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"巨大"ヒーロー様の受難 1 約5500字

「っ…………?ここ、は…………?」


目を覚ましたレン・アスカジの前には異空間が広がっていた。薄い緑色の半透明の壁に辺りを覆われており、壁の向こう側で何かが動いていることだけが辛うじてわかる。試しに壁にタックルをしてみるが、身体がぐにゅりと沈みこんで衝撃を吸収してしまい、とても壊せそうにない。


(…………ッそうだ!!!みんなは…………!?)


レンの記憶は侵略生命体出現のアラートを受けて、現場に急行したところでブツリと途切れていた。星の安全を守る最大にして最強の戦力、巨大ヒーローとして出撃したところまでは覚えているが、それ以降が分からない。


(一体何が…………まさか、敵に捕まってしまったのか…………?)


周りには誰もおらず、不思議な空間に自分1人。守るべき街や国民の安否は一切不明。バディヒーローであるタクヤの姿も見えず、レンの表情に焦りが浮かぶ。ただ、幸いなことに身体の動きには支障がなかった。どこも縛られていないし、怪我もない。それを確認するとレンはすぐさま立ち上がり、いつ敵が現れても対処できるように静かに感覚を研ぎ澄ました。肉弾戦であれば自分が負けることはまずないだろうと判断し、即座に現状を打破するための策を練り始める。


その判断の速さは流石といったところか。24歳の若さにして既に250以上もの戦果を挙げ、歴代最年少で巨大ヒーローの頂点に立ったスーパーエリート。その体躯は一般人から頭3つ以上飛び出るほどに大きく、鍛え上げられた肉体は鋼のような強度を持って多くの攻撃を無に帰してきた。それでいて頭も冴え、俳優顔負けの整った顔立ちも併せ持つ、正に天に二物も三物も与えられた存在。それがレン・アスカジという男だった。間違いなくその星の頂点に君臨するに相応しいスペックの持ち主であり、レンもそれを自負していた。


故に、レンは想像もしなかった。


自分のプライド、自信、信念。

今までの人生で培ってきた輝かしい勝者の証、それら全てが一瞬のうちに粉々に砕け散ることになるとは。





(…………?壁が…………)


ブウンと鈍い音がして、辺りを包んでいた障壁が解かれた。視界が開けると同時に、生暖かい蒸し暑さと異臭が辺りに漂う。


(なんだ……これは…………?)


最初にレンの目に飛び込んできたのは、巨大な膨らみ。圧倒的な存在感を放ちながら目の前にずっしりと鎮座している。大きさは実にガスタンクを越えるほどデカい。警戒しながら近づいてみると、生物のようにビクビクと脈動していることが分かった。辺りに漂う熱気や臭気もここから発生しているようだ。表面は黒色の布地のようなものに覆われており、中央部にはじっとりと湿っていることを感じさせる濃いシミがある。そこからムワりと放たれる、どこか嗅いだことのある独特な臭いがレンの鼻をついた。


(凄い匂いだな……毒性は無さそうだが…………)


異臭から逃れるようにレンは膨らみから視線を落とし、周辺の様子を確認した。今、レンが立っている地面は前方が切り立った崖になっている。膨らみはその先端に伸しかかるように存在していた。膨らみの両脇には樹齢数千年の大樹のようなものが2本伸びており、崖の下に続いている。地面はガラスのようなツルツルとした素材で、人工的に作られたもので間違いない。


(高度文明の廃都市か何かか……、この膨らみは臭いで獲物を弱らせる類の食虫植物かもしれないな)


レンは膨らみの正体に軽く見立てをつけ、今度は膨らみの上側を確認しようと顔を上げた。


(ぁ…………えっ…………?)


レンの思考が、停止する。


膨らみの上にあったのは、空を覆い尽くさんばかりに広がる肌色の壁。故郷の国王が住む城の城壁のような堅牢さで遥か上まで聳え立っていた。表面には深い溝があり、中心部はボコボコと複数のブロックに別れて膨らんでいる。壁は全体からじわりと水滴が滲み出ており、てらてらと輝いている。壁の下部には黒い膨らみの中に伸びる太いパイプのようなものが這っていた。


(いや…………まさか…………そんな、はず)


じとりと嫌な汗がレンの背中を伝う。目の前に聳え立つこの巨大な物体の正体が何なのか、理解してしまった。本能的な恐怖がレンの心を瞬く間に蝕んでいく。どうか、どうか自分の仮説が間違っていて欲しい。そんな淡い期待を抱きながら、恐る恐る更に上を見上げた。


しかし、残念なことにレンの見立ては正しかった。


壁の上にあったのは大きく迫り出した筋肉の塊。パンパンに張り詰めて乳首が下を向くほどに大きく隆起した、逞しい"大胸筋"が矮小なレンを押し潰さんとばかりの迫力で空を支配していた。


(マズい…………はやく、はやく)


はやく、にげなきゃ。






『おい』




轟音が響く。




「……ぁ…………ひぃっ!」




レンの口から情けなく震えた声が漏れ出る。




目の前の壁がゴゴゴゴッ!と動き、レンの上に覆い被さるように迫り出してくる。"それ"と比べてあまりにもちっぽけなレンの身体はすっかり大きな筋肉でできたドームの影に飲み込まれてしまった。


ズドオォオオオォオオンッ!!!!


「うわっ…………!?」


レンのいる位置を通り越して、巨大な"手"が地面に叩きつけられる。そこから伸びる樹齢数千年の大木のような、筋肉隆々とした"腕"。そこから連なる逞しい肩、太い首。そして、その上には――――、




「ぁ…………ぁぁ…………っ」






『気分はどうだ?"巨大"ヒーロー様?』






今回、戦わなければならない"敵"が嘲るような笑みを浮かべてレンを見下ろしていた。




「ぎゃあああぁあああああぁあああっ!!!!!!」




すっかり抜けてしまった腰を何とか引きずるようにして後ずさるレン。情けなく悲鳴をあげながらバタバタと逃げ出すその姿に、"巨大"ヒーローとしての勇ましさはどこにも無い。


『逃げられるわけないだろ。大人しくしろ』


優しげな口調とは裏腹に、隕石のような拳が力強く目の前に振り下ろされる。


「ぁ…………ぁ…………」


自分の身体よりも太い、節くれだった指を見て震え上がるレン。もし、下敷きになったら跡形もなくぐちゃぐちゃに潰されて肉塊になるだろう。突然現れた上位存在の圧倒的な力に、レンはすっかり怖気付いてその場にへたりこんでしまった。


『情けないな、所詮こんなものか?…………少々、期待外れだったかもな』


凍てつくような視線が降り注ぐ。突如現れた格上の生命に対する恐怖に怯えながらも、レンは必死に声を振り絞って巨人に問いかけた。


「お前は…………」


『…………何だ?』


「お前は……何者だ…………!? ここはどこだ!? 俺たちの星はどうなったんだ…………!?」


抜けた腰を何とか支えて立ち上がり、遥か上空にある巨人の顔を睨みつけながら問いかけるレン。目の前の巨人に1対1で向き合い、故郷の安否を心配する姿は正しくヒーローに相応しい立ち居振る舞いだった。しかし、その身体は恐怖でぷるぷると震え、表情は今にも泣き出しそうにくしゃりと歪んでいる。星を護るスーパーヒーローといえど、圧倒的な力を持つ巨人の前ではただの1匹の小さな人間でしかなかった。


「…………フンッ……そうだな……」


あまりにも蛮勇といえるレンの行動を巨人は鼻で笑った。生意気にも自分のことをお前呼ばわりする、指の第一関節にも満たないサイズの思い上がった矮小な下等種族。自分の慈悲で生かしてやっているだけの存在が、立場を弁えずに弱っちい力で反抗してくる姿は何度見ても哀れで仕方がない。今、股間の膨らみを少し前にずらして上に持ち上げるだけで、人間1匹如き容易く潰せてしまうというのに。弱いくせによく吠える、目の前の"玩具"をどう弄んでやろうか。巨人はニヤリと悪い笑みを浮かべながら、勿体をつけるように髪をくしゃりとかきあげて口を開いた。


『俺は天凪 統弥。お前たちの星を襲い、この手で破壊した者だ』


そういって拳をギュッと握りしめる統弥。上腕がボコりと山のように盛り上がる。


「…………なっ……!?」


レンには目の前の巨人が何を言っているのか理解できなかった。自分たちの星が破壊された、などと言われても信じられるはずがない。自分が意識を失っている間に、故郷が滅亡させられたなんて。もしそれが真実ならば、星の平和維持を任されたヒーローとして有るまじき失態だ。そんなことがある訳が無い。そう思いたかった。しかし、目の前に聳え立つ巨人の圧倒的な肉体を見ると、それが真実であると受け入れざるを得ない。この屈強な肉体があれば、特別な武器などなくとも身一つで惑星を人類ごと根絶やしにするなど造作もないはずだ。巨大化している自分が手も足も出ないような存在を迎撃する手段はあの星には無い。もはや、確定的ともいえる状態だったが、レンは故郷の滅亡を認めたくない一心で現実から目を背けた。


だが、目の前の巨人は無慈悲にもそれを許さない。


『まあ、言葉だけではどうとでも言えるからな。証拠を見せてやろう』


統弥が手をかざすと、レンの目の前に映画館のスクリーンのようなサイズのホログラムが浮かび上がる。そこに映し出されたのは、宇宙から見た美しき星の姿。澄んだ碧の海洋と、熱き赤銅色の大地。レンが必ず守ると誓った、愛する故郷。それと、




星と同じ程の大きさを誇る、赤黒い男性器の先端だった。




「な…………ッ!? 何、を…………」


呆気に取られているレンをよそに、星の終焉を告げる映像が淡々と流れていく。

惑星に住む全人類をあざ笑うかのように、地表スレスレの位置でぶるんぶるんと巨根が揺れる。その勢いだけで海が割れ、大陸が丸々1つ消し飛んだ。そのままゴツゴツとした男らしい掌が硬球でも握り込むかのように、星全体を包み込む。指の先端が何十もの国を丸ごと押し潰し、海を跳ね除けてずぶりと表面に沈み込んだ。地盤が粉々に砕け、マグマが星の至る所から溢れ出てどんどん地表が赤く染っていく。この時点で、星に住んでいた人類がほぼ絶滅したであろうことは誰の目にも明らかだった。


「ぁ…………」


言葉を失い、放心状態のレン。真っ赤に腫れた目からはとめどなく涙が零れ落ち、目の前で故郷が崩壊してくのを力無くただ見つめている。そんなレンにさらなる追い打ちをかけるように、統弥の惑星オナニーは最終段階に移った。


獲物を前にして興奮が収まらない獣のように、びぐんびぐんと震える惑星並の亀頭。よだれのようにカウパーをどくどくと地表に垂らし、奇跡的に生きている最後の人類を容赦なく押し潰していく。興奮が最高潮に達し、ぶるりと竿が一際大きく震えたのを合図に、亀頭が星から離れる。


「…………やめろ………………」


うわ言のようにぽつりとレンが呟く。


そして、惑星と亀頭を繋ぐ粘っこい銀の糸がツウと垂れてたわんだ瞬間。


ズグシャアァアァアアァッ!!!!


反動を活かした力で腰ごと思いっきり突き出された巨根が星を一撃で粉砕した。


「ああああぁあああぁあぁああああぁっっ!!!!!!」


声にならない声を上げて泣き崩れるレン。

ガチガチになった亀頭によって星は核ごと突き崩され、泥の塊になって哀しく亀頭にまとわりついた。巨大な手のひらがその上から覆いかぶさり、星の残骸を潤滑油代わりにしながら刺激を求めていやらしく亀頭を揉みしだいていく。星が砕け散った後も残骸のうちまだ形の残っているものは器用に指で手繰り寄せられ、裏筋やカリに擦り付けられて巨人様の偉大な巨根に刺激を与える餌になった。そして、全てが砂粒のようになるまですり潰された後、亀頭から吐き出された精の奔流に飲み込まれてレンの故郷は完全に宇宙から姿を消した。


「な、んで…………、こん、な、こと」


レンは力なく項垂れながら統弥の神々しい巨体を見上げた。


『理由か?それは、お前たちの星には何の価値も無かったからだ。利用価値の無い星は個人の裁量で自由に破壊していいと決められている』


そういうと統弥はボクサーパンツをずり下ろし、大人顔負けの立派な逸物をレンの上にぶるんと晒した。萎えた状態でも皮はしっかりと剥けており、ぶりんと大ぶりなズル剥けの亀頭がそれだけで一頭の怪物のような存在感を放ちながら神々しく鎮座している。若い雄特有の酸っぱい汗の臭いと微かに混ざるアンモニア臭、そして優秀な精の種を吐き出したばかりだと感じさせる栗の花の臭いを撒き散らしている。失意に打ちひしがれるレンを嘲笑うかのようにビクビクと揺れていた。


『この頃、少し溜まっていたからな。自慰の玩具としてありがたく使わせてもらった。……もしかしたら、チンコに故郷の残骸がこびり付いているかもしれないな?見たかったら、好きに探していいぞ?』


統弥が巨根を見せつけるように腰をググッと前に突き出す。ぼるんと竿が揺れた拍子に、ポロポロと赤茶けた土塊のようなものがいくつかレンの目の前に零れ落ちた。


「ぁ………ぁぁぁぁぁぁ…………ぁぁぁ…………っ」


土塊をひとつ残らず必死にかき集め、手で顔の前にすくいあげる。レンの故郷の星特有の金属が混ざった大地と同じ色だった。鼻に近づけてみても故郷の懐かしい香りはせず、雄臭いツンとする臭いにぐちゃぐちゃに塗り潰されていた。


『惑星の事前調査の段階で、お前は"一応"注意対象として認定されていたからな。俺が到着した瞬間にカプセル内に隔離させてもらった。まぁ、ヒーローに戦わせずに先に星を潰してしまったのは悪かったとは思っている。だから、』




『お前に最後のチャンスをやろう』




そういって統弥はレンを指先で慎重につまみ上げると、椅子の上へと移動させた。


『ヒーローなら、今度こそこいつらのこと守ってやれるよな?』


そこにあったのは正方形の板に収められた小さな街並み。


レンの出身国の首都が、完全な状態で保存されていた。


Comments

ああ~~~尊厳破壊がすさまじいですね!!星の脅威に立ち向かうことすらできず意識を失い、目覚めたころには守るべき星がなくなっていることをありありと見せつけられてしまうなんて……それでいて自分だけは生き残っている、なんて……いやいや統弥くん、いい趣味をお持ちで…… そして最後の展開がまた……星を守るため戦うことすらできなかったヒーローにさらなる絶望が与えられそうな予感……楽しみです!

ichiya


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