部室でイタズラ不健全ルート / アプリシリーズ6話分岐
Added 2023-11-11 15:00:00 +0000 UTC放課後、部室に立ち寄った場合の分岐小話 「開かないな」 力任せを諦めて、しばし試行錯誤した結果だった。 「ついにいったか」 「おれらがいた頃からあやしかったもんなぁ」 仕方ない、と振りかえり、 「すぐ他の部員がくるだろうし、それまで大人しく待っとこうぜ」 三年の先輩は、部室のドアを軽く叩いた。 扉を開いた先、部室には三名の先客がいた。 息抜きに顔をだしたという、引退済みの三年がふたり。同学年のチームメイトがひとり。陸人はロッカーから置き忘れていたジャージを取りだす。部活に参加するつもりはなかった。体調がすぐれないので帰る旨を伝えると、たしかに顔が赤い、気をつけて帰れよ、と声をかけられた。そうして建て付けのわるいドアを開こうとしたところで、冒頭に戻る。 中央に据えつけられた長椅子。 その端に腰掛け、じっと顔を伏せる。はたから見れば休んでいるようにみえるが、その実、陸人はその身を蝕む甘い毒に苦しめられていた。刻一刻と染みこんでいく淫らな熱。頬の赤みは、体温のせいだけじゃなかった。 こうして静かにしていればバレることはない。しかし精神的に、人目に触れる場所に長くいたくはなかった。三年のふたりは体調不良の後輩に気遣って長椅子の逆側で談笑していたが、 ──つむじに感じる視線。 前方のロッカーに背を預ける男。同級生の髙山の不躾な目。隠す気のないあからさまなそれに、なにみてんだ、と突っかかってもよかったが。今の自分の顔を晒したくない、し、前々からソリの合わないこの男と、わざわざ押し問答をはじめる必要もない。そうおもい受け流していたが、さすがにそろそろ、嫌気がさしてきた。 「……おい」 顔をあげると同時、どかりと隣に髙山が腰をおろした。咄嗟に距離を取ろうとしたところで「なんで逃げんだよ」と安っぽい笑みを向けられる。 「しんどそうな顔。まじで体調わりーの?」 髙山の指が、頬に散った髪を掬う。そのまま耳を撫でた指を反射的に振り払う。 「は、なに、きしょくわるい触り方すんなよ」 「気色わるい?」 声をひそめ、陸人にだけ聞こえるほどの声で「きもちいいの間違いじゃねえの?」とささやく。 「……意味、わかんねーんだけど、まじで」 「一昨日の朝さ」 腰を寄せて距離を詰め、 「お前がばかみてーに走ってトイレに駆け込んでいったの見かけて、おれ、興味本位で後ついてったんだよ」 「……あくしゅみ」 「悪趣味はどっちだよ」 トイレで喘いでるやつが、と笑った。 「なんだっけ。クラスメイトの前でアクメキめるの我慢できない、だっけ?」 じわりと、背に汗がにじむ。 「すげーこと言うじゃん。あんな誰がくるかもわかんない場所でさ」 また、耳に触れた手。振り払うタイミングを見失う。 「知らなかったな。うちのエースがこんな変態だったなんてさ」 「……ちがう」 「え?」 「知らない。おれじゃない」 「録音したの残ってるけど」 今、ここで流そうか?と手にしたスマホを見せつける。腕を伸ばすもあっさり避けられた。「必死じゃん」と笑う男の瞳に咄嗟の判断を誤ったことに気づく。弁解の言葉を捻りだそうと口をひらくが、太腿に添えられた手に思考を散らされた。 「おい、っ……」 「あんまりでかい声だすと先輩たちに気づかれるぞ」 陸人が唇を噛みしめたのをみて、その手はじりじりと付け根の方へとのぼっていく。 「今日は、なに? なんかしてんの? それともされてんの?」 「っ……!」 腿の根本。敏感な肉を揉まれて、大げさに膝が跳ねた。咄嗟に口元を両手で抑えても、みだれた呼吸が指の隙間から漏れでる。 「あは、まじで? こんくらいでそんななんの?」 髙山の五指がぐにぐにと足の付け根を揉みこむ。明らかに、性的な意図をもった手つきだった。 「やめろ……っ」 小声で訴える。 「な、んで……、こんな、っ」 「なんでって」 髙山の手が止まる。途切れた刺激に肩の力を抜くも、 「気に食わないやつの弱みが転がってたら、だれだって拾うだろ?」 その手が熱の中心を捉えた。 「ッ───!」 「うわ、ちょっと反応してんじゃん」 なに?こういうシチュエーションに興奮してる?と嘲る声に、目の前が赤くなった。 ちがう、違うちがう……!媚薬のせいだ。ぜんぶ媚薬のせいだった。だけどそんなこと言えるはずもない。ただ背を丸めて耐える陸人を見つめながら、髙山は熱を孕んだ膨らみを、つつ、と指でなぞってから、手のひらに包んだ。 「っ……ふ、ぅ゛……ッ」 そのまま、こすこすと上下に撫でさする。制服越しの甘い刺激。腰が浮くような快感に、反応しまいとからだを強張らせても、ぴくぴくと肌が震えてしまうのを隠しきれなかった。 「たってきた。きもちいいんだ?」 下唇を耳たぶに触れさせながら、ねっとりとした囁きを吹きこまれる。 「っ、は……っ……」 「バレたくないなら我慢しろよ」 「……っ、ん、ッ!」 ぎゅ、と陰茎を握りこまれる。腰が大きく跳ねて、カタリと長椅子の足が音を立てた。あからさまな反応を笑われて、かっと怒りがわきあがる。 「っ、い、い加減に」 口をふさぐ手を解いた瞬間、背後から上がったカラカラとした笑い声。一瞬で心臓が冷えるような心地に、陸人はまた首を下げた。髙山は小さく笑って、陰茎をまさぐる手を激しくさせた。 「っ、っ……、っ……!」 勃起し、形を確かにしたペニスを衣服越しに激しく擦り上げる。一定のスピードで淡々と、しかし執拗に。 「ふ、ぅ゛……、っ、っ♡」 まっすぐ座っていられず、前屈みの角度が深くなる。つむった目蓋の裏で快感がパチパチと弾ける。膝が小刻みに震え、赤らんだ首筋に一筋の汗が伝った。媚薬の効能が一層厄介だった。押し寄せる快感の波が毒を焚きつけて発情を嵩ませる。全身の血が熱く滾り、肌を更に過敏にさせる。 「っ……は、ッ……」 どくどくと脈打つ熱。成すがままにされるほど、状況は悪化していく。 「……っ」 いっそ、大きな声をだして、みんなに気づかせた上で、冗談めいたことを言って、ごまかしてしまえば……。 そう思うも踏み切れず、まごつく内に、 「なにしてんの?」 足元に落ちた影。 先輩の一人が、ふたりの前に立っていた。その視線は弄ばれる陸人の下半身に落ちていた。 「っ……、あ」 「部室でやることじゃないだろ」 まるで、わるいことが見つかったときのようにバクバクと動悸が早まる。バレた。見られた。強い羞恥に駆られるが、でも、もうこれで…… 「お前らって、そういう関係?」 付き合ってんの?と問いながら、先輩──久ヶ沢は陸人の逆隣に腰を下ろした。 「まさか。こいつの変態趣味に付き合ってやってるだけです」 「ヘンタイシュミ」 「こいつ、学校でエロいことすんの好きなんですよ。今日も部室でひとりで発情してたんで、慰めてやってたんです。な、陸人」 「なっ、ちが」 身を捩って髙山の手を振り払おうとするも、その手を久ヶ沢に取られた。 「へえ。お前こういうの好きだったんだ」 知らなかった、なんていって笑う男の瞳に映る嗜虐的な色に、突き落とされたような気持ちになった。久ヶ沢は掴んだ手首をベンチに押しつけ、もう一方の手を伸ばす。 「なあ、こっちもたってね?」 その指が、シャツの上から胸の突起を引っ搔いた。 「ッ──!」 「あ、まじでビンビンだった。はは、すごいな。澄ました顔してるやつほどエロいってよく言うもんな」 おれの元カノも同じタイプ、と曲げた人差し指の側面で弾くように突起を弄ぶ。止まっていた髙山の手も動きだす。 「っ、ひ、ッ、ッ……!」 手のひらをなすりつけるようにペニスを扱かれながら、乳首をくりくりと弄られる。別々の性感がからだのなかで繋がって束となり、さっきの何倍もの快感となって押し寄せる。からだのビクつきが止められず、嬲られるまま反応してしまう。 「っ、っ……!」 なんで。いつも突っかかってくる髙山と違う。先輩とは普通に接してた。仲が悪いわけでもなかった。どうして、と溢れる疑問が快感に散らされる。 「こら、あんま動くなって。あっちで受験勉強してるやつがいるからさ、静かにしておいてやらないと」 「ッ……ふっ、っ……♡」 「そうそう。声もちゃんと我慢して。バレて恥ずかしいのは嫌だろ?」 「っ……、ぅ゛、ッ、ん、ん゛ー……」 「ほら、我慢だって、がまん」 「にしても、すげーな。こんなんされても固くなってんの。まじのすきもんじゃん」 ちがう、ほんとうにそんなじゃないのに。なにも言えなくて、じわりと目頭に熱いものが滲む。 「っ……く、ぅ、っ」 「腰、動いてる。もうイきそう?」 問いかけに頭を振ったのは、もはやただの強がりだった。きっとふたりには、少なくとも陰茎をしごく髙山にはバレている。わかった上で愛撫の手を強められる。 「っ、っ〜〜〜〜♡♡」 いやだ。イきたくない、こんな凌辱めいた行為で達したくなかった。そう強く思うも、複数の手に与えられる刺激に肉体は高められていく。びくんと腰が前に振れる。その時、髙山の手が止まった。 「……お前、なんか」 「なー、さっきからなにして……」 横入りした声に、心臓が跳ねた。 「は……っ」 振り返る。単語帳に視線を落としていたもう一人の先輩、内木が立ち上がってこちらを見ていた。驚いた表情に活路の兆しを見出すが、立ち上がった髙山に手を引かれ、陸人も無理やりに立たされた。 「陸人のオナニーに付き合ってやってるんです」 「は?」 内木の視線が、衣服を押し上げる勃起に向けられた。身を捩って隠そうにも、腕を後ろ手に纏められて、ぐいっと下半身を突きださせられる。 「こいつ、この状況に興奮して一人でオナッてたんすよ」 「しっ、してな」 髙山が耳元で囁く。「部員全員に送ってやってもいいんだぜ」の一言に、あらゆる抵抗を奪われた。 「な、陸人。そうだよな」 かといって頷くこともできず、ただ立ち尽くす。久ヶ沢は座ったまま二人を見上げていた。内木はなにも言わない。無言の空間が居たたまれない。判断能力が鈍ってる。全員にバレてしまったのなら、もういっそ喚き倒して暴れたらいい。録音なんて、ほんとうにされてるのかもわからない。……でも、もし本当だったら、 「現にいまだって」 「あっ」 「ほら、まだ興奮してる」 股間を撫でられる。絶頂寸前まで追い込まれた性器が刺激に震えるが、すぐにその手は離れて、指先がチャックを摘んだ。 「お前さ、ここ、なんかつけてるだろ」 なんか、って……。 次の瞬間、はっとして陸人は暴れだした。髙山の手から離れようと手足をばたつかせるが、首元から抜かれたネクタイで後ろ手の腕を縛られ、左手で上半身を固められる。右手が前をくつろげていく。 「いやだ! やめろっ……!」 ペニスが露出される。その根元にハマるリングに三人の視線が集中した。 「ぁっ……ッ……」 「なにこれ」 「なあ、何これって。陸人。説明しろよ」 「やっ……」 顎を掴まれて、無理やりに顔を上げさせられる。揺れる瞳がじわりと潤んだ。 「これ、コックリングってさ。射精できなくなるやつだろ?」 陸人の代わりに、座ったままの久ヶ沢がいった。 「えー……エグ」 内木は頬を赤らめ眉をひそめながらも、まじまじとそれを見つめていた。好奇の視線に晒されて、沸騰しそうなほどに顔が熱くなる。 「自分じゃつけねえよな、いくらなんでも。やっぱそういう相手がいんの? 彼女? 彼氏?」 「陸人。な、答えろって、先輩が聞いてんだろ」 「ち、ちが、いますから、もうっ……」 「じゃあ自分でつけて楽しんでんの?」 首を横に振る。なにも言えずに黙りこむが、それが許されないとでもいうように無言の視線に答えを促される。異様な空間だった。こんなの、ぜったいにおかしいのに。だれも止めようとしない。髙山が陸人を主語に置き換えるせいで、からだの疼きがおさまらないせいで、ほんとうに自ら望んでこうしているような、この状況を歓んでいるのだと勘違いされる。一歩距離を置いていた内木も雰囲気にのまれ始めていた。 「お前さ」 人目に晒されてもなお、勃起したままの陰茎が髙山によって緩く扱かれる。 「っ……ぁ、やめ、ッ、」 「みんなでエロい話してる時もあんま交ざんねーし、興味ないかとおもってたけど、違ったんだな」 「そういうレベルじゃなかったんだろ」 なじる声に先輩たちの嘲笑が混じる。 「おれらの猥談、浅すぎて笑われた? やば」 「いやでもまじで、そのレベルだよな、これ。こんなん学校につけてくるとか」 「ッ~~~~手、て、止めろ、っ、もう」 「もう、なに? イきそう?」 先走りに濡れたペニスをくちゅくちゅと音を立てて扱かれる。熱い手のひらに直接慰められて、耐えられるわけがなかった。 「イく? でも射精できねーんだろ?」 無理じゃね?と言いながらも、絶頂を促すように手のうごきを早める。根本からカリ首までを絞るように扱き、時折親指で敏感な裏筋をぐりぐりと捏ねられて、呆気なく頂きに押しあげられる。 「あっ、っ……!」 熱い感覚が奥で弾けた。がくがくと膝を震わせながら、深い快感に打ちひしがれる。しかし同時にせり上がる精液を押し戻される切なさに、ねだるような、鼻にかかった甘い声が漏れた。 「はぅ、っ……く、んん……っ」 快感に浸る最中に、またうごき出した手のひらに目を見開く。 「あ゛っ……!? な、んでっ……っ、」 「今。イッた? でてねーからわかんねーな」 「やっ、っ〜〜〜♡♡ んんんぅ゛っ♡」 上半身を固定していた左手で、シャツの上から乳首を揉まれた。陸人は顎を反らせて高く鳴いた。 「あぁっ……! やっ……や゛、め、そこ、っ」 「すげー。え。乳首でも感じんの?」 頭を左右に振っても説得力はない。ひくつく身体。紅潮して蕩けた表情。いやいやと拒絶しながらも激しくみだれる様子から、愛撫に感じ入ってることは明らかだった。 「ん゛んんっ♡ ッ、っ~~~~♡ やめっ、いっ、イくっ、イ、って」 乳首と同時に陰茎を責め立てられる。くりくりと突起を弄られながら、カウパーでたっぷりと濡れた亀頭を撫で回される。くちくちと響く水音が恥ずかしい。恥ずかしいのに、圧倒的な快感を前にまた頭を真っ白にさせられる。 「───っあ、ああ゛っ……!!」 真っ赤に勃起した陰茎から精が漏れることはない。しかしくぱくぱとひくつく尿道口が、見るものに絶頂を確信させる。 「はぁ゛っあっ、あぁっ♡ もういやだっ、やぁっ……!」 「射精せずにイくのきつそ~」 「これ取れねえの?」 「ひっ……!」 長椅子に腰掛け、傍観していた久ヶ沢がペニスのリングに手をかける。ぐいぐいと引っ張られるが、 「取れねー……やっぱり、だれかにされてんの?」 外れないとわかって指先で手遊びはじめた。 「してるにしろ、されてるにしろさ、こんなの付けて学校くるとか。バレること前提のプレイだよな?」 「も、っ、まじでやめ、てください、手はなして……っ」 髙山が陰茎を解放する。更に奥へ手を伸ばし、 「お前さ、こっちもいけんの?」 指先で窄まりに触れた。 「っ───!」 「うわっ」 唐突に激しく暴れだした陸人に、だれかが「こっちに転がせよ」とうながしてベンチに倒される。必死にからだを振り乱すが、三人に押さえ込まれて、足首を掴まれた。 「──あ、アオッ……!」 アオ、と繰り返す。反応してくれ。実体もない物の名前を懸命に呼ぶ。それがなんになるのかもわからない。でも、今、縋れるたった一つのものだった。 「それ、相手の名前?」 「やっぱいるんじゃん」 なんにしろ、この状態で学校行かせるやつなんてろくでもないだろ、と軽口をたたきながら足を開かせる。 「男ってさ、濡れねーよな」 どうすんの?と冗談交じりの、しかし僅かに熱の滲む声が降ってくる。体は火照ったまま、心臓だけが冷えていく。見上げた先、髙山が面白そうに笑っているのをみて、ないまぜになった感情が溢れそうになった瞬間、ドアが叩かれた。 どん、どんと数度叩かれたのち、金具が搔き回される音が響く。扉越しに聞こえる複数の話し声。カチャン、と播金が落ちるような音が鳴ったと同時、扉の開いた隙間から西日が差し込んだ。 「お、開いた……」 「あれ、人いる」 ぞろぞろと入ってきた部員のひとりが、部室の面々を見て「閉じ込められたんですか」と目を丸くした。 「そ。やー助かったわ」 一歩、前に出た久ヶ沢が笑いながら答えた。 「突然こっちから開かなくなってさ」 「えーまじっすか。部活終わりとかじゃなくてよかったっすね」 「怖いこと言うなよ」 先生には伝えておきますけど。今からどうしましょ、開けっ放しってやばいですよね、と眉を寄せながら、ふとその背後に目をやった。 「陸人先輩? 大丈夫ですか?」 同級生に支えられて立つ陸人へ声をかける。俯いた陸人の代わりに、髙山が返した。 「こいつ体調悪いみたい。保健室つれていくわ」 扉がひらく直前に、拘束を解かれ、乱れた服を正された。 「じゃあ、あとよろしく」 髙山の手から離れようと身じろぐが、腰に回る手の力が強まり、余計に引き寄せられるだけだった。俯いた前髪の隙間から、集団のなかで藤沢が心配そうにこちらを見ていることに気がついた。しかしなにを言うこともできず、陸人はそのまま引きずられるようにして部室を後にした。 「い゛っ……!」 だれもいないトイレの個室。閉じた扉に肩を押しつけられる。 「よかったな。バレなくて」 それとも、バレたかった?と笑いながら、 「っ、おまえ、まじで調子乗んな、どけよっ……んぐっ」 髙山は陸人の咥内へ指を突っ込んだ。 「んん゛……っ!?」 唾液を擦りつけるように舌を弄ぶ。かとおもえば根元まで押しこんで、嗚咽を煽るように奥の方で指を泳がせた。 「……ッぐ、……ぅ゛……っ!」 男の胸元に手を当てるが、苦しさが勝って押し返すほどの力が入らない。 「ッ──ごほっ、ッ……は、ッ、は、ぁ゛っ」 指が抜かれる。息も整わないうちに身体をひっくり返され、体の前面を扉に押しつけられる。髙山は同年代に比べて背が高く、体つきもたくましかった。背後から腕を回され、抱きしめるように組みつかれると、それだけで身動きが取れなくなる。右手が下着のなかに入ってくる。陰茎を通り越して、更に奥の秘部に触れる。陸人は無理やりに首を回して髙山を振り返った。 「なに、その顔。やっぱりこっちも経験あるんだ?」 濡れた指が窄まりを撫で、 「なあ、いつから? ずっと前からそうだったわけ?」 「あっ……、やめ、っ」 くちりと縁を割って入りこむ。 「っ……!」 「はは。すげー吸いつく。男のケツってこんななんだ」 人差し指が、内壁の感覚を楽しむように中でぐにぐにと動く。手遊ぶような動きにすら甘い感覚を覚えてしまう。 「あ゛っ……!」 ビリッ、と痺れるような強い性感が駆け抜ける。髙山はその一点の上で指を止めた。 「ここ。感じんの?」 「はっ、っちが……ア゛ッ、や゛っ、やめ、っ♡」 「はは、ぜってーうそじゃん。ここ弄ると中がすげーきゅうきゅうする。わかりやす」 「あ、っ……ぁっ、んぅぅ゛っ♡ ッ、や、もっ♡ はなせっ、手、とめ゛」 「つーか、どこもかしこも開発済み? まじでやばいな」 しこりを捉えた指がそこをぐりぐりと捏ねくりまわす。遠慮のない強さで、ピンポイントに一点を弄られる。耐えがたい鋭敏な刺激に、急速に膨れあがった熱が腹の奥で弾けた。 「……ッ゛、ッ~~~~♡!!」 声は押し殺せても、ビクビクと戦慄くような肉壁の痙攣はごまかしようがなかった。 「な、今イッた?」 「っ……ぅ、んっ、ッ♡」 「おれの指マンでイッたかって聞いてんだよ」 「ンン゛っ!? っ、ひ……ッ、あ、あッ♡ ぃやだっ、やめっ、っ〜〜〜♡♡」 後穴を犯す指が増える。絶頂に震える前立腺に揃えた二本の指先が宛がわれ、圧迫したまま円を描くようにぐりぐりと捏ねられる。 「ひィ゛、っ、っ、っ────!!」 背後から体重をかけて押さえつけられて、腰を満足に震わすこともできない。かろうじて顎を極限まで逸らせて、扉に押しつけた拳をぶるぶると震わせながら、陸人は連続絶頂に打ち震えた。弱点を知った指は、次にどの刺激が一番キくのか試すように色々な揺さぶりをかける。トントントン、と指で叩いてみたり、優しく撫で回したり、二本の指で挟みこみ、指の側面でくりくりと擦り合わすように刺激したり、 「ア゛ッッ♡♡ ───あ゛、あ、っひ、ぃ゛……ッッ!!」 絶え間ない刺激。昨日の今日で、絶頂のスイッチみたく調教された場所を好きに弄ばれて、一瞬たりとも耐えることができなかった。されるがまま、押し寄せる快感に喚き啼く。 「なあ。ほら言えよ。イくのか? イッてんのか? 正直に言うまでやめねーぞ」 「んん゛っ♡!? ン゛、んんん゛ん゛っ……♡♡」 オーガズムの波に浚われながらも、胸に巣食う反骨心を無視できなかった。 「ふっ、ざけんなっ……! だ、れが、こんなのっ」 「え、イッてねーの? 感じてもない? これで?」 紅潮した目元。濡れた唇を見ながら、へえ、と呟く。 「じゃあその顔も、声も全部演技? すげーな。男喜ばせるのめちゃくちゃうまいじゃん。そういうのも教えてもらったんだ?」 対する髙山の瞳に浮かぶ、冷たい光。 「なあ、だれ?」 一瞬、言葉の意味がわからなかった。 「アオってだれ」 しかし分かったところで、 「この学校のやつ? それとも、おれの知らないやつ?」 息を切らしながら、しかしなにも言えずに黙りこむ。中で指が鈎型に折れる。ぴたりと前立腺に指先を引っ掻けたまま、 「───ッ、ひ、っ、っ゛♡♡」 グポッ、と抜かれた。 「言えよ」 そのまま、ぐぽぐぽとピストンが繰り返される。弱いところを掻き抉られて、肉穴をごちゅごちゅと擦りあげられて、強烈な刺激に内壁がのたうつように激しい収縮を繰り返す。 「あ゛ぁ゛ああぁあッ♡♡ あぁ゛っあ、あ、あっ、ア゛───ッ!! っや゛、やめ……それ、っぇ゛♡」 「やめてほしいなら言えって。ほら、ここきついんだろ?」 「ッイ゛ッッ♡♡ っん゛、ん゛んん……!!」 い、いく、イく、っ……。 無理やりにイかされても、髙山は宣言通り愛撫の手を止めなかった。耐えきれず尻がビクビクと跳ねて上へ逃げようとするのを体重をかけて潰される。抵抗を殺された無防備な尻穴をぐちゅぐちゅと徹底的に嬲られる。 「っい゛や……っだぁ゛っ♡♡ アア゛ッ♡ あぁ゛っ、だっ、だめ、ッ……イ、い、っちゃ、っ───♡♡」 つい漏れた言葉は聞こえないフリで、執拗な愛無が続けられる。これがとびきり陸人にキく刺激なのだと知った上で、快感に足掻く陸人とは反対に、髙山は淡々としてその体を追い詰めていく。 「も゛っ……もうむり゛っ、むりい゛っ♡♡ それやだっ、や、っ、ッ゛〜〜〜〜〜ッ♡♡」 官能に満たされた脳に反応して、媚薬がじゅんじゅんと体内に沁み込んでいく。感じれば感じるほど疼きが強まり、神経が過敏さを増していく。際限なく高まりつづけるからだに恐怖すら覚えても、内側の事情を知らない髙山の手は度を越えた刺激をその身に強い続ける。 「あ゛ぁあ゛っ、ア゛っ、あぅ、ぅうう゛んんんっ……!!」 「なあ、なんで言わねーの? 庇ってんの? それとも操立ててんの?」 「は、っあ゛、……っ」 手が緩まる。すりすりとしこりを優しく撫でられて甘イキに震える。 「ん、っ……お、まえにかんけいな、っあッ」 「……は。この期に及んでそんなこと言う?」 こういうとき、お前みたいな意地っ張りって損だよなぁ、なんて言いながら指を増やす。三本の質量を咥えさせられた肉縁はみちりと広がりながらも、その圧の甘美に打ち震えていた。 「や、やだっ……抜けよ、もうっ……」 「なんだよ、イけてないならいいだろ」 「っ……!」 節くれだった男の指が、ごりごりと敏感な肉壁を擦り上げる。 「やだ……っぁ゛♡♡ っだめ、ほんと、に゛、ッッ゛〜〜〜〜〜♡♡♡」 前立腺だけじゃない。その肉穴は異物の圧迫すら快感として捉えるようになっていた。もう、もうぜんぶだめだった。束になった指にピストンされるのも、熟れた肉壁を擦りあげられるのも、肉縁を巻き込んで抜かれるのも、奥まで突かれながら、指の腹でしこりをこすりあげられるのも、ぜんぶ、苦しいくらいにきもちがよくて、 「声やば。ここがどこだかわかってる?」 ぼんやりと熱に霞むなか、かろうじて残った理性で息を詰めるが、前立腺に狙いを定めて穿たれて、呼吸ができないままイく。酸欠の苦しさとすさまじい快感で歯の根も合わず、震える唇の端からまた、みっともない声が露呈する。 「っ……っ、く、……っふ、ァ゛、ァア゛っ♡ んぅっ、ん゛──♡♡ や゛だっ、もうやだぁあ゛ああっ♡」 「なにが嫌なんだよ」 「いっ、イ゛きたくないぃ゛っ、もぅっ」 「なに? なんて?」 「ッ~~~~♡♡♡」 俯けた頭を小さく振ってから、陸人は涙に濡れた瞳を髙山に向けた。 「……っも、いっ、イ゛ッた♡ イってる、からっ、あ゛あ゛っ、っ♡ っだ、から、もう、」 「いつ? ずっとひくついてるからわかりにくいんだけど。いつイッてんの、これ」 「いっ、いま゛ぁっ、いまイッ、てる゛っ……!!」 「射精せずにイくのきもちいい? キツい?」 「きついっ、きついからっ、もうやだぁあ゛っ、あ゛っ、あ゛──♡♡」 促されるまま肯定してみせるのに、指を止めてくれない。眉をくしゃりと歪めて、背に貼りついた髙山を見つめた。 「きついのにイくか? ふつー」 「はっ……あっ、あっ、っ……」 「きもちいいんだろ? ならそう言えよ」 「……っ、やだ……ア゛ッッ♡♡」 もう片方の手が乱れたシャツの隙間から入りこむ。きゅうっと乳首を摘まれて、電流のような強いしびれが上半身に駆け抜ける。 「ひん゛っ♡♡ やっ♡ やだっ、そこっ」 「だから、なんでダメなんだよ」 くりくりと乳首を弄られながら、アナルを責められる。 「あぁ゛っ♡♡ いくっ、いぐっ、イ゛っ、っ、ッッ……!」 うねるような強烈な快感が、捌け口のない体内で何度も何度も爆発を起こす。精巣のなかで精液が煮えたぎる。 「……すげー汗。からだ、どこもずっとビクビクしてて苦しそうだな」 言葉に反して、その目は玩具を手遊ぶかのように愉快そうに歪んでいた。言わせたいがためにしているんじゃない。この行為自体を楽しんでいる。意地を張り続けても、嬉々として続けられるばかりで、虐められる時間が長引くだけなのだと悟った。 「っき、……もちぃ」 それを察した末の、一種の自己防衛だった。 「っ、んん゛……♡!! なっ、なんで、もう言った、のに、っ」 「あれもいえよ。ほら、アクメ我慢できない〜ってやつ」 嘲るような声。胸の奥に沸いた反骨心をすり潰す。 「き、もちよくて、あっ、あくめ、我慢できないからぁ゛っ♡♡ もうやだ、やだぁ……っ」 「はは。まじで言った」 「い、言った、もういった……っ」 「でも惜しいな。主語がないとわかんねーだろ。なあ、なにがきもちいいの?」 「や゛ぁっ……!」 乳頭を優しく指の腹に擦られる。ぞわぞわとした感覚が強まり、たまらずに身を捩ると叱るように突起を掻かれた。 「ひん゛ッッ♡♡♡」 乳首でイかされる。熱い痺れが下半身にまで伝い、絶頂にきつく締まる肉穴を広げるようにぐちぐちと犯される。陸人は抑え込まれたからだを痙攣させながら深いオーガズムにひれ伏す。 「っ、っ、っ~~~~~♡♡♡」 見開いた目の端から、ほろりと涙が溢れた。 歯奥を噛みしめても、全身に広がる強烈な快感を耐えきれない。飛びかけた意識が強い刺激に繋ぎ止められて、何度も頭を白く浚うほどの快感を味合わされる。陸人はわけもわからず口を開いた。 「たっ、髙山の手が、きもちよくて、アクメがまんできないから゛っ~~~♡♡ あぁ゛あぁあ゛ああっ♡♡ やぁあっ♡♡ やだっ、またイくっ、イく゛ぅ゛♡♡」 「勝手にイけよ」 「あ゛っっ♡♡ ───ア゛ぁあああ゛っ♡♡」 ぎゅううと前立腺を圧迫される。同時に敏感な乳首を引っ張られた。全身が重い痙攣を繰り返す。折れかけた膝が扉を打って痛いはずなのに、それを凌駕する恍惚に塗りつぶされる。 「……はっ、ぁ゛、あ……」 髙山の指が抜ける。拘束の手からも解放されるが、まともに立っていられず、扉をつたい落ちていく。膝を突く直前に肩を押され、向きを変えさせられた。 「……っ」 「今日、このまま俺の家にこいよ」 「……ぃ、いやだ」 髙山がポケットからスマホを取りだす。そこから流れだした、聞くに堪えない音。きもちいいと喚き、我慢できないとねだる声。茫然としながら、思い至る。 「……前のは」 「あれ? うそうそ。聞く前から騙されんなよ。ばかだな」 さ、行こうぜ、と腕を掴みあげる。陸人はその手を振り払った。 「……なんで」 男を見上げる。 「なんで、ここまでするんだよ」 自分のことが気に入らないことは知っていた。他のやつには普通なくせに、自分にだけはいつも突っかかってくる。一年の頃、訳あって二ヵ月遅れで入部した。その時、一年で唯一レギュラーだった髙山からそのポジションを奪った。贔屓めなんてない実力だった。しかしそこで顰蹙を買ったのだとおもっていた。そうおもっていたから、くだらないと一蹴して、さして気に留めていなかった。けれど、こんなのは、あきらかに度を超えている。ここまでされる筋合いはない。 ……ないはずだ。 「おれも、最初はおまえの何がこんなに気に入らないのかわかんなかったんだけどさ」 へたりこんだ陸人の前に屈みこみ、 「でも、今日わかった」 その顔を見つめた。 「おまえ、そうしてんの似合うよ」 「……は」 「平然とした顔より、笑った顔より、今のがよっぽどいい」 髙山が手を伸ばす。 「陸人には、こういう顔の方が似合うだろうって、ずっと思ってたんだろな。お前に突っかかるのも、気に食わなかったんじゃなくって、単純におれに絡まれてイヤがってる顔が見たかっただけかな」 髪先を指に掬い、唇にほほ笑みを象る。陸人は自分をまっすぐに見つめるその目に、ぞっとするものを覚えた。 「……だからこそ、それもこれもぜんぶ、他のやつに見せたあとってのが気に食わない」 すっと瞳の温度を下げて、 「な、相手、男だろ」 髙山は髪先を手放して立ち上がった。 「スマホ……部室に置いてきたか。後でいいからさ電話しろよ。彼氏に」 咄嗟に首を振った。 「……かれしじゃない」 「じゃあなに。まじでゴシュジンサマてきなやつ?」 答えられずにいると「なんでもいいけど、電話して、そいつ切れよ」と続けた。 「……は?」 「合意の関係じゃないんなら、おれに代われよ。話つけてやるからさ」 「……なにがしたいの、お前、まじで」 「おれが代わりに相手してやるっつってんだよ」 当然のように言い落とす。陸人はおもわず掠れた笑いを漏らした。 「それで、おれが、はいって言うとでもおもってんの?」 髙山が陸人の前にスマホをかざす。画面に表示されるレコーダーマーク。 「お前に拒否権ないの忘れた?」 掴み取ろうと手を伸ばすも、届かない位置に避けられる。髙山はスマホを胸ポケットにしまい、ドアの鍵を開けた。 「校門で待ってるから。鞄取って五分でこいよ」 そう言い残して、呆気なく出ていった。扉が閉まる。完全に足音が聞こえなくなってから、陸人は震える手を握りしめた。 背を丸めながら、自分に残された選択肢を数えてみても、もうどこにも正解はないような気がした。