SakeTami
雪中アヤメ
雪中アヤメ

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もうとっくに痺れてるから……

  はじめに  本作は23年9月に投稿した魔法少女悪堕ちものの続きです。が、これを続き物にしてしまうこと自体がさらなる続編を前提にしてしまうので、次を書くのがいつになるか、そもそも書くのかが未定なうちは表に出せません。  とはいえ単体ではできているものを完全にお蔵に置いておくのも、ということで、ここに置いておきます。EXプラン限定ではありますが、これについてはいずれpixiv投稿がありうることをご了承ください。 ────────────────── 「小町ちゃん」  放課後になってすぐ、クラスメイトの桃瀬ひなたちゃんが声をかけてきました。ただ手招きをしてくるので、それに応じて席を立ちます。そのまま連れ立って教室を出て……いつもの空き教室へ。  わたしとひなたちゃんは同じ部活に入っています。部名は……まあいいか。なんでもいいんです、名前通りの活動なんて誰もしていないから。 「お、一年の二人だ」 「おつかれー。ま、小町はそんなに疲れてないかもだけどぉ?」 「柚、言い方。小町さんは特別任務を受けているんです、こちらには来られなくて当然でしょう」 「でもぉ、成果は出てないんでしょー? それどころか、最近は変身する機会すらないらしーじゃん」 「まあそうだな。その任務に行ってから、活躍らしい活躍は廃工場で囲まれてから脱出したくらいか? アタシならそんなの、そのまま返り討ちにして殲滅してやるけどな」  というのも、ここは魔法少女をしている子のカモフラージュのための同好会なんです。帰宅部ばかりで一緒にいると不自然に見えるからと、卒業した先輩……セレナさんが残していった全員幽霊部員の同好会。学校で唯一、魔法少女についての話ができるところです。  つまり、ひなたちゃんも魔法少女。そしてこの場にはさらに三人、学校にはあと二人います。二年生の二人は今日は来ていないみたいです。 「……セレナさんのことは、必ず見つけますから」 「小町ちゃん……」 「実際、セレナさんがいるといないとでは戦力も士気も、特に上の世代は違うわ。よろしくね」 「はい」  三年生三人組のうちひとりが、この朝霧雫先輩。生徒会長をやっているしっかり者で、彼女より下の世代はセレナさんよりも雫先輩を心のよりどころにしている人もたくさんいます。ひなたちゃんもその一人。セレナさん捜索は極秘任務ですが、このふたりには言ってあります。  一方で残り二人……後輩のわたしたちにも妙に小生意気に感じる態度をとる鴻巣柚先輩と、勝ち気で自分の基準をかなり強く持っている天童瑠香先輩のことはわたしは少し苦手です。嫌いではないんですけど、ちょっと話しづらいというか。 「雫先輩のほうは、大丈夫なんですか?」 「ええ。ちょっと小競り合いが続いているけど、ひなたちゃんもよく頑張ってくれているもの。次の“処置”の前には決着をつけられそうよ」 「……っ」  今この街を脅かしているディソナンツの怪人たちとは、雫先輩が中心になって戦っています。ひなたちゃんと、それから柚先輩がいっしょに行動していて、もうすぐアジト……あの廃工場よりも根本的なところへ突入できそうなのだそうです。  ただ、それよりも……“処置”という言葉に反応してしまいました。年に一度ほど後援会のもとでやるという、悪い力を抜くというあれです。実はわたしは、ゲネラルバスのアジトでその真実を聞いていました。 「ああ、“処置”のことが気になっているの? 二人とも、もうすぐ初めての“処置”だものね。……大丈夫、嫌なものではないわ」 「そう、ですか。それならよかった」 「そうなんだ……安心しました。ちょっと不安だったんです」  ……嘘です。たぶん。だって、セレナさんは「見知らぬ部屋に一人で閉じ込められて、そこにあるオモチャでオナニーさせられる」って。……いえ、離反しているセレナさんが誇張しただけで、本当はもう少しましなのかもしれませんけど。それでも、魔法少女くらいの女の子にとっては楽ではないはず。  それか───“それを隠しカメラで撮られていて、魔法少女姿でのオナニー映像を後援会に見られている”ということを、雫先輩も知らないだけ、なのかも。  でも、それで思い出しました。今のわたしは特別任務中だから後援会へ顔を出さなくていいですが、さすがに“処置”からは逃げられないでしょう。だけどわたしはそもそも、もう「メロディカ♪マーチ」には変身できません。  つまり……こうしてまだ後援会の知る魔法少女の振りをしていられるのは、その処置に呼ばれるまで。長くてあと一ヶ月だということです。ゲネラルバスのダークフォームとして戦う覚悟はできていますが……それまでに、他の魔法少女を救うためにできることはやっておかないと。  何より。ひなたちゃんのことは、できればそれまでにゲネラルバスに引き込みたいところです。こちらも恥ずかしいところをボスや幹部の人には見られますけど、あれは気にもされていないだけ。それはそれですこしもやっとはしますけれど……終わりかけの魔法少女をエナジー供給装置にするついでに犯すという後援会よりは、よっぽどマシなはずですから。  同好会での話はさほど長く続きません。それぞれ魔法少女としての活動があるので、すぐに解散になります。それからわたしは、セレナさん捜索活動……ではなく、ゲネラルバスのアジトへ向かいます。  「メロディカ♪マーチ」だったころは、適当な人目のない路地裏あたりで変身していたものですが、今はそうもいきません。ダークフォームは見られるだけで騒ぎになりますし、そもそもまだ存在そのものが明らかになっていません。少なくとも組織の態勢を整えて動き出すまでは、気取られないようにしないと。 「こんにちは」 「ああ、マーチちゃん。セレナーデなら第一研究室だよ」 「ありがとうございます。みなさんも頑張ってください」 「おう! ……いやー、真っ先にこんないい子が来てくれて、仕事が捗るってもんよ!」 「一応悪の秘密組織なんだけどなぁここ」 「ふふ。わたしもこう見えて悪い子ですから」 「いやまあ、悪い子には見えるんだがな」  そうでした。ちゃんとゲネラルバスのアジトに入ってすぐ、わたしの新たな姿に変身しているんでした。もともとのちょっと恥ずかしくてえっちな白のレオタードは、今はちょっとスタイリッシュで大人っぽい……悪堕ちっぽい紫色主体に変わっています。我ながら、見た目は悪い子そのものです。いえ、中身も悪い子なんですけど。  「ハーメルン・マーチ」。まだまだ研究途上であるダークフォームの、ふたつめの実例です。ほんとうはダークフォームを意図的に発生させる技術はまだないらしいのですが、セレナーデもわたしもどす黒い感情で自分から塗り替えたことでダークフォームになれているんです。  まだ魔法少女を攫……救っていくにはダークフォーム技術が不安定すぎるということで、いまはマスコット二匹とダークフォーム魔法少女二人を使って研究中なんです。ボスは自発的に加入してくれたご褒美とのことで、無理のない範囲で救いたい魔法少女の希望を聞いてくれると言っていました。  モデは入口でわたしを変身させてくれたあと、ヴィヴといっしょにいろいろ研究したり魔法界へのスパイ活動をするために別の区画に行きました。いっしょにいる時間は減りましたが、わたしのモデは同じ目的を持った相棒のままです。  教えてくれた開発部───ダークフォームが使うための新たな武器や道具、サポートしてくれる怪人や人形を作っています。集めるだけ集めて変身させて、あとはエネルギー回復と“処置”以外ほったらかしの後援会とはずいぶんな差です───をあとにして、第一研究室へ。  そこでは……セレナーデが磔にされて、なにやらコードを繋がれていました。ダークフォームは痛みと快楽がかかわっている可能性が高い、とまじめな研究結果が出たのが最近の成果なんです。  わたしはセレナーデに近づいて声をかけましたが……いつになくぐったりしています。すぐに気を取り直したあたりはさすがですが。  ちなみに、調教中に戻ってしまった呼び方は、ダークフォームになったときにセレナーデに統一しています。お互い、もうふつうの魔法少女に戻る気はないですから。 「セレナーデ。代わりましょうか?」 「……こんにちは、マーチ。代わるというか、マーチにも同じことをやってほしいんだ。何か見つかったらしいから、同じ波長が出るか確認したいの」 「わかりました。……その、セレナーデ」 「わかってるよ。私がやってあげる」  言っては悪いのですが、ゲネラルバスはだいぶ貞操観念のゆるい組織です。人目をはばからずセックスしたりしているというわけではないのですが、必要があるならえっちなことも平気でやります。それこそ、研究員がどれだけ見ていても。  わたしとセレナーデはその研究や実験をたくさんやっています。だからえっちなことを見られる恥ずかしさにも、かなりSMチックなことばかりさせられるのにもちょっとずつ慣れてきたところなのですが……実はわかってきたことがあって。  セレナーデはこういうのは普通の感覚です。自分の被虐にはあんまり興味がなくて、人をいじめたいとも特に思わないタイプ。そしてわたしは、どちらかというとサディストみたいでした。まだやる機会はないのですが、わたし自身が苦しむ映像を他人事として見るよう意識したら、ぞくりときたんです。  だけど……セレナーデはわたしに対してだけドSで、わたしはセレナーデに対してだけドMでした。ほかの女研究員がやるのに比べて、わたしの反応が明らかによくて……しかも、セレナーデのほうもすごく楽しそうになるんです。  それが嬉しくて、わたしはこうして実験台になるとき、二人いっしょにやられるとき以外は必ずセレナーデにいじめてもらっています。こんな恥ずかしいことをさせられているんです、そのくらいはわがまま言ってもいいはずですから。 「じゃあ……お願いします」 「うん。じっとしててね」  セレナーデの拘束を外すのを手伝って……十字架から背中が離れたら、同じところにわたしが収まります。両腕を真横に伸ばして、わたしの低い身長では届かないから持ち上げてもらって……手足のあちこちをベルトでがっちり固定してもらって、宙吊り状態。しかも脚は斜めに開かされてしまいました。セレナーデはまっすぐにしていたのに。  大の字に磔にされて、まったく身動きが取れません。……ただ、実はこんな感じになったのははじめてじゃなくて。「メロディカ」だったころ、ディソナンツの怪人にこういう捕まえ方をされたことがあります。あれは仲間と頑張れば脱出できましたが……もともとわたしたちを想定した実験用の拘束具、しかもセレナーデでもびくともしなかった金属です。あのときとはわけが違います。 「なんで、あし、ひらかせるんですか……っ」 「私の趣味かな。かわいいよ、マーチ」 「うぅ……っ、セレナーデの、へんたいっ……!」  試しに全力で暴れてみましたが、軋みすらしません。むしろそうして暴れるたびに、背中の金属磔がちょっと温かいことに気づいて、セレナーデの温もりを感じてしまって。  それをごまかすように恥ずかしい開脚拘束に口答えしましたが、セレナーデの趣味なら断れません。わたしはセレナーデの言うことならなんでも聞きたくなってしまうくらい弱い上に、ほかの子に無関心なセレナーデがわたしにばかりこんな変態性を向けてくれるのが嬉しくて仕方ないんです。 「そんなこと言っていいのかな? ほら、マーチの好きな食い込みだよ」 「うっ……へ、へんたいっ」 「お互い様だね。ほら、染みてきちゃってる」 「うぅぅっ……!」  わたしが生意気だからか、セレナーデはわたしのレオタードの下腹部のあたりを掴んで、ぐいっと持ち上げてきます。そうしたらすべすべのレオタードは簡単に股下を守る役目を捨てて、わたしのつるつるで恥ずかしい割れ目に食い込んできました。  さらには後ろ側も同じようにされて、お尻の肉が丸出しになりながら谷間にこれでもかと食い込まされます。当たり前ですが、足を開いてがちがちに拘束されているわたしにそれを直すことはできなくて……じんわり、レオタードを濡らしていってしまいます。  そう、わたしはこれが大好きです。セレナーデがレオタードはえっちで恥ずかしいものだって教えてくれて、それでじっくりいじめてくれたあの日から。セレナーデに可愛がってもらうのと、このえっちなレオタードが、どっちも好きになっちゃったんです。こんなことされるだけで、ちゃんとした言葉すら返せなくなってしまうくらいに。 「まあ、このくらいにしてあげるね」 「はぁっ、ぁ……く、食い込み、なおして……」 「やだ。……ほら、貼ってくよ」  実験前でみなさん見ているからか、軽くで許してもらえました。だけど、割れ目の両側までほぼ全部見えるようになってしまったレオタードは直してくれません。もしかしたら、ついでに羞恥が与える影響も実験するのかも。  震えながらうつむいてしまうわたしの体に、それがけっこう好きだとわかっているセレナーデと研究員たちが何かを貼ってきます。実物を見たことがないので確信できませんが、これは電極パッド……? 「じゃあ、始めちゃって」 「───あぐっ!?!?」 「今日は電気責めだよ。……こういうの、妙に強い人がいるから難しいんだけど……大丈夫? 痛い?」 「あっ、あっ……いたい、ですっ……つづけて、ください……」  瞬間、わたしの全身に瞬間的な痛みが駆け巡りました。体の筋肉が勝手に震えて、我ながら情けない悲鳴が出てしまいます。  電気責め……なるほど。わたしたちダークフォームは、ただでさえやたら強い魔法少女の体よりさらに強いみたいなので、実験のために痛みを与えるというのもけっこう大変です。これまではお互いにパンチしたり、首を絞めたりとちょっと魔法少女っぽくないことをして、ダークフォームの耐久力にはダークフォームの攻撃力、でどうにかしていましたが……。  どうやら体の内側を通る電気責めなら、ちゃんと痛くなるみたい。仮に足りなくても電圧を上げればいいので、たしかに都合がよさそうです。……それはつまり、わたしたちはこれからたくさん電気を流されるということなんですけど……。 「わたしは、ともかく……セレナーデが、興味ないことしないでいいように、やっぱりほかの子も、増やしたい……ですね」 「これ自体がそのための研究だから避けては通れないし、そのためなら私もいくらでも体を張るけどね」 「ちょっと、おちついてきた……あがっ!?!?」  ……痛い。魔法少女はきらきらしたイメージとは裏腹に、かなり痛いことをされるものですけれど……この電気責めは、そんな一年近くの経験の中でも、トップクラスに痛いです。  しかもぜんぜん動けないから、衝撃も逃がせないし……ボタンひとつで、いくらでも簡単に流せてしまいます。 「は、ぅっ……んぎっ!? ま、まっ……まだ、びりびり……あ゛っ!?!?」 「だめだよ、マーチ。これは実験だけど、戦いより痛くて苦しいくらいじゃないと実験にならない」 「わかって、ますけど……───っ!?!?」  わたしは今、ボタンひとつで面白いように跳ねて音が鳴るおもちゃです。時間をかければ体を走ったびりびりは消えてくれて、また次を受ける準備ができるのですが……流すほうは、そんなこと気にせずいくらでも流せてしまいます。  これは確かに、セレナーデがあんなにぐったりしていたのもわかります。なんでこのひと、こんなにあっさり元に戻っているんでしょうか。 「も、むりっ、やめて……」 「だめだってば」 「あぁぁっ!? やだ、も、びりびり、やだぁっ!?」 「……ふふ、かわいいよマーチ。もっと見せて」 「ふぎっ、ぃぃぃ!?」  わたしはそろそろ意識的には限界だったのですが、電流は止まってくれません。体に力が入らなくなって、涙でぐちゃぐちゃになりながらお願いしても続けられて、本気の悲鳴をあげてもセレナーデが浮かべるのは愉しそうな笑顔ばっかり。  ……これは事前に決めてあることです。ダークフォームの力は理不尽へのどす黒い怒りじゃないかと考えられているので、それを再現するために本当に限界を超えるまで責め立てられるんです。わたしたちはそれをわかった上で、どれだけ嫌がっても続けていいと伝えた上で、こうしてひどいことをされています。そういう覚悟をしています。  ……ことわたしの場合は、それのどこかに不純な興奮が混ざってしまっている、気もしますけれど。 「やだやだやだ、ぁぁぁっ!?!?」 「ほら、辛いでしょ? こんなことしてくる私たちが憎いでしょ? それを引っ張り出して」 「ぁっ、がッ……!? …………あ、あ……」 「あーあ。おもらししちゃった。魔法少女なのに、恥ずかしくないの?」 「ひぐっ、ぐす……うぐ、…………っ」  わたしたちがやるべきなのは、魔法少女と違ってマイナスな感情もたくさん感じて、出して、理不尽に対してちゃんと怒ること。実験だからといたいけな女の子二人を、恥ずかしいかっこうでたくさん電気拷問するような理不尽を、叩き潰せるような力を絞り出すこと。  いくら泣き叫んで、女の子の尊厳をだめにされても止めてくれない拷問にもがいて……ひときわ強い電流を通されると、全身の筋肉が言うことを聞かなくなりました。レオタードがじわじわと濡れる感触が広がって、脚に伝っていって……わたしは自分が失禁していることに、セレナーデの言葉で気づきました。  あまりの屈辱に本気ですすり泣いてしまって……でも助けてくれたセレナーデとゲネラルバスのことは、ここまでされても憎めなくて。やり場のない怒りが、こんなことをして力を見出さないと倒せない、だけど倒さないと平穏を取り戻せない、魔法少女後援会とディソナンツに向きました。  その瞬間、わかりました。掴んだといってもいいかもしれません。自分の中に溢れ出すどす黒い感情が、わたし自身にもどこから出ているかわかる形でモノになっていきます。 「来た!」 「成功だ!」 「……いや、これはもしかして」 「…………あは」  気持ちいい、と思いました。それまでとは……「メロディカ」の頃どころか、ついさっきまでよりも明らかに大きな全能感。それに身を任せたら、最大の目的のためならなんだってできそうな感覚。  わかりました。わたしはようやく、悪い子になれたみたいです。 「実はね、マーチ。どうやらマーチはこれまで、ダークフォームとしては未完成だったみたいなんだ。私のデータと比べても、明らかに欠けているものがいくつもあって……出力も足りていなかった」 「はい」 「だけど、何か掴んだみたいだね。……おめでとう、マーチ。これで立派な悪の魔法少女だね」 「はい。今なら、この力もうまく使えそうな気がします」  やっぱりわたしは、ここ数日は未完成なままだったみたいです。感覚も前とそんなに変わらななったくらい。だけど、今なら。これまでいっしょに戦ってきた魔法少女くらいなら、簡単に倒して捕まえられそうです。  問題は……。 「あの……わたし、もとのマーチのふり、できるでしょうか」 「無理かもね。その力、味わっちゃったでしょ? 私もそうなってからは、あんな綺麗な魔法少女の振りなんてしていられる気がしないよ」 「……同好会、行かないようにしたほうがいいですね。ロンドは……どうしよう」 「なるべく早めにダークフォーム技術を形にするか……できそうなら、先に抱き込んじゃうか。無理だったら、しばらく距離を置いておくしかないかな」 「……それか、すこし早めに行方不明になるか、ですね」 「できるだけぎりぎりまで発覚を遅らせたいから、最後の手段だけどね」  たぶん、わたしはもう、これまでのようなマーチの振る舞いは……もしかしたらこれまで学校でしていた小町のそれも、できない気がします。まだ準備ができていないのでやりませんけれど、ほんとうは今すぐにでもディソナンツのアジトをぐちゃぐちゃにしたいです。魔法少女後援会からエナジー装置にされた魔法少女たちを奪還したいです。  そんな凶暴な、悪い子になってしまったわたしを、動くそのときまで気取られないようにしないといけません。ひなた……「リズミカ♪ロンド」には悪いですけれど。 「……だから、これが覚醒の分で、こっちが……」 「だとしたら、このへんはどこからどこまでが……」 「あ、マーチさんは今回はもう大丈夫です。お疲れでしょうし、これ以上やるとデータが濁りそうですし」 「はい。……ね、セレナーデ。シャワーいきましょ」 「そうだね、おもらししちゃったもんね」 「…………だっこ」 「照れ隠し? いいよ、あまえんぼマーチ」  もう磔から外してもらっても足が立たないくらいびりびりにされていますし、ゲネラルバスは負担を考えてくれる組織です。これ以上は体がもたないのと、覚醒した力が渦巻いているいまのわたしではデータが正しく取れないので、今日の実験はここまでになりました。  いろんな体液でひどいことになってしまったので、同じくよく見るとくたくたのセレナーデといっしょにアジトにあるシャワールームに行くことにしました。おたがい大好きで、恥ずかしいところもいくらでも見せ合った仲ですから、もういっしょにシャワーくらいなんてことありません。  ……いじわるなことを言ってきた罰と、ちょっといまはほんとうに足ががくがくするので、セレナーデはだっこの刑です。セレナーデも疲れているでしょうけど、わたしにはわかっています。ぜったい、わたしのほうがたくさん責められました。いくらセレナーデでも、ここまでされて外された直後からぴんぴんしているわけありませんから。  魔法少女の衣装はいくら汚れてもすぐ元に戻る不思議な力がありますし、それはダークフォームも同じです。変身を解除する気もありませんけど、汚れたのは確かなのでシャワーを浴びたいのはほんとうです。  シャワールームでたくさんイチャイチャして、甘えて……それから、力を制御する練習をしないと。魔法少女にも怪人にも、たくさん使うことになるはずですから。


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