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いじめの復讐の話 part9

Part9:楓ちゃん探検隊 「さて……罰ゲーム、始めましょうか。」 咲良が静かに言った瞬間、ティッシュ箱の中の小人たちのざわめきが止まった。何をされるのか分からない沈黙が、部屋に重く落ちる。 咲良はその空気を味わうように、ゆっくり楓へと向き直る。 「楓ちゃん。立って。」 「え……?う、うん……」 楓が立ち上がったところで、咲良はさらりと言う。 「下……全部、脱いで。」 「……っ!?」 楓は目を大きく見開き、肩を震わせる。それでも逆らえず、震える手でショートパンツを下ろす。布が足元へ落ちるとともに、彼女の下半身が露わになった。 おにごっこの汗で薄く光り、数日風呂に入れていない肌から、少女特有の酸味と体温の混ざった臭いがふわりと漂う。 咲良は微笑みながら言う。 「正座して。太ももは、少し開いて。」 楓は赤面して小さく震えながら正座し、言われたとおり太ももをわずかに開く。股下に、暗いV字の影――渓谷の入口が生まれる。 ふわり、と湿った生温い空気がゆっくりとこぼれた。 そして、咲良は小人の入ったティッシュ箱を拾い、楓の膝のすぐ前、楓の渓谷の入口の前に傾けた。 「じゃあ……全員、行ってらっしゃい♡」 コロコロコロ……ッ!! 小人たちは否応なく転がり落ち――楓の太ももの前に着地した。 彼らがまず感じたのは、楓の股下から流れ込んでくる臭いだった。 遠目からでも、小人たちには楓の陰毛の影、開いた太もも、股の奥の肌色がはっきりと見えた。 数秒の静寂。 「くっ……なんだ、この臭い……っ」 「ちょ、ちょっと待てよ……ここ、まさか……!」 「無理だって……近づくだけで頭がクラクラする……!」 口々に文句を口にする元クラスメート達… 「それで……罰ゲームって……なんだよ……」 直哉が震える声で問いかける。 咲良はその声に優しく微笑む。だが、すぐには答えず、じらすように楓の股元へ視線を落とす。 「さっき言ったでしょ?楓ちゃん探検隊。」 空気がひやりと揺れる。 咲良はゆっくりと、楓の太ももの間――その奥の暗い影を指差した。 「具体的にはね……ここを、通ってもらうだけ。」 小人たちの顔色が、一斉に変わる。 咲良は続ける。 「楓ちゃんの股の下をくぐって、そのまま後ろから出てくるだけ。ね?簡単でしょ?」 楓の顔は羞恥に染まり、小人たちは青ざめ、嗚咽を漏らしそうなほど震えた。 股下からは、汗・皮脂・蒸れ・会陰部特有の生臭さが混ざり合った、原臭そのままの濃い臭いが静かに流れていた。 そんな劣悪な湿熱が渦巻く蒸れた股下ダンジョン。 奥には巨大な陰唇。 その下には最狭部の蟻の門渡り。 さらに奥には黒い穴――肛門が鎮座しているだろう。 全員、声を失った。 咲良は優しく微笑んで宣言する。 「じゃあ、始めましょうか。」 小人たちは楓の太ももの前で、誰一人として動けずにいた。 鼻を刺す蒸れた臭い、むっとした熱気、むき出しの股下が放つ圧倒的な存在感。正座している楓の太ももは巨大な壁のようにそびえ立ち、その奥にある暗い渓谷が、まるで死地の入口のように見えた。 だが——動けない理由は臭いだけではなかった。 「……あ、あれ……無理だろ……」 「ちょっと……足が……動かねぇ……」 「こんなとこ通るとか……正気じゃねぇ……」 誰も前へ進もうとしない。 それを見た咲良は、ゆっくりと立ち上がった。 ニヤリ、と。 「動かないの?なら……踏み潰そうかな。」 ズッ……と咲良の右足が持ち上がる。 その影が、渇いた音を立てて小人たちの全身を覆った。 「ひっ……!!」 「や、やめろ!!」 「ひ、人殺しっ……!!」 直哉が叫ぶ。沙耶が泣き崩れ、麻衣は絶叫し、恵は腰を抜かす。 咲良は足をわざとゆっくり上下させながら言った。 「人殺し?そんなこと言われても……大丈夫よ?」 そこで咲良は、大輔のほうをちらりと見る。 「さっきの副委員長、見てたでしょ?」 小人たちが一斉に息を呑む。 ——先ほどの鬼ごっこの時の記憶が、鮮明によみがえる。 お菓子の箱ごと咲良につぶされて、完全に息絶えたはずの大輔が——不思議な光で、理由もなく息を吹き返した。 現実ではあり得ない、理解不能の光景。 「お……おい……ま、まさか……」 直哉が震えながら後ずさる。 咲良はわざと嬉しそうに肩をすくめた。 「ふふーん、その通り。これからはね……」 右足をひょいっと小人たちの真上に掲げる。 「いつだって君たちを踏み潰したり——」 指を鳴らすように、軽く足首を揺らす。 「ぐちゃってしても、すぐ戻してあげられるの。」 手をわざとらしく開いたり、閉じたりして、にっこりと笑う。 声は優しいのに、意味は残酷だった。 (……まあ、実験したことないから確証はないんだけどね) 咲良は心の中でそうつぶやき、小さく吹き出しそうになる。 この状況に、美咲はひとり、眉をひそめていた。 (……まずい兆候ね。咲良さん、ほんとうに死ぬという行為に抵抗がなくなってきてる) (もしこれが当たり前になったら……いずれ本当に遊び半分でみんなを……) 胸がざわつき、無意識に指先を握りしめた。 「で?」 ゆっくり足を下ろし、小人たちを見下ろす。 「どうするの?」 全員が凍りついた。 そして—— 次の瞬間には、ほぼ反射的に全員が走り出していた。 汗と皮脂と蒸れの熱気が渦巻く、 楓の太もも渓谷の奥へ、股間の闇へと。 逃げるように、這うように、転がるようにして—— 「い、行く……!行きます……!!」 「やめてくれ、踏むな……踏むなぁ!!」 「くっさ……うぇ……最悪だ……!」 次々と、楓の股の下へ潜っていくのであった。 小人たちは、巨大な太ももと太ももの谷間へと足を向けた。 走り出した勢いはすぐに失速し、目の前の景色を前に全員が言葉を失う。 そこには—— 壁。 それ以外の言葉が見つからなかった。 正座している楓の太ももは、100分の1の彼らにとっては、 校舎の外壁のような高さとそれ以上の厚みを持つ巨大な肉の塊だった。 汗で光る肌は至近距離だとさらに存在感を増し、 傾斜のついた表面には汗のしずくが大粒の雨のように滞留している。 その間にできた溝——太もも渓谷は、 巨大な谷底のように暗く湿っていた。 「……でけぇ……」 直哉が呆然とつぶやく。 「これ……壁とかじゃなくて……肉なんだよな……?」 「ちょっと触れただけで押し潰されそうなんだけど……」 近づくだけで、空気が変わった。 湿気が濃い。 生暖かい。 そして——臭い。 太ももから立ち昇る皮脂の臭い、 おにごっこでかいた汗が乾ききらず残した酸味のような臭い、そして渓谷の奥からは別の種類の女性の臭いが混じり始める。 「うっ……!な、なんだこれ……」 「汗くせぇ……いや、汗だけじゃねぇ……!」 不快と恐怖の声が並ぶ中、様子がおかしい者達がいた。 「……っは……すげぇ……すげぇ……!!」 田中は興奮で目が潤んでいた。 「これ……巨大娘の太ももダンジョン……本物……!本当に……夢の異世界体験……!」 高橋も震えながら頷く。 「神視点……いや……この圧……想像を軽く超えてる……ッ」 直哉が怒鳴る。 「喜んでる場合かよ!!早く進め!!ここ、臭いがヤベぇ!!」 その直哉の叫びに、渓谷内の湿気が反応するようにむわっと熱気が広がる。 楓の肌から漏れ続ける体温のせいだ。 谷底は蒸し風呂のようで、 汗と皮脂が混ざった空気に肺を満たされるたび、 自分が女の身体の中に迷い込んだような錯覚さえ覚える。 「あ……ああ……こ、これ……奥……見えねぇ……」 渓谷の先には、暗闇があった。 そのさらに奥に、巨大な影のような肉の曲線がうっすらと見える。 ——股間だ。 この先に進まなければならないのだと理解して、 全員の足が再び震え始める。 咲良が遠くから声をかける。 「まだ入口よ?ほら、早く進んで?」 その声を背に受け、 小人たちはついに—— 太もも渓谷の深部へと、一歩を踏み入れた。 楓は正座したまま固まっていた。自分の太ももの間、その暗い谷間に向かって、小さな人影がゆっくりと進んでくる。 その様子を見ているだけで、背筋がぞわりと震えた。 (む、無理無理無理無理……!こんなの……っ) 股の付け根から太ももにかけて、汗がゆっくりと伝っていく。おにごっこで動き回ったせいで熱がこもり、そのせいで余計に蒸れているのが自分でもわかる。 そこに——人が向かってくる。 自分のクラスメートが。 「あ……っ……」 喉から小さな声が漏れた。楓は必死に太ももを閉じないよう耐える。 閉じた瞬間、確実に小人たちを押し潰してしまうと理解しているからだ。 (そんなの……絶対だめ……!でも……) 太ももの内側にまとわりつく湿気が、小人たちの吐息で揺らいだ気がした。 実際はそんなことはないとわかっているのに—— 彼らが近づいてくる事実だけで、全身が熱を帯びる。 「ひ、ひぃ……狭い……!」 「やべぇ……楓の臭い……っ」 男たちの声が聞こえた。楓は耐えられず顔を覆う。 (やめて……そんなこと言わないで……!) 太もも渓谷に迷い込んだ小人たちの足音は砂粒ほどの振動だが、それを自分の股の間近で感じているという事実は、羞恥を極端に増幅させた。 股間の奥で生暖かい空気がこもり、自分の臭いが太ももの間に流れていくのがわかる。 (この……臭い……全部、みんなに……?) 想像した瞬間、頭が真っ白になった。 「はぁ……っ……はぁ……っ……」 息が浅くなる。羞恥と緊張で胸が早鐘のように脈打つ。 そんな楓の横で、咲良がけらけらと笑った。 「何その顔。まだ始まったばっかりよ?」 「さ、咲良ちゃん……っ、むり……ほんとに……むりだから……!」 楓が震える声で訴えると、咲良は肩をすくめる。 「だーめ。楓ちゃんも罰ゲームなんだから。」 咲良は太ももの間を覗き込むようにしゃがみ込む。 「ほら、見て?みんな楓ちゃんのところに向かってるよ。がんばって通してあげて?」 「通すって……っ……!わ、わたし……っ……!」 楓は目をつむり、顔を真っ赤にしたまま震える。 その間にも、小人たちは確実に進んでくる。 汗の混ざった肌の臭い。 女の身体から漂う生々しい湿気。 太ももの内側にこびりついた蒸れの熱。 すべてが——渓谷を満たし、小人たちへと押し寄せた。 咲良はゆっくり立ち上がり、軽い声で言う。 「さぁ、ここからが本番よ。楓ちゃん。しっかり見ててあげてね?自分の股の下を、みんなが通っていくところ。」 楓は息を呑んだまま、ただ震えるしかなかった。 小人たちは太もも渓谷を進み続け、ついにその奥が見えてきた。 湿気はさらに濃く、空気が重い。足を踏み出すたび、靴底に汗がべっとりと張りつくような粘り気があった。 そして——視界の上に、突然黒い影が広がった。 それは壁ではない。天井でもない。 陰毛の森だった。 実際のサイズの100倍に感じられるその陰毛は、一本一本が大人の腕ほどの太さである。小人目線では、まるで黒い縄が何十本も垂れ下がり、うねり、絡まり合って作られた密林のようだった。 100分の1の視界では、一本一本が縄のように太く、絡まり合って垂れ下がっている。汗を含んだ毛先からは、しずくがぽたりと落ち、まるで巨大な滴石のように揺れている。 「うわっ……!な、なんだよあれ……!」 「毛……?うそだろ……こんな……森じゃん……!」 誰かが叫んだ次の瞬間、一本の陰毛がふわりと揺れ、 ズン、と 彼らの目の前に落ちてきた。 「ぎゃああああああ!!!」 「うわっ、きもちわりぃ……!ぬ、ぬめってる……!」 落ちてきた陰毛は汗で湿っており、小人にとっては生暖かい綱のようだった。必死に払い落とす姿が、陰湿な渓谷にこだました。 落ちてきた陰毛の下敷きになったのは恵だった。恵はがたいが良い男であったため、強烈な屈辱が全身を走った。 「っ……ぐ、ぐぅ……!!お、おも……っ!」 大人の腕ほどの太さの陰毛が身体にのしかかり、恵は地面へ押しつけられる。わずかに動かすだけでも、その毛の重みと湿気が肌に張りつき、呼吸が浅くなる。 「ちょ、ちょっと待て……これ……毛1本だぞ!?毛1本に押し潰されそうって……ありえねぇだろ……!」 直哉が叫びながら、必死に毛を持ち上げようとする。 しかし陰毛は縄のように太く、汗で滑り、まとわりつく。 「うわっ……手から離れねぇ……最悪……っ!」 恵は涙目で声を震わせた。男である自分が、女の陰毛1本に押し潰されかけているという事実が、さらに屈辱を突き刺した。 「くそ……こんな……毛なんかに……押し潰されるとか……っ!」 小人サイズの無力さと、陰毛1本すらまともにどけられない現実が、彼らの心を深く抉っていった。 田中はその光景に、逆に震えながら歓喜していた。 「……っは……すげぇ……すげぇ……!!これ……巨大娘の……陰毛フィールド……っ!!本物の……っ!!」 「お前正気じゃねぇ!!」 直哉が怒鳴る。 だが田中は半ば涙ぐみ、息を荒げている。 「見ろよ……!あれ……陰毛……!あの下に……あるんだぞ……本物の……!」 その下。 陰毛の隙間から、さらに巨大な肉の曲線が覗きはじめた。 光の届かない谷間で、女性器の輪郭がうっすらと浮かび上がっている。 100倍に巨大化した女の中心部。 湿った生暖かい臭いが、そこから直接流れてくる。 酸味のある臭い、汗や皮脂が混じった臭い、そして女性特有の強い香り。 小人たちは一歩進むごとに、その刺激に顔をゆがめた。 「おえっ……!む、無理……こんな……!」 「やべぇ……息が……っ……」 股間の下は陰になっており、ほとんど暗闇だった。 そこへ入るのかと思うだけで、背筋が冷たくなる。 「ここ……通るのか……?」 誰かの呟きが、谷底に響く。 その瞬間——後ろから咲良の笑い声が響いた。 「ふふっ、みんな固まってどうしたの?まだ入り口よ?」 小人たちはぎくりと振り返る。 咲良は口元に手を当て、楽しそうに言った。 「ほら、その暗いところが楓ちゃんの股の下。ちゃんと通らないと、罰ゲームにならないでしょ?」 楓は震える声で、控えめに言った。 「さ、咲良ちゃん……本当に……そこ、通らせるの……?」 咲良は当然のように頷く。 「もちろん。ここからが本番よ。」 小人たちは暗闇の前に立ち尽くした。 目の前には、湿った熱、圧倒的なサイズ、原臭そのままの女性器。 ——本物の地獄が、ようやく姿を現した。 小人たちは、ついに陰毛の森を抜け、その奥へと足を踏み入れた。 目の前には、圧倒的な存在感で迫る巨大な影。 それは楓の陰唇の下端―― 女の身体の中心部が生み出す、暗く湿った洞窟の入口だった。 谷底はほとんど光が届かない。太ももの影と股間の形状が合わさり、 そこだけ世界が違うような、深い暗闇が広がっている。 太もも渓谷の時点で生暖かい空気だった。 だが陰唇の真下に入った瞬間、空気は別物になった。 むわっ……と、重たい湿気が顔に貼りつく。 酸味、汗、皮脂の臭い……それらに混じって、 女性器特有の甘酸っぱい臭いが一気に濃くなる。 「う……っ……!く、臭い……これ……やば……っ」 「息……吸えない……っ、うぇ……っ!」 小人たちは口元を押さえ、涙を浮かべる。 空気が生き物の体内そのもののような湿度で、肺を圧迫した。 陰唇の下端は、地面からわずか2〜3cmの高さ。 小人視点では「2〜3mの低い天井」に相当し、頭上がぐっと近づく。 太ももよりも肉が柔らかく、汗を含んだ肌が波打つように揺れ、 小人たちの頭上で肉の天井が脈打つように見えた。 「ちょ、ちょっと……近すぎ……!」 「頭、当たるって……これ……!」 ぽたり—— 突然、天井から巨大な透明のしずくが落ちてきた。 「うわあああああ!!」 「ぎっ……!!つ、冷た……!?いや……あったけぇ!??」 それは汗だった。 だが、小人にとっては水風船の破片をかぶるほどの量。 頭から全身にかけて楓の汗が広がる。 汗は少し酸味があり、生ぬるく、粘度があった。 「っくそ……この臭い……!!染みつく……!」 直哉が叫ぶが、声の半分は震えていた。 さらに進むと、汗とは違う、 ほんのり白濁した薄膜のような液体が糸を引いて垂れていた。 それは楓が数日風呂に入っていない影響で皮脂や分泌物が溶け出したもの。 「うわ、まじかよ……これ……!」 「ぬ、ぬるっ……!?これ汗じゃねぇぞ……!」 小人が避け損ねて足を取られ、地面に転がる。 その手に、指に、腕に、薄い膜のような粘性の液がまとわりついた。 さらに――ぽたん。 汗とも皮脂とも違う、透明に近い粘度の高いしずくが頭上から落ちてきた。 「ひっ……!?な、なんだ今の……!」 「おい……これ……汗じゃねぇ……!」 小人たちの頭上で、陰唇がわずかに締まり、天井がゆっくりと脈打つ。 その動きとともに、薄く糸を引く液体が垂れ、ぽたり、ぽたりと落ちてくる。 それは――楓の愛液だった。 数日風呂に入っておらず、蒸れと緊張が積み重なった結果、わずかに滲み出した本物が、小人には水滴ほどの量で降ってくる。 落ちた液は、汗よりも粘り、温度も高い。肌に触れた瞬間、粘膜のように吸いつき、広がる。 「やめっ……!ぬ、ぬるぬるして……うわっ……!」 「ちょ、ちょっと……身体に……張りつく……!落ちねぇ!!」 直哉は絶叫する。 「ふざけんな!!これ以上汚されてたまるか!!!」 愛液は小人の身体に膜のように広がり、肌を通して楓の体温が直接伝わってくる。 その生々しい体温と臭いが、小人たちの精神をさらに追い込んだ。 女性器周辺の皮脂と分泌物が混じった原液。 「やだ……やだやだやだ!!!こんなの……っ!!」 沙耶が泣きながら手を払うが、粘膜は簡単に落ちない。 そんな中、一人だけ息を荒げて歓喜している男がいた。 田中だ。 「……っは……っ……すげ……これ……!!本物の……本物の……エリクサーだぁ!!うおおおお……!!」 直哉が怒鳴る。 「気持ち悪ぃんだよ!!少しは黙れ!!」 しかし田中は涙目で震えながら続ける。 「だって……だって……これ……!!女の子の……股の下の臭いそのままだぞ……!?本物のダンジョン……っ……ぐっ……!」 その嬉し泣きは他の小人たちの精神を余計に削った。 陰唇の下端を過ぎると、小人たちの前にはさらに暗い空間が広がっていた。 そこはもう、外の世界ではなく、 楓の身体の熱と臭いが壁面から染み出す密閉された空洞。 湿度は限界に達し、空気は重く、耳鳴りがするほどの静けさ。 その先にあるのは…… 会陰部(蟻の門渡り)へ続く、狭く危険な道。 小人たちは息を呑み、全員が本能で悟った。 「……ここから先が、本番だ……」 楓は正座したまま震えていた。太ももを開いたその奥へ、小人たちがどんどん吸い込まれるように進んでくる。 自分の身体のそこに向かって、人が歩いてくる――。 その事実だけで胸が締めつけられ、息が浅くなる。 「は……っ……あ……っ……」 喉から漏れる声を抑えられない。視線をそらしたくても、咲良の目があり、逃げられない。 (み、見ないと……でも……っ) 陰唇の下に入った小人たちの気配が、 皮膚のすぐ裏側でむず……むず……と刺激になって伝わってくる。 微細な、しかし確実な振動。 「っ……!あ……」 思わず声が漏れた。 太ももがぴくりと震える。そこに咲良の声が重なる。 「なーに?楓ちゃん、どうしたの?」 「や……っ……!ち、違……っ」 否定しようとするが、股の奥に伝わる刺激はどんどん強くなる。 小人たちが地面を踏む振動が、直接触れられているのと同じように感じるのだ。 汗ばんだ皮膚のすぐ下で、 見えない小さな足がとん、とんと歩く。 「ひゃ……っ……!」 自分でも聞きたくなかった声が出てしまう。 咲良はニヤニヤしながら見下ろした。 「ねぇ楓ちゃん……なんか声出てるよ?」 「ち、違うの……っこれは……っ!」 そして――その瞬間だった。 ぽたり。 温かいものが、太ももの内側を伝って落ちた。 咲良の目がきらりと光る。 「あ……」 楓の顔から血の気が引いた。 (うそ……!で、出て……!) 小人たちの頭上に落ちたしずくを見て、咲良は口元を押さえ、くすりと笑う。 「……あれぇ?楓ちゃん……今、何か落ちたよね?」 「ちが……っ!違うの咲良ちゃん!!」 楓は真っ赤になり、震える手で太ももを押さえる。 しかし、咲良は容赦なく続ける。 「ふーん……緊張してると、いろいろ滲み出てきちゃうのかな?」 「やめてぇ……!」 耳まで赤く染めて俯く楓。 咲良はその姿を見て、嬉しそうに笑った。 「かわいいなぁ楓ちゃん。こんな状況なのに、ちゃんと反応しちゃうんだ?」 「ち……違うの……!ほんとに違うから……っ……!」 咲良は肩をすくめ、股の下の暗闇へ視線を投げた。 「ほら、小人たちもビショビショだよ?汗に……分泌物に……さっきのこれに。」 楓は耳を塞ぎたいほどの羞恥に震えた。 その間にも、小人たちは暗闇の奥へ吸い込まれるように進み続ける――。 楓の身体が生む湿気、臭い、熱。 そして落ちてしまったもの。 そのすべてが、股下の小さな世界を満たしていた。 「ひゃあっ……!!」 楓の身体がぴくりと跳ねた。太ももがわずかに震え、両手で思わず股を押さえる。 それを見た咲良が、すぐさま近寄り、にやりと笑った。 「どうしたの、楓ちゃん?」 楓は真っ赤になりながら、ぎこちなく答えた。 「な、なんか……股に……当たって……変な感じがして……っ」 「ふーん?」 咲良は興味深そうに屈み込み、楓の股間へ顔を近づけた。 汗と湿度と緊張で、楓の股間周辺はじんわりと蒸れ、むわっとした空気が立ちのぼっている。 楓は慌てて咲良の肩に手を置いた。 「や、やめて咲良ちゃん……っ……そんな近くで嗅がないで……くさいよ……!」 「へーきへーき♪楓ちゃんの臭いなら平気だよ〜」 咲良が笑いながらさらに覗き込もうとした、その時だった。 股の下の暗闇から、かすかだが明確な声が聞こえた。 「ふざけるな……狭すぎだろ!!」 直哉の叫びだ。 咲良の目が、きらりと光った。 口元がゆっくりと釣り上がり、楽しそうに笑う。 「へぇ……そうなんだ?」 楓は首をかしげた。 「え……?」 咲良は人差し指を唇に当てると、股の暗闇を見つめた。 「じゃあ……手助けしてあげないとねぇ」 そう言うと咲良は、右手を軽く前に出し、 何かを念じるようにゆっくり閉じ、また開いた。 楓が不安そうに身を寄せる。 「咲良ちゃん……?今、何してるの……?」 咲良は無邪気な声で答えた。 「ん?助けの声が聞こえたから、ヘルプを出してあげたの」 「……へ、ヘルプ?」 楓は余計に混乱した。 咲良はそんな楓の反応も楽しんでいるようで、目を細めて笑った。 そして、心の中だけでつぶやく。 (ふふ……これで、少しずつ……小さくなっていくわよ?) (ゆっくり……ゆっくり……気づかないほど静かにね……。) (早く抜けないと……今の10分の1になって……1000分の1になっちゃうかもしれないわね♡) 楓はその企みを知らず、ただ心臓の鼓動が早くなるのを感じていた。 その足元では、小人たちがまだ必死に進んでいる。 しかし彼らは気づいていない。 ――すでに彼らの体は、じわりじわりと縮み始めているということに。 小人たちはついに、最も狭い領域へ踏み入れた。 ――会陰部。 陰唇と肛門のわずかな距離に存在する、 女性の身体の中で最も外界と隔絶された空間。 小人の視点ではそれは、 高さ1〜1.5mほどの圧迫された洞窟として広がっていた。 空気はほとんど動かず、湿度は100%に近い。 熱気は肌にまとわりつき、息を吸うたびに喉を刺すような刺激が走る。 汗、皮脂、陰核周辺から流れ落ちる分泌物──それらがすべて混ざり合い、 ここだけ別の生き物の体内のような臭いが立ちこめていた。 「っ……くそ……!なんだよここ……!息が……重てぇ……!」 「暗すぎる……なにがどこにあるのかわからない……!」 泣き声と怒号が混じり、狭い空洞中で反響する。 道は狭い。天井は低い。左右の肉壁は汗で濡れ、触れると体温が伝わってくる。 さらに進むにつれて、奇妙な違和感が湧いていった。 「……さっきより……壁が……高くなってない……?」 委員長・美咲が眉をひそめた。 「気のせいだろ!もうちょいで抜けるからじゃねぇのか!」直哉が先頭で叫ぶ。 たしかに道は一瞬だけ広くなったように感じた。 天井の高さも、横幅も、さっきより大きく見える。 「ほら!もう少しだって!出口近いんじゃねぇの!?」 直哉が勢いよく進み、振り返らずに笑った。 だが──美咲は息を呑む。 「違うわ……。広くなっているんじゃなくて……」 「……まさか……私たちが……」 その瞬間、 ドチャッ!!!! 湿った、鈍い音が暗闇に響いた。 直哉の目の前に、茶色く固まった巨大な塊が落ちてきた。 恥垢の塊。 陰部と肛門の間に蓄積していた、汗・皮脂・汚れが混ざって固着したもの。 それが、汗でふやけたせいで剥がれ落ちたのだ。 「う、お、おぉぉ……!!?」 直哉は足がすくみ、後ずさる。 塊は人間サイズで言えば巨大な岩のような大きさ。 落下の衝撃で周囲に飛び散った微粒子が、 鼻腔を焼くような悪臭となって空間を満たした。 「うっ……!!な、なんだこの臭い……!!」 「ぐっ、おぇええええ……吐く……!ここ……地獄だろ……!」 直哉は涙まで浮かべ、震えながら叫んだ。 「ふざけんな!!なんで出口がこんなに遠いんだよ!!!」 しかし出口がないのではない。 自分たちの体が、じわじわと縮小しているのだ。 その事実に気づく者は、まだいなかった。 (おかしい……!さっきより……壁が高い……。それに……天井が……頭がとっくに届かなくなってる……?) 肉壁が、汗に濡れた皮膚が、まるで成長しているように見える。 美咲の心臓が跳ねた。 (違う……これは……) 「……まさか……私たちが……縮んでる……?」 喉が震えた。 声は空間全体で響き、湿った肉壁に吸い込まれるように消えた。 進めば進むほど、臭いの種類が変わる。 会陰部の皮膚常在菌の酸味のような臭いから、排泄器官に近い独特の生温い臭い それらが混ざり、 鼻腔にまとわりつく実体のある悪臭へと変わっていた。 そしてさらに――。 「うわっ!?なんだこれ!ぬるっ……!」 足元に、粘り気のある薄い膜が広がっていた。 それは汗でも水でもなく、 股間付近で蒸れ続けた分泌物と皮脂が混合し、薄く流れ落ちた汚れのフィルム。 「触るな!!絶対触るな!!汚ねぇ!!!」 直哉が怒鳴ったその時だった。 ――ベチャッ!!! 天井の皺が震え、茶色い大塊が落下した。 先ほどよりさらに大きい。 汗でふやけ、柔らかさを増し、 落ちた衝撃で周囲に細かな汚れが飛び散る。 「ひぃぃっ!!?や……やだ……っ、くさいっ!!!」 「目が……!!しみる……!!」 微粒子が目と鼻を直撃し、涙が止まらない。 美咲の思考が一瞬白く染まった。 (……嘘……でしょ……?) (この落下物のサイズ……さっきより……大きい……) (ということは……私たちの縮小が……さらに進んでる……!?) 胸が冷たくなる。 その瞬間、頭上――いや、はるか頭上の巨大な肉の壁の向こうから、 ゴォ……ゴゴゴゴ……ッ……!! 地鳴りのような音が響いた。 「っ……!!な、なに……この音……!!?」 「やべぇ……鼓膜……割れる……!!」 それは楓の身体の奥で鳴った、生理的な音。 消化器の動きか、息を飲む筋肉の収縮か、 人間サイズなら気づきもしない微細な音。 だが今の小人には、 地震の前兆にしか聞こえなかった。 美咲の背筋に戦慄が走る。 (だめ……ここ……本当に危険……!) (早く抜けないと……本当に……死ぬ……!!) 「うおおおお!!走れ!!ここから出ないと死ぬ!!!」 直哉が叫び、汚れの海を蹴りながら走りだす。 美咲も、他の小人たちも後を追う。 肉壁に手をつきながら、湿った滑る地面を踏みしめながら、 生理臭と熱の渦巻く暗闇の中を必死に駆ける。 だが出口は――想像よりもずっと遠かった。 なぜなら、彼らの身体は今もなお、じわじわと小さく縮小し続けていたからだ。 会陰部の暗闇を走り続ける小人たち。 だが、その途中で―― 世界そのものが、急速に巨大化していっていた。 バシャァァァァッ!!! 頭上から、汚れを含んだ汗のしずくが落下した。 直径は小人目線で十数メートル。 落ちた瞬間、地面を大きく揺らし、 波紋のように汚れ混じりの液体が押し寄せてくる。 「うわああああっ!?の、飲み込まれる!!!」 「ひっ……!息……できない……!!!」 何人かは波に巻き込まれ―― そのまま汗の塊の中へ沈んでいった。 中で必死に暴れ、泡が弾けるような小さな音が響くが、 そのすべてが汚れ混ざりの汗に吸い込まれていく。 「嘘だろ……!何だよこれ!?げほっ……がはっ……!うえぇぇぇぇ!!あ……あじ……っ……!くっそ……苦ぇ……しょっぱ……なにこれ……!!なんで……なんでこんな……!!」 恵は落ちてきた汗の塊に翻弄されていた。 「こいつ……サウナにでも入ってんのかよ!?汗の量が……!」 美咲が震える声で返す。 「違うわ……汗の大きさは……さっきと変わらない……。 変わったのは……私たちのほう……」 「はぁ!?何言って……うぷっ……!さっき飲んじまった汗……口ん中ずっと残って……うえぇぇぇぇ!!!……最悪だ……!!」 「私たち……さっきの10分の1くらい……。元のサイズの1000分の1くらいになってるのよ……!」 直哉は息を呑んだ。 そして、目が慣れてきたその時―― 頭上を見上げた瞬間、 直哉は膝から崩れ落ちた。 そこに見えていたのは――巨大な岩山のような恥垢の塊。 「嘘だろ…。あれって俺が最初に顔についたやつじゃねぇかよ」 だが、今は違う。あれが……もしもう一度落ちてきたら……ただじゃ済まない。潰されるどころか、跡形もなく粉々になってしまう。」 さらに周囲の地形も歪んで見えた。 肉の谷間は、もはや洞窟ではなく―― 巨大クレーター。 太ももからの皮膚の皺ですら、 小人目線では何十メートル級の段差として迫ってくる。 「……うそ……だろ……?」 直哉の声は震え、膝がガクガクと鳴る。 美咲は青ざめ、唇を噛んだ。 (こんな……ありえない……。 こんな速度で縮むなんて……!) 縮小が進んだことで、臭いの濃度も桁違いになった。 股間周囲の汗の酸味や常在菌の発酵臭、会陰部特有の皮脂の蒸れ、そして肛門に近づいたことによる刺すような鋭い臭気。 それらが混ざり、 吐き気を催す圧縮された悪臭。 「おえっ……!おええええええ!!」 「うっぷ……!!無理……吐く……っ!!」 何人も胃液をぶちまけ、その酸っぱい臭気がさらに空気に混ざり、地獄のような臭いの渦ができあがっていた。 「ぐっ……!くそ……息が……!!」 「に、逃げないと……!!本当に死ぬ……!!」 美咲が涙声で叫ぶ。 直哉も完全にパニックに陥った。 「出るぞ!!ここから、早くっ!!!」 走り続けるうちに――わずかに、だが確かに、暗闇の奥が薄く明るいように見えてきた。 「おい……!見ろ……!なんか……光って……!」 「で、出口……!?本当に……!? 希望とは言えない。だが、暗闇がほんの少し薄くなっているのは確かだった。 彼らは巨大な肉の谷を必死に駆け抜けた。 楓は、さっきから胸の奥がざわざわしていた。 (……なんか……変……) 股の下を通っているはずの小人たちの気配が、急に弱くなった気がするのだ。 さっきまでは、とん、とん、と微弱ながらも確かに伝わってきた振動が、いまはほとんど感じられない。 (え……さっきより……感触が減った……?どうしたんだろ……みんないなくなったのかな……?) 思わず隣の咲良を見る。 「ねぇ……咲良ちゃん……なんか……」 咲良が首を傾げる。 「ん?どうしたの、楓ちゃん?」 楓は迷った末、首を振った。 「……ううん、なんでもない……」 言えなかった。 言ったところで、咲良がどういう顔をするか……なんとなく想像がついてしまったから。 咲良は楓の様子に薄く笑みを浮かべたが、その理由を追及することはしなかった。 ぐるるるるる……。 楓の腹の奥が震えた。 「っ……!」 思わず両手でお腹を押さえ、顔が真っ赤になる。 「……あ、あのっ……少し……トイレに行きたくなってきたかも……」 咲良は「へぇ〜」と面白がるように笑う。 「そっかぁ、緊張してたからねぇ。お腹冷えてきた?」 「……うん。ちょっと……寒いのと、なんか……じわって……」 楓は目を伏せ、消え入りそうな声で続けた。 「ねぇ咲良ちゃん……これ、いつまで続けるの……?少し……ほんとに……トイレも行きたいし……もうやめ…むぐ」 咲良は楓の口元を押さえて、にやりと笑う。 「面白くなってきたわねぇ」 「えっ……?」 「なーんでもないよ。もうちょっとだから、ね?」 そう言いながら咲良は、ゆっくりと楓の股の下へ視線を落とす。 その目は優しさではなく――好奇心と嗜虐の色に光っていた。 (ふふ……思わぬ時間制限がついちゃったわね?楓ちゃんのお腹……もう限界かも♡) 咲良の胸がわずかに高鳴る。 (早くしないと……みんな、あの真下で……) 自分でも驚くほど、ゾクッとする高揚が走った。 (どうなるかしら……小人ちゃんたち……) 楓はそんな咲良の内心など知らず、ただ腿をぎゅっと閉じた。 残された小人たちは――いまだ楓の股の下、会陰部と肛門の境界にいる。 そして、時間は確実に減っていた。 直哉たちは、暗闇の中を必死に走り続けた。 そしてついに―― 光が見えた。 「おい……!マジで明るくなってきたぞ!!」 「出られる……!ここから抜けられるんだ!!」 誰もが希望に縋って走る。 だが、光が強くなるにつれて…… ――突然空気が変わった。 「……っ……!な、なんだよこの臭い……!?」 「さっきの湿気の臭いじゃねぇ……っ……もっと……もっとキツい……!!」 さっきまでの会陰部特有の蒸れた酸味とは違う。 刺激臭と腐敗を思わせる重たいにおいが混ざり合い、肉の奥にこもった発酵したような臭いが生温かく漂ってくる。その中にはアンモニアのように鼻を刺す鋭い刺激も含まれており、複数の悪臭が層になって押し寄せてくるようだった。 それらが混ざり合い、 吐瀉物の一歩手前の悪臭として襲いかかる。 「おえええええ!!!」 「ぐっ……無理……吐く……!!」 何人も膝をつき、その場で胃液を吐いた。 「うえっ……!これ……完全にうんこの臭いじゃねぇか……!」 「お腹の奥からくる……っ……鼻の中におなら流し込まれたみたいだ……!!」 「くそっ……顔に直接うんこぶっかけられたほうがまだマシだ……!!」 吐き気と涙と鼻水が混ざり、誰もが地面に手をつき震えた。臭気はまさに排泄そのもので、皮膚の毛穴に染み込んでいくような感覚を伴っていた。 胃液の酸っぱい臭いがさらに空気に広がり、悪臭は倍増する。 「くそ、何なんだよここは・・・?」 直哉が鼻を抑えながら喚き散らす。 ここで委員長・美咲が、震える指で上を指した。 「あれのせいよ……」 「は……?あれって……」 小人たちが見上げた。 そして――凍りついた。 そこには、暗闇をで輝く巨大な肉の蕾があった。 いや、蕾ではない。 脈動する、巨大な肉の門。 肛門周囲のしわは、まるで巨大な断崖が幾層にも折り重なっているようだった。赤黒く湿った壁面は汗と油でぬらつき、ところどころが光を帯びて脈打つように動いている。わずかに開いた隙間からは生温い空気が押し出され、そのたびに強烈な刺激臭の波が小人たちへと吹きかけられた。 比喩ではない。 そこだけ世界が呼吸していた。 「……あ……あれが……ケツの穴……だってのか……?」 直哉が膝をつき、震える声で呟く。 恵が顔を引きつらせる。 「で、でかすぎ……だろ……あんなのが落ちてきたら…………」 オタク・田中は涙目で震えながら叫んだ。 「ひ、ひぃ……すご……これ……!!本物の……本物の……巨大ア◯ル……!!」 「・・・・・・・・・・・・」 もはや、直哉は怒鳴る気力も失せていた。 その時だった。 ――ぐるるるるるる……!! 楓のお腹の音が、地鳴りのように響いた。 小人たちは耳を塞ぎ、地面に伏せた。 「うあああああ!!耳が割れる!!!」 直後―― 上空の巨大な門が、びくんっ……!と震えた。 ぶる……ぶるるっ……!! 音を伴い、肛門がひくつく。 肉の断層が波のように動き、しわが寄り、開きかけ……また閉じる。 その動きだけで風が起き、刺激臭が小人たちを包んだ。 「や……やべぇ……!!動いてる……!!」 「嘘だろ嘘だろ嘘だろ……!!」 そして―― 楓のか細い、震えた声が、地面の奥底にまで響くように降ってきた。 「……咲良ちゃん……ほんとに……もう…… トイレ行きたい……」 その瞬間、小人全員の背筋が凍りついた。 直哉は震えながら叫ぶ。 「ト、トイレ……終わった……!!!」 崩れ落ちる者もいた。 世界の出口だと思っていたその場所は、 巨大な肛門のすぐ真下だった。 そしてその上には―― 限界に近づいた楓の腹があった。 楓は無意識にお尻の穴へきゅっと力を入れながら、落ち着かない様子で咲良を見上げた。 「ねぇ咲良ちゃん……そろそろ……小人たち、出てくるんじゃないの……?だいぶ前からお股の下には感触ないし、後ろの方まで来てる気がするんだけど……」 咲良はいたずらっぽく笑いながら肩をすくめた。 「ん〜?どうだろうねぇ。楓ちゃんのお尻の下は暗いから、見えにくくて迷ってるんじゃない?」 そう言いつつ――咲良は後ろへと回り込んだ。 ちょうど楓の肛門の真下あたり。 「あ……ほんとだ。小さいの、いるよ?もうだいぶ進んでる」 楓はぱっと顔を明るくした。 「じ、じゃあ……もう終わり……? 終わりでいいよね?」 咲良は首を傾げて、にっこり。 「んー……でもさ。膝あたりからスタートしたんだよね?だったら――足の指の横くらいがゴールじゃない?」 「えっ……」 「だって今、楓ちゃんのお尻の穴の真下だよ?」 「お……お尻の穴……?」 その言葉が脳に届いた瞬間―― 楓の肛門に、一気に緊張が走った。 「や、やばっ……!」 言い終わるより早く。 ぷぅうううううううううううう~~~~~!!! 甲高く、鋭い音のおならが弾けた。 地鳴りのような振動が床を伝い、空気が弾ける。 次の瞬間―― 楓の尻の真下にいた小さな影たちが、風圧とガスの衝撃で四方八方へ弾き飛んだ。 点のような存在が――霧のように散っていった。 「あちゃ~~~……」 咲良は額に手を当て、苦笑する。 「ダメだよ楓ちゃん、こんなところでしちゃ……」 楓は両手で顔を覆った。 「あああああああああああ……!!」 恥ずかしさ、恐怖、罪悪感、いろんな感情が混ざり合い、喉が震える。 だが現実は変わらない。 楓のおならは、小人の世界にとって――致命的すぎる威力だった。 ぐるるるるる……。 頭上の楓の腹から鳴り響いたその音は、小人たちにとって地崩れの予兆のようだった。 同時に、足元の地面がぴくりと震える。肛門がひくついた振動だと、誰もが直感で理解した。 「と、とにかく……ここ、やばいぞ……!」 直哉が叫ぶ。 「出口がどこかわかんねぇけど……足の指んとこまで行けばいいんだろ!?」 委員長・美咲が必死に息を整えながら頷いた。 「楓さんの足のサイズは……わからないけど……たぶん……ここから300m弱は走る必要があるはず……!」 「さんびゃく……っ、むり……もう走れないよぉ……!」 泣き声混じりに座り込む男子――渡邊だった。 すると、直哉が怒鳴る。 「ふざけんなよ!ここで止まったらマジで死ぬぞ!」 そのとき――背後で落ち着いた声がした。 「……大丈夫だ。オレが肩を貸す。行くぞ、急ぐんだ」 山田先生だった。 体育大学出身のゴリゴリのマッチョであり、身体全体から放たれる圧倒的な存在感は、この極限状況では不思議と心強かった。 「や、山田先生……!」 「ほら、立って。急ぐぞ」 生徒たちは互いに肩を貸し合い、必死に走り始めた。 息が焼ける。足が棒のようになる。でも止まれない。 頭上から、別種の危険が迫っていることを誰もが悟っていた。 ズシィィィィン……ッ!! 突如、先の暗がりに巨大な影が降り立った。 地響きとともに揺れる肉の壁。圧倒的な存在感。 「……咲良……!?」 見上げると、そこにいたのは1000倍のサイズでそびえ立つ咲良だった。 腰に手を当て、こちらを覗きこむ。 「ちっ……見下しやがって……」 直哉が歯ぎしりしながら呟く。 だが別の小人は必死に手を振って叫んだ。 「た、助けてください!!ここにいます!!」 自分たちの存在に気づいてもらえれば、もしかしたら――助かる。 その一縷の望みが、小人たちの足をさらに速めた。 そのとき、頭上から聞こえた。 「楓ちゃんのお尻の穴の真下だよ?」 その言葉の直後 「や、やばっ……!」 楓の声だった。 全員が足を止めて上を見上げた。 次の瞬間―― ――――ドガァァァァァァァァンッ!! 耳を破る衝撃音。 世界が白く弾け飛ぶ。 爆発のような風圧が身体を持ち上げ、そのまま宙へ投げ飛ばされた。 「きゃああああああああああ!!!」 誰かの叫び声が聞こえた気がした。 でも、もう音なのかなにかがわからない。 脳が揺さぶられ、視界がぐにゃぐにゃに曲がる。 直哉の意識は、急速に暗闇へ沈んでいった。 (……くそ……こんな……) そして――何も考えられなくなった。 机の上に広げられたミニチュアの運動場――正しくは、咲良が学校ごと縮小して持ち帰った本物のグラウンドの上に、100分の1サイズに戻したクラスメートたちが並べられていた。 咲良は寝転がるように机に肘をつき、指で小さな人影をつまみ上げながら数を確認していく。 「……29、30、31……よし、これで全員だね」 楓はとなりで正座して、小さく頷いた。 「よ、よかったぁ……」 咲良は楓のほうへ視線を向け、にやりと笑う。 「まったく、楓ちゃんのおならで全員吹き飛ばすもんだから、探すのめちゃくちゃ苦労したじゃない……」 「ご、ごめんね……っ」 楓は両手で頬を押さえて真っ赤になった。だが心の中では―― (……ち、違うよ……咲良ちゃんが続けるって言ったから……それにお尻の穴の下なんて言うから…) と言いたい気持ちをぐっと飲み込むしかなかった。 咲良は小人たちを整列させながら、あっけらかんと言った。 「それで……どうだった?」 楓は視線を落としたまま、小さく答える。 「うん……とりあえず、みんな私の力で元に……戻したけど……」 楓の声が震える。 「無傷だったのは……山田先生だけ。他は……ほとんどが重症か……死んじゃってたみたい……」 咲良は「ふーん」と軽く返し……ぽつりと笑った。 「楓ちゃんのおなら、もう大量虐殺兵器レベルだねぇ」 「や、やめてよぉ……!」 楓は両手で顔を覆って震えた。 しかし咲良は悪びれず、むしろ楽しそうに指を鳴らす。 「でも収穫はあったわね」 「……収穫?」 咲良は机の上の点たちを見下ろしながら言った。 「うん。死んじゃっても、生き返るって分かったのよ?しかも、楓ちゃんの力なら何回でも」 「……」 楓の胸が、ひゅっと冷たく縮まった。 咲良は続ける。 「これで、これからは何かと安心よ」 安心という言葉の響きが、楓には全然安心に聞こえなかった。 (……何かと安心って……なに……?) (咲良ちゃん……そんなに簡単に人の死を扱えるようになっちゃうの……?) 胸の奥に、鈍い重たい影が落ちるのを感じながら―― 楓はただ黙って、小人たちの列を見つめることしかできなかった。 最初に目を覚ましたのは直哉だった。 視界が揺れる。頭が割れそうに痛い。 身体を起こすと、周囲で次々と小さな咳き込みやうめき声が聞こえ始めた。 「……いってぇ……俺たち……いったい……」 記憶をたぐろうとしたその瞬間―― ぶわっと、鼻孔の奥を刺激するあの臭いが蘇る。 グッと胃が持ち上がり、直哉は思わず口を押さえた。 (うっ……こ、これは……股間の下の……まんこの……あの……地獄みたいな臭い……!) 別の場所からも悲鳴が上がる。 「くっさ……なにこれ……吐く……!」 「俺……まんこの下で……何してたんだっけ……?」 「肛門の真下……だったよな……?」 みんなが断片的に思い出しては、青ざめ、胃液を吐きそうになりながらうずくまった。 だが――肝心な最後の部分だけが、どうしても思い出せない。 そのとき。 パンッ。 乾いた手を叩く音が上空から降ってきた。 「はーい、みんなお疲れ様!」 巨大な咲良の声。小人たちの鼓膜を揺らすほど明るく軽い。 「とりあえず、無事に罰ゲームは終了ね♪」 「ぶ、無事……?はぁ?俺たちは……」 直哉が怒鳴ろうとしたが、言葉が途中で詰まった。 (……あれ……?なにがあった……?なんで俺……吹き飛んだ気が……) 記憶が霧のようにぼやけていく。 他のクラスメートたちも同じだった。 あれほど地獄のような環境を通り抜けたはずなのに、 最後の何かだけが、どうしても思い出せない。 咲良はにこやかに言い放った。 「無事でしょ?けが人もいないし。まぁみんなゴール前で疲れちゃって、気絶したみたいだけどね」 「……そ、そうか……疲れてたし……」 「確かに、走り続けてたしな……」 多くの者は、無理やりそう納得していく。 だが数名は、周囲を見回しながら小さく呟いた。 「……本当に……それだけか……?」 「なんか……おかしくないか……?」 しかし咲良は彼らの不安など気にも留めず、軽い声で告げた。 「さてさて、また明日以降も楽しむんだから、今日はしっかり休んでね。それじゃあ、おやすみ〜♪」 その言葉を最後に、小人たちは縮小された教室へとしぶしぶ戻っていった。 不安を抱えた者も、疑問を捨てきれない者もいた。 だが――本当に何が起こったのかを知る者は、 (くそっ、なぜか皆は覚えてないみたいだな、あの爆弾のような楓くんのおならの威力を…) 無傷で楓の治療を受けていなかった山田先生ただ一人であった。 (まぁ皆の傷をえぐるようなことをあえて言うまい…。これは俺だけが知っていれば良い。) そうして、彼もまた教室に戻っていくのであった。


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