SakeTami
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便所掃除の小人の話

「いててて……やめろ……」 俺はうめき声を上げた。腕をねじり上げられ、地面に押し付けられる。 「貴様のような反逆者は、小人として新しい役割を与えられるべきだ」 冷たく響く声。女性執行官が俺を見下ろしていた。 俺は世界のあり方に疑問を持ち、レジスタンスの一員として戦ってきた。しかし、ついに捕 らえられ、今こうして……。 執行官の指が俺の額に触れた。瞬間、意識が白く塗りつぶされ—— 意識が戻ったとき、俺は異様な光景に直面した。 目の前には、巨大な白い壁。否——それは、便器の縁だった。 目を見開く。 「な、なんだ……ここは……?」 床はわずかに湿り気を帯び、ほのかに漂う異臭。頭上を見上げると、巨大な便座がそびえ立 っている。 そして、周囲には…… 俺と同じ、小人たちがいた。 「おい、ここから逃げないと——」 俺は近くにいた小人に話しかけた。しかし、彼は不思議そうな顔をして、首をかしげる。 「逃げる?何を言っているんですか?」 「……は?」 「ここは私たちが奉仕する神聖な場所ですよ?」 俺は絶句した。 すると、別の小人が続ける。 「逃げるなんて、そんな無責任なこと、できるはずがない……」 「いや、正気か!?お前ら、何を言っているんだ!!」 俺は思わず叫ぶ。 しかし、彼らの態度は変わらない。むしろ、俺の発言に困惑している様子だった。 「君はまだ新しいから、分かっていないんですね」 「私たちは女神様のお役に立つために生まれたのですよ?」 俺の背筋が冷たくなった。 「さ、さ、もうすぐ女神様が来られるので、便器の縁で正座して待ちましょう」 「……っ!!?」 周囲の小人たちは、何の疑問も抱かずに便器の縁へと並び、正座をし始めた。 俺は思わず後ずさる。 「ふざけるな!!そんなことをする必要は——」 「何を言っているんです?」 彼らは、俺が愚かなことを言っているかのような目で見てくる。 「女神様がいらっしゃるときに、しっかりとお迎えの姿勢を取るのは当然のことです」 「これは、神聖なる儀式です」 「さあ、あなたも!」 俺の目の前で、小人たちはきちんと正座をし、頭を垂れた。その光景は、まるで宗教的な儀 式のようだった。 (やばい……ここは……!!) 俺は、このままでは、本当にこの狂気を"普通"だと受け入れてしまうかもしれない。 その時—— ゴオオオオ…… 低く、巨大な音が響く。 床が振動した。 (こ、この音は……!?) 遠くから、何かが近づいてくる。 足音—— そして、影が落ちる。 「……女神様が来られました!」 小人たちは口々に喜びの声を上げる。 俺は、顔を上げられなかった。 (これは、悪夢だ……!!)」 確かに女神のような圧倒的な女がこちらを一瞥することもなく、俺たちのいる便器にまた がった。 どしーん、どしーん。 その巨体が動くたびに、地面が揺れた。俺たちは、まるで巨大な山脈の間に挟まれるような 形で、両足の間に閉じ込められた。 そして—— 男がいるというのに、まるでここには誰もいないかのように、スカートを捲り上げ、パンツ を下ろしていく。 しゅるしゅるしゅる・・・ 俺の心臓が跳ね上がる。 (何の迷いもない……!?) 女「ふう……」 彼女は何の前触れもなく、深く息をついた。 そして。 ぷううううううう・・・・ 重く、湿り気を帯びた音が響く。 「うぐっ、おえええええええ!!」 鼻をつく刺激臭。 俺は思わず身をよじらせた。 (ふざけるな……男の前でおならなんて……羞恥心がないのか!?) 怒りをこめて上空を見上げる。 しかし—— 彼女は、ただ気だるそうに携帯を触っているだけだった。 (え……?) 俺の脳が、理解を拒む。 (何も感じていない……?) 周囲を見渡す。 俺と同じように驚き、憤る者は——いない。 そこにいたのは、まるで職人のように淡々と仕事を待つ小人たち。 表情一つ変えることなく。 まるでそれが「普通」だと言わんばかりに。 俺の背筋が、じわりと冷たくなった——。 「……ああ、なんて素晴らしい香り……」 突然、隣にいた小人が恍惚とした表情で呟いた。 「これが女神様の慈悲……」 俺は自分の耳を疑った。 「お前……正気か!?」 「何を言っているんです?」 彼は心底、不思議そうな顔をしている。 「私たちは選ばれたのですよ。女神様の排泄物を処理できるという、この名誉を……」 「馬鹿なことを……!!」 俺は言葉を失った。 その時、便座の上の女神が鼻をすすりながら、わずかに呟いた。 「……ちょっと臭いかな?」 その声に、小人たちが反応する。 「いいえ!女神様の香りは至高のものです!」 「私たちは、誇りを持っております!」 彼らは一斉に声を揃えた。 「……お前ら、狂っている……!」 俺の震える声は、彼らには届かなかった。 「さ、さ、もうすぐ清掃の時間です。皆さん、準備しましょう。」 小人たちは手際よく動き始めた。 俺は、理解できなかった。 いや、理解したくなかった。 「俺は……ここに馴染むわけにはいかない……!!」 俺は逃げようと考えた。 しかし、隣の小人がすかさず俺の腕を掴んだ。 「やめてください、反逆者が出ると女神様が悲しみます。」 「お前ら……俺を売る気か?」 「当然です。」 彼の笑顔が、恐ろしく見えた。 俺は、間違いなくこの社会では「異端者」なのだ。 この世界の常識が、俺には狂気にしか見えない。 しかし…… (ここで逃げなければ、俺も——洗脳される……!!) 「こ、こいつら、くるってやがる……」 俺は、周囲の小人たちを見渡しながら、震える声で呟いた。 彼らの表情に変化はない。まるで、これが「当然のこと」であるかのように、ただ静かに、 淡々と待機している。 すると—— 女「ん……。」 何の気なしに彼女が微かに声を漏らした。 次の瞬間。 ちょろちょろ……じょぼじょぼじょぼ…… 俺は愕然とした。 (しょ、しょんべんまでしやがった……たしかに、ここはそういうところだが……) 熱を帯びた液体が、勢いよく流れ落ちる音が響く。 その音は、容赦なく俺の耳に叩き込まれ、強烈な現実を突きつける。 ぷわぁ……。 瞬く間に、アンモニア臭が空気を支配した。 「くさっ、おええええええ……!!」 俺の喉が焼けるような痛みに襲われ、思わず口元を押さえた。 目の前の光景が霞む。熱気と刺激臭が混じり合い、まるで空気そのものが濃厚な毒となって 襲いかかるようだった。 だが—— 周りの小人たちの反応は、相変わらずである。 むしろ、一部の小人は表情を和らげ、目を閉じ、恍惚とした表情すら浮かべている。 「ありがたき幸せ……」 「女神様の御恵み……」 彼らは、言葉にならないほどの狂気を帯びた静けさの中、全身で「奉仕の時間」を受け入れ ていた。 俺の頭がぐらりと揺れる。 (なんだ……これが……この世界の……「普通」なのか……?) 女は、そんな小人たちにも、俺にも、一瞥すらしない。 彼女は、無関心に携帯を触り続けている。 (バカな……こんな状況で……俺たちがここにいることを……まるで何も感じていない ……!?) 俺は、ふらつく足取りで視線を上げた。 「ははっ……」 喉が乾き、笑い声が掠れる。 「お、おれがおかしいのか……?」 狂っているのは—— 俺なのか。 それとも、この世界なのか——。 俺は、自分の体を抱きしめるようにしながら後ずさった。だが、そのとき、後ろに立ってい た小人が微笑みながら俺の肩を叩いた。 「大丈夫ですよ、あなたもすぐに分かります。」 「な、何が……?」 「女神様の恩恵を、受け入れる日が来ます。」 俺の心臓が跳ねた。 俺は、そんな日が来るなんて、絶対に信じたくなかった。 だが、何かが耳元で囁いている。 (本当に……俺が間違っているのか……?) 俺の目の前で、女神はゆっくりと足を組み替え、微かに鼻をすすった。 「……ちょっと臭いかも?」 その何気ない呟きに、小人たちの目が輝く。 「女神様の芳香を感じる機会をいただけるとは……」 「ありがとうございます、女神様……!」 彼らは深々と頭を下げた。 俺は、その光景を見ながら、ふらりと膝をついた。 (こんなの、冗談だろ……?) 俺は震える手で、自分の顔を覆った。 だが—— 「さ、次の奉仕に移りましょう。」 小人の一人が、嬉々とした声で言う。 俺はその言葉を聞いて、背筋が凍った。 「……奉仕?」 「はい、我々の役目を果たす時間です。」 小人たちは整列し、静かに便器の縁へと移動していく。 「ま、待て!お前ら、何を——」 「あなたも早く。」 俺は、腕を引かれた。 次の瞬間、便器の縁に正座する小人たちの列に、俺も加えられた。 (俺は……俺はどうすれば……!?) 女神は、俺たちの存在など微塵も気にせず、無関心に携帯をいじり続けている。 この世界で、俺だけが間違っているのか——? 女「ふ~~~、すっきりした、さぁ小人たち仕事だよ……」 彼女は気だるげに呟くと、便器についているボタンを押した。 カチッ—— 次の瞬間、便器の中から足場がせり上がってくる。 それは、便器の縁と縁をつなぐ橋のような構造になっており、小人たちが中央へと向かうこ とができるようになっていた。 女「しっかりと拭かないと、ただじゃおかないからね。この間の店は下手すぎたから、店長 に言って、すべての小人を処分してもらったんだから……」 俺の頭が真っ白になった。 (拭く……?何を言ってるんだ……処分……?何を言ってるんだ……?) 理解が追いつかない。 しかし—— 小人たちは、一斉に声をそろえて返事をした。 「はい、女神様、お任せください!」 彼らはまるで命じられた機械のように、動き出した。 バケツ、モップ、大きな布…… 道具を手にした小人たちは、迷うことなく足場を渡り始めた。 俺の足は動かない。 なぜ、あいつらはこんなにも当然のように……!? 彼らは、渡った先で中央の女の股の下へと進み、器用に手に持っていた道具を使い、掃除を 始めたのだった。 まるで、これが「当然の作業」であるかのように。 「……そんな馬鹿な……」 俺は呆然と立ち尽くしていた。 作業を続ける小人たちは、手慣れた様子で便座の内側、足元、さらには太腿の裏まで拭き始 める。 「女神様の御身体を綺麗に保つのは、私たちの神聖なる役目です!」 「もっと丁寧に!前回の失敗を繰り返してはいけない!」 小人たちは、互いに指示を出しながら動いていた。 俺はそれを見て、恐怖が背筋を駆け上がるのを感じた。 (こんなことが……日常なのか……?) 女神は無関心のまま、スマホを弄っていた。 「早くしないと次の予定に遅れるわよ。」 女の呟きに、小人たちの動きがさらに速くなる。 布を絞り、汚れを拭き取る音が響く。 「女神様、仕上げをいたします。」 リーダー格の小人が頭を下げ、さらに丁寧に拭き始めた。 その瞬間、俺はついに我慢できなくなった。 「やめろ!!お前ら、こんなのがおかしいとは思わないのか!?」 だが、小人たちは俺の言葉に耳を貸すことなく、ただ作業に集中していた。 いや、俺を見つめる者すらいた。 「君も、すぐに理解できますよ。」 そう言った小人の顔には、洗脳されたような穏やかな微笑みが浮かんでいた。 「そんな……」 俺は膝から崩れ落ちそうになった。 俺の心臓が、早鐘のように打ち鳴らされる。 このままでは…… (俺も、あいつらと同じようになる……?) 俺は便器の淵から一歩も動けないでいた。 すると—— 女「ん?さぼっている小人がいるね」 女の目が俺を捉えた。 次の瞬間、大きな指が俺をつまみ上げる。 「お、おい……!」 俺は宙に浮かび、女の顔と至近距離で向き合った。 女「お前、なんで仕事をさぼってるんだい?話を聞いてなかったのかい?使えない小人は処 分されるんだよ?」 その声は甘さすら感じられたが、その内容は恐ろしく冷酷だった。 そして—— 俺の体がゆっくりと便器の上へと運ばれる。 「やめ、やめてくれええええ……!!」 眼下には、黄色く濁った水面が広がっていた。 つーーーん。 強烈なアンモニア臭が鼻をつき、思わず涙がにじむ。 女「まぁ、一匹ぐらい処分したって変わらないでしょう」 指の力が緩む。 (まずい……!!) そう思った瞬間—— 小人A「女神様、ちょっとよろしいでしょうか?」 不意に、冷静な声が響いた。 女「ん?なんだ、小人のくせに偉そうに?」 小人A「そいつは今日入った新人で仕事がまだわかっていなかったのです。私たちが丁寧に 教えますので、どうか処分せずにいてくれますか?」 女はしばし俺を見つめ、そして—— 女「なんだ、お前初めてかよ。よかったな、初めてがオレみたいなかわいい子でよ」 そう言うと、俺はゆっくりと便器の淵に降ろされた。 女「じゃあ、お前が丁寧に掃除してくれよ……」 俺の背中に冷たい汗が伝う。 (俺は……助かったのか……?) しかし、その安堵も束の間—— 俺の前には、バケツと布を持った小人たちが立っていた。 彼らの目は、まるで「お前も仲間だ」と言わんばかりの、落ち着いた光を宿していた。 小人B「さぁ、新人。女神様のご期待に応えられるよう、しっかり学ぼうな?」 俺はごくりと唾を飲んだ。 これはただの生き残るための儀礼なのか、それとも—— 俺も、この異常な世界の一部になってしまうのか——。 小人たちは手際よく準備を始める。バケツの水を丁寧に絞り、大きな布で床を拭き、汚れを 丁寧に取り除いていく。 「ほら、見て覚えろ。女神様の足元は、いつも完璧でなければならない」 小人Cが俺に指示を出しながら、足場を拭いていた。 俺は、その様子をただ見ていることしかできなかった。 (こいつらは……本当に、心の底からこれを誇りに思っているのか……?) 目の前で、誰も疑問を持たずに作業をこなす小人たち。 女神はスマホを弄りながら、気にも留めていない。 女「早く終わらせなよ。次の予定があるんだからさ」 その一言に、小人たちはさらに手を速める。 俺は再び、冷たい汗が背中を伝うのを感じた。 (ここで生き延びるには……俺もやるしかないのか……?) バケツを手に取る。 指が震える。 目の前の小人が優しく微笑んだ。 小人D「大丈夫、最初はみんな戸惑うさ。でも、すぐ慣れるよ」 俺は何も言えなかった。 俺は先ほど命を助けてくれた小人に手を引かれ、便器の中央に浮かぶ足場まで来ていた。 上空を見上げる。 そこには、おしっこをしたばかりでびしょびしょの女性器が存在していた。 「うっ、おえええええ……」 俺を新鮮なアンモニア臭が包み込む。 小人B「こらこら、女神さまに失礼だろう?」 その声は、まるで俺の反応が不敬であるかのように響いた。 ぽたっ、ぽたっ。 上からしずくのように降ってくる。 俺の肩に冷たい液体が触れる。 思わず顔を背けるが、小人たちは気にする素振りもない。 ここは地獄だ……。 小人C「さあ、モップをもって、女神さまもお待ちだから、丁寧に拭かないとな……」 小人たちは迷うことなく、手にしたモップや布を使って、女性の太ももやふくらはぎを拭き 始める。 まるで、これはただの掃除作業であるかのように—— 俺の手に、モップが渡される。 (おれも……俺もやるしかないのか……???) 逃げ道はない。 女神は依然として無関心な表情でスマホを触っている。 この空間には、俺の感じている「異常さ」を共有している者など、誰一人としていなかった。 俺は震える手で、ゆっくりとモップを握った。 そして—— 俺は、ついに、一歩を踏み出してしまったのだった……。 俺がモップを握ると、小人たちは何の疑問も抱かずに動き続けていた。バケツの水に布を浸 し、女性の肌を拭く手つきは滑らかで迷いがない。 小人B「おい、新人、手元が震えてるぞ。」 小人Bが俺に注意する。その声はあくまでも穏やかで、俺が何か異常なことをしているかの ようだった。 「ここで仕事をするなら、しっかりやらないと、女神様に叱られるぞ。」 俺は息をのんだ。彼らにとって、これはまるで当たり前のことなのか……? すると、小人Cがモップを軽く振りながら微笑む。 「すぐに慣れるさ。最初は誰だって戸惑うんだ。」 戸惑う?これはそんな単純な話なのか?俺の心は拒絶していた。 だが、背後から大きなため息が聞こえた。 女「遅いなぁ……お前たち、何をチンタラしてんの?」 ぞくり、と背筋が冷える。 女神がわずかに目線をこちらに向けていた。 その視線だけで、場の空気が凍る。 小人たちはすぐに動きを速め、俺も咄嗟にモップを動かしていた。 気づけば、俺は何も考えずに手を動かしていた。 (俺は……本当にこれをやっているのか?) 上空を見上げると、女神はまたスマホに視線を戻し、気にする素振りもない。 彼女にとって、俺たちはただの小人でしかない。 俺は、この場所に本当に馴染んでしまうのか? そう考えた瞬間—— 俺の中で、何かが音を立てて崩れ始めていた。 ごしゃあああああああああ・・・・・ 俺の眼下ではすべてを押し流す濁流が流れていた。もちろん、トイレを流す音である。 女はパンツとスカートを戻すと、俺たちのほうを見てニヤリと笑った。 女「ん~、なかなかうまかったな。全然拭き残しとかない感じだし、店長に良かったってい っといてやるよ」 とりあえず処分は免れたみたいだった。 女「おい、新人、最高のトイレだって友達にもいってやるからよ。そしたら……お前たちの 仕事がもっと増えるぜ、よかったな」 「「うおおおおおおお!!!」」 小人たちは歓喜している。 (こんなんが、もっと続くだと……?) 俺は頭が痛くなった。 ばたん。 扉が閉まり、女が出ていく。 ようやく静けさが戻ってきた。 俺は全身がおしっこでびしょびしょで、アンモニア臭が漂っている。 その匂いを嗅ぎ、これが現実であることを思い知らされる。 小人A「仕事はどうじゃった?」 俺は言葉を失った。 小人B「新人、覚えておけ。女神様に決して臭いなどと言ってはいけないぞ」 小人C「そうそう。前にいた奴が軽口を叩いたら、そのまま流されたからな」 俺はゾッとする。 小人D「でも、今日のお仕事はうまくいったな。女神様も満足しておられたし」 小人A「そうじゃ、これでしばらくは安心して働けるのう」 安心……?こんなのが日常だというのか……? 小人B「それにしても、お前最初はすごく怯えてたな」 小人C「まあ、誰でも最初はそうじゃ。だがな……」 小人D「そのうち、慣れる。そういうもんじゃよ」 慣れる……? この異常な環境に……? 俺は思わず頭を抱えた。 ドスン……ドスン……ドスン……!! 地響きが先ほどよりも強く、床が揺れる。 小人たちは一斉に足を止め、顔を上げた。 「な、なんだ……?」 俺の身体にも微細な振動が伝わってくる。 その時、扉がゆっくりと開いた。 現れたのは、先ほどの女神とは異なる、新たな存在だった。 「ふぅ~……食べすぎちゃったぁ……」 彼女はお腹をさすりながら、ゆったりとした足取りで中へと入ってきた。 ぽっちゃりとした体型に、揺れる胸とたるんだお腹。 彼女は片手にスナックの袋を持ち、もう片方の手で食べかけのチョコバーを握っていた。 食べながら歩く。 その仕草は、まるで食事の最中に別のことをすることが日常化しているかのようだった。 小人たちは息をのむ。 「ほら、見ろ……」「あの女神様だ……」 小人たちの間に、ざわめきが広がる。 彼女が歩くたびに、むわっ……とした湿気を含んだ匂いが漂ってきた。 足元を通る風に乗って、小人の群れにまでその匂いが届く。 (な、なんだ……!?) 俺は鼻をつまみたくなる衝動に駆られた。 それは、汗の匂いだった。 しかし、それだけではない。 甘いチョコレートの香りと、脂っぽいスナックの匂いが混じり合い、さらに汗と皮脂の香 りと融合した異様な臭気となっている。 (くっ……この匂い……!!) 女神は自分の足元を気にする様子もなく、ずんずんと歩みを進める。 そのたびに、地面が揺れ、小人たちはぐらついた。 「おっとっと……はぁ……動くと暑いなぁ……」 そう言いながら、彼女は自分の足を軽く振った。 ぶわっ……! 俺の周囲の小人たちが、一斉に顔をしかめる。 足から発せられた熱気と、こもった汗の匂いが周囲に広がる。 小人 B「これぞ……女神様の芳香……」 小人 C「今日も素晴らしい香りじゃ……!」 (お前ら……正気か!?) 俺は、吐き気をこらえながら、女神の動きを観察するしかなかった。 彼女は足を止め、チョコバーをかじりながら満足げな表情を浮かべる。 「ん~、もうちょっと食べられそうかなぁ……」 彼女は周囲にいる小人たちにも一切目を向けず、ただ食べることだけに集中していた。 小人の存在など気にも留めていない。 ただ、自分の空腹を満たすことにしか関心がないのだ。 俺の背筋が凍った——。 どすん、どすん。 俺たちを普通にまたぐ。 うわあああ……、足を下ろすだけで地震のようだった。 この女は今までの女と違い、相当な重量があることがわかる。 地面が揺れ、足場が軋む。 小人たちは必死に踏ん張りながら、落ちまいと耐えるしかなかった。 女「ふう……そろそろ出てくれるかな?最近食べ過ぎているのにぜんぜん出ないからな ……」 そういうと、他の女と同じように俺たちを見ることもなく、下着を脱ぎ、しゃがみ込んだ。 まるで俺たちがいないように…… 上空から、この女の下半身が降ってくる。 圧倒的な質量に、つぶされるような錯覚を覚えた。 すると—— ぶわああああああああ!! 「おえええええええ、ごほっ、がはっ……!!」 俺は慌てて声が漏れないように口を押える。 俺たちをスカートの中の蒸れた空気が—— とんでもない臭気が襲った……!! 熱気とともに、こもった汗の匂い、脂の臭い、何日も篭った蒸れた空気が、俺たちの小さな 世界を完全に支配する。 視界がぼやけ、喉が焼けるように痛む。 小人 A「ぐっ……耐えろ……!女神様の大切な時間だ……!!」 (こんなの……耐えられるわけがない……!!) 息を吸えば喉が焼ける。 しかし、女神には、俺たちの存在など一切気にしていない。 ただ、彼女の生理的な行為を行うだけだった——。 女「う~~ん……」 すうううううう・・・・ 女の尻からガスが漏れる音がする。 濃厚な悪臭がゆっくりと広がり、俺たちを包み込んでいく。 (く、くさ……!!何を食ったらこんな臭いになるんだ……?) 熱気を含んだ重い空気が足場を押し込み、まるで空間全体が汚染されたような錯覚を覚え た。 小人たちは動かない。ただ、無言で耐える。 俺だけがこの異常な空気に震えていた。 女「はあ……ガスしか出ない……」 ぶうううっぶう。 鈍く、湿った音が響く。 その瞬間—— ごろごろごろごろごろ……!! 俺たちの上空から、雷鳴のような音がとどろいた。 鼓膜に響くような重低音。何かが動き出す音だった。 不吉な予兆。 小人 A「きたか……」 小さく呟く声が、俺の鼓膜を震わせた。 俺はごくりと唾を飲み込む。 女「ふぁああ……なんか出そうかも……」 のんびりとした声が、俺たちの運命を決定づける。 その言葉に、俺の全身が硬直した。 上空の気配が変わる。 圧迫感のある熱気が、一層濃くなった。 小人 B「新人、お前……心の準備はできてるか?」 (できるわけがない!!) 叫びたくても声が出ない。 全身の毛穴が開く。 足が震え、動けない。 ただただ、次に何が起こるのかを想像してしまう。 小人 C「今は息を浅くしろ。絶対に深く吸い込むな」 俺は慌てて口を手で覆った。 しかし、遅かった。 鼻腔を突き破るような異臭が、俺の脳を侵食する。 視界がぼやける。 小人 D「これが……女神様の……力じゃ……」 目の前の小人たちは、どこか恍惚とした表情すら浮かべていた。 (お前ら……狂ってる……) しかし、俺はそれを指摘することすらできなかった。 この後に起こることを想像して、俺はただ恐怖するしかなかった——。 ぶぼお、ぶり、ぶりぶりぶりぶり、にちにちにちにち…… 目の前で、山のように積もっていく大便。 俺はあまりの現実感のなさに、鼻を抑え、目をつぶった。 (おえええええ、くさすぎる、くさすぎる……でもこんなの口に出したら命はない……) しかし、周囲の小人たちの反応は違った。 小人 A「おお……今日も立派なものを……」 小人 B「これこそ女神様の御恵み……ありがたきことじゃ……」 小人 C「この香りこそ、我々を導く証……」 俺は信じられなかった。 この異常な光景の中で、小人たちは一切顔をしかめることなく、むしろ感嘆の表情を浮かべ ていた。 女「ふう~~~~~、ようやく出たわ、気持ちいい~~」 俺たちのことなどまるで気にする様子もなく、女は排便の余韻に浸っていた。 (そろそろ仕事を言われる……) 意を決して目を開けると、目の前で湯気を立てている生々しい大便が山のように降り積も っていた。 (うぐっ、なんて光景だ……茶色い山が高く積もって、白いものが埋まって……) 異様な光景が脳裏に刻まれる。 「ん?白いもの??」 最初は何か未消化物かと思ったが、どこか違う。 (あれはまさか……まさか……) 「人の骨……?うそ……だろ???」 俺は硬直した。 小人 C「新人、そんなに驚くことじゃないぞ?」 俺の耳元で、小人 A が静かに言った。 小人 A「あれはな、女神さまの一部になれた幸運な者たちじゃ……」 俺はその言葉を聞いて心が砕けそうだった。 小人 D「誇るべきことだ。選ばれし者だけが、女神様の中で永遠になれるのだからな……」 小人 E「食べられることこそ最大の栄誉……」 小人 B「お前もいつか選ばれるかもしれないぞ?」 (こ、こいつら……完全に狂ってる……!!) 信じられない。 女神に食べられ、骨だけになった者たちが、「幸運」だとされる世界。 俺は今まさに、常識が崩れ落ちていくのを感じた——。 女神はゆっくりと腰を上げ、満足そうに腹をさすった。 女「う~ん……やっぱり食事の後はスッキリするわねぇ……」 そう言うと、無造作に手を振る。 女「さっさと掃除しなよ。私の気持ちよさを台無しにしないでよね?」 小人たちは神妙な面持ちで頷き、一斉に動き出した。 俺はその姿を見つめるしかなかった。 (俺も……やるのか……?) じわじわと、理解したくない現実が心を締め付ける。 俺の震えた手が、ゆっくりと動き出そうとしていた——。 ういーーーーーん 俺たちの目の前に足場が上がってきた。 いつものように足場を渡り、便器の中央に行く……。 上空を見ると絶句した……。 「うっ、おええええええええ……!!」 排泄の痕跡が生々しくこびりついた除籍が、収縮を繰り返す肛門とともに圧倒的な存在感 をもって上空に広がっていた。 俺の視界が揺れる。頭の奥で警鐘が鳴る。 逃げられない。 それなのに、目を逸らせない。 鼻をつく強烈な匂いと、熱気が混ざった圧倒的な現実が、理性を押し潰しそうになる。 蒸れた匂いと、熱気に満ちた空気。 俺の膝が震える。 「これを……これを掃除??嘘だろ……、こんなの人間のすることじゃない……」 だが—— 小人 A「人間?それは女神さまのことだ。」 小人 B「そうだ。我々はただの小人なんだよ。」 小人 C「自分を人間と思っているのか?そんな考えは捨てるんだ。」 小人 D「我々の役目は、女神さまに仕えること。それ以外は何もない。」 俺は息を呑んだ。 彼らは、心の底からそう思っているのか……? それとも—— あまりの異常な環境に、それ以外の選択肢を失ってしまったのか……? 女「ああ~出したらおなかへっちゃった」 ぐうううううう~~。 上空で、お腹が鳴る音が響いた。 こいつ、まだ食うのか……。 いや、まて。 こいつ、まさか……また小人を食うつもりか……? 俺は、うんこに埋まった大量の人骨を思い出して、震えていた。 小人 E「そんな顔をするな、新人よ。食べられることこそ至高の名誉だ。」 小人 F「我々の中でも選ばれた者だけが、女神さまの一部になれるのだ。」 俺の背筋に冷たいものが走る。 そんなのが名誉だと……? 小人 G「君もそのうち理解するさ。抗うことなど意味がない。」 俺の全身が震え、膝がガクガクと音を立てた。 上空では、女神が自分の腹をさすりながら次の食事を考えているようだった。 「んー……何を食べようかなぁ……」 その呟きが、俺の運命を決定づけるものに聞こえた——。 俺たちは必死に女の尻を拭いていた。 小人たちは汗だくになりながら、黙々と作業を続ける。 手際よく、無駄なく、まるで職人のように。 (もう少しで終わる……!) そう思った矢先—— ぐるるるるる…… 突然、腹の奥から響くような音が上空から降ってきた。 俺の心臓が跳ね上がる。 そして—— ぷうっ!! 瞬間、暴風が吹き荒れた。 「うぐっ……!!」 熱気を帯びた風が俺たちを襲い、同時に、耐え難い臭気が鼻腔を焼いた。 「おええええええ……!!」 息が詰まる。 視界が揺れる。 地獄の突風。 小人 C「ぐっ……耐えろ……これは女神様の……恵みだ……!」 俺は反射的に口を押さえるが、強烈な臭気が肺に入り込み、内臓を締めつける。 そして—— 「うわああああああ!!」 数人の小人が暴風に巻き込まれ、そのまま便器の中へと吸い込まれていった。 俺の目の前で、彼らの叫びが遠ざかる。 ドボンッ…… 静かに、しかし確実に、彼らの体が飲み込まれた。 女「あ、ごめん、少しおなら出ちゃった……。まぁ臭くないから大丈夫よね?」 こちらを見ることすらなく、女は無頓着に呟いた。 (こいつは……何も……何も気にしていない……!!) 絶望が胸を締めつける。 しかし—— 「おい、我々の仕事は終わっていないぞ!!」 俺が落ちた仲間を助けようと駆け出そうとすると、小人たちに厳しい声で制止された。 「でも、仲間が……!!」 叫ぶ俺を、彼らは冷静に見つめた。 小人 A「どのみち彼らはもう助からない。」 小人 B「新人よ、便器に落ちた小人の運命は死なんじゃよ。」 俺の全身が凍りついた。 小人 C「とはいえ、最後に女神さまの排泄物に落ちれるのは運がよいがな……。」 俺の呼吸が荒くなる。 視界が霞み、世界が揺れる。 小人 D「いずれお前も、その覚悟を持たねばならぬぞ。」 俺は声も出せなかった。 便器の水面を見つめる。 沈んだ仲間の姿は、もう見えない。 彼らは……本当に死んだのか? それとも…… 俺もいつか、こうなるのか? 何かが崩れ落ちる音がした。 それは—— 俺の心だった。 女はゆっくりと立ち上がった。 「ふぅ……」 腰をひねりながら、ゆったりと服を整えていく。 スカートを直し、下着を引き上げながら、小さくため息をついた。 何もなかったかのように。 何も変わらなかったかのように。 そして、ふと口を開いた。 「お前たち、仕事遅いんじゃない?」 女の何気ない言葉が、胸を突き刺した。 まるで、小人たちが減ったことなど気にも留めていない。 俺は唖然とした。 女「最悪だったわ……」 そう呟くと、女はゆっくりと扉へ向かう。 その足取りは、重い。 ドスン……ドスン…… 床が揺れる。 彼女の一歩ごとに、地面が震え、わずかな埃が舞い上がる。 女の身体にこびりついた汗が、歩くたびに湿った空気を広げていく。 蒸れた脂の匂い、衣服に染み込んだ汗の臭い——俺の鼻腔を満たす。 「さて、小人の踊り食いでも行こうかしら……」 俺は、全身の力が抜けた。 蒸れた便臭と汗臭さが染みついた自分の体にえずきながら、 この世界に、何の意味もないことを思い知る。 仲間が消えたことすら、誰の記憶にも残らない。 「……くそっ……!!」 俺は、奥歯を噛み締めた。 胸が締めつけられるような悲しみが込み上げる。 (あいつらは……いなくなったんだ……) しかし、小人たちは違った。 小人 A「仕事が終わった後の解放感はいいものだな!」 小人 B「そうじゃな。女神様が満足してくださった、それで十分じゃ!」 小人 C「それにしても、新人よ、まだ落ち込んでいるのか?」 俺は言葉を失った。 仲間を失ったことが、こんなにも空虚なものだとは。 彼らには、俺の感情など理解できない。 そうか。 考えるのを、やめよう。 俺は小さく息を吐いた。 「俺は……そうか、俺はトイレ掃除が天命の小人だったんだ……」 その言葉が、不思議とすんなりと口から出た。 何も感じなくなった。 悔しさも、怒りも、哀しみも。 すべてが無意味だった。 女神に仕えること、それが俺の存在理由なのだ。 視界がぼやける。 何も考えなくていい。 それが、俺にとっての救いだった。


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