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製作を断念した凌辱系ゲーム その1

チグサ 「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇいっ!!」 山賊(妖魔)1 「ぐあっ!!」 気合いの入った声と共に放たれたチグサの一 閃で、山賊の一人が倒れる。 その横には、武器を構えつつも少し顔を引き つらせたカグヤがいた。 カグヤ 「ひっ……」 彼女たちは、見習い討魔士として、小隊に加 わっている。 まだまだ見習いなので、任務としては軽い、 少人数の妖魔で構成された山賊の討伐を任さ れていた。 チグサ 「やあぁぁぁぁぁっ!!」 山賊(妖魔)2 「ぎゃあぁぁぁっ!」 この頃から、才能の片鱗を見せていたチグサ は、勇ましく自分よりも大きな妖魔を斬り捨 て倒していく。 それに引き替え、カグヤの方はというと。 カグヤ 「ひっ……ひいっ……」 今の面影等はなく、臆病な彼女はすっかり怯 えてしまっていた。 構えも隙だらけで身体は完全に萎縮しきって いる。 必然的に、そこに隙が生まれてしまう。 山賊(妖魔)3 「きええええぇぇぇぇぇぇぇっ!」 カグヤ 「きゃあっ!!」 チグサ 「カ、カグヤちゃん!?」 ひときわ体格の大きな妖魔が、弱そうなカグ ヤに目を付けて、襲いかかってきたのだ。 カグヤ 「いやぁぁぁぁぁっ!!」 戦うどころかカグヤは怯み、その場にしゃが み込んでしまう。 自分の3倍もあろうかという巨体を前にすれ ば、それは当然のことなのかもしれない。 しかし彼女は、見習いとはいえ討魔士。 隙を見せれば、それは自らの命を失うという ことなのだ。 それすら忘れてカグヤは怯え震えてしまって いた。 カグヤ 「た、助けてぇぇぇぇぇっ!!」 チグサ 「危ないっ! カグヤちゃんっ!」 カグヤの聞きにチグサの身体が自然に動く。 だが妖魔は、その大きな手でチグサに襲いか かっていた。 山賊(妖魔)3 「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」 妖魔の横に振られ、その瞬間に鮮血が迸る。 カグヤ 「ああっ……ああああっ……」 その時、カグヤの目に映ったのは、斬りつけ られた自らの傷では無く、親友の腕に刻まれ たものだった。 山賊(妖魔)3 「な、なにぃぃぃっ!?」 カグヤ 「あっ……………」 カグヤをかばうように、いつの間にか、チグ サが妖魔との間に入っている。 その腕からは、大量の血が滴り落ちていた。 しかし当のチグサは、その痛みにすら気がつ いていないようで、憎悪の目を妖魔へと向け ている。 チグサ 「カグヤちゃんを……カグヤちゃんをイジメ るなぁぁぁぁぁぁっ!」 チグサは辺り響き渡るような声で絶叫しなが ら、大柄な妖魔に斬りかかっていく。 その刃は鋭く速く、まるで風のように駆け抜 けていった。 チグサ 「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 山賊(妖魔)3 「ぐおおおおぉぉぉぉぉっ!!」 再び鮮血が上がり今度は妖魔の巨体がゆっく りと崩れ落ちていく。 そんなチグサの活躍もあり、任務は一人の犠 牲者を出さずに達成された。 だが、そんな中でカグヤだけは、帰り道で泣 き続けている。 カグヤ 「ううっ……ううぅぅぅっ……」 チグサ 「どうしたの? カグヤちゃん。もしかして 怪我したの?」 チグサは泣きじゃくるカグヤを気遣いながら 帰り道を並んで歩く。 カグヤは、ただ泣きながらチグサに謝り続け ていた。 カグヤ 「ううっ……ちがうよぉ……ご、ごめんね、 ごめんね……チグサちゃん……」 チグサ 「えっ? なにが?」 カグヤ 「だって……だって……チグサちゃんの腕に 怪我させちゃって……うぅぅっ……私のせい で、ごめんね……ごめんね……」 チグサ 「こんなの全然大丈夫だよ、カグヤちゃん。 それよりも、カグヤちゃんが無事で良かった よ、あははははっ」 健気に自らの傷に耐えて笑ってみせるチグサ の姿に、カグヤは衝動的に涙を溢れさせてし まう。 カグヤ 「あううっ……ううっ……ううううううっ、 うえぇぇぇぇぇんっ!」 チグサ 「カ、カグヤちゃん、そんな……泣かないで カグヤちゃん」 カグヤ 「わ~んっ! うわぁ~~~~んっ!」 チグサ 「カグヤちゃん……」 カグヤ 「うわぁ~~~~んっ! うえぇぇぇぇっ! うわぁぁぁ~~~~~んっ!」 大泣きしたその日に、カグヤは心に誓ったの だった。 いつか自分がチグサを守るのだと。 強くなって、今度は自分が守る立場になるの だと。 そして、その日からカグヤは血の滲むような 努力を重ねて、自らの力を高めていったので ある。 今度は私が、必ずチグサを守ってみせる。 そんな気持ちがカグヤを強く育てていったの だった。 カグヤ (私は強くなった……この力で今度は私が、チグサを守るんだ……) 任務に向かいながら、昔の事を思い出していたカグヤは、自らの誓いを心で呟き、グッと拳を握りしめる。 彼女が所属する小隊は、妖魔討伐の為に現場へと向かっている途中だった。 その任務は、通常任務の範囲内で、敵を強襲して討伐して終わるようなもの。 その筈だったのだが……。 討魔士1 「!? て、敵襲だっ!!」 カグヤ 「なにっ!?」 監視の一人の叫びに、小隊は進行を止めて身構える。 小隊長 「各自、迎撃態勢を取れ! 油断するな!!」 小隊長が、そう命じた時には、そこらから討魔士達の悲鳴が上がっていた。 討魔士2 「ぐあっ!」 討魔士3 「ぎゃあぁぁぁぁっ!!」 妖魔の奇襲は、まるで討魔士が来るのをわかっていたかのような待ち伏せである。 カグヤ 「くっ!! なんで……」 カグヤは動揺しながらも、襲い来る妖魔達を撃破していった。 しかし、敵の動きが、まるでカグヤの戦い方を知り尽くしているような感じに見える。 カグヤ 「な、なんなんだ!? このっ!!」 妖魔1 「うがぁぁっ!」 強さで勝るカグヤは、辛うじて敵を倒していけているが、周りの討魔士達は、総崩れになりつつあった。 討魔士4 「ぎゃあぁぁぁっ!」 討魔士5 「ぐはぁぁぁっ!」 カグヤ 「くそっ……このままでは……」 カグヤは自分に襲いかかってくる敵を倒しつつも、他の討魔士達のサポートにも回る。 とはいえ、その戦闘は、あまりにも不利だったので熾烈を極めた。 カグヤ 「うああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 全員が士気を落としている中、カグヤだけは孤軍奮闘し、次々と敵をなぎ倒していく。 カグヤ 「こ、こんなところで……やられてたまるかっ! おおおおおおぉぉぉぉっ!!」 妖魔2 「うげっ!」 妖魔3 「うぅっ……くぅぅっ……」 苦戦を強いられた戦闘が終わり気がつくと、周りには動く者が彼女以外一人もいない。 カグヤ 「はぁはぁはぁ……」 静香になった辺りを見回すと、妖魔と討魔士の屍が累々と横たわっていた。 地獄絵図のような状況を目の当たりにして、カグヤは愕然としてしまう。 カグヤ 「な、なんで……こんな……」 呆然としながらも、彼女は生存者を探して辺りを見回し続ける。 すると、そんな中に、何とか一命を取り留めた隊長を見つけた。 カグヤ 「だ、大丈夫ですか? しっかりして下さい」 隊長 「うっ……うぅぅっ……」 カグヤ 「ひどい傷だけど……まだ、間に合いそうだ……」 取りあえず怪我の手当てをすると、カグヤは養成所へと向かおうとした。 ??? 「ちっ……」 その時、微かに舌打ちが聞こえ、何者かの気配を感じ取る。 カグヤ 「……………」 カグヤは咄嗟に身構えるが、相手に動く気配は無い。 どうやら相手は、仕掛けてくるつもりは無いらしい。 そうなると、ここは怪我人を安全な場所へ運ぶのが先。 そう考えた彼女は、気配に意識を向けながらも、その場から去って行った。 カグヤ 「それにしても……どういうことなんだ……」 帰り道、カグヤは今回の異常な事態について考える。 こちらが強襲するはずだった任務。 だが、敵はそれを知っていたかのように待ち伏せしてきた。 しかも、どんな討魔士が来るかを知っていたかのような戦い方。 どう考えても、こちらの動きや部隊編成が漏れていたとしか考えられない。 カグヤ 「まさか……」 悪い予感を抱えながら、カグヤは養成所へと帰還する。 まずは負傷した隊長を救護班の元へと運び、すぐに彼女は今回の任務に関しての報告に向かった。 上司 「そうか……待ち伏せか……」 カグヤの報告に、上司は表情を曇らせる。 そして重い口を開き、ゆっくりと語り始めた。 上司 「ここ最近、負傷者や行方不明者……それに任務での死者が後を絶たない」 カグヤ 「それでは……まさか……」 上司 「内通者がいる……可能性も考えなければならないだろう」 カグヤ 「内通者……」 仲間の中に裏切り者がいる。 それは、あまりにもショックな事実だった。 しかし、そう考えなければつじつまが合わない事態が多く起こっているのだ。 カグヤ 「……………」 上司 「カグヤ……お前に、極秘調査を命じる」 カグヤ 「内通者を探せ、と……」 上司 「そうだ。誰が裏切り者なのか……見極めるのだ」 カグヤ 「……承知」 命令とはいえ、仲間を疑わなければならない任務は、あまりにも嫌なものである。 それでもカグヤは、任務や鍛錬の合間を縫って、内部調査を進めていく。 数日間の調査の末、養成所をこっそりと抜け出している人物がいることが発覚した。 カグヤ 「誰なんだ……?」 彼女は気配を消して、その人物の確認することにする。 カグヤ 「……………」 深夜、暗闇に隠れるようにして動く人物。 その人物を雲間から差した月明かりが照らす。 カグヤ 「!?」 照らし出された、その人物の顔に、カグヤは見覚えがあった。 その男の名はシュラ。チグサが所属する隊の小隊長である。 カグヤ 「まさか……」 よりにもよってチグサの所属する隊の小隊長が裏切り者など、あまり考えたくないことだった。 しかし、もしシュラが裏切り者ならば、小隊に所属するチグサが危険な目に遭いかねない。 それだけは、断固阻止しなければならないと思ったカグヤは、シュラを徹底的にマークし始めた。 カグヤ 「……………」 養成所では、まるで裏切り者という印象を受けない。 それどころか、小隊長として良くやっている感じだ。 チグサ 「あっ、カグヤちゃん! どうしたの?」 カグヤ 「チグサ……」 小隊の練習をそれとなく見ていたカグヤに気がついたチグサが駆け寄ってくる。 小隊長を疑っているだけに、カグヤとしては何となく後ろめたく感じてしまう。 チグサ 「もしかして、何か用事?」 カグヤ 「あっ……いや……別に……」 思わず口ごもるカグヤだが、チグサの方はあまり気にした様子はない。 カグヤは、もともと口数の多い方ではないからだ。 カグヤ 「それよりも……チグサは、最近どうなんだ?」 それとなく隊の情報を聞き出そうと、カグヤは切り出してみる。 するとチグサは少し考えて、ポツポツと語り始めた。 チグサ 「う~ん……取りあえずは、普通にやってるけど……」 カグヤ 「けど……?」 チグサ 「任務の時、隊長の指示で危ない状況になった事が、結構あったかなぁ」 カグヤ 「チグサは……大丈夫だったのか?」 チグサ 「うん、大丈夫だったよ。隊のみんなも、何とか無事だったし」 何気なく話すチグサとは対照的に、カグヤは神妙な面持ちになっていく。 カグヤ (やはり……シュラには、何かありそうだな……) チグサ 「シュラ隊長、戦闘には優れているけど、作戦を考えたり指示を出すのは苦手なのかな?」 カグヤ 「チグサ、気をつけないと危ないぞ」 チグサ 「うん、心配してくれてありがとね、カグヤちゃん」 カグヤ 「あっ……う、うん……」 もし、シュラが裏切り者だったら、放っておくとチグサが危険だ。 そう考えたカグヤは、早速上層部へと報告に向かった。 上司 「そうか……シュラが……」 カグヤ 「まだ、確固たる証拠はありませんが」 上司 「確かに……奴の部隊の報告を見ると、無茶な命令が度々あるな」 資料に目を通しながら、上層部の人間は深刻な表情を浮かべていく。 上司 「自分の戦闘力を基準として無茶をやらせているかと思っていたが……それだけでもないかもしれん」 カグヤ 「……………」 しばし考え込んでいた上層部の人間は、カグヤを真っ直ぐ見つめながら、重い口を開いた。 上司 「カグヤよ、お前は一時的に隊を抜け、シュラの監視の任務を与える」 カグヤ 「監視……ですか?」 上司 「そうだ。そして、もしシュラが裏切っているとするならば、即刻始末するのだ」 カグヤ 「……わかりました」 カグヤは意を決したようにそう返事をすると、その場を後にする。 そしてそのまま、シュラの監視という任務に就いた。 カグヤがシュラを監視し始めて数日後……。その時は、不意に訪れた。 カグヤ 「んっ……」 辺りを気にしながら外に出てきたシュラは、素早い動きで外へと向かう。 カグヤ 「どこに行く気だ……?」 カグヤも気配を消して、その後を追った。 どれぐらいの距離を追っただろうか。シュラが足を止めたのは、深い森の奥である。 シーンと静まった森の中でシュラが足を止めると、すぐさま彼の周りに何かが沸き上がるように現れた。 カグヤ 「あっ……あれは……!?」 シュラの周りに現れたのは、間違いなく妖魔。 しかし、カグヤはまだ動かずに、彼らの様子をうかがっていた。 まだ、シュラが裏切り者だという証拠は無い。 確固たる証拠を聞き出すまでは、うかつに手は出せないのだ。 カグヤ 「……………」 聞き耳を立てると、シュラが妖魔達に話し始める。 シュラ 「……で、前回の情報と討魔士の女の代金、どうなっているのだ?」 妖魔1 「わかっている、ほら……報酬だ」 妖魔はそう言うと大金をシュラへと差し出す。 これは間違いなく、裏切り行為だ。 しかも、仲間の情報だけじゃ無く、討魔士の女の代金とまで言っていた。 正義感の強いカグヤは、それが許せず、衝動的にシュラの前へと飛び出していった。 シュラ 「な、なにっ!?」 カグヤ 「シュラ……まさか、あなたが裏切るとは……」 シュラ 「カ、カグヤか……い、いやっ……こ、これは……違うんだ……」 カグヤ 「……………」 シュラは一瞬混乱して焦り、誤魔化そうと言葉を探す。 シュラ 「い、今……情報を集めに来たら、強襲されて……あ、危ないところだったんだ」 カグヤ 「その割には……金など貰っていたようだが」 カグヤのその一言に、シュラの顔色が一気に変わる。 だがすぐに開き直ったように、邪悪な表情を浮かべた。 シュラ 「くっくっくっ……そうか……見られていたか……」 そう呟くとシュラは目配せをする。 すると周りの妖魔達は、カグヤを取り囲むように動いた。 カグヤ 「なるほど……それが貴様の本性か……」 シュラ 「気がつかなければ、生き長らえたものを」 カグヤ 「……」 カグヤはスッと戦闘態勢を整える。 その瞬間、カグヤから発せられた殺気に反応したかのように、妖魔が襲いかかってきた。 しかしカグヤも、それに反応して身を翻す。 シュラ 「ちっ……」 思わず打ったシュラの舌打ちに、カグヤは前回の任務でのことを思い出した。 あの時も、妖魔を倒した後、こちらをうかがっていた何者かがしたのと同じ。 シュラが裏切り者だとすれば、あの時の奇襲もカグヤには納得がいった。 カグヤ 「このっ……裏切り者め!!」 怒りが一気に込み上げてきた彼女は、襲い来る妖魔を一閃する。 妖魔1 「ぎゃあっ!!」 妖魔2 「ぐあぁぁぁぁっ!!」 鋭い切っ先が妖魔の身体を2つに切り裂いていく。 そして鮮血が迸り、闇夜に散った。 カグヤ 「まだまだっ!!」 赤い血のシャワーを浴びながら、カグヤは月明かりの下を駆け抜けていく。 飛びかかってくる妖魔達を、斬り捨てながら。 妖魔3 「ぐはっ!!」 妖魔4 「あぐっ……ううっ!」 バタバタと倒れていく敵を掻き分け、彼女は裏切り者へと刃を向ける。 シュラ 「くっ……!」 叩きつけられる殺意に、シュラも刀を構え迎え撃とうとするが。 カグヤ 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」 シュラ 「なめるな! ひよっこが!!」 カグヤ 「裏切り者には……死、あるのみっ!!」 キンッ、という金属音が鳴って刃が宙に舞い、次の瞬間……。 シュラ 「ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 噴水のように血が噴き上がると同時に、シュラの口から断末魔のような叫び声も上がった。 そしてボトリと重い音が響く。 シュラ 「お、俺の腕が……ああっ……う、腕があぁぁぁぁっ!!」 地面に転がったものは、シュラの腕だった。 カグヤの一刀の下に、彼の腕はキレイに斬り落とされていたのだ。 シュラ 「うああぁぁぁぁっ! 痛ぇぇっ! 痛ぇぇぇぇぇっ!!」 カグヤ 「ふんっ……金に目がくらみ、仲間を裏切る事ばかり考え、ろくに鍛錬もしていなかった貴様に、私が負けるわけないだろう」 シュラ 「あっ……ぐっ! ううっ……」 ギャアギャアと騒いでいたシュラの喉元に、カグヤの刀がスッと滑り込んでくる。 それを目の当たりにした途端に、シュラの口から叫び声が消えた。 月明かりに鈍く光る、血を纏った刃の先には、確実に死がある。 仮にも封魔士であったシュラには、それは理解できた。 シュラ 「ま、待ってくれ……なっ……た、助けてくれ……た、頼むっ……」 気を失いそうな痛み、そして腕を失った喪失感、その上命まで尽きようとしている状況で、シュラはみっともなくカグヤに哀願する。 その情けのない姿を、カグヤは軽蔑するような瞳で見下していた。 カグヤ 「仲間を裏切り、妖魔と手を組んだ男に、かける情けなどない」 シュラ 「あっ……ああっ……うあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 カグヤの瞳に強烈な殺意を見たシュラは、悲鳴を上げて駆け出す。 とにかく逃げなければ、死が待っていると言う事を瞬時に感じ取ったのだ。 シュラ 「た、助けてくれぇぇ! だ、誰かっ! こ、殺されるぅぅぅっ!!」 手足をばたつかせながら逃げるシュラだが、彼が向かう先には道はない。 シュラ 「ひっ!?」 たどり着いた先は、断崖絶壁の崖の端。 その先にも、やはり死しか待っていない。 愕然とするシュラの背後に、いつの間にかカグヤが立っていた。 その手に握られた刀は振り上げられ、月明かりを反射してギラリと光っている。 カグヤ 「……死ね!!」 シュラ 「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 カグヤの刀が振り下ろされると、シュラの身体から新たな血飛沫が上がり、そのまま崖の下へと消えていった。 カグヤ 「……………」 高さから考えて、シュラが生きているとは思えない。 仮に落ちて生きていたとして、腕からの出血と最後の一撃で、出血多量で長くはない。 カグヤ 「ふんっ……」 カグヤは刀を振って刀身に纏わり付いた血を払うと、鞘に収めて崖に背を向けた。 カグヤ 「……只今戻りました」 帰還したカグヤは、事の次第を全て報告する。 カグヤ 「シュラは妖魔達に情報を漏洩し、その上奴らに封魔士の女性を売り渡していました」 上司 「……で、シュラは?」 カグヤ 「その場で斬り捨てました。妖魔達と一緒に」 上司 「そうか……ご苦労であったな」 カグヤ 「では……失礼します……」 そう言って下がったカグヤだが、その表情はどこか複雑なものだ。 任務とはいえ、相手が裏切り者とはいえ、命乞いをする人間を斬り捨てた。 その事実は、何となく彼女の中でわだかまりになっている。 カグヤ 「……………」 後味の悪い任務を終えて、カグヤはいつも通りに日常へと戻っていった。 そんな彼女に、辞令が来たのは、任務を終えた少し経った後の事。 カグヤ 「私が……小隊長……?」 この人事は、かなりの大抜擢といっていい。 それもこれも、今回の任務成功と、実力が認められたことが大きかった。 裏切り者とはいえ、シュラは封魔士の中でもそこそこの実力者。 その者を倒したとなれば、カグヤの実力というのを認めざるおえない。 カグヤ 「私が……小隊長など……」 命を受けて部屋に戻ったカグヤは、かなり困惑していた。 小隊長など、自分とは無関係な役職だと思っていたからだ。 しかしそんな役職が、突然振ってきてしまったのだ。 カグヤ 「私に小隊長など……」 チグサ 「カグヤちゃ~~~~んっ!! おめでと~~~~~っ!!」 カグヤ 「えっ!? チ、チグサ!?」 突然部屋に飛び込んできたのは、チグサだった。 小隊長などという重責を背負わされ、不安に感じていたカグヤとしては、そのテンションに思わず目をパチクリさせてしまう。 しかしチグサの方は、カグヤとは正反対でハイテンションだ。 チグサ 「すごいよ、カグヤちゃんっ!! カグヤちゃんの歳で、今まで隊長になった人はいないんだって!」 カグヤ 「あうっ……」 チグサとしては褒めているつもりなのだが、カグヤとしてはプレッシャーの方が大きくなってしまう。 しかしチグサの方は、友人のすごい昇格に大喜びだった。 チグサ 「ホントすごいよねぇ、カグヤちゃん! 隊長だよ、隊長!! かっこいいよねぇ!」 カグヤ 「い、いや……わ、私なんかが隊長なんか……」 チグサ 「今日はお祝いだね! ほら、お菓子とかいっぱい持ってきたよ!!」 カグヤ 「お、お祝いって……」 カグヤは自分の事のように大喜びするチグサを見て、思わず苦笑いを浮かべてしまう。 だが、その屈託のない笑みを見て、さっきまでの不安がだんだん消えていく。 チグサ 「今日は朝まで二人でお祝いだね!」 カグヤ 「あ、ありがとう……チグサ……」 あまりにも大喜びのチグサを見て、カグヤはさすがに弱音など口にできなくなってしまう。 チグサ 「ねえねえ、カグヤちゃんは、どこの小隊長になるのかなぁ?」 カグヤ 「い、いや……詳しくは聞いていないけど……」 チグサ 「うちの小隊長になったりして」 カグヤ 「えっ!? チ、チグサの隊の小隊長!?」 チグサ 「ありえるでしょ?」 カグヤ 「そ、それはそうだけど……わ、私がチグサに命令なんて……できないよ」 チグサ 「そう? 私はカグヤちゃんの命令なら、何でも聞くよぉ」 カグヤ 「チ、チグサ……」 チグサ 「あははははははっ!」 二人はたわいもない会話をしながら、小さなお祝いを続けた。 そのうちに、はしゃぎ疲れたのか、チグサが先に寝入ってしまう。 チグサ 「う~ん……むにゃむにゃ……お、おめでと~……カグヤちゃん……」 カグヤ 「チグサ……」 カグヤは幸せそうに寝息を立てるチグサの姿に、思わず小さく微笑んだ。 そしてすぐさま表情を引き締めると、小さな声で呟く。 カグヤ 「私が隊長……みんなを……チグサを守って戦う隊長……」 そう思うとカグヤの心は引き締まり、強い気持ちが芽生えていった。 カグヤ 「私は……もっと強くならなくちゃ……隊長として隊の隊員を守る為に……」 チグサ 「むにゃむにゃ……す~……す~……」 カグヤ 「そしてチグサを……守る為に……強くならなくちゃ」 次回へ続きます。

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