時刻は、深夜二時近く。
那月は、私立の魔法学校の学生寮を抜け、人の気配が消えた校舎へと忍び込んでいた。
下校時間どころか、寮の消灯時間すらとっくに過ぎた校舎は、暗闇そのものだ。一階エントランスの、延々と続く長い廊下は、吹き抜けのガラス窓から差し込む、淡い月明かりだけが、足元を照らしていた。
那月は、その薄暗い廊下で、じっと目を凝らす。今から向かおうとしている廊下の奥に、蛍のように小さく、血のように赤いライトが、浮遊しているのが見えた。
ふよふよと、宙をさまよう、校内見回り用、警備ランタンだろう。
あれは、光を向いた方角半径一メートル以内に入らなければ、感知されない。
那月は、じりじりと、壁に身体を寄せ、警備ランタンの視覚に入らないよう、慎重かつ早足で、歩を進める。
しゃれた石畳の床の廊下に、月明かりと、那月のシルエットが差し込む。
──この廊下を抜けて、地下一階に降りさえすれば、室内植物庭園に行ける。あと少しだ。
那月は、石畳に映る影へと、視線を落としながら、廊下を進む。
窓ガラスと柱の影が、規則的に続く中、ふいに、提灯の形をした影を見つけ、すばやくその場にしゃがみ込む。
朱色のリボンを胸元にあしらった、灰色のワンピースタイプの制服を身にまとっていた那月であったが、今は、深夜二時。まったく人気がない。
那月は、ためらわずに、その場に、四つん這いになり、廊下を進む。
膝丈のワンピースは、那月に想定外のポーズを取られ、するすると、那月の尻から腰へとめくり上がっていく。
那月は、すらりと伸びた素足を、月明かりに照らしながら、廊下を四つん這いで進んでいく。
なんか、すごい格好しちゃってるけど……、誰もいないからいいいよね。
ひとり、言い訳をしながら、那月は、進む。
前へ、四つん這いで進むたびに、スカートは、どんどんめくり上がり、後ろから見ると、柔らかな双丘を包む淡いピンクのレースショーツが丸見え状態だった。
どこかで、窓が開いているのか、隙間があるのか、那月が、深夜に一人で晒している尻に、夜風が、ふわりと撫で上げる。
「ひゃん……ッ」
那月は、ビクリと身体を震わせ、その場で内ももを合わせ、小さく声を上げる。
慌てて、四つん這いのまま、上空を見上げるが、警備ランタンは、声を認識していないのか、特に作動することなく、ふよふよと動いたままだった。
ほっと、安堵して、那月は、四つん這いで、警備を突破する。
*
地下の階段を下りて、すぐに、フェンスで出来た扉が、那月を迎えた。
もう警備ランタンも見当たらない。
那月は、灰色ワンピースの制服姿の身体を、べちゃりと、フェンスに押し付ける。そして、フェンスに、手足をかけ、よじ登り始めた。
膝丈のワンピースが、艶めかしい脚をさらけ出すことも厭わず、ガシャガシャと、フェンスをよじ登る。
頂上に達すると、フェンスの上に跨り、大胆に、足を上げ、ショーツをのぞかせながら、フェンスの向こう側へと移り、そして床へと飛び降りた。
パラシュートのように、ワンピーススカートを広げながら、那月は、落下していく。淡いピンクのショーツが、レースと、小さなリボンを、強風で揺らしながら、さらけ出される。
ストン、と床に降りた後、那月は、迷うことなく、前を向き、そして、笑みを浮かべる。
「やっと、着いた! 室内植物庭園。よしっ、さっさと回収しちゃおう」
タッと駆け出す先は、室内ながら、体育館ほどの広さの庭園を誇り、あらゆる植物が生息していた。
植物工場かのように、床一面は、芝生と人工砂利が敷かれ、壁は、シダ植物だの毒々しい花だの、絡み合った樹木だので覆われている。
植物を育てる関係なのか、暗い校舎と一転して、庭園は昼間のように人工照明で明るく照らされていた。
那月は、植物の迷路のような道を、突き進み、やがて、あらゆる木の実をつけた樹木へと辿り着いた。
「あった、ラズベリー」
でこぼこの赤い実をつけた細い樹に近づき、那月は嬉しそうな声を上げる。
そして、その一つを、ぷつりともぎ取る。
「これで、明日の課題、なんとかこなせる……。良かったあ」
次の日に控えた、実技の授業で必要な素材だ。
本来であれば、事前に、裏山で採取するか、街に降りて購入すべき代物だが、前日の夜に思い出した那月は、こっそり、校内の備品で代用することに決めたのだ。
校内植物庭園は、一切の採取を認められていないし、何よりこんな時間にうろちょろしている時点で、バレたら、ただでは済まないのだが、バレなければ、明日、無事に実技の単位を得られるのだ。背に腹は代えられない。
歴代の寮生による、夜中に校内に忍び込んだ時の記録を、こっそり読んでおいて本当に良かった。
よし、採取したし、帰ろう。
那月が、踵を返した時だった。
カチリ、と天井で音が聴こえたかと思うと、上空から、大量の雨が降り出してきた。
ザアアアアア。
「きゃああああ!?」
バケツをひっくり返したかのような、容赦ない液量に、那月は、あっという間に全身ずぶ濡れになる。
驚きのあまり、採取したラズベリーも、地面に落としてしまった。地面にできたばかりの水たまりに、木の実が水紋を作っていく。
那月が、両手を顔に当て、大雨に耐えていると、急に雨はぴたりと止んでしまう。
ずぶ濡れの那月は、柔らかなロングヘアも、すっかり水浸しで、顔にはりついてしまっていた。
灰色の制服ワンピースも、水の重みで膨らみをなくし、肌にはりついている。
「ひゃあ……。濡れちゃった。水やり、深夜にしてたのかなあ」
那月は、泣きそうな顔をしながら、全身を見渡していると、周囲の植物が、キラキラと輝き始める。
不思議に思っていると、植物は、浴びたばかりの水を吸い上げるかのように、水浸しの姿から、通常の姿へと戻っていった。
足元に出来ていた水たまりも、ゆっくりとフェードアウトし、元の乾いた地面へと変化していく。
「もう水、吸収しちゃったの?」
那月が驚いていると、今度は、自身の身体がキラキラと輝き始めた。
那月の濡れた髪と服、身体、全てから、水蒸気のような輝きが、上空へと舞い上がっていく。
ドクンッ、と那月の身体が、熱くなる。
「ふぁっ!?」
那月は、ふらりと眩暈を感じた。
少しずつ、那月の全身は、周りの植物と同様に、浴びたばかりの水分をなくし、乾き始めていた。
しかし、那月は、元に戻るのではなく、それと同時に、少しずつ、身体を小さく縮め始めていた。
「ひゃ、ひぁっ!? な、何……っ!? 樹と草が、大きくなっていってる!?」
全身が熱い。
熱で、蒸気を飛ばしているのだろうか。それとも、液が、体内に溶け込み、何かの魔法が発動しているのだろうか。
ぐんぐんと、大きくなる周囲の様子に、那月は戸惑うが、地面に落としたままだった、ラズベリーもまた、どんどん大きくなり、那月のサイズに近づいて来るのを見て、那月は、ようやく、変化しているのは、自分自身だと気付く。
「や、やだあっ、なんで、私、小さくなっていってるの!? やだやだ、止まって! きゃああああああっ!!!」
熱を上げたまま、那月は、縮み続け、そして、ぽすんと地面に尻餅をついた後、地面に倒れ込む。
「ハァッ、ハァッ、ハアッ」
荒く息を上げ、地面に寝そべったまま、那月は周囲を見渡す。
先ほど、手のひらに乗せていた、三センチほどのラズベリーが、目の前で、自分の半分ほどの大きさになって転がっている。
那月は、そっと、上半身を起こした。
ずぶ濡れ状態から、すっかり解放され、乾いたロングヘアが、那月の肩から滑り落ちていく。
室内の植物庭園は、自分の何十倍も桁違いに大きいジャングルと化していた。
「私……、小さくなっちゃった……」
ぽつんと呟いた声は、巨大な室内植物庭園には、響かない。
どうしよう。
こんな魔法、解除できる術、私、まだ覚えてないのに。
どうやって元に戻ろう。
誰かに頼むにしても、こんな大きさで、寮はおろか、庭園の出口までたどり着くなんて……。
那月は、五センチほどに縮んだ身体で、途方にくれる。
きょろきょろと、巨大な植物の周囲を見渡す。
そもそも、どちらから来たっけ……? サイズ感覚が変わって、方角すらあやふやだ。
どうしよう……。
泣きそうになりながら、うつむく。座り込んだ地面に転がる巨大な小石に、小さな涙を落としていた時だった。
ガサリ、と巨大な音を前方から聞き、那月は、震えあがる。
ガサガサ、ザクザクと、明らかに、何かがこちらに近づいてる音だ。
植物庭園に、生物は離されていないはずだ。
一体、何が。
那月は、五センチの小さな身体で怯え切っていると、あっという間に、その音の正体は那月の目の前に現れた。
黒く大きな革靴。那月の倍以上はある大きさだ。それが那月の目の前で、ぴたりと止まる。
那月は、驚き固まったままの小さな身体で、そろりそろりと、視線を上げていく。
靴の上は、学校指定の灰色の制服のスラックスが見えた。ということは、男子生徒か。
紺色のセーターに、白シャツ、朱色のネクタイを目視する頃には、那月は、小さな座ったままの身体をめいいっぱい、反らさないといけない程だった。
巨大なランドマークのタワーのように大きな相手の顔をようやく見上げれば、黒い短髪の男と目が合った。
かと思いきや、男は、すばやく魔法を発動させ、手の中に虫取り網を出現させると、くるりと那月を網の中へとすくい上げた。
「きゃああああッ!!!?」
那月が、白いナイロン製の網の中で、尻餅をつくような格好のまま、持ち上げられていく。
五センチの小さな身体は、網に入れられたまま上昇し、虫取り網の持ち主の顔の真横にまでたどり着く。
網越しに、男子生徒が目を細め、那月を凝視する様が分かり、那月は、じたばたと、網の上でもがく。
「すっげ、生きてる。妖精が出る、って本当だったのか」
「よ、妖精!?」
那月が驚いて、なんとか虫取り網の中で立ち上がると、男が、「おっと」と声を上げ、網の出口を手で握る。
那月は、ナイロン製の白い網を、小さな手で握り、網の向こうの男に向かって、声を張り上げる。
「待ってよ、私、妖精じゃないの。ここの生徒よ! さっき、急に、こんな小さくなっちゃったの」
「ハァ? 生徒? こんな夜更けに、生徒がうろついてるわけねえだろ。逃げたいからって嘘つくなよ」
男は、メッシュの網を、両手で掴むと、生クリームでも絞りだすかのように、網を塞ぐ手を、那月が立つ網の底へと滑らせる。
たゆんでいた網は、みるみるうちに余裕をなくし、那月の自由に動けるスペースを狭め、那月を包み込むように、密着していく。
那月は、ナイロン製の白い網に押し付けられながら、慌てて声を上げる。
「ちょっと、やめてよ! 何するの! あなただって、私と同じ生徒なんでしょ!? 制服姿じゃない!」
網の中で、キーキー叫べば、男は、片眉をひそめ、虫取り網の中の那月をいぶかしげに見つめる。
「そういや、お前、うちの学校の制服着てるな。妖精ってもっと、古風な格好してるもんだと思ってた」
「だから、妖精じゃないって言ってるじゃない! あなた、二年でしょ? 襟の学生証バッジ、ちゃんと見えてるんだからね! そっちこそ、こんな夜更けに、何しに来てるのよ!」
那月が、小さな手で、パンパンと、網を叩けば、ふいに、目の前から網が消える。
「ひゃあッ!?」
支えを無くした那月は、真っ逆さまに落下し、そして、ぽすんと、男の手のひらの上に落ちた。
魔法で出した虫取り網を消したらしい。
那月がうつ伏せで倒れ込んだ、男の手のひらは、那月にとって、クイーンサイズのベッドにすら感じる広さだった。那月が振り返って抗議をしようとする前に、那月よりも大きな人差し指が、那月を手のひらへと押し付ける。
「ふきゃあっ!!」
硬い手のひらの体温を、全身で感じるという奇妙な体験をしながら、那月は抜け出すべく、身体をよじる。しかし、すぐに、背に乗せられたままの人差し指の腹が、那月の背と尻の上で、むにむにと動き始め、那月は、ビクンッと小さな身体を震え上がらせた。
「ひゃんッ! な、な、何するの……っ!」
「羽もついてないのか」
「つ、ついてるわけないじゃない! 私、ここの生徒だよ!?」
顔を無理やり斜め後ろへねじり、男子生徒を見上げれば、大きな彼が小さな那月を見つめたまま、指の腹を、那月の尻の真上へと動かす。
小さな制服ワンピーススカートの上から、那月の小さな尻の弾力を確かめるように、ぷにぷにと、リズムよくプッシュされる。
「ひゃっ、やぁっ、あぅッ!」
那月は、人差し指の動きに合わせて、五センチの身体を、背を反らして震わせる。
私……! 知らない人に、お尻を何度も触られてる!
羞恥で、那月は、小さな顔を真っ赤にしていると、男の指先が、那月の内股へと伸びる。スカートの裾を爪の上に乗せると、ぺらりと、スカートをまくり、那月のショーツをあらわにした。
「キャーッ! いやー! 何してんのよ!!」
「尻尾も生えてないみたいだな。となると、召喚された使い魔の類でもないのか」
那月の声も無視して、淡々と語る男子生徒に、那月は、強い怒りを覚える。
「信じらんない!! 離してよ馬鹿ッ!」
那月は、小さな足で、男子生徒の人差し指を蹴りとばすと、身体を起こして、手のひらの端へと駆け出した。
そして、すぐにハッと足を止める。
眼下には、体感、何十メートルになるか分からない程の高さから見下ろすジャングルと化した庭園が広がっていた。
こんなところから落ちたら、ただでは済まない。
足をすくめていると、小さな腰に、男の人差し指と親指が添えられ、那月は、ひょいと簡単に持ち上げられてしまった。
ぶわりと、風を感じながら、那月は、身体の向きを、男の真正面へと向けられる。
彼は、空いた手の人差し指を、那月の小さな首元へとのばす。
男の大きく太いひとさし指が、那月の細く小さな首と、アッシュグレーのロングヘアの間をすり抜ける。
男は、大きな指を、そっと、那月から離していく。指に乗ったままだった那月の細長いロングヘアが、やがて限界を迎え、さらさらと零れ落ち、那月の肩と腕に流れ落ちていく。
「──そのバッジ、お前、一年なんだな?」
那月の小さな首元を囲む、制服の襟首のバッジの色を見たのか、男はにやりと笑う。
先ほどまでの、小さな身体、全身を熱くさせた怒りはすっかり消え去り、那月は血の気を引かしていた。
ふらふらと宙に浮いた小さな足先にまで、緊張で汗ばんでいる。
今、ここで、男に手を離されるだけでも、那月は、ただでは済まない。
今更ながらに、ようやく、那月は、自分の置かれた立場を思い知らされていた。
那月が、無事に、この場所を離れ、元の大きさに戻るには、この男の協力が不可欠だ。
男は、那月の考えを知ってか知らずか、楽し気に笑い、少し、那月を摘まむ力を強める。
「おい。そうなんだろ?」
「ひぅ……ッ、そ、そうです。一年です」
「だったら、それ相応の態度があるよな?」
「ご、ごめんない……、無礼を働きました……、──先輩」
小さな身体で、腰を掴まれたまま、那月がぺこりと頭を垂れると、先輩は息を漏らして笑う。
「なんだよ。ずいぶん素直になったな? ぴーぴー、刃向かってくるのも、結構、面白かったのに」
好き勝手言う様に、ムッとするも何も言えない那月は、無理やり口を閉じ、結果として口を尖らせるような顔を浮かべる。小さな手を、無意識のうちに、先輩の大きな指の上に添わせていた。
「名前、なんて言うんだ?」
「那月です……」
「フーン、那月か。なんでまた、こんな夜更けに、室内庭園なんかに忍び込んでたんだ?」
こちらのセリフとしても成り立つ問いかけだが、逆らえない那月は、素直に、もごもごと口を動かす。
「それは、その……、ラズベリーが欲しくて」
「ラズベリー?」
先輩が怪訝な顔を浮かべるので、那月は、小さな身体を少し反らし、遥か下に広がる地面の一角を指差す。
「あれです、赤い木の実」
「どれ?」
那月が地面に置いたままだった木の実を指差すも、先輩は目に入らなかったのか、身体を半歩動かす。そして、ブチッ、と鈍い音を立てて、木の実がプレスされる。
「あ、ヤベ。踏んだ」
「ギャーッ!!」
那月は、小さな身体で、あらん限りの叫び声を上げ、涙を浮かべる。
「ちょ、オイ、泣くほどかよ。そこらへんに沢山生えてるやつだろ、これ。何か、特別な細工してた訳でもないんだろ」
先輩は、小さな那月を目線まで持ち上げ、気まずさと呆れを交えた顔を浮かべるが、那月は、小さな身体を震わせたまま、泣くのをやめない。
「わっ、私と、同じくらいの大きさの木の実が……、先輩の足で、簡単につぶれた……ッ」
「それで泣いてたのかよ。さっき、手のひらの上から飛び降りるの踏み止まって、正解だったな」
先輩が、しみじみと言った後、那月を持った手を、ラズベリーの樹へと近づける。
「ほら。これが欲しかったんだろ。好きなだけ食えよ」
「んむうっ」
那月は、自分の半分ほどの大きさをしたラズベリーの実に、顔を押し付けられる。もぞもぞと顔を動かし、小さな手で、木の実を押さえる。
「違いますっ、私、木の実食べるために来たんじゃないです!」
「そうなのか? 夜中に空腹に耐えかねてつまみ食いに来たのかとばかり……」
「そんな理由で、校舎の庭園にまで来るわけないでしょ!! 明日の実技で使うんですよ!」
謂れのない想像に那月が小さく抗議すると、先輩が、「実技?」と首をかしげた後、納得するような声を出す。
「あー。植物学か。一年だもんな。って、それ、別に、この庭園の木の実じゃなくたっていいだろ。むしろ、ここの植物使ったら、キレられると思うけど」
人に食べさせようとしておいて、指導モードに入る先輩を、那月は拗ねるような目を向ける。
「だって、明日までに準備しないといけないって気付いたのが、さっきだったから……」
「裏山に生えてるの、召喚で呼び出せばいいだろ」
先輩が、空いた手で、パチンと指を鳴らし、ラズベリーの実を出現させる。
庭園に生えたものと異なり、赤黒さが増した実が、コロリと大きな手のひらに転がる。
那月は、むう、と口を尖らせて、目を反らす。合点がいったらしい先輩が、にやりと笑う。
「はーん? 召喚術、まだできないのか。あー、それは、単位取得に、必死にもなるなあ」
「い、一年生で出来る人の方が珍しいです!」
那月の精一杯の反論も、先輩には刺さらない。ラズベリーを乗せた手のひらに、先輩が、小さな那月を、そっと置く。
大きな指の支えがなくなり、那月は、不安げに、先輩の手のひらの上に座り込み、クッションのように大きなラズベリーを、抱え込む。
「一年生にして、身体を小さくさせる魔法を使える方が、レアだと思うけど」
「これは……、さっき、天井から大雨が降ってきた後、こうなっちゃったんです」
那月が、小さな指で天井を差すと、先輩が上を見上げる。
「雨? あぁ、庭園植物の制御に使ってる薬液だな」
那月が、手のひらの上に座ったまま、きょとんと不思議そうな顔をしていると、先輩が、説明を続ける。
「室内庭園で、植物が育ち過ぎないように、人のいない深夜に、成長阻害薬を混ぜた水を撒くんだよ。それ被って、お前は、縮んじまったんだな」
「そんな……!」
ただの放水だと思っていたのに。あの水にそんな意味があったとは。
那月は、先輩の大きな手のひらの上で、ショックを受ける。
「どうしよう。私、どうやったら元に戻れるの」
「学校が管理してる薬液なんだから、学校側に言えば、いくらでも戻れると思うけど」
先輩が、淡々と提案するも、那月は、「うっ」と口を噤む。
黙り込む那月の言葉を汲んで、先輩が続きを紡ぐ。
「まあ、深夜にしか散布されない薬液を被ったって分かれば、室内庭園に入ってたことも即バレだわな~」
「うぅうう~」
那月は、クッションサイズのラズベリーを抱え込んだまま、涙目でうなだれる。
単位どころか、在学すら危ぶまれる話だ。
小さな涙で、大きなラズベリーを濡らした後、那月は、そっと顔を上げる。
「……ッ、先輩。先輩なら、私のこと、元の大きさに戻せますか?」
「俺? そりゃ、俺は、二年だから、サイズ変換の魔法ぐらい習ってるけど」
「じゃあ、それで、私のこと、元の大きさに戻してくれませんか?!」
那月は、先輩の手のひらに両手をついて、背筋をぐいと伸ばし、大きな先輩にすがるように見上げる。
しかし、先輩は、「うーん」と気乗りしない声を出して、視線を明後日へと向ける。
「でもあれ、人相手に使うの禁止されてるしな。俺が使ったってバレたら、俺が停学くらう可能性だってあるわけだし」
渋る先輩に、那月は、もぞもぞと手のひらの上を四つん這いで動き、先輩のシャツの袖口を両手で掴む。
「そこをなんとか、お願いします。私、誰にも先輩に元に戻してもらったって、言いません」
くいくい、と小さく先輩の袖を引っ張り、那月は懸命にお願いするが、先輩は依然として乗り気でない。
「そりゃ、お前は言わないだろうけど。深夜に庭園に忍び込むような後輩のために、そこまでリスクを冒したって、俺に、まったく利点がないよなあ」
わざとらしくため息をつかれ、那月は、小さな頬をむう、と膨らませる。
「深夜に庭園に忍び込んでるのは、先輩も同じじゃないですか。その……っ、先輩が忍び込んでたこと、私にバラされたら困るんじゃないんですかっ」
那月は五センチの身体で、精一杯、そう言えば、先輩は、スッと目を細め、那月を冷たく睨みつける。
「何それ、脅しか? そんな小さい身体で、いい度胸だな」
「うッ……。で、でも……」
那月の小さな手が汗ばみ、先輩の大きな袖口を、わずかに湿らせる。
「俺は別にどうとでもなるぜ? 深夜に校舎へ忍び込む後輩がいたんで、追いかけて注意をしようとしたら、薬液ぶっかかって縮んで困ってました、とでも言って、管理棟へお前出せば、むしろ褒められるだろうし」
先輩による、丁寧な説明により、那月は、小さな口を完全に閉ざす。
「立場の違い、分かったみたいだな」
那月の真横から、先輩の大きな人差し指の腹が近づき、那月の小さな顔をつつく。
「停学、喰らいたくないんだろ?」
「……はい」
「じゃあ、俺を頼るしかないよな」
「……はい」
那月は、小さくうなずく。うなだれながらも、那月は、小さな身体で、懸命に頭を働かせる。
とにかく、元の大きさに戻らなくちゃ。
今の状態だと、このまま管理棟に引き渡されたら、何もかも終わってしまう。
けれど、元に戻った後なら、むしろ、先輩の魔法によって元に戻ったことは、先輩の弱みにもつながる。
最悪、先輩に脅されてました、とかなんとか言えば、こっちの罪も軽くなるだろうし。
全く反省していない那月は、そう結論に達し、小さな顔を、先輩へと向ける。
「先輩。私、元に戻るためなら、頑張って、先輩の利点になるようなことします!」
「ほお。どんなことしてくれるって言うんだ?」
楽しげに次の言葉を待つ先輩を横目に、那月は、ふむ、と頭を働かせる。
「そうですね。……タンスの裏側に落としたきりのコインを拾ったりしますよ」
「思ってた以上にショボいな! そんなもん、魔法でどうとでもするわ」
「じゃあ、えっと、……うーん」
こんな小さい身体で、できることと言ったら、なんだろう。
雑務と言っても、効率が悪すぎるし、どこかに忍び込んで悪事を働く、なんてのは避けたい話だし。
那月が悩んでいると、先輩が空いた手を動かし、魔法を発動させる。
周囲の大きな緑は消え去り、クリーム色の壁に、茶色の木組みがされた、洋室へと移動していた。
「あれっ。どこですか、ここ」
「俺の部屋」
校舎から瞬時に、寮室へと動いたらしい。
バリケードをも超えた結構な距離の移動を、難なく行う先輩に、那月が驚いていると、先輩は歩を進め、寮の私室の中へと移動する。
那月の住まう寮室と似て、洗面台と備え付けクローゼットを超えると、シングルベッドが置かれている。その更に奥に、本棚と学習机が鎮座していた。
先輩は、那月を、机の上に、ぽいと放り投げる。
「きゃあっ」
那月は、机に広げられたノートの上に、転がり落ちて、悲鳴を上げる。
ざらざらとした紙の上で、那月がうめいていると、那月がノートに乗り上げた反動で、傍にあった万年筆が、ゴロゴロと転がっていく。棒倒しの棒ほどの大きさのそれに一瞬、目を奪われた後、那月は顔を上げる。
「先輩、もっと丁寧におろして……」
文句を言おうと顔を上げて、那月は、途中で勢いを失う。
先輩は、朱色のネクタイを緩めて外し、無造作に机へ投げ捨てる。
「わあっ、危ないっ」
自身の三十倍ほどもある布切れが、上空から降ってきて、那月は、全力疾走で、机の奥へと逃げる。
机上に備え付けの本棚の壁に逃げ込みながら、那月は、声を張り上げる。
「先輩!! こっちに投げないでくださいよ!! 私、今、先輩のネクタイより、小さいんですからね!」
ネクタイですら、ちょっとしたビルの防音シート程の大きさにすら感じる那月が、必死で訴えるも、先輩は、こちらを気にせず、紺色のセーターを脱ぎ始める。
女子の前で着替えする気か。先に、こちらを元の大きさに戻してくれたらいいのに。
私が小さいからって、意識しなさすぎなんじゃないの。
那月が、呆れて、ぷいと目線を反らす。目の前の、二階建ての家ほどの大きさもあるブックスタンドに目をやる。ブックスタンドは、古めかしい書体を綴った古書を支えていた。
──妖精の捕まえ方。
古臭い書体で、タイトルがそう綴られているのを見て、那月は、どきりとする。反射的に目線を下におろす。
古書の背表紙を見れば、禁書かつ持ち出し禁止のシールが貼られていた。
図書室で、閲覧制限のかかっている本の証だ。
なぜ、こんなところに。
那月は、少し後ずさりして、机上に立てかけれらた本から離れる。
じりじりと動かしていた小さな足は、机上に置かれたままのノートにつまずき、那月は、再びべしゃりとノートの上に倒れ込む。
「ひゃっ」
視界を塞ぐロングヘアを耳にかき上げ、上半身を起こし、足元に広がるノートを見つめる。
今の自分の顔と、大差ない大きさの文字が、紙の上に並んでいる。
魔法学校の妖精伝説。出現時間は深夜二時以降。妖精は、一年生の姿を模していることがほとんど。
つらつらと並べられた文字に、身に覚えがありすぎて、那月が固まっていると、ノートの半分を覆うかのごとく、先輩の大きな手のひらが、那月の傍にバシン、と落ちて来た。
「ヒッ」
振り返れば、制服シャツを、楽に着崩し、片手をスラックスのポケットに入れた先輩が、那月を見降ろしていた。
大きな茶色い瞳が、じっと小さな那月を捕らえて離さない。
那月は、小さな口を開き、声を出す。
「せ、……先輩。私、……妖精じゃないです」
那月のなんとか出した声に、先輩は吹き出すように笑う。
「知ってるよ、そんなの」
「でも、えっと……、妖精を探しに来てたんですよね」
「まあな。でもいいよ」
先輩の大きな手が、ぐわりと伸び、大蛇のように那月を捕まえる。
那月は、天敵に捕まった小動物のように、先輩の手中で身を強張らせる。
先輩が、瞳に熱を宿して、小さな那月を見つめる。
「お前が俺の利点になってくれるみたいだしな」
*
「はぁっ、はぁ……んっ」
那月を握る先輩の手が、ぐにぐにと、妖しく動き、小さな那月の全身を撫でまわしていく。
小さな制服が、大きな指で乱される。形を崩したリボンが、ぱさりと、大きなベッドへ、赤い糸くずのように落ちた。
ベッドに片膝を立てて座った先輩は、手の中でうごめく那月が、少しずつ熱を帯びていく様を、満足気に見つめている。
ゆっくりと、那月を握る指先に顔を近づけ、大きな唇の口角を上げ、唇の隙間から、巨大な蛇のように、舌を出す。
「はぁ……っ、ひぁッ、ひゃうっ」
大きな舌が、那月の顔全体を濡らしていく。唾液が入り込んだ耳は、もはや雨に濡れた時のようだ。小さな制服が、懸命に大きな唾液を吸い込んでいく。
ベッドに腰掛ける先輩は、スティックキャンディーでも舐めるかのように、小さな那月の腰を掴み、べろりと、那月を舐め上げていく。
「ふきゃぁっ」
舐め上げるごとに、那月が小さく喚き、先輩は楽しげに笑う。
「小さいな。舌で押すだけで、首が取れちまいそう」
「ヒッ」
那月が怯えて、小さく悲鳴を上げると、更に楽しそうに笑う。
「そこまでするわけないだろ」
那月は、先輩に腰を掴まれたまま、小さく怯えていると、先輩の指先が、ちょんと、那月の小さな頬に触れる。そして、指先が、首元から、唾液に濡れた那月の胸元へと動く。
唾液まみれの制服越しに、指の腹が那月の胸をぷに、と押し、那月は、先輩の手の中で、小さくピクンッと跳ねる。
「やぁんっ」
指の腹で、両胸が押しつぶされたかと思うと、ぐにぐにと左右に引き延ばすように動かされる。
「あぁっ、はぁんっ! 先輩っ! 胸、こわれちゃうよお!」
那月が小さな身体を、ぴくぴくと動かしていると、先輩の大きな中指が、するりと那月の小さな両脚を割って入る。
そして、ぐに、と小さなショーツ越しに、那月の秘部を押し上げて来た。
「ひぁあぁああっ!? あぁあっ、あぁあんっ! だめっ、そんなとこ、触っちゃ、だめえっ!」
那月が必死に身をよじるも、小さな身体は、まったく力が敵わず、逃げられない。
ぐにぐにと、指の腹で弾力を確かめるように、何度も押され、那月は、はくはくと口を開け、短く息をする。
「ひやぁっ、先輩っ! だめぇ、あぁあッ、離してぇっ! あぁあ、あぁああっ!」
那月は、指先で大きく揺さぶられながら、どんどん視界が白んでいくのが分かった。
感じたことのない心地良さに、恐怖すら覚えて、己を揺らす、大きな中指に、小さな身体を摺り寄せる。
制服ワンピースを身に包んだ、五センチの身体は、艶めかしい脚を無防備にさらけ出していく。
「いやあ、こわい、こわいよ、先輩っ! もう揺らしちゃだめえっ」
しかし、那月が切羽の詰まった声を上げれば上げるほど、先輩は、指の動きを速めていく。
カクカクと、中指が伸縮を繰り返し、那月の五センチ身体は、先輩の指に、されるがまま揺さぶられていく。
「先輩っ、先輩っ!」
「ほら、気持ちいいんだろ。いいから一回イけよ」
那月を乗せた中指が、ショーツ越しに、ぐりぃ、と爪先をねじ込むように動き、那月は、小さな身体を、ピンと張り詰め、ひと際大きな嬌声を上げる。
「はぁんっ!! あぁあ、あぁあんっ、いやぁあ、あぁあ、イク、イっちゃう、あぁああ、あぁあああああああああっ!!」
くちゅり、と那月は、ショーツを愛液で濡らし、先輩の指に絡みついたまま、一人、達する。
那月が、ぐったりと大きな指に身を預けていると、先輩の口呼吸の息が、幾度も降り注ぐ。
もたれかかった指の隙間から、ぼやける視界が眼下に広がる景色を捉える。
白いベッドの上に座り込んだ先輩のスラックス。大きな手が、下腹部に伸び、スラックスの留め具を外し、ファスナーがおろされる。大きな指先が、下着の布をかき分け、ドクドクと熱を帯びた男性器を取り出す。
那月の数倍はありそうな男根は、狙いでも定めるかのように、那月の方へと上向いて、雄々しく波打っている。先端の穴からは、すでにぷくりと、先走りの液で粒を作っていた。
「ひっ……」
那月が、小さく息を呑むと、那月を乗せた先輩の中指が、ゆっくりと男根の傍へと降りていく。
「~ッ、せんぱいっ」
那月がたまらず声を上げるも、先輩はためらわず那月を摘まむ。
「元のサイズに戻りたいんだろ」
切り札のようにそう言うと、那月の返事も待たずに、小さな那月を、己の性器に押し付ける。
「ん、むうっ!」
硬く熱い欲の塊を、那月は、全身で感じ、慌てて顔を離す。
小さな手の下で、大きな血脈が波打っているのが分かる。ドクンドクンと、震える男根が、那月の小さな全身を揺らし、小さな足に大きな陰毛が絡みついた。咽返るように濃厚な欲の匂いが、那月の小さな身体を包む。
「やべぇ……っ、小さい女が俺にはりついててゾクゾクする。ハァ……ッ、ハァッ、すげえ、興奮する」
先輩が、那月と自身の熱源を、片手で包み込む。
大きな親指が、那月の小さなうなじを、ぐいと押さえつけ、密着を増す。
かなり強い力のそれは痛みを伴うもので、那月は、「キャア」と叫び声をあげる。
「先輩っ、首、痛いっ」
じたばたともがいて小さな抵抗を見せるも、先輩は、より荒い息遣いを返すばかりだ。
那月ごと熱源を握った指先を、うねるように動かした後、那月を先端へと動かしていく。
小さな足に絡まっていた大きな陰毛が、足首から外れ、那月は、全身を男根に添わされながら、先輩の性器の先端へと移動する。
「ほら、……ッ、舐めてみろよ」
那月の後方から那月を見下ろす先輩が、荒い呼吸の合間に、そう言う。那月は、そっと身体をねじり、先輩を見上げれば、性欲の対象を凝視する雄の顔がそこにあった。
もしかしなくても、自分は、一番、捕まってはいけない人間に捕まったのでは。
小さな身体が、今更ながらに警告するも、抵抗する前に、那月は、先端部に小さな顔を押し付けられた。
「ん、むっ、んむぅっ、んちゅ……っ、ちゅむう」
小さな唇が、カリ首に引っ掛かり、口が開いたかと思うと、顔を更に押し付けられ、那月は、ほぼ強制的に巨大な男根を舐め上げる形となる。
「はむぅ、んちゅ、ちゅく、ちゅぶぅ」
那月は、大きなペニスに小さなキスを繰り返す。小さな身体を、大きな手と、欲を潜めた男根の狭間に捕らえられ、五センチの身体は、あっという間に、火照りだしてきた。
肉壁の間で、那月の小さな制服は、めくれ上がり、汗と体液で、じっとりと濡れている。
「はぁっ、んん、ちゅ……っ」
濃厚な熱欲を間近にして、小さな身体の脳が不具合でも起こしたのか、はたまた、極限の支配状態に考えることをやめたのか。那月は、いつしか、ただひたすら、目の前の巨大な雄を悦ばせることに、没頭していた。
赤々と熟れた先端に、那月は小さく吸い付き、カリ首にしがみつく。
「ん、はふぅ、ちゅむっ」
「ハァッ……、ッ」
先輩の吐息が、那月の身体に降り注ぐ。汗ばむ大きな手が、那月をもどかしそうに掴み、巨根の裏側へとずらす。
「ひぁッ、あぁあ、はぁんっ」
ドクドクと唸る陰茎に貼り付けられ、那月は、全身を血脈の振動で揺さぶられる。
振り落とされそうになるのを、必死で陰茎のシワにしがみつき、全身をもぞもぞと動かす。
小さな両脚を大きく広げ、大の字になり、陰茎の裏筋で、那月は小さく懸命に奉仕する。
「はぁっ、はぁんっ、はぁっ、んんんっ、ちゅぅっ」
サイズで言えば、小指ほどの大きさの動く人形が、陰茎の裏にはりついているに等しかった。しかし、身体を縮められたちっぽけな女子が、必死で小さな全身を使って慰めようとする様は、男に興奮を覚えさせるには十分だった。
「小さくて、可愛い……」
先輩が吐息まじりの声を漏らし、那月と陰茎を強く握り込む。そして、包み込む手を素早く上下へ動かした。
「ひぅっ、あぁはぁっ、ふきゃっ、はぁんっ」
那月は、悲鳴に近い嬌声を上げ、全身で巨大な陰茎を擦り上げていく。手のひらと陰茎にプレスされて、すりつぶされてしまいそうな錯覚がして、ほろほろと小さな涙をこぼす。
「せんぱいっ、つぶれ、ちゃうっ、はぁっ、あぁぅっ、らめえっ」
「ッ、那月、那月!」
しゅしゅしゅ、と素早く動く手の中で、そそり立つ陰茎がひと際大きく、唸りを上げる。
乱れた制服越しに、振動を感じ、那月の小さな下腹部も連動して、陰茎の側面に擦り上げられる。
「あぁあひゅぅう、せんぱいっ、ゴリゴリして、きもちいいっ、ひぁああぁ、はぁああんっ」
「ハァッ、那月っ、あぁあぁあ、那月!」
ビクビクと陰茎を震わせた後、先輩は那月のうなじを指先で強く押さえつける。
「んふぅうぶうう!」
先端の穴から湧き出る粘液の粒に、那月は小さな顔を突っ伏す。それとほぼ同時に、穴から勢いよく、精液が噴出された。
「ひきゃあぁあぁふぶふぅうんむうぶうううっ!!」
濃厚な欲液を、息つく間もなく小さな口に受け、那月は吹き飛ばされそうになるも、先輩の大きな指がそれを許さなかった。
「あびゃひゃひゃあぁぶふうぶううううっ!!」
那月は、先輩の大きな陰茎の先端で、熱源の肉壁と手のひらに挟まれたまま、飛び出る精液に顔を押されながら、ガクガクと身体を揺らされる。
小さな口の中は、白い欲で溢れ返り、小指の爪先ほどの大きさをした顔は、どろどろに濡れている。
受け止めきれなかった液体は、那月の顔をどぷどぷと汚した後、小さな首筋を伝い、美しかったワンピースを、重く濡らしていた。
「ぁ……ぅ……」
那月は、小さな全身を、先輩の精液でべとべとに汚しながら、小さくうめく。
虚ろな目をして虫の息をする那月を、先輩は、うっとりとした目で、見つめ続ける。
待ち望んでいたものをようやく手に入れたかのように、静かにゆっくりと息を吐いた後、口角を上げる。
「言えないことが増えちまったな」
*
終業のベルが木造校舎に響き渡る。茶色い樹の扉が開かれ、授業を終えた生徒が一斉に散っていく。
那月が、授業で使い終わったラズベリーの実を、手のひらの上で遊ばせていると、背中から教師の声が降ってきた。
「那月さん。今日の実技、とても良かったわ。あなたのこと、先生、見誤っていたみたい」
「はぁ……。それは、どうも。ありがとうございます」
那月が、目線を反らして、複雑そうな顔をしながら礼を言う。
「もしかして、放課後に練習でもしていて? それとも、誰かいい指導者を見つけたのかしら」
「えッ、いえ、まさか!! そんなはず無ッ、──きゃうっ!!」
勢いよく否定する途中で、那月は、ビクンッと背筋を伸ばし、声を上げる。
驚く教師の前で、那月は、ハッと我に返る。頬を染めて口元に手を当てた後、慌ててお辞儀をする。
「ごめんなさい、私あの、ちょっと約束がありまして、行かないといけないんです! お褒め頂き、ありがとうございます、それでは!」
超早口でそれだけ伝えると、那月は教室を飛び出した。
ドクンドクンと、身体が熱を上げて、鼓動が早まっていく。身体が知らせるカウントダウンに違いなかった。
那月は、木造校舎の廊下を、バタバタと激しい足音を立てながら、人気のない空き教室を目指し、かけていく。
「もう! なんで、授業終わったタイミングでこんな、ひゃぁんっ!! 待って待って、まだ、ダメ! 縮まないでー!」
那月の叫びもむなしく、那月の身体は、ドクンッとひと際大きく熱を上げると、しゅるしゅると縮みだした。
「いやーっ!!」
走りながら、那月は、どんどん身体を縮めていく。
手の中に握っていたラズベリーが、那月の小さくなっていく手のひらでは包めなくなり、両手で抱え込む。
茶色い空き教室の扉、白い木組みのガラス窓。クリーム色の板の壁、それら全てが、次々と大きくなり、木目の床板が、どんどん近づいてくる。
「きゃあっ!」
大きな身体の変化についていけず、那月は、廊下で壮大に転ぶ。
手から離れたラズベリーは、ぽんぽん、と二、三回、木目の床板を跳ねた後、大きな革靴を履いた足に当たり、ころりと動きを止めた。
大きな指が、床に転がるラズベリーに伸び、摘まみ上げる。
転んだ状態のまま、身体が五センチまで縮んだところで、ようやく縮小を終えた那月は、目線を上げる。
そこには、ラズベリーを手に、にやりとこちらを見つめる先輩の姿があった。
「実技、うまくいったみたいだな」
「先輩!! 勝手に人の魔法、解かないでくださいよ!! こんなところで小さくして、見つかったらどうするんですか!」
「お前のダッシュ力が足りないんじゃねえのか」
風圧を生みながら、先輩は一歩、足を踏み出し、那月のすぐ傍へたどり着く。
空いた手が、はるか上空から那月に伸ばされると、那月の腰を摘まみ、ラズベリーを置いた手のひらへと乗せ、立ち上がる。
「あと忠誠心も足りない」
「なんで、人のサイズ、勝手に縮ませる人に忠誠を誓わないといけないんですかっ! ただの脅しですよ!」
「誰のおかげで、薬液の効果消してもらった上に、植物学突破できたと思ってんだよ。理解力も足りてないみたいだな」
「いだいいだいいだい、握りしめないでください、潰れる!!」
那月が手の中で喚いている間に、いつのまにやら先輩の私室へと魔法で移動していた。
途端に那月は、叫ぶのをやめ、恥ずかしげに先輩の大きな手にしがみつくので、先輩は楽しげに笑う。
「今日は何してもらおっかなー」
ゆっくりと手のひらが開かれ、傾き、那月とラズベリーの実が、大きなシングルベッドへと落ちていく。
ぽすん、とベッドに落下した後、那月は、先輩を見上げる。
巨大な山に向かってやまびこでも作るかのように、那月は、大きな先輩に向かって、叫び声を上げる。
「先輩! 二年になったら私、自分でサイズ変換の魔法覚えて、先輩なんて頼らずに元のサイズ維持してみせます!」
「へえ~? 植物学すら苦労したお前が? 見ものだな~」
那月の喚き声を、先輩は小動物の鳴き声でも聞いたかのような顔をして、さらりと流す。
「そんでもって、その時は、先輩にサイズ変換の魔法かけますから、覚悟しといてください!」
「それは新しいな」
那月は、大きなベッドの上に立ち、五センチの身体で、精一杯強がるも、大きな先輩は、軽くひと笑いするばかりだ。
先輩が、那月の何倍もの大きさを持つ、大きな手の平を、クモの巣のように広げ、小さな小さな那月を捕まえた。
手のひらの影に隠れ、那月が密かに上げた嬌声は、ベッドの衣擦れにかき消されていた。
終わらない小さな逢瀬が、始まろうとしていた。
タゴシロー(改名)
2022-05-07 01:12:30 +0000 UTCchunyu chao
2022-05-06 05:02:50 +0000 UTC