SakeTami
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増殖部長【後編】

その日を境に、僕の日常は激変した。


現役ラガーマンの姿をした「田沢部長」と抱き合う毎日。せがまれればキスをして、何事もなかったように仕事に向かった。


「山田、この資料よろしくな」

「了解です」


当然のことだが、オフィスでは田沢部長との主従関係が逆転した。オフィスにいる田沢部長は、自宅で待機している『増殖部長』ではなく、スーツをキッチリと着こなす本物の田沢部長なのだ。彼はせかせかと仕事に打ち込み、相変わらず遅くまで仕事に励んでいた。そんな彼を横目に、僕は田沢部長と過ごす日々を思い浮かべた。今や、僕は田沢部長のすべてを知っているのだ。脇汗のニオイも、チンポのポジションも、性感帯の場所も。本物の田沢部長は、そんなこと知るよしもないだろう。


(あいつら、今頃何してるかな?)


僕はふと考えた。自宅で待機している部長は今、何をしているのだろう?ひとり寂しく過ごしているのではないか?……一緒に遊べる“友達”が必要なのではないか?


「部長、よかったらお茶、飲んでください」

「おぉ、山田。サンキュー。お前も残業か?」

「はい。ちょっとやり残したことがあって」

「そうか。無理はするなよ」


そうして僕は、部長に睡眠薬を飲ませて眠らせた。彼は、頭をカクカクと揺らして、次第にうつ伏せになって眠りについた。むっちりとした筋肉を纏った大きなカラダが、呼吸に合わせて上下に動いた。僕はゆっくりと部長の背後に回り込み、彼の後頭部から髪の毛を数本引き抜いた。


(さて、うまくいくかな?)



帰宅した僕は、例の『増殖キット』を再び取り出した。スポイトで透明の液体を吸い込み、採取したばかりの髪の毛に一滴ずつ垂らしていく。その瞬間、部屋中が何も見えなくなるほど眩しい光に包まれた。


「んん……」

「うっ……」


光が弱まると、目の前には2人の「田沢部長」が立っていた。どちらもスーツ姿で、ガタイの良い体格をしたラウンド髭の黒髪短髪のアラフォー男。間違いなく、彼らは田沢部長と同じ姿形をしていた。


「お、新しい“俺”か?」


最初に増殖した田沢部長——ここでは“2号”と呼ぼう——が興味津々に彼らに近づいた。


「あぁ、山田の家か」

「よろしくな、山田」


誕生したばかりの「田沢部長3号・4号」は僕を見ながら微笑んだ。元ラガーマンらしい迫力のある胸板や肩まわり。引き締まったプリケツ。そんな愛すべき部長が、部下である僕の狭い部屋に3人もいる、という状況だ。


「2号、こいつらの面倒見てやってくれよ」


2号は目を輝かせて力強く頷いた。


「山田、ありがとうな。俺のために、わざわざ」

「いいよ。そうだ、記念に僕のチンポしゃぶってよ……あ、3号と4号は乳首ね」


3号と4号は嬉しそうな表情を浮かべた。


「了解っす!」

「他にも攻めて欲しいところがあったら、構わず言ってくれよな!」



数日後。3人の部長と生活を送る中、僕は次第に本物の部長に対して感謝の気持ちが湧いてきた。こんな充実した生活を送れるのも、本物の部長の存在があってこそ。部長はやはり毎日仕事で忙しそうにしていた。彼に救いの手を伸ばしたい。少しでも恩返しをしたい。いつしかそう考えるようになった。


「そうだ、お前ら、1号をちょっと手伝ってくれないか?」

「山田の頼みなら、断れねえな」


それから僕は時々、『増殖部長』を日替わりで連れて行って、部長の仕事を代わりに片づけてあげた。本物の部長にはトイレの個室で眠っていてもらう。その間、『増殖部長』たちが代わりの部長を務めるのだ。


「今日の部長、ちょっと大胆かも」

「まさか、あんな一面もあったなんて、ギャップかも!」


同僚には気付かれていないようだ。本物の田沢部長のほうも、どこか不思議な表情を浮かべながら、オフィスでは堂々としていた。


「最近どうも居眠りしてしまうな……」

「俺、この仕事いつ片付けたっけ……?まぁ、いいか……」


自分が眠っている間に仕事が片付いているのだ。疑問を抱くのも無理はないだろう。もちろん、仕事の精度は落ちていない。それが『増殖部長』のクオリティだ。次第に部長の残業は減っているようだった。


「お、山田。お疲れさん」

「部長、お疲れさまです」


早く仕事を終えた田沢部長が、僕に声を掛けた。


「山田。今日も残業か?」

「はい。でもそろそろ、帰ろうかと思ってます。部長も、お帰りですか?」

「あぁ。最近は残業も少なくなってな」


部長は頭を掻きながら答えた。


「あ、そういえば。実家から日本酒が送られてきたんです。よかったら、今夜うちで呑みませんか?部長、お酒好きでしたよね」

「おぉ、日本酒か!」


部長は嬉しそうに答えた。


「たしか山田ん家、この辺だったよな」

「はい。でも、部長にはご家族もいますし、もし良かったら……ですけど」


部長は腕時計に目をやった。


「心配いらない。今夜は帰りが遅くなると思って、家にはもう連絡入れてるんだ。山田が迷惑じゃなければ、俺は大歓迎だが……」

「それじゃあ、今夜はうちで!」


僕は田沢部長を連れて家へと向かった。こみ上げる喜びを抑えるのがやっとだった。


「おぉ、ここが山田ん家か」

「はい、狭くてすいません。これが、例のお酒です」

「おぉ、ずいぶん立派だな!どれどれ。初めて見た銘柄だよ」

「先に呑んでいてください。僕は肴を持ってきます」


僕はキッチンから部長の様子を覗き込んだ。ぐびぐびと酒をうまそうに呑んでいる。呑みっぷりのよさはさすが元体育会系という様子だった。


「部長、どうですか?」

「あぁ、なんか初めて口にする味だな……なんていうか……」


部長の目がトロリと蕩けた。もう一度酒に口をつけたタイミングで、僕は大声を出した。


「2号、3号、4号、もういいぞ」


クローゼットやベッドの下に隠れていた『増殖部長』が一斉に姿を現した。


「……んな、誰だ……は!?」


本物の部長は言葉を失った。


「俺が……複数……いる?」


僕はいよいよ笑いが抑えられなくなった。


「どういうことだ、山田!?」

「僕、ずっと部長のこと、エロい目で見てたんすよね」

「は?」


田沢部長は言葉を失った。


「田沢部長の全部が欲しくて、部長と一緒にエロいこと、いっぱいヤりたくて。それで僕、部長を『増殖』させることに、成功しちゃいました!」

「お前、さっきから何言って……」

「それじゃ、お前ら、戯れていいぞ」


僕の合図とともに、『増殖部長』が一斉に本物の部長を取り囲んだ。


「おい、何をする……!」

「うへっ……本物のニオイ、たまんねぇ」

「これが本物か!」

「あぁ、早くヤリてぇ!!」


左右から2人の部長が、田沢部長を抑え込んだ。彼は大きなカラダを揺らして暴れようとした。しかし、酒に混入された薬のせいで、うまく力を出すことができなかった。それに、『増殖部長』たちは本物と同等のエネルギーを持ち合わせているのだ。到底、振り切って逃げることなんてできない。


「クソ……!」

「部長、どうですか?今のお気持ちは?」

「……山田、こんなことして、どうなると……ん!?」


田沢部長の前で、4号が仁王立ちになった。


「アヘッ……。さあ、どこから攻めてやろうか?」


4号は鼻の下を伸ばし、恍惚とした表情を浮かべた。ふだん真面目で頼もしい本物の田沢部長からは想像もつかない、スケベな表情を浮かべた。4号はスーツやワイシャツを脱ぎ捨て、ボクサーパンツと靴下だけの格好になると、本物の部長の服をすべて脱がせてしまった。


躊躇することなく、3号は部長に唇を重ねた。部長はもう抵抗する気力を失っているようだ。されるがままに、濃厚な接吻を受け入れていた。次第に部長のボクサーパンツは膨れ上がり、我慢汁が出ているのか染みが滲んでいった。


「なんだ、お前らだけ抜け駆けか?」

「俺も混ぜてくれよ」


部長のカラダを抑えていた2号と3号も淫乱行為に加わった。本物の部長は既に、恍惚とした表情を浮かべているようだった――というより、一体どれが本物の部長だったのか、僕にはもう見分けが付かなくなっていた。目の前にいるのは、同じ顔、同じ体格、同じ声をした4人の部長が、肉欲を満たすために腐乱にセックスを堪能している。4人のぶ厚いカラダは時に重なり合い、混ざり合い、そして蕩けていった。


「はぁはぁ、すっげ!」

「うひっ……あ、やっべぇっ」

「あっあっあ!俺が!俺に!犯されてるよぉおお!!?」

「もうイク!あっイッちまうぜ!!」


次の瞬間、白濁とした雄汁が一斉に部屋中に飛散した。辺りは男の汗臭さと精子のニオイで充満した。



それから、僕と4人の部長との共同生活が始まった。もう、誰が本物の“1号”だったかなんて、覚えていない。


「今日の部長は、なんだか陽気ね」

「うん。昨日よりも私好きかも」


会社の同僚も、部長が『増殖』したという事実には気付いていないようだ。部長たちも、お互いの記憶や経験が曖昧になって、誰が誰なのか、もう見当も付いていないようだった。


「今日は誰が会社にいくか?」

「俺、昨日は家族サービスしてやったし、今日は休みてぇ」

「ま、ここはジャンケンで決めっか!」

「おっしゃ、恨みっこなしな!」


そんな彼らの愛らしい様子を、僕は穏やかな気持ちで見守った。


Comments

ありがとうございます!とても励みになります🙇‍♂️ 今後も温かく見守っていただけたら幸いです。

Adam

わー!嬉しい!ありがとうございます笑 僕に気を使わずAdamさんの書きたい小説をどんどん書いてください🙇‍♂️ 楽しみにしてます!

メロンタンク

初コメありがとうございます!pixivから読んで頂いてたとは。。嬉しい限りです。(庭師の皮、なかなか渋いとこいきますね!) 分身、増殖ネタは私も好物なので、ぜひ極めていきたいです。 今回はむっちり系親父でしたが、Adamはユニフェチでもあるので、男児系も発掘していきたいと考えてます。 またよろしくお願いします^^

Adam

分身や増殖が大好きなため、すごく興奮させていただきました💦 僕はわりと学生くらいの若い男で興奮するんですが、増殖の描写や前置きが丁寧で、ついのめり込んで読んでしまいました。 Adamさんの小説が好きで複製人間や庭師の皮にも何度もお世話になっており、密かに応援しておりました笑 これからも応援してます! 頑張ってください!

メロンタンク


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