マゾペットたちの拘束運動会
Added 2023-12-22 12:46:38 +0000 UTC「宣誓! 私たちは、スポーツマンシップとマゾヒズムに基づき! 正々堂々と戦うペットとなることを! 誓います!」 …………某日、先日ついにミスト・スランバーがプレオープンしたヒューマンファームにて。まだ常用されていない競馬場予定の広いスタジアムエリアを使って、私たちはある企画の撮影をすることになった。 正直、参加している私からしてみても馬鹿みたいな企画だ。だけど、ここ十数年で急激に性に寛容になり文化として大きく認めるようになったこの国では、希望した人間を家畜として飼って観光資源にするテーマパークが大真面目に成立してしまっている。それを思えば、これもありえないことではないのだろう。 これはミスト・スランバーのテスター組によって行われる、ペットプレイ運動会。たまたま居合わせた幸運な来園者の観覧を認めて、今回はなんと会員サイト以外にもマニアック物のAVとして発売することになっている。ただ、そちらで使う映像では後ろ姿やモザイクが駆使され、そもそも本編中は全員がそれぞれ全頭マスクのたぐいを被るから顔は映らない。 そうして販路を広げて巡りをよくすることで、予算を増やしてより大掛かりなことができるようになるとヒューマンファームで学んだのだろう。私たちとしては、学生生活を終えて正式に社員になるまでの生活に支障さえなければ気にしていなかった。 それで、ペットプレイ運動会は何をするのかというと……まあだいたい字面通りだ。これから私たちはそれぞれの姿に拘束され人ではないペットになって、運動会でやるような種目で戦う。2つのチーム、4つのゲームでそれぞれ一騎打ちが行われて、総勢8人による競技のあとチーム勝敗が決まる。……罰ゲームがあるとは特に言われていないから、負けたチームにはそんなに重くない何らかの罰ゲームがあるのだろう。今回も企画進行であるご主人様とシノ様のコンビの考えることは、私たちには想像がつく。 まあ選手宣誓はほとんど悪ノリで撮ることになっただけの場面だから、さっさと競技に移ってしまおう。 第一競技。犬による借り物競争だ。まずは出場するカノンさんを拘束していく。 「つけてきますね。痛かったら言ってください」 「うん」 まずは元々着ていた露出控えめのボンデージを脱がして、一気に全裸にしてしまう。種類によって格好はそれぞれ違うようだけど、犬の場合は拘束具しか着けてはいけない。 カノンさんはそういう経験がなかったようで、屋外の会場で裸になるのは恥ずかしそうだった。ただそこは比較的ベテランのテスター、すぐに深呼吸で上がった息を戻して、マットの上で四つん這いになる。 私たちはそこに一つずつ、ヒトイヌ拘束具をつけていく。この過程もしっかり収録して、どうなっているのかを初見の人にもわかるようにするのだとか。 後ろ脚を曲げてもらって、畳んだ膝の上から拘束具を被せる。アームバインダーの要領で三角形の革拘束具へ脚を入れると、外側を周るベルトを締めていく。これで膝が伸ばせなくなるから、こうして短い脚を四つ作るのだ。 脚が完成すると、我慢しきれないのかカノンさんは息を荒くし始めた。私たちは拘束を続けて、より外れにくいよう背中側に伸びるベルトをX字になるよう繋げる。 「挿れていきますね」 「うん……ん、ぁっ」 「こっちも」 「んぁー……ぁぐ」 続けてお尻の穴に尻尾プラグを挿入。私たちは日常的にあれこれプレイをやっている変態だから、ほんの少し解すだけでプラグは入ってしまう。 そして、いつだかに使ったことのある犬マスク。顔全体を耳飾り付きのベルトで拘束しながら猿轡を噛ませて、犬の顔の形をしたマスクを顔の下半分に。猿轡部分を噛めばマスクが開くけど、それをサボるとマスクが完全に閉じてしまって息ができなくなる、というやつだ。今回はこれを改良して、物を咥えられるようになっていた。 そこまで装着が済めば、カノンさんは自力で運営本部まで歩いていく。向こうからも同様に犬が歩いているけど、このよたよた歩きも観客や視聴者を楽しませるものだ。 丸出しの秘部を隠せず、胸と尻尾を揺らしながら、増えてきた観客も見える大きなビジョンに映されて恥ずかしそうに歩いていく。本部に入って少しすると二匹とも出てきたんだけど……気のせいでなければ、さらに少しふらついているような。 『ルールを説明します。グラウンドに置かれたゲートに到達した犬は、待機メンバーの出す芸をこなすとゲートを通れるようになります。そこで体のどこかに隠された探し物を取ってもらい、それを借りて中央まで先に持ってきたほうの勝利です』 『では、はじめ!』 借り物競走と呼ぶには少しスタンダードではないけど、見せ場を増やすためだろうか。中央に向かう時より素早く歩いてみせたカノンさんは、競馬場にあるようなゲートの前に辿り着くとこちらを見て止まった。……このゲートは、ここでポニーガール競馬をやる予定で作ってあったものだろうか。 スタッフさんから手渡された芸を記した紙にあったのは……「おまわり」。ただ、声は正確に届くかどうか微妙だ。 「ジェスチャーの方が伝わりますかね?」 「うん。……こう、かな」 「あ、伝わった!」 チームメイトのメルさんが腕を掲げて回してみせると、それでカノンさんにも伝わった。これ、本物の犬にも通じることがあるジェスチャーなんだっけ。 くる、くる。自分のしっぽを追いかけるように3回回った犬の前で、ゲートは開いてくれた。向こうは……しっぽふりふり、らしい。カナも楽しそうだ。 カノンさんが歩いてくる。…………こう見ると、すごく背徳的というか。そもそも私たち全員がイケナイことをしている感がすごい。ポニー合宿のときは必死だったし、5人しかいなかったからわからなかったけど、開けた場所でのこういうプレイって、思っていたよりもずっとクるものがある。自分がやる側だったら、なおさらなのかな。 少しして、なんとか犬が到着した。けど……探し物というのがどこにあるのか、それどころかどんなものなのかもわからない。 「………んっ、んぅ!」 「えっと……おしりの方?」 「んぅ……っ、」 「もしかして、ここ……?」 ただ、これは本部で仕込まれて知っていたカノンさん自身が必死に教えてくれた。後ろの方というジェスチャーで見てみると……ワレメがアピールするように動いている。それに気付かれてすぐ、恥ずかしそうにやめてしまったけど。 気持ちはわかるからスルーして、試しに膣の中に指を入れてみると……あった。 「はい、これ! 行ってきて」 「うぅ……」 「これ……ひどいですね」 アナが呟くけど、私もそうだと思う。だって、カノンさん、自分が今膣内から出産した、パーク内の鶏たちがいつも出している卵代わりのピンポン玉を犬マスクに挟まれているのだ。自分の愛液に塗れたまま、外からも見えるように。 挟まれたピンポン玉のおかげで閉じなくなったから、猿轡を噛む必要はなくなったけど……競走とはいえほとんど走るくらいカノンさんが早かったのは、きっと屈辱だったからだろう。 ただ、 『勝者、カナ!』 向こうも全く同じだった。恥ずかしすぎて必死に走ったカナがタッチの差で勝って、私たちは黒星スタートに。少し厳しくなったけど、第2試合のメルさんならきっと大丈夫だろう。だって、次の試合は……。 ◆◇◆◇◆ 第2種目はヒトネコのしっぽ取り。私にとっては少し自信がある。 というのも、四つん這いで細かい動きをすることが得意なのだ。私は平然系と呼ばれるちょっとした隠し芸があるけど、それが役に立たずとも問題ない。 まずは拘束。犬とは打って変わって、猫はそこそこ面積のあるボンデージを着ていられる。それはどちらでもいいんだけど、拘束も緩いのだ。前脚はひとまず拘束もされずに手袋をつけるだけ、頭にもつけ耳くらいで口枷もない。 競技の鍵として用意されたのが、3本の猫尻尾。これを順番にお尻に挿入して、相手に引き抜かれたら負けだ。ただ、一度勝つごとに前脚の拘束が厳しくなるそうだから、おそらく最後まではもつれるだろう。さすがの私も、たとえばヒトイヌ拘束で前足が自由な相手に勝てはしないだろうし。 『では、一本目を』 「いきますよ」 「ん……っ」 一本目の尻尾。一番抜けやすいやつだ。私たちにとっては物足りないくらいの、指一本程度の細いディルド。ミカに挿入してもらったけど、やはり心許ない。 でも、一番の新参であるミアに負けるつもりはない。 『はじめ!』 「いただきっ、」 「甘い」 「ひぅんっ!?」 やはり緩すぎるからか、勝負は一瞬でついた。即座に攻めてきたミアを正面から受け止めて、受け流すより先に自分の下半身を外に逃がす。向こうの手が届かなくなったところで流して、カウンターで尻尾を掴めば終わりだ。 可愛らしい声で尻を刺激されて喘いだミアから尻尾を奪って、一度戻る。一勝した私は前脚をより不自由にしなければならない。 「これ?」 「はい。付け替えますね」 どうやら手袋が肉球付きのミトンに変わるらしい。これだと今のようにはものを掴めないから、方法を変えなければならない。 向こうからは少し顔が赤いミアが戻ってきて、第2ラウンド。 「ふっ……!」 「ん……気持ちよくなっちゃ、だめ……っ!」 「ふにゃっ!?」 先手は取って手を伸ばしたまではよかったものの、掴めないからそれだけでは尻尾に逃げられてしまった。その間に体を差し込まれて、向こうはまだ手袋だった前足であっさり取られてしまう。 ……いくら平然系といっても、不意に刺激されても反応しないほどマグロではない。不覚ながら変な声が出て、腰が跳ねてしまった。 尻尾を失って自陣に戻ると、次に着けるのは……直径3センチほどのアナルパール。これなら確かにさっきのミアのように我慢はできそうだが……過信できる太さではない、か。 第3ラウンドは条件が同じになったから、なんとか機動力で勝って背後に回り両手で尻尾を掴んで勝ち。たださらに拘束を受けたその次は、全く勝負にならず簡単に負けてしまった。 ルールを聞いた時点でなんとなくわかっていたが、これは最後に勝った方がそのまま勝つ戦いだ。ここまでの4戦はせいぜい、私たちの体力を削りつつ見世物になっただけ。……その見世物が最重要だから、意味はあったのだが。 「…………これ、か」 「はい。力抜いてください」 「ん……ぁ、ふ、んぐ……!」 そして3本目の尻尾は、直径7センチとある極太プラグだった。こんなのは普通に引っ張られても抜けない気がするが、抜けないなら抜けるまで戦いが続くだけなのだろう。ここまでで解れていたおかげもあって、さほど追加で解すこともなく挿入はできた。 そして向こうでは、ミアが私と同じように前脚までヒトイヌ拘束をされている。第一競技の犬はマスクしか外してもらえずにヒトイヌのまま陣で見ているから、今この会場にはヒトイヌが四匹もいる。たぶん私たちも競技が終わってもこのままなのだろう。 準備が終わって、完全装備になった二匹が相対する。……これが最初から想定されていたのだろう、そう思えるほど背徳的で惨めな光景をしている。 ただ、私たちがすることは善がることではなく勝つこと。見栄えなんて副産物だ。 「んっ、はっ、はっ……これ、ぜんぜん違います、ねっ……!」 「うん。だけど、悪いね」 「あっ、」 まだプラグに馴染んでいないせいで響く上に抜けやすいのは私のほうだが、ミアはその分ヒトイヌに慣れていない。私は気持ちよくなりすぎておらず、ミアはヒトイヌで疲れていないともいうが。 どちらが有利なのかはわからないが、とにかく。やはりそもそもの動作で、私のほうが少し上手ではあるようだった。しばらく前脚で攻撃しあっていたが、隙を見て前脚を外側に払ってやるとバランスを崩して、大きめの隙を見せた。 だが。 「そんな気は、してましたっ!」 「なっ……まずっ、」 「勝負、ですっ」 そのまま仰向けに転がしてしまうつもりだったのだが、踏みとどまって数歩ふらついたミアは私の背中に払われた脚を下ろした。これで私も体勢が崩れてしまって、結局仰向けになったミアに誘導され真上に。つまり、シックスナインの形になってしまう。 やはり考えることは同じだったらしい。ヒトイヌで手が全く使えないまま極太プラグまで抜こうとするなら、尻尾を口で咥えるしかない。お互い迷わず口で掴みかかった私たちは、同時に互いの尻尾を咥えて引っ張り合うことになった。 「ぁぐ、んぅ……っ、ふ、んぐ……!」 「んむ、うぅっ、んぉ、ぁっ!?」 そのまま我慢比べになったのだが……上を取れた優位性と、武器である平然がここで活きた。体で押さえつけて動きを封じたことで私だけが反動を使えた上に、この状況で尻尾を引っ張られるのは「わかっている刺激」だ。私が得意の我慢をしている間に、肛門を裏から擦り上げられて喘いでしまったミアが口を離した。 「ふっ、ん、う!」 「ぁっ、だめ、いっ、────っ!?」 そのまま一気に引き抜いてしまうと、ミアは明らかに絶頂して転がったまま起き上がれなくなった。抜いた尻尾を咥えて戻る私に尻を向けて振られながら、無様に転がって痙攣してしまったミアの様子とぽっかり開いた穴が、じっくりカメラに映されていた。 ともかく、これで一勝一敗。前半の私とカノンはヒトイヌのままで戦力外……それも私は極太の尻尾を抜いてもらえないままだから、あとは後輩たちに任せるしかない。 確か次は、アナの出番だったはずだ。 ◆◇◆◇◆ 先輩たちはどうだったかわからないけれど、あたしは開始前からすっかり興奮してしまっていた。その原因は、あたしと対戦相手の子が担当する動物。……蛇だ。 拘束そのものは単純だ。裸から直接、鱗のような特殊な肌触りの蛇スーツを着るだけ。ただこのスーツが曲者で、手も足も当然のようにない。それどころかジッパーすらなくて、完全にただの袋である。 ではどうやって着るのかというと、一度裏返してからローションをまぶして、少しずつひっくり返しながら履いていく。腰まできたら腕も真横にぴったり揃えて内側で固定して、そこからも引き上げてもらうのだ。最後は唯一の入口である蛇の口に丸呑みされるような形で頭まで覆えば、バキュームチューブですらないシンプルな蛇スーツ拘束の完成。 伸縮性はかなり高いけど、腕は同じ素材の拘束リングに手首を固定されるから中で動かして脱いだりはできない。それどころか足だけはつま先まで伸ばすよう強制してくる力が強いから、立っていることすらできない。今だってコースのスタート地点までわざわざ 運ばれてきた。 そう、コース。あたしと、こないだのスウツ試験でミスト・スランバーに入ったペットのうち一人は、 ヒトヘビ障害物競走に臨むのだ。 『よーい、スタート!』 「……っ、ふっ、ん……!」 「ふっ、ぐ、んぅ…………」 人数合わせで打診したら参加してくれたというこの子は、普段は兎として羞恥系をやりながら社員さんに可愛がられている。ただ今回は来る時からずっと全頭マスクを被っているし、素顔はあたしでも知らない。一応まだ学生で、あたしたちのように割り切って慣れたりもしていないから、卒業して本格的にペットになるまでは身バレの可能性を可能な限り減らしたいのだとか。 なんにせよ、あたしはこの子に負けるわけにはいかない。これでもテスターとしてもマゾとしても先輩だし、あたしはあのスウツ品評会のときに玩具役として蛇になって参加もしていた。ヒトヘビとしての動作にかけても、一日の長くらいはあるのだ。 基本の動き方は、こう。うつ伏せから脚を前に引き膝を立てて、お尻を突き出すように持ち上げながら膝で蹴るように上半身を前へ滑らせる。ずっと地面を這い蹲るから他のどれよりも屈辱的だけど、そこで妥協して上半身を浮かせたりするとすごく遅くなる。 ところが兎しか経験のなかった向こうはまんまと起き上がる動き方をしていたから、最初の直線で少し差がついた。すぐに気づいて真似してきたけど、リードがあるのは安心感がある。 わざわざ蛇のために作られたコースはおもちゃのようなプラスチック製で、少し滑るから人が上を競争するような素材ではない。そういう細かいところでも人間ではないことを思い知らされてくれる。ヘビにとっては体を滑らせやすく、しかし膝も滑りやすいから気をつけなければいけないか。 「ふ、っ……このまま、っ」 このコースには三つの難関がある。最初のコーナーを曲がったらまずはひとつめ、網潜りゾーンだ。よく人間の障害物競走でも置かれるものだけど、ヘビにとってはより難しい。手で掻き分けたり網を上にずらしたりできる人間と違って、ヘビは頭から突っ込むしかないから。 かなりの屈辱を味わいながら頭から網の入口をくぐって、そのまま前に……進もうとしたところで気がついた。 「う、ぐっ……!?」 あたしのここまでの進み方は、上半身を引きずりながらお尻を突き上げるものだった。これが恥ずかしい代わりに速かったんだけど……ここでは上に網があるから、ほとんど真上にお尻を上げるときに重い網ごと持ち上げないといけなかった。お尻も中途半端に上がって止まってしまったところが、きっと追従カメラにしっかり映されてしまっているだろう。 すっごく、恥ずかしい。この格好や進み方も、そこから元に戻すように膝を下げながらお尻を下ろす無力すぎる動作も。 とにかく、別の進み方をしないと。といっても、ヘビ拘束は本当にまともに動けない。マミフィケーションよりは曲げ伸ばしできるからましかな、くらいの感覚で、手も足もないまま動くしかないのだ。 しばらくもがいて、やっぱり脚と膝を使わないと前に動けないと再確認したあたしは、横向きになって膝で地面を掴み這う形になってようやく突破した。ただ、それまであたしのことを後ろから見ていたことで這い方を覚えた相手にかなり距離を縮められてしまった。横向き這いもすぐに真似られてしまって、向こうは網での足止めがほぼなかったのも大きかった。 それでも網さえ抜ければ、まだ普通に這う速度はあたしの方が上だった。追いつかれないまましばらく進んで、やがて到達したのは……折り返しの第二関門、上り坂と下り坂。 下りはともかく、上りはかなり大変そうだ。ところどころにちゃんとスポンジの出っ張りが用意されているけど、それを上手く使わないと麓まで滑り落ちてしまいそう。プラスチックコースの滑りやすさが憎い。 試しに行ってみるけど……かなり、体力を使う。出っ張りのないところを選んで上半身を滑らせ、出っ張りの上に横へズレて引っ掛ける。それから膝を別の出っ張りへかけて……あっ。 「…………う、うぅ……!」 みじめだ。すっごく。皆に、映像に、それにそこそこ入ってきている観客にヘビとして這う姿を見せるだけでも、そのためにぴっちり張り付いたスーツのお尻を何度も突き出すのは本当に恥ずかしいのに、そうしてまで上ろうとした、人間として歩けば二歩で終わるような上り坂でずるずる滑り落ちて無様にお尻を見せつけている。 あまりの屈辱で、あたしは少しの間動けなかった。だけど、それは半分は興奮で……床にくっつけて起こせなかった顔は、あたし自身も驚くほど熱い吐息を漏らしてしまっていた。 2回目でも登りきれずに滑り落ちて、ついに追いつかれてしまった。恥ずかしすぎて、それでも追い抜かれるほうが嫌で、3度目でなんとか登りきる。向こうはそれから1回目は滑り落ちていたから、また縮んだもののまだリードはしていた。だけど、次が問題で。 『さあ、いよいよ最後にして最大の関門、ローション地獄エリアに突入します』 「…………はーっ、はぁっ」 第三関門がこのローション地獄。なんてことはない、ただコースの床にローションを大量に撒いただけなんだけど、あたしたちヘビにとってはあまりにもわけが違う。そもそもあたしたちは、滑るスーツとコースでもなんとか摩擦を保てる膝で体を押してきたのだ。だけどローションなんて撒かれたら、絶対に膝なんて立たない。今度は網くぐりのときの横向きなんてものすら通用しない、正面からいってみっともなく這いずるしかない。 しかも。……わかってしまうのだ、こんなのぜったい気持ちいい。ただでさえ惨めでどうしようもないヘビ拘束のまま、全身ローションまみれになって床を滑ったりしたら。 ……ほら。実際に入ってみたら、スーツ越しのローションの感覚だけでも気持ちよかった。どうしても興奮してしまって、もどかしい滑り方は乳首やクリを的確に焦らしてきて……でも、決定的な快感には届かない。 ここからはいわば床オナだ。あたしはこれからゴールまで、ローションまみれで中途半端な床オナをひたすら続けるさまをこれでもかと晒すのだ。……だけどそんなどうしようもない恥すら、それなりに気持ちいい突起でふやかされている。 もちろん、這い方も。思っていた通りここまでの這い方では進めなくて、膝がつるりと滑って、びたん。……わかってはいたから力を入れてもいなかったけど、一度はこの間抜けな姿を見せておかないと、あたしとしても動画としても納得がいかなかった。 思っていたよりイイ屈辱だったけど、そればかりしていたら進めない。……だんだん興奮や気持ちよさとレースの意識がぐちゃぐちゃになってきているけど、とにかく進まないと。 ではどう進めばいいのか……もうそこに答えなんてない。とにかく適当にバタバタして、少しでも進む。進めたらそのときの動きを再現しようとして、何度も滑りながら少しずつ。 「ふっ、ふっ……!」 『2匹ともなかなか進めません。やはりここが鬼門だったか』 『気持ちいいんでしょうね、息が上がってきています。これが見たかったんですよ』 まあ、実際そうだと思うし……一応サドでもあるあたしも、外から見ていたらそうだと思う。ただ、やっている身としては屈辱的すぎてそんな場合ではない。 顎でも胸でもなんでも使って、少しでも前に……前に進みさえすれば勢いで一気にいけるからそれを狙うんだけど、逆に間違って後ろに動いてしまうと止まらない。ほどなく追いついてきた子と二匹で頑張りはしたが、もうレースとすら呼べないほどぐちゃぐちゃだった。 これは後で聞いたことだけど、最初からこれを狙ってヘビスーツにはローションを纏いやすい加工をしていたらしい。そのせいであたしたちは、壁を蹴って進もうもしてすらそれで滑ってしまって、いよいよ進行不能になってしまった。 ……ああ。気持ちいい。どこまでいってもあたしはマゾでもあるんだって思い知らされてしまう。なんだかもう、レースの意識が……。 ◆◇◆◇◆ ……ヘビの障害物競走は結局、そのまま終わらなくなって強制終了となった。二匹ともずいぶん楽しん……じゃなくて頑張ったけど、ローションエリアに入ってすぐのところから進みもしないまま二匹ともぐったりしてしまったのだ。 ローションを洗い流して拭いて、それでも脱がされはしないまま戻ってきたアナは、まだ興奮冷めやらぬ様子のまま観客席もとい陣営に。正直かなり羨ましいし、これと比べるとちょっと大人しくすらあった犬と猫は明確な羨むような目を向けていた。 勝敗はほとんど誤差のような位置で止まったこともあって引き分け。一勝一敗のまま最終種目になって、これに勝ったほうの優勝になった。……もともと4種目だったせいで最終結果で決着がつかない可能性があったから、これはこれでよかったのかもしれない。 それで、最終種目はというと。 「私もご主人様に着けてもらえるんですね」 「もう着けられる人がいないからね」 「私たちは気にしないけど、カナはちょっと可哀想かも」 「こればっかりはそれぞれの希望種目だからね。カナが犬で、ミカが馬だっただけだよ」 馬、つまりポニーガールだ。今回の種目で唯一ここで実際に飼われているもので、私はここで試したこともあるものだ。 実のところ、この企画が撮られることとなった理由でもある。今使っているこの簡易スタジアムも、ここのポニーたちで競馬をするために考えられているのだ。さすがにいちアダルト会社にそこまでの財力はないから、各方面から支援を受けてもちょっとした公園の運動場程度だけど。 「さ、着けてくよ」 「はい……んっ、く」 というわけで、私はポニーの装具をつけてもらう。少し迷ったけど裸のポニーにした私に対して、どうやら向こう側のカナンさんはラバーポニーらしい。どちらがいいかはわからないけど、遠目からも見分けやすいのはいい。 最初にハーネスを締められる。胸を絞り出して胴体を飾るように身につけていって、股間は今回はハーネスベルトを縦に一本。ぐっと食い込まされて、隠れているとは言いがたいのに露出もできずそれ以上の責めもできないようにされた。 「ほら、腕出して」 「はい……んっ、はふ」 「もっと走りやすそうな拘束のしかたもあったのに、これでよかったの?」 「これが、慣れてる……ので、っ」 次に腕。私は以前お試しをしたときと同じく、後ろ手に縛り上げられる格好にした。人間として走るときと離れた姿勢になってしまうけど、私は慣れてしまったのかポニーとして走るならこれしか考えられないのだ。 続けて脚だ。ポニーブーツに足を通して、爪先でしか立てなくなる。これもポニーガールを象徴しているようで私は好きだった。 「お尻は……解れてるね。尻尾入れるよ」 「んぁ……ぅ!」 「それで、最後。ほら、あーん」 「んぁー……あぐ、んふぅ」 尻尾も選ばせてもらえたけど、踏ん張りやすさにかかわると知っていたから締める部分は細めで、抜けないよう留まる部分は太いプラグを挿入してもらう。しっかり尻尾を生やしてもらえば確認がてら尻尾を振ってみた。……こうやってお尻の動物尻尾を振るの、惨めで好きなのだ。犬でも猫でも、馬や豚でも。 そして最後に轡。開いた口に押し込まれた馬銜を合うところでしっかり噛んで、ヘッドハーネスを少しきつめに締めてもらった。気合い……というよりは興奮で口の端から涎が垂れてしまったけど、これで準備完了だ。 手綱を引かれてスタート地点に向かうと、向こうからはラバーポニーのカナンさんが歩いてきた。なんでもしっかり練習してきたそうで、慣れないとまともに歩けない蹄ブーツでもふらついてもいない。 全身ラバースーツでハーネスのデザインも違い、腕というか前脚は蹄グローブを嵌められた上でヒトイヌに近い形で肘を畳んだまま固定されている。確かにこの方が、腕を前後に振ること自体はできるから走りやすそうだ。 でも、私も勝つつもりであの時とほぼ同じ形にしている。たとえなんでもできるカナン先輩が相手でも、負けるつもりはない。 ポニーガールにはなったけど、形式はとても単純な徒競走だ。馬車がついていたりもしないから、あまり深く気にすることはない。 さっき犬を止めるために使っていたゲートに入って、あの時と違って急発進する必要があるから準備しておく。といってもスタートの姿勢をとることすら難しいし、ゲートに体重をかけるのはさすがに怖い。単に転ばない程度に足を開いて、いつでも蹴り出せるように待つだけだ。 ……視線を感じる。私たちにとっては慣れてしまってもいるけど、人間としてはあまりにも恥ずかしい格好を、走るためだけの不自由な格好をさせられているところを見られている。私たちは今、見世物としてわざわざ馬を模した姿で走らされる家畜だ。 ここで予定通り競馬が行われるようになったら、その子たちはこの感覚を毎回味わえるんだろうな。少し羨ましい。 『用意……』 やっていることは紛れもなく背徳的で卑猥な見世物だけど、それは人間様から見ての話。私たちの存在意義は走ることだけなのだから、考える必要なんてない。……ないのだ、だから今二頭とも興奮でおかしくなりそうなのは、本当はいけないこと。 それでも躾のなっていない駄目な家畜ではないから、走りに支障はきたさない。あの時の体験で最終的に得た知見は、ポニーガールが浮かれたいならせめて歩きや走りをおろそかにせずこなしながら、という当たり前のことだった。 ゲートが開いた。私とカナンさんは同時に走り出して、片付けられていくゲートを尻目にトラック一周のレースへ向かう。事前に測ったところ、普段の足の速さはほぼ同じ。だからこのレースはポニーとしてどちらが上手いかで結果が出る。 ただ、いざ走ってみると私のポニーガールとしての一日の長は微妙だった。あの時とは何もかも違うのだ。重い馬車を牽かずに全力疾走するから、パワーよりもスピードが大事なのは当然。何よりも背後に手綱や鞭を操ってくれる御者さまがいないから、完全に馬車の動力パーツとなって何も考えずにトランス状態になることはできない。 「ふっ、ふっ……!」 だいたい、互角。結局のところお互いただ走るだけになっているから、元々の脚力以上の差がつかない。さすがにカナンさんもポニーブーツで全力疾走くらいはできるようにしていているし。 ただ……スイッチは、意外なところにあった。 「…………っ!?」 後半のカーブに差し掛かるあたりで、正面に見えたものがあった。飼育員に誘導され固められたままこちらを見ている、たくさんのポニーたちだ。おそらく競走ポニー志望の子たちが、デモンストレーションであるこのレースを見学しにきていた。 他のポニーに見られたことも一緒に走ったこともあった私は、これで何か歯車が噛み合った。もっと見てほしい、ポニーらしく役目を果たして走る以外の全てを忘れてしまったところを、目に焼き付けて真似てほしい。それで不思議と完全に手綱に意識を委ねたあの時のような感覚が蘇ってきて、余計な意識がすっと抜け落ちた。 残ったのは、走れという単純な命令と深い本能的な興奮だけ。お尻に鞭を受けたような気分になって、轡を噛み締めて、目の前に見えるコースの内側の線だけを頼りにさらに歩幅を開く。きっとそれまでよりも目を惹くフォームになったし、ベルトが股縄のように擦れて気持ちいいけど、もはやそれすら関係ない。 『なおも逃げる、伸ばして、伸ばして、そのままゴール!! 勝ったのはミカー!!』 「ふっ、ふっ……ぁ、ふ…………っ!」 気付けばゴールを跨いでいた。沸いた会場を聞いて意識が落ち着いてきて、すぐには転ばず止まれないからゆっくり減速しながらシノさまの方へ。体が思い出したのか、ぷしゅ、とベルトの内側から液が溢れた。……私、また走るだけでイってしまったらしい。気持ちよすぎて歩きながら腰が前後に揺れてしまって、わかりやすい絶頂をしっかり会場中に見届けられてしまった。 シノさまにタオルで汗を拭いてもらって、ひとまずそれだけでまたクールダウンに歩く。他と同じように、種目が終わっても拘束は解かれないようだから。入れ替わりで歩いてきて、視線で称えてくれるような様子をみせたカナンさんに轡越しの鳴き声で返した。 「……やっぱりミカ、ポニー似合ってるよね、走りながらイけるあたり、才能もこれ以上ないくらいあるし」 陣営に戻って、ヘビの厳しい拘束を改めて堪能しているアナに言われたのがこれだった。自覚はあるけど、自分も自分で何よりも合ったもので楽しんでいるアナには言われたくない。ただ、ヒトイヌ拘束に極太プラグまで挿れているのにやはり平然とした顔のメルさんといい、テスターでは古参なほうのはずなのにイヌになるとべたべたに甘えてくるカノンさんといい、やっぱり皆これでいつも通りだ。 勝敗としては私たちの勝ちだけど、最後にみんなでこの格好のまま写真撮影をするときにはわだかまりなど何もなかったし、なんならみんなそろそろ興奮が限界だった。集合写真は4種8匹の発情ヒトペット一覧になってしまったのは、まあ無理からぬことだろう。