ダンジョンマスターになってから数日経った頃 「ダンジョンの仕組みは何となく把握した」 コアから様々な知識を学んでいた。 ダンジョンマスターになるのだから、必要な知識、役に立ちそうな事は把握しておきたい。その中で最も複雑だったのは、ダンジョンの仕組みだ。何回聞いてもピンとこない所があり、これで6回目の講義になる。 「つまり、ダンジョンは本来意識の無い生命体で、その生命活動を続けるために、あらゆる手段を使って人間を招き入れ、養分にしているってことだな?」 かなり省いてはいるが、これで合っている。 『……それでおおよそ当たっていますが、何となくでは困る……』 コアは若干呆れた様子で言ってくる。 コアにはこの世界の知識の大半が入っている。ダンジョンとなる前はこの土地と繋がっており、様々な知識を共有していた。そのため、コアになる前の膨大な知識を持っているのだ。 「あれだけ複雑な内容を簡潔にまとめられるまでになったんだ、褒めてもらいたいくらいだ」 『何でそんなに威張れるんですかこの低能』 そんな喧嘩をしつつも、本題に入る。 「俺はそのダンジョンの運営をすればいいんだな?」 『そうです。数奇な運命に選ばれた貴方がこのダンジョンを運営するのです。運営しないとコアと連動している貴方は死にます』 「こんなに心に響かない運命共同体初めてだわ」 彼はローパーになる前の知識をフルで動かし、どうするかを決めた。 「……養分ってさ、別に殺さなくても、人間から魔力を取れればいいんだろ?」 『そうですね。むしろそれができれば一番効率がいいのですが』 「なら」 「俺の性癖をフルに詰め込んだダンジョンにする。誰も殺さない、生産とリサイクルを兼ね備えた未だかつてないダンジョンを作るぞ!!」 声高らかに宣言するが、コアは引いてるし、最初に作ったメイド型モンスター『バルム』は静かに拍手するだけだった。 「……ノリ悪いなあ」 『なんでそれでノってもらえると思ったんですか』 悪態をつかれながらも、彼はダンジョンの構想を説明する。 「まずは妊娠をテーマにエネルギーの生産、主に女性の体内を介して魔水晶を産んでもらおう」 『あまりにもイカレタ発想に驚きを隠せない』 「……魔水晶。魔力が結晶化した鉱物ですね」 ゆっくりと口を開いたのは、バルムだった。 「そう。感情の昂ぶりで魔力を生み出せる魔術があるみたいだし、それを快楽の反応に置換して魔力を増産できるようにする。更に術式を組んで魔水晶を産めるようにして、魔力を貰いつつ余った魔力でリターンする。この国だと魔水晶の類はエネルギーとして使われている。それが自分で生み出せるとなれば、必ずリピーターとしてやってくる。第一段階としてはこんな感じ」 早口で説明する彼に対しドン引きを決め込んでいたコアは気を取り直す。 『魔水晶に入れる魔力は、純廃魔力の事か?』 「ああ。人間には吸収できず、ダンジョンの残りとして出てくる純廃魔力。これなら魔水晶の材料に最適だ。外だと魔導具?の燃料に使うらしいから、後は使う人間に託そう」 『……やりたい事は分かった。納得できるかは別として』 「相変わらず酷いな言い方」 彼は咳ばらいをして切り替える。 「んで、第二段階とか諸々の対策についてだけど……」 次々出てくるとんでもない提案に心の距離がフルマラソンレベルに離れたコアだったが、どれも実現すれば多大な利益を得られる。その点は評価に値した。 『……確かにいい案です。不可能という点を除けば』 「なら可能にすればいい。俺がこっちに来れたようにさ」 自信満々に立ち上がり、両手を天に上げる。 「よーし! やるぞ!!」 意気揚々と作業を開始し、ダンジョン造りが始まった。その姿を見ていたコアとバルムは、呆れつつもその可能性に乗る事に決めたのだった。