ここは…どこだ…?
硬くて冷たい床の感触で目が覚めた。
目を開けると視界に飛び込んできたのは、薄汚れた天井と、錆びた鉄格子。
あれ、俺確か会社から帰る途中だったはず…
まだぼーっとする頭で考える。
仕事がいつもより遅く終わり、終電に間に合わないと思った俺は、いつもと違う道を使って駅へと向かった。
途中広い公園を通るのだが、そこは最近行方不明者が多数出ている場所で…
「あっ…」
そこで思い出した。
嫌だと思いながらも仕方なく公園の中を進んでいたら、黒い服の男達に囲まれたんだ。
逃げようと思ったら後ろから変な薬を嗅がされて…
周りを見ると、さっきまで気が付かなかったが、俺と同じように捕まったらしい男たちが数人、絶望した顔で座り込んでいる。
どうやら若い男ばかり誘拐されていると言うのはほんとらしく、俺含めてこの牢屋みたいな場所には皆20代ぐらいの男しかいなかった。
「嫌だ…もう嫌だ…誰か、誰か…」
隣の男が小さな声で呻いていた。
顔色は土気色で、身体を震わせながら顔は恐怖に引きつっている。
そしてその呻く男の隣にいた男は、俺が目が覚めたのに気付くと俺を見て力なく笑った。
「お前も捕まったのか…ここは地獄だぞ」
暗い表情のままそう言う男。
「こ、ここはどこなんだ?俺はなんのためにここに連れてこられたんだ!?今から何をされるんだよ!」
俺は今の状況が分からな過ぎて、暗い表情の男を問いただしてしまう。
しかし男が答える前に、牢屋の外の廊下の奥から足音が聞こえてきた。
バラバラの歩幅で歩く複数人の硬い靴音と、時折聞こえる楽しそう笑う男達の声。
その音が聞こえた瞬間、牢屋の中の空気が一気に張り詰めたのを感じた。
そして牢屋にいた男たちは皆息を潜め、その音に怯えるように震え始める。
「来る…あいつらが…」
「あぁもう嫌だっ…!!だ、誰か助けてくれ!!」
「お願いしますお願いしますお願いしますお願いします」
大人である男達が恐怖に顔を歪め、泣きそうな顔で必死に祈るように言う姿に、その恐怖が伝染して俺まで不安で心臓がドクドクと早く鼓動し始める。
そして足音はついに鉄格子の前で止まり、牢屋の外には緑色の軍服のような服を着た男たちが現れた。
黒のブーツに制帽まで被った男達の手には、手の甲に3本線が映える真っ白なナイロン手袋がはめられている。
恐らくこいつらが誘拐犯だろう。
「さぁて、今日はどいつにしようかな」
男達の一人が牢屋の中を見ながら笑って言った。
その目が牢内を品定めするようにゆっくりと動く中、牢屋の中の男達は皆誰もが目を逸らして俯き震えている。
そして誘拐犯の視線が、俺の隣で震えていた男に止まった。
「今日はお前だ」
男はその白い手袋の人差し指を、静かに彼に向けて言い放つ。
「ひぃっっ…!! い、嫌だ! 嫌だぁあっ!!一昨日やったばかりじゃないか! なんでまたっ、 なんで!!」
男は怯えながら金切り声を上げ、座ったまま震えて後ずさった。
しかし鉄格子の扉が開いて二人の男が入ってくると、その白い手で彼の両腕を掴んでしまう。
「ひぃいいいっ!!嫌だぁあっ!!お願いしますお願いします!!もう嫌なんです!!ほ、他の奴にしてください!そこの新人とか良いじゃないですか!!あぁぁっ!!嫌だぁぁあっ!!」
男は俺を指さし訴える中、恐怖のあまり男の目からは涙が流れていた。
しかし誘拐犯達はその男から標的を変えることなく、泣き叫ぶ男を外へと無理やり連れ出していく。
「おい、新顔」
「っっ!!!」
誘拐犯が牢屋を出る時、急に俺の方を向いて俺を呼んだ。
「お前も来い。俺等のペットの扱いを見せてやる」
冷たい笑みを浮かべながら言う男に恐怖を感じた俺は、今は逆らってはいけないと本能で感じた。
今回俺は見せられるだけ。
牢屋にいた男達は怯えていたが怪我をしている様子も、衰弱もしてはいなかった。
それなら外の様子を伺い、逃げるチャンスもあると思ったのだ。
俺は恐怖で震える足をなんとか立たせ、誘拐犯の元へと向かった。
牢屋から出た俺は誘拐犯に囲まれながら、引きずられていく男の嗚咽と共に歩みを進める。
連れて行かれた部屋は殺風景で、なんだか冷たい空気が漂っていた。
中央には無機質なベッドが一つ。
そしてそのベッドには黒光りする革の拘束具が取付けられており、まるでアニメで見た拷問器具のようだった。
連れて来られた男は誘拐犯達によって羽織っていた衣服を奪われると、全裸の姿でベッドの上に乱暴に投げ出される。
ベッドの上で男が泣き怯え震える姿は痛々しく見えたが、五人の誘拐犯の男達はそれに感情を動かされた様子はなく、一切の容赦なく彼を手際良く拘束していった。
「嫌だっ、うぅっ、やめてくれっ、お願いだっ、あぁっ、怖いっ、誰か助けてっ!!うわぁぁぁっっ!!」
男の掠れた懇願と嗚咽が響く中、拘束具の締まる金属音が余計に冷たく聞こえた。
手首、足首、太もも、胴体、そして肩と額。
そこへ黒い革ベルトを取付けられて身動きを封じられる中、彼はただ涙を流しながら恐怖で浅く速い呼吸を繰り返している。
「さて、始めようか。今日はどこから虐めてやろうか」
「確かこいつは腋が弱点だったよな。なら最初に腋下で地獄見せてやるのも良いな」
「いや、まずは足の裏でじわじわ責めてやる方が面白いだろ」
「ひぃぃいいいいいいっっっ!!」」
誘拐犯たちはまるでこれから始まる遊びの相談でもするように、男の身体へと手袋の白い手を向けながら楽しげに言葉を交わしている。
手袋に包まれた白い指を男の身体にギリギリ触れない箇所で留め、クネクネと男を煽るように動かしていた。
その指の動きに本気で恐怖を感じるかのように、男は甲高い悲鳴を上げて怯えている。
誘拐犯の手には別に何か凶器が握られている訳でもなく、今から暴力を振るうようでもない。
しかし男からは感じるのは本気の怯えで、これから残虐な拷問でもされるかのように見えた。
誘拐犯達が今から何をするかは兎も角、怯える男を見て楽し気に笑う姿に俺は言いようのない嫌悪感と恐怖を感じる。
そんな中、誘拐犯の一人が顎で合図を送ると、二人の男たちが一斉に白い手袋に包まれた手で男の身体へと触れた。
「あひゃぁぁあぁあああああああっっ!!」
最初のに男達の白い指先が触れたのは、腕を上げさせられてベッドへ拘束されているせいで完全の露出した脇腹だった。
まだ脇腹に指を立てられているだけだが、男は体をビクビクと震えさせて叫ぶ。
そして4つの白い手がまるで獲物の弱点を探る蜘蛛のように、ゆっくりと脇を指が張っていく。
そこで俺は今からこの男がされることを察した。
誘拐犯達はこの男へ今から『くすぐり』を行うのだと。
『くすぐり』という行為自体は一般的に罰ゲームや遊びの一環としてされているものではあるが、過去には立派な拷問としても利用されていた行為である。
肌を撫でられ、強制的に笑わされるという、端から見ればふざけているようにしか見えない行為も、実際にされている方はとても辛い。
俺自身が『くすぐり』に弱いからこそ、それをされる恐ろしさが身に染みてわかっていた。
男の肌を歩くように進む白いナイロンの滑らかさが、素手よりも更にそのくすぐったさを上げるのだと理解する。
「ふひぃぃいいいいっっ!!!」
指が少し動くだけで男の身体がビクッと大きく震え、感電したかのように男の全身がベッドの上で激しく跳ね上がり、拘束具がガチャンとけたたましい金属音を立てた。
「はははっ、 良い声だ。今からたっぷり聞かせてもらうぞ」
一人の男が嘲笑い言うと、男の肌に触れる白い指先がスルスルと動き出した。
最初は皮膚の表面を羽でなぞるかのように、その手袋の指先で信じられないほど優しく触れるだけのもの。
「はひひひぃいっ!!い、嫌だぁああああっ!!ひゃひぃいっ!!」
くすぐったさはまだ耐えられる程のものだろうが、それがかえって意地悪く感じられる。
ナイロンの滑らかな表面が肌の上を音もなく滑り、その感触はゾワゾワとした悪寒を伴いながらこれから来るであろう激しい刺激を予感させ、男の神経を極限まで研ぎ澄ませた。
「ほら、くるぞくるぞぉ」
「この指が一斉に動くんだ。死ぬ程くすぐってぇのはもう分かってるだろ」
「あひゃひひっっ!!お、お願いだ!!本当に嫌なんだ!!ひゃひぃいっ!!くすぐられるのはもう嫌だぁあああっっ!!」
まるで呪いの言葉のように男に囁くように言う誘拐犯達の声に、男は耐えようと全身を硬直させながら、これからくすぐられることへの恐怖に涙を流して叫ぶ。
そして次の瞬間、指の動きは豹変した。
優しく弱く触れていただけの指先が、脇腹の柔らかい脂肪と筋肉の間にぐっと少しだけ力を入れて触れたのだ。
「ひぃぃぃいいいいいいいっっっっ!!」
捏ね回すかのような不快な圧迫感にガシャンと拘束具を揺らしながら、身体を大きくくねらせ男が声を上げる。
「頑張ってこちょこちょに耐えようなぁ」
「おらっ、死ぬまで笑え!!」
そして二十本の白い手袋の指全てが、まるでそれぞれが独立した意思を持った悪意のある生き物のように、予測不能な軌道を描きながら高速で動き始めた。
「ぎゃひははははははははははははははははははははっっ!!!!!」
瞬間、怯えていた男はベッドの上で暴れながら狂ったように笑い始める。
「ひひゃひはははははははっ!!やめでぇええええっ!!ぎゃひはははははははっ!!」
その素手とは違うナイロンの滑らかな感触がそのくすぐったさを増加させているのか、肌を擦るスルスルと言う音がするたびに、男は身体を大きく跳ねさせながら笑う。
「はははっ!!脇腹ビクビクしてんぞ?くすぐってぇかぁ?」
「始めたばっかで止める訳ねぇだろ。脇腹苛め倒してやるからなぁ」
縦に激しく掻き立て、横に素早く擦り、円を描くように皮膚を捩じり、時には複数の指で皮膚を優しく摘まんではそのサラリとしたナイロンの表面で激しく執拗に擦り上げる。
「あひゃひははははははははははっ!!じぬぅぅぅううううっ!!!!」
男の絶叫の中、スリスリシャカシャカシュッシュッと肌の上を滑るナイロンの摩擦音が俺の耳にも聞こえ、それを聞いているだけで俺まで脇腹がむず痒くなり、ぞわりとした悪寒が走って思わず身震いしてしまう。
駅員や警備員が嵌めるようなあの白く滑らかなナイロンの手袋が、今の俺には何よりも凶器に見えた。
「ぎゃひはははははははっ!!だっひゃひははずげっあひははでぇえっ!!あひゃひはははははっ!!」
口からは嗚咽と短い悲鳴の混ざった笑い声が、彼の意思とは無関係に蛇口から水が噴き出すように漏れ始める。
必死にくすぐったさを耐えようと身体に力を入れているのが分かるが、腹筋が意思とは無関係に激しく収縮して肩が小刻みに震え、全身がベッドの上で不規則にまるで壊れた人形のように痙攣していた。
「おう良いぞもっと笑え笑え!!」
「そんなに笑って、ほんとは嬉しいんだろ?安心しろって、ずっとくすぐっててやるから」
「ははははっ!!大の大人の男が涙流してみっともねぇ顔晒してやがる!!」
「この顔がたまんねぇよなぁ。もっと変な顔して俺らを楽しませてくれよ」
こんなに泣き笑い叫ぶ男の声を聞いて、誘拐犯達は心底楽しそうに顔を見合わせ、未だ見ているだけの連中は腹を抱えて笑っている。
そんな冷酷な誘拐犯達の姿に、俺は心の底から恐怖を感じた。
もし俺があの男と同じようにくすぐられたら…
俺は自分の脇腹を無意識に押さえていた。
想像するだけで、自分の腹の底から嫌な感覚がせり上がってくる。
もし自分が同じことをされたら、くすぐりに弱い俺はきっとこの男以上に笑い悶えてしまうだろう。
考えただけで身体が震えた。
「ふぎぎゃひはははははははっ!!がわっでぇえええっ!!ぎゃひははははははっ!!がわっでぐれぇええええっ!!!」
くすぐられる男は笑いながら俺を見て、必死に代わってくれと懇願する。
息を吸う音と引き攣った呼気、そして時折漏れる短い獣のような呻き声と、抑えきれない破裂するような笑い声が混じり合う。
そんな男を見て、俺は代わってやるなんて言い出せる訳もなく、目が合わないように反らすだけで精一杯だった。
「ほら、くすぐってぇのは脇腹だけじゃねぇぞ。その首も可愛がってやるからなぁ」
そんな笑い続ける男に向かって嗜虐的な目で言うと、誘拐犯が更に一人追加してその手を首のほうへと寄せていく。
「ひぃぃぃいいいいいいっっ!!ぎゃひははははははっ!!ぐるなぁああああああっ!!」
ただでさえくすぐったさに悶える中、更に増えるくすぐる手に悲鳴を上げながら男が拒絶の声を上げる。
「はははっ!!ダメで~す。ペットに人権も拒否権ねぇから」
しかし誘拐犯はそれを楽しむように白い手がワキワキと指を動かしながら、まるで次の獲物を狙う蛇のように首筋へとそのナイロンの指先で触れてしまった。
「ひぎぃいいっっ!!」
くすぐられ笑い続けて汗で湿ったうなじの生え際から、耳の後ろの敏感な窪み、そして顎の下の柔らかい部分へと、その白く滑らかなナイロンの指先で撫でるようにくすぐり始める。
「ぎゃはひはふはははははははははははははっ!!!じぬぅぅぅううううううっ!!!!ぐぎゃひははははははははっ!!」
脇腹とはまた質の異なる、ゾクゾクするような鋭敏で耐え難いくすぐったさに男は頭をブンブン振りながらそのくすぐる手から逃れようと暴れる。
しかし額と肩は硬く固定されているためその抵抗は空しく、誘拐犯の白い手は離れるどころか弄ぶように滑る指の腹で何度も何度もくすぐり撫でた。
「なぁくすぐってぇ?くすぐってぇよな?なぁなぁ」」
そして首を容赦なくその手袋の指先でくすぐりながら、誘拐犯は笑い狂う男の目を見つめて楽しそうに笑っている。
その姿が本当に恐ろしくて、俺は無意識のうちに自分の首筋に手をやっていた。
誘拐犯と違って素手である自分の手の感触にさえビクッとしてしまい、そこを思い切りくすぐられている男の状況を思うと更に震えた。
その目線の先では誘拐犯の白い指先が、男の弱点を一つ一つ確認するように執拗に首の周りを徘徊する。
そして鎖骨の上のくぼみを指の腹でゆっくりと円を描くように撫で、喉仏のすぐ横の呼吸をするたびにわずかに動く敏感な部分を、指先で軽くリズミカルにトントンと弾くようにくすぐり刺激し続けるのだ。
「ひゃひはははははははははははっ!!だずげでだずげでだずげでぇえええええっ!!ぐひゃひはははははははははっ!!」
「あぁ、良い声だ。そのまま一生笑い続けてくれよ」
尋常ではないくすぐったさに加え、一切容赦のない誘拐犯の言葉は男の精神までもじわじわと追い詰めていっているようだった。
見ているだけの俺でさえ、そのくすぐられる姿に苦しさを感じて胸が締め付けられるようだった。
見るからに男はもう限界だというのに、誘拐犯たちは本当に男を玩具としてしか見ていないのか、壊れるまでくすぐり遊ぶつもりの様子に自然と身体が恐怖で震える。
「脇腹元気なくなってきてんじゃねぇの?ちゃんとビクビクさせてやるからなぁ」
「こちょこちょ言われるだけでもくすぐってぇだろ?ほら、こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ~」
「これからもっとくすぐったくなるんだぞ?この程度でギブなんかありえねぇって」
首をくすぐる間も絶え間なく誘拐犯の白い指は脇腹もくすぐっており、一切の慈悲も躊躇も見せない精密な拷問機械のように、男の脇腹の最も神経が集中する箇所である肋骨のわずかな隙間や筋肉の境目を、的確に絶妙な力加減で攻め立て続ける。
白い指先が指先で皮膚を優しく引っ掻くように鋭く刺激したかと思うと、指の腹全体を使ってこね回すように圧迫しながら撫でた。
「ぎゃはひははははははははははははっっ!!ゆるじでぐだざいぃぃいいいっ!!ひぎぃぃいいっひゃひはははははははっ!!」
誘拐犯達のナイロンの手袋が肌の上を滑るたびに、男の身体はビクンビクンと大きく跳ね上がり、その度に絶叫に近い笑い声が溢れる。
「アホかよ。こんぐらいで許すわけねぇじゃん。まだまだくすぐり足んねぇし」
「そうだよ。まだくすぐってぇとこいっぱいあんだろ?」
誘拐犯の白い指先は強弱やリズム、責める箇所を微妙に変化させ、決して男が慣れることがないようにくすぐっているようだった。そ
その全てが計算され尽くされているかのように、男に一瞬の安息も与えないくすぐり。
あのくすぐりを俺もこの後受けることになるのかもしれない。
普通の男があぁなるなら、敏感でくすぐりに弱い俺があんなことをされたらどうなってしまうのか。
考えるのをやめたくなる程にそれは絶望だった。
「ひぎひゃひはははははははははっ!!だずげでぇええっ!!!んぎゃひははははははっ!!がわっでぇえええっ!!ぎゃひはははははっ!!がわれぇえええっ!!!」
くすぐったさに笑い涙を流す目が再び俺に向けられる。
涙でぐしゃぐしゃになった顔で、必死に俺に代わってくれとまた懇願してくる。
そんな男に同情はするものの、むしろ自分だけでも今すぐ逃げ出したいとすら思ってしまっていた。
くすぐりにより涙と汗が止めどなく溢れ出し、頬を伝い、首筋、そして拘束された腕へと流れ落ち、シーツに大きな濃い染みを広げていく。
そしてもはやコントロールのきかない身体は、くすぐったさに甲高い笑い声と悲鳴、絶叫が絶え間なく漏れ続けていた。
そんな地獄のような光景の中、更にくすぐりに参加していなかった誘拐犯が絶望に落とすような言葉を放つ。
「そろそろ足も可愛がってやる」
「ずっと足動かして誘ってたもんなぁ」
舌なめずりしながらいやらしい笑みを浮かべて言うと、二人の男が音もなく男の足元へと移動したのだ。
「ひぃぃぃいいいいいいっ!!!ぎゃひははははははっ!!嫌だぁああああああっっ!!」
男は必死に足を動かして抵抗を試みるが、ガチャガチャと枷が音を立てるだけで逃げることはできない。
上半身をくすぐられ汗ばんだ男の足裏へ、その白いナイロンの手袋の4つの手が同時にその裸足の裏へと襲いかかった。
「ぎゃあっひはひゃひははははははははははははははははははははははっっっ!!!!!」
脇腹や首だけでなく足裏にまでそのくすぐりの手が伸び、理性の箍が完全に外れた獣のような笑いが部屋中に響きわたる。
そんな獣のような叫び笑う男の足裏を、それぞれ二つの白い手が獲物を貪るように襲いかかり、カリカリこちょこちょと指を立てて踊りくすぐった。
「がはひははははははははははははっっ!!!やだやだやだやだやだぁあああああっ!!ぎゃひははははははははっ!!」
既に成人している男がまるで駄々をこねる子供のように叫び、涙を流しながらくすぐったに笑い叫ぶ。
「はははっ!!足裏もくすぐってぇよなぁ。皮が厚い分強めにこちょこちょしてやるなぁ」
「あぁ、良い反応だ。もっと笑い苦しんでくれよな」
そんな笑い苦しむ男を見ながらも、誘拐犯たちは笑うだけで手を緩めてはくれない。
誘拐犯達は心からこの光景を楽しんでいるのがわかり、それが怖くて仕方なかった。
白い指先が土踏まずの最も窪んだ神経が密集するアーチ部分に深く食い込み、グリグリとまるで骨に直接響かせんばかりの勢いで抉るように圧力をかける。
「ここが足裏だと弱いんだろ?おらおらっ」
「ひぎぃっひゃひははははははははっ!!ぞご嫌だぁあああぁああああっっ!!ぎゃひははははははっ!!」
誘拐犯は執拗に足裏の弱い場所を攻め立て、そのたびに男の全身がベッドの上でまるで巨大な魚のように激しく弾み、拘束具が悲鳴のような軋みを上げながらガタガタと激しく揺れた。
十本の指先が爪の生え際から指の付け根までを、まるで虫が這い回るかのように執拗に揉んだかと思うと、ナイロンの滑らかな表面で足裏全体を確実に皮膚の全ての感覚を拾い上げながら、何度も何度も素早く往復する。
「嫌って言われると余計やってやりたくなるよなぁ。おらこちょこちょこちょこちょ」」
誘拐犯達は笑い暴れる姿に笑みを浮かべながら、指と指の間の人に普段触れられることのない極めてデリケートな皮膚を、白い指先でスルスルと意地悪く掻き分けるように刺激する。
その度に男は息を詰まらせ短く甲高い悲鳴のような笑いを漏らし、全身を激しく震わせ暴れた。
かかとの周りの比較的硬い皮膚を滑るナイロンの指の腹でゆっくりと掻くように撫で、強烈なくすぐったさが神経を直撃しているように男が笑いもがく。
「あぎゃひははははははははははははっ!!だずげでぇえええっ!!ひぎひゃひははははははっ!!じんじゃうぅぅううっ!!」
必死の懇願も止まることのない強制的な笑い声に掻き消される中、誘拐犯達は一切気にする様子もなく鬼畜に滑らかなナイロンの白い指を肌の上で滑らせ、強烈なくすぐったさを延々と男に与え続けた。
誘拐犯達は観察するように男の笑い悶える顔を覗き込み、くすぐりながら口角を歪めて満足げな嗜虐的な笑みを浮かべている。
端から見たらただ誘拐犯達は男をくすぐっているだけだと言うのに、俺はこれから拷問をされる順番を待つ囚人の気持ちになり、自分を守るかのように自然と腕で自分を抱いていた。
男の笑い声はもはや絶叫で、目はくすぐられ続けたせいで虚ろになってきており、身体もおかしくなっているかのようにくすぐったさに痙攣している。
それでも誘拐犯達は男を解放するつもりはないようで、それどころか更なる地獄に落とすかのように言い放った。
「さて、最後に弱点責めといくか」
「腋の下が一番効くだろ?いつも嬉しそうに笑うもんなぁ」
その言葉に他の誘拐犯たちの顔にも、期待に満ちる残酷な笑みが広がる。
こんなに笑い悶えていると言うのに、これから男の一番の弱点を責めると言うのだ。
俺は誘拐犯達のあまりの鬼畜ぶりに全身に悪寒が走り、自分の腋の下を無意識に守るように腕を組んだ。
そんな中、残った二人の誘拐犯が男の汗でぐっしょりと濡れて開け放たれた両腋へと近づいていく。
そして二人はその白い手袋をはめた両手を、男の無防備な腋の下へと伸ばしたのだ。
「ぎゃああああああああっ!!ひひゃひはははははははははははっ!!嫌だぁあああああっ!!!」
男は最後の力を振り絞るように叫ぶが、誘拐犯達の白い指先は躊躇なくその神経が集中する腋の窪みへ、それぞれ10本の指先で触れ撫でた。
「ぎゃぁぁあああっひっひゃひははははははははははははははははははははははははははははははははははははっっっっっっ!!!!!!」
もはや人間の声には聞こえない喉が張り裂けんばかりの、空気が激しく摩擦し破裂するような笑い声。
絶望と苦しみと、そして通常の人間には耐えることのできない程のくすぐったさによる、狂ったような笑いの混ざる断末魔の絶叫だった。
腋下への直接的な滑るナイロンの指でのくすぐりによる刺激は、他のどの部位への責めとも比較にならない程のくすぐったさを伴っていたのだ。
「そうだ良いぞ!もっと良い声を聞かせてくれ!」」
「あぁ、この声がたまんねぇんだよなぁ」
「俺完全に勃起したわ」
「俺も俺も」
誘拐犯たちはくすぐりながら完全に興奮状態にあり、その顔には恍惚としたドSな喜びの表情が浮かんでいる。
彼らにとって男をくすぐり悶えさせることは、性的な欲求を満たすものなのだとここで理解し、同時に恐怖した。
人間は性欲のためならこれほどまでに残虐になれるということを、今まざまざと見せつけられているのだから。
柔らかく神経の集中する敏感な腋を、誘拐犯達の手袋の指が容赦なく掻き回す。
指の腹全体を使って溝を撫で回したかと思うと、指先を立てて優しく掻くように複数の指で腋の窪みを擦った。
「ひぎぃぃいいいっひゃひはははははははははははははっ!!じぬじぬじぬじぬじぬぅううっ!!ぎゃひははははははははっ!!あ"ぁ"ぁあ"ああ"ああっっ!!」
「はははっ!そんなに腋くすぐられんの嬉しいかぁ。一番好きなとこだもんなぁ」
「もっと大笑いして俺らを興奮させたら、やめて貰えるかもしんねぇぞ?ほら頑張れ頑張れ」
涙を流しながらもくすぐりで強制的に笑わされ、ガチャガチャと拘束具を揺らしながら死に物狂いで暴れていると言うのに、誘拐犯達の表情はどこか恍惚としたような表情で、その異様さがさらに恐怖を煽ってくる。
そして弱点である腋下だけでなく、身体をくすぐる白い手達は脇腹、腹部、首筋、足裏、内腿を動き回りながらくすぐり、身体のくすぐったくない場所がない程のくすぐりの波が男を襲っていた。
「ぎゃひははははははははははははははっっ!!お"ぉぉ"おお"おっっ、ひぎひゃひははははははははははっっ!!」
そして弱点である腋は最も執拗にくすぐられていた。
滑らかなナイロンの手袋の指が汗で湿った皮膚の上をぬるぬると滑りながら、両腋の溝をわしゃわしゃこちょこちょと休みなくくすぐり、それを受け続ける男はベッドの上で激しく身体を震わせながら、もう言葉にならない声で笑い続けるしかない。
「はぎゃひひゃひぎゃはぐぎゃひははははははははははははははははっっ!!」
「こいつ落ちそうになってね?」
「おいおい、もうちょっと頑張れよ~。じゃねぇとまた次お前のこと選ぶぞ」
「ただくすぐってるだけだろ?こんぐらい耐えろよなぁ」
そんな乱雑な言葉を吐くくせに誘拐犯達の指の動きは驚くほど精密で無駄がなく、ある指は皮膚の表面を羽のように軽く撫で、油断させた瞬間に別の指で強く刺激を与える。
またある指は男の各所にある弱い部分を、高速で細かく震わせるように刺激し続けた。
「ぎゃはひひゃひははひふひゃひぎゃははははははははははははっっ!!」
誘拐犯達の激しいくすぐりに男の言葉は完全に失われ、狂ったような笑い声だけが漏れ出る。
涙も涎も汗ももはや区別がつかないほど顔中を濡らし、呼吸は極度に浅く速くなっているのが胸の動きから見て取れた。
男の表情は笑っていると言うのに、その辛さが痛い程に伝わってくる。
それでも白い手は止まらない。
くすぐられて笑い続ける男の表情が虚ろになってきているのを見て、むしろ嬉しそうにしながらその滑らかな指先を動かし続けた。
「あぁ、もう落ちるぞ」
「ったく、使えねぇなぁ。休憩させてもっと楽しむか?」
「いや、今日は良いだろ。この後にお楽しみが待ってるんだ」
彼らの声は興奮でわずかに上ずっているように聞こえた。
そしてチラっと俺を見る目に、思わず鳥肌が立ってしまう。
お楽しみが待ってる。
それが何か嫌でも頭が理解しそうになるのを、俺は男に集中することで必死に誤魔化した。
そうでもしないと俺は恐怖で泣き出してしまいそうだったから。
執拗に、そして無慈悲に、もはや抵抗する力も叫ぶ力も残っていない男の身体の脇腹、首筋、腹部、足裏、内腿、そして弱点である腋下を、その滑らかな手袋の指が這い回り逃れられないくすぐったい刺激を送り続ける。
「ぎゃひはははははははっっ!!あぁっ……んひゃひははははははははっっ!!おぉっ……」
壮絶な笑い声に、喉の奥から漏れ出るようなか細く途切れ途切れの声が混ざる。
「おらっ、さっさと落ちろ!!」
そしてその声を合図に、男の身体をくすぐる誘拐犯の白い手が一斉に動きを早めた。
「はぎゃひははははははははははははははっっ!!あぁぁぁああああああああああああああああっっっっ!!!っっっっっっっっっっ!!!」
そしてついに笑い声と絶叫の後男の身体が大きく痙攣したかと思うと、一気に力が抜け落ちたかのように頭は力なく横に垂れ、半開きの口からは僅かな呼吸音だけがかろうじて漏れ出てくるだけになってしまった。
全身は大量の汗でびっしょりと濡れ、完全に虚ろな状態でぐったりとして生気が僅かにしか感じられなかった。
もういくら誘拐犯達がくすぐっても反応はせず、完全に意識を手放してしまったようだ。
「落ちた落ちた」
「ったく、情けねぇなぁ」
誘拐犯達の呼吸は乱れていたが、盛り上がった股間を見る限りそれは恐らく疲労からではなく興奮からだろう。
これで終わりどころか、今が一番盛り上がっている状況だと言うのがこれからのことを考えると怖かった。
誘拐犯達は慣れたように手際よく気を失った男の拘束を解き始めると、数人で男を運んで別の部屋へと連れて行ってしまう。
恐らくあの牢屋のような場所に戻されるのだろう。
そしてそんな様子を茫然と見ているだけの俺に、残った男達が一斉に目を向けて来た。
「さて、準備運動も終わったことだし、メインディッシュにいこうか」
「見学はここで終わりだ。たっぷり予習はできただろ?」
歪んだ笑顔で俺を見る誘拐犯達が、俺を絶望へと落とす言葉を弾むような声で言った。
そしてその白い手を俺へと伸ばしてくる。
「ひぃいいいいっっっ!!」
足が震えて膝がガクガクと笑い、立っていることすら困難になる。
口からは情けない程に怯えた声が漏れてしまい、その手袋の手が俺へと近づくと血の気が引くのが分かった。
「やっぱり初めて奪ってやる時が一番楽しいよなぁ」
「そんな怯えんなよ。興奮しちまうだろ?」
「大丈夫だって。すぐに笑いたくなる程楽しくなるからよ」
震える身体を必死に抱いて落ち着かせる俺の腕を、その言葉と共に白い手袋の誘拐犯の手が掴んだ。
END