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柔らかい胸に

それは俺が排気口をくぐって別の教室へと移動しようとしていた時だった。 ふと足元から光が漏れているのを確認した俺は、ここが今どの教室なのか探るため鉄格子から上半身を乗り出し下に広がるだろう教室の様子を伺った。 排気口の暗闇に慣れた目がようやく光を捉えるようになったところでここがどこなのかが分かった。 下からは女の子達の可愛らしい声と共にほのかに女の子特有の甘い香りが漂ってきている。 つまるところ俺が今覗いている排気口の出口は女子更衣室だということだ。 俺の真下には見知った女性、四天王の一人ミズホさんがが今まさに服を脱いでいるところだった。 「こ、これは言わゆる覗きという状況なのではないだろうか…!?」 学生探偵たる男がそんなことをして良いのか。いや、俺も一人の男である以上そういった欲求には逆らえない。それに、今の俺は彼女たちにとっては空気中に漂うホコリも同然だ。微生物に裸を見られて泣き出す女性はいない。 そう強引に結論付けた俺はもう少し見やすいように体を深く覗かせる。 途端、背後の方でカタカタッと体全体を揺らすような音が響く。何事かと振り返った時には既に遅く、俺の体は突風に巻き込まれ巨大な女性たちが肌を晒す更衣室の方へと吸い込まれた。 硬い床に落ちて死ぬのだと思っていたがいつまで経ってもその衝撃は襲ってこなかった。代わりに柔らかいものにぶつかったような感覚と人肌の温かさが伝わってくる。恐る恐る今の状況を確認するため顔を上げた俺の目とその『柔らかいもの』の持ち主である女性の目がぶつかった。 「地仁田さん……?」 どう取り繕っても言い逃れのできない状況に俺は黙っていることしか出来なかった。

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