お待たせしております、現在制作中のHPに記載予定の、物語に関連する「キーワード」となります。
今回、自分たちで設定・文章を制作し、最後に考証の方に協力いただき、まとめ直して以下を作成していただきました。
【御楯乃会(みたてのかい)】
終戦直後に元陸軍将校である桐島が組織した秘密結社。構成員は桐島の元教え子である陸軍士官学校生徒が中心の約三十名。
1945年8月下旬、終戦に反対の立場をとり本土決戦を望んでいた桐島以下、復員前の陸軍士官学校55期生を中心に極秘裏に結成された。後に桐島の近衛歩兵師団に在籍中の部下数名が加わる。
組織名は元士官学校生徒達が、本来ならば松代大本営にて大元帥陛下を死守する「御盾」となるはずだったことに由来する。
組織の目的は帝国が連合国と再度戦争を起こし、その勝利のための礎となること。
桐島は再度戦争状態になることが明確な自殺行為であることを理解していたが、神国に真の危機が迫ることでこそ奇跡とも言うべき「救国の風」が起こると妄信した。
構成員は戦争で多くのものを失い、生きることへの諦めや、破滅願望に近いものを抱えていた。
桐島はそんな構成員たちが持つ連 合国への敵愾心を扇動することで、御楯乃会の無謀極まる蹶起を主導した。
【救国の風】
桐島が信じる大元帥陛下の霊験の一端。 かつて帝国が外国からの侵略を受け真の国難に陥った際、数多の志士の犠牲 と大元帥陛下の祈念によって起こされた強い風が、圧倒的な敵勢力を打ち破ったという伝説がある。神の護りそのものである。
一度《救国の風》が吹けば、帝国に敵対する勢力は壊滅すると信じられている。
※神風や元寇のことですが、表現上の問題があり、使用を避けました。
【地下室】
桐島家にある秘密の地下室。アメリアの監禁場所。
桐島家の邸宅には地下通路への狭い抜け穴が秘匿されており、地下通路を通って離れた秘密の地下室へと繋がっている。
地下室の上は元々桐島家の物件があったものの、戦時中に建物疎開で取り壊し地下室へ の入り口は隠蔽され、既に別の建物が建っている。
地下室は非常時に備えて地下シ ェルターを兼ねる予定だったためそれなりに予算を掛けて作ったものの、世間体が悪かったためその存在は桐島家のごく一部の人間しか知らない。
【桐島忠俊(キリシマタダトシ)/登場人物】
桐島紘一の父親。次男として生まれ、桐島家の婿養子となる。
陸軍士官学校第二十四期を優等卒業。陸軍大学校三十一期を次席卒業し、恩賜の軍 刀を拝受する。参謀本部付勤務を経て歩兵大尉に任官。まもなく長男の紘一が生 まれる。1923 年には陸軍省軍務局に在籍し、ドイツに駐在。帰国後、歩兵少佐に任 官、陸軍大学校兵学教官を務める。その後、歩兵中佐任官。1933 年に渡中し、関東 軍司令部付勤務、関東軍参謀を経て、帰国後 1935 年に歩兵大佐に任官。
しかし、 心臓病のために同年内に死去する。息子の紘一と確執があったようだが......。
【賀東(ガトウ)/登場人物】
桐島家に仕える老執事。桐島家神奈川別邸の上級使用人。かつて 桐島祖父と同じ部隊に所属していた元軍人。日清戦争末期、桐島祖父を 敵の攻撃から庇って負傷し、内地に後送される。この負傷が原因で視力が低下、左 手が握力低下し復帰を諦め軍を離れた。失職し困窮していたところ命の恩義を感じていた桐島祖父に使用人として雇われる。以後、長年に亘り桐島家に忠義を尽くしてきた。謹厳 実直で義理堅い性格。後年は紘一の世話役を任せられ、紘一を側で見守ってきた。
※ちなみに執事の賀東ですが、老執事の設定ですと日露戦争中では年齢が合わないため日清戦争としました。日露戦争中に現役兵ですと20代、下士官や下級将校でも二十代前半と、明治期は年齢層が若いためです。また在郷軍人会など銃後団体の保護が厚いため、将校の設定ですと困窮する事態にはなりにくいので、現役兵で下士官程度と想定しました。
【西宮(ニシミヤ)/登場人物】
政財界に太い繋がりを持つ旧家の一族の青年。元陸軍歩兵少尉。桐島が近衛歩兵師団在籍中の部下であり、同じ 中隊に所属していた。莫大な財力を有しており、裏社会にも顔が利く。何らかの思惑があって、御楯乃会の活動を水面下で支援している。
8月4日追加分↓
【桐島のアメリアに対する感情(仮)】
その身を汚されてなお失われることのないアメリアの気高さに、桐島はある種の“聖性”を見出すようになった。それは、桐島が統治者たる大元帥陛下に向ける“畏敬”の感情に近いもの。
どれだけの辱めを受けても折れないアメリアの意志と信念を“美しく侵しがたいもの”として感服したことを意味する。だが、アメリアに抱いた思いを手放しに認めることができない桐島は、理性による感情の抑制を続けた。
その結果、行き場を失った感情は歪になり、アメリアへの異常な“執着”だけを残すことになった。
【12年前の事故】
12年前、気温零下にも迫る真冬の日に、一人の少年が水難事故に遭った。軍人の父親に助けられた少年は、後遺症により視力と免疫力が大きく低下したものの、辛くも生命を取り留めた。
少年の父親はその勇気を称えられたが、事故発生時に付近を通りがかった者の証言によると、子どもの悲鳴と前後して男性の怒鳴り声が聞こえたという。
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時期は真冬。身体を強くするためだと称して、怒り狂った父親に少年が投げ込まれた帷子川での出来事。この逆上した父親の暴走は、世間では川遊びに興じる少年が起こした事故ということにされた。
ーー水温は零下にも迫るほど冷たかった。”彼”は、極寒の水中でもがき苦しんだ。しかし、激痛に苛まれる身体は満足に動かせず、体温は急速に奪われていった。そして、”彼”は溺れた。
生命は助かったが、視力が大きく低下した。免疫力も低下して、病気がちな身体になった。幼少の”彼”は、健康な身体と平常の視力を失った。この恐ろしい出来事を境に、”彼”は、父への不満と軍人への嫌悪を、完全に心の奥底に封じ込んだ。だが、父親は諦めていなかった。どうにかして己と同じ道を歩ませようと、あらゆる手を尽くして働き掛けた。それはもはや狂気だった。その狂気を向けられ続けた”彼”の人生は歪んだ。
父親に押し付けられた歪んだ理想像に、“彼”はすべてを奪われた。
【運命の日】
その日は嵐だった。
理想は遥か遠くにあった。
時間もまた限られていた。
それでも“彼”は立ち上がり、届かぬ希望に手を伸ばした。
“彼”にとっては、それが全てだった。
【あの少女】
穢れなき純白の海軍軍服を身に纏った異国人。陽光よりもまばゆい金髪を揺らす美貌の少女。
初めて彼女を目にした瞬間、“彼”は鉄塊で頭を殴られたような衝撃を受けた。
羨むことさえ烏滸がましいと思うほどの高みにある乙女。
――――“彼”と彼女が再びまみえるのは、夢のまた夢なのだろう。