流れ続ける音が響き渡っていた。 色取り取りの花々や輪切りにされた柑橘系の果実、ローマの皇帝達をモチーフとしたアヒルの玩具達が、湯船の上にぷかぷかと浮かんでいる。花特有の甘ったるい香りと柑橘系のフルーティーで爽やか香りが、湯から仄かに薫っており、呼吸するだけで心地良い気分になれる癒しの空間になっていた。 普段は女性サーヴァントを中心に、身体の疲れと心の澱みを洗い流す、憩いの場所となっているのだが—— 今宵はローマと縁深い”古代エジプトの女王”に貸し切られた状態である。 大人が何人も脚を伸ばして寛げる程に広々とした円形の湯船の中、水着を着た年若い男女が肩を触れ合わせて寄り添っていた。 頭の後ろで弛い三つ編みにした翡翠色の長髪に色取り取りの花々を飾り付けるエキゾチックな美女は、ハリのある白い肌を熟した林檎のように赤らめている。 彼女は隣にいる黒髪の青年の横顔を熱っぽい視線を注ぎながら、吐息の混じった甘ったるい声色で言葉を紡ぐ。 「——ふふ……っ♡♡ あなたの熱い視線を感じるわ♡♡♡ んぅっ♡ 余計に身体が火照ってしまいそう……っ♡♡」 「”クレオパトラ”にえっちな格好で密着されたら、誰だって見るに決まってるよ」 「〜〜〜〜〜〜〜〜っっッ゛♡♡♡♡ とっ、当然よねっ!♡♡ わたくしの美しい肢体をこんなにも間近で見られる、最高の栄誉を得ているのだからっ♡♡♡」 褒められた喜びの感情を隠し切れずに声を弾ませながら、”クレオパトラ”は自身の豊満な乳房を”マスター”の男性らしい厚い胸板に押し付けた。大英雄”ヘラクレス”と追い掛けっこをしたり、アメリカ大陸を徒歩で横断したこともある彼の筋肉質な脚に、自分の長くしなやかな脚を蛇が獲物に巻き付けるように絡み付かせる。 肌同士が触れ合っているだけなのに、お互いが身体も心も溶けてしまいそうな幸福感に酔い痴れてしまう。 彼女はどんな表情を浮かべていても一枚の絵になる絶世の美女であり、比喩を抜きにして女神が如き美貌であった。 髪と同じ緑玉や翡翠を彷彿とさせる色合いの大きくパッチリとした瞳やスッと通った高い鼻筋、プルっとした瑞々しい桜色の唇——どこを切り取っても完成された形をしている。 ”容姿端麗”や”眉目秀麗”という言葉が、これ程までに相応しい女性もいないだろう。それに加えてクレオパトラは端正な顔立ちだけで無く、首から下の肉体も正しく極上であった。 しなやかでスラッとした長い手足や引き締まった細い腰回り、抜群のプロポーションをしている。そして、乳房やお尻、太ももなどの性的な魅力を感じる部位にだけは、雄を誘惑する柔肉が下品にならないギリギリまでタップリと肉付いていた。 女性が憧れるファッションモデルと男性が興奮するグラビアモデル、それぞれの良い所だけを取捨選択したような魅惑のボディという他ない。 魂まで魅了する美貌と黄金比と呼ぶべき均整の取れた肉体、人が視覚的に美しいと感じる全てを間違いなく最高レベルで兼ね備えている。そんな彼女が着る金糸の刺繍が施された桃色の水着は、シミ一つ無い処女雪のような美肌を余計に引き立たせていた。 クレオパトラの水着を上から順に説明していくと—— 肩紐の無い乳房の上部の殆どが露出する、オフショルダーの極小トップス。下乳から乳首や乳輪をギリギリ隠す布地から、豊満な乳房が今にも溢れてしまいそうである。 トップスの他にも胸元と二の腕の一部を白いレースで装飾されたフリルが覆い隠しているのだが、フリル自体が桃色のシースルー素材であるため、胸元全体が透けて淫靡さを底上げしていた。 両脇が紐のようになっているボトムスを履いており、僅かに腰の柔肉に食い込みながら秘所だけをギリギリで隠している。少しズレるだけで大事な部分が見えてしまいそうであり、そうで無くとも後ろからの光景は、目が眩んでしまいそうな程に淫らであろう。 肌を隠す表面積が極端に少ない際どい水着であるのに、クレオパトラの持つ肢体の美しさと溢れ出る気品が、下品なエロさだけを帳消しにして艶やかな大人の色気へと昇華させていた。 両の手首や耳、右足に黄金の装飾を華美になり過ぎないように身に付け、手足の爪をジェルネイルでローズピンク色に染めている。 自分を美しく見せることを一切怠っていないのが、全身の至る所から垣間見えていた。 手入れが行き届いた膝裏まで伸ばされた翡翠色の艶髪や磨き抜かれた珠のようにきめ細やかな肌など、頭の天辺から足の爪先まで手入れを妥協している所など本当に一つも無い。 この美しさは普段は女王たる者の務めとしてであるが、”マスター”のためだけに美しくあろうとしている。 「もっとじっくり、見ても良いわよ……っ♡♡♡」 —————————————————— 光り輝く魔法陣の中から現れた絶世の美女は、自信タップリに豊満な乳房を前方に突き出しながら宣言をする。 『ふ、絨毯にくるまっているとでも思ったかしら! ……ええ、少しだけ考えましたが召喚の挨拶なので遠慮しておきました。妾は最後のファラオ、クレオパトラ七世フィロパトル。そして控えなさいマスター、太陽より頭が高くてよ?』 クレオパトラが自分のことを召喚したマスターに対して思った第一印象は、魔術師らしくない平凡な青年であった。 容姿は上の下と悪くはないが、優れた才覚は微塵も感じられない凡夫。魔術師特有の人を見下した傲慢さが無い代わりに、どこか頼りない印象を受ける。 そんなどこにでもいるような一般人の彼だからこそ、苛烈な性格のクレオパトラとの相性は意外なことに悪くなかった。 彼女は公の場での女王——”妾”として振る舞う際の意図した傲慢さとは異なり、立場を離れた私人——”わたくし”の場合でも高飛車で親切な世話好きでもある。 矛盾しているように感じるかも知れないが、傲慢な態度を取りながら相手を気遣う、要するに”世話焼きなツンデレ”であった。 彼女の女神の如き美貌と苛烈な言葉とは裏腹の気遣い、最上級のもてなしを受けたいが為に、クレオパトラに謁見を求める使節団が後を絶たなかった程である。 『わたくしを召喚し、契約した。それだけで貴方の人生は完結したと言っても過言ではないでしょう。なので、後はわたくしの添え物として、わたくしに仕えなさい。具体的に言うと、後ろで荷物を持ちなさい!』 高飛車な態度やクレオパトラが求めることに対して、反感を持つことなくマスターは応えようと直向きに努力した。 真摯な態度で彼女と向き合う彼に絆され、少しずつ好感度が上がっていく。 それに加えてマスターには少しだけ抜けてる所もあり、余計にクレオパトラが叱咤しつつも世話を焼きたくなってしまう。どちらが主従であるかも曖昧な関係性を構築しながら、二人は少しずつ絆を紡いでいった。 その結果—— 『ハッ!? 気が付けば、一つのテーブルでお茶を共にしてくつろいでいるわたくし……。妾はクレオパトラ。この肌に触れたいがため、妾の顔を一目見たいがために命を捨てた者は数えきれないというのに……!』 二人でお茶の時間を過ごすのが、いつの間にか当たり前に変わり—— 『ああ、そ、そう……そんなにまだまだ妾と仲良くなりたいの? それは、どうしてもと言うのでしたら、仕方のないことですが……こちらにも、心の準備が……』 自分のことを女王として尊敬してくれながら、個人としても接してくれる彼のことを憎からず想うようになり—— 『決めました。貴方は非才かつ不運。これといって見所の無いマスターですが、努力だけは中々です。ですので、有能なわたくしが秘書として、常に健康を管理しなければいけないでしょう! では、これを読んでおきなさい。わたくしが考えた、貴方の今後の予定表です』 気付けば平凡だと思っていたマスターに、甲斐甲斐しく尽くすようになっていた。秘書として日常生活から寄り添い、傍に居る時間を更に増やしていったのである。 自分がこれまで好きになった男達とはタイプが異なるが、彼の内面を知るに従って少しずつ惹かれていく。 気付けばマスターから視線を離すことが出来なくなり、照れ隠しから高飛車な態度を取ってしまう。しかし、そんな自分を優しく受け入れてくれるので、更に好きな気持ちが溢れてくる。 英霊の座に刻まれた魔性の美貌で男を誘惑する性質が、クレオパトラの理性では抑えることが出来なくなっていった。彼女は二人っ切りの貸し切り温泉へと誘い、彼を魅了することを実行に移したのである。 ——場面は花と果実が浮かぶ、古代ローマ風の湯船の中へと戻った。 「お湯には”半分”しか浮いていないから、こうした方が良く見えるかしらっ♡♡♡ さっきから火傷しそうな熱い視線を向けて……っ♡♡ わたくしのおっぱいばっかり、見詰めているんだもの♡♡♡」 クレオパトラはマスターの上に跨り、正面から向かい合う体勢になる。お湯に浮かんでいた豊満な乳房を下から両腕で抱え、彼の目の前に抱き寄せるようにして持ち上げた。 「ぉっ、大きぃ……っ」 「————っッ゛♡♡♡」 無意識に呟くマスターの眼前には、質量の暴力のような巨乳が広がっていた。深い谷間にはお湯が溜まっており、その水面には紫色の花びらが浮かんでいる。 クレオパトラの美白という表現が相応しいきめ細やかな珠のような肌が、火照り赤らんで濡れているのが恐ろしい程に艶めかしい。搗き立てのお餅のような質感と柔らかさの乳房が、雄の視線が完全に捉えて離さず釘付けにする。 乳房に飢えた獣のような視線を向けるマスターは自分の股下に、大量の血流がドクドクと集まっていくの感じていた。海綿体の膨張により怒張していく長大なペニスは、半ズボンタイプの水着を内側から押し上げていく。 お尻を力強く押し上げる棍棒のような感触を感じ、彼女は唇を噤んだまま艶めかしい吐息を漏らす。 「んぅっ♡♡ 今日は貴方とわたくしだけの貸し切り……っ♡♡♡ どんなに大きな声や音を上げても大丈夫っ♡♡ こっ、この意味が鈍感な貴方にも分かるわよね——きゃぁっ♡♡♡」 クレオパトラの遠回しな誘い文句にやられ、彼は我慢することが出来なくなり、反射的に細腰を両腕でギュッと抱き締める。浴室に彼女の甘い悲鳴が響き渡り、身体がビクビクと揺れるのに合わせて、湯船の中のお湯もちゃぷちゃぷと波打っていた。 「まっ、待ちなさいっ♡♡ スる前にわたくしに言うことがあるでしょう……っ♡♡♡ わっ、わたくしは安い女じゃないんだから♡♡ 貴方なら分かるわよね?♡♡」 「好きですっ。俺と付き合って下さいっ!」 「〜〜〜〜〜〜〜っっッ゛♡♡♡♡ しっ、仕方ないわねっ♡♡ 良いわ……っ♡ これでわたくしと貴方は恋人同士よっ♡♡♡ ——んちゅっ♡♡」 心臓の鼓動が伝わる胸元同士が密着して自然と顔が近付く二人は、お互いの瞳を見詰め合わせたまま衝動の赴くまま唇同士を触れ合わせる。 ——ちゅっ♡♡ ちゅぅ……っ♡ ちゅぷっ♡♡♡ クレオパトラとマスターは気持ちを更に高め合っていき、唇が触れ合う小さな水音が断続的に響き続けた。 ”三人目”に愛した男性を全力で誘惑し、口付けを交わして愛を育む行為に溺れていく。
濁り丸
2022-10-21 00:10:03 +0000 UTC