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[Go, Occult Research Club!]イケ!オカケン第四話:Stage.11「真相」

誰も近づかない、ワルハラ運送の廃墟。

打ち捨てられたスクラップ車両が山のように積まれ、その中に、ひときわ古びた白いRX-7があった。
そこに――少女の霊がいた。

高橋涼子。
かつて「青い閃光」のライバルと称された女ドライバー。

彼女は、生前、ただ一人の男を愛していた。
走り屋・椋島光(むくしま ひかる)。
彼の隣を走ること、彼に勝つこと、その背中に届くこと。
その一心で峠を攻め続け、やがて命を落とした。

そして今――
彼女は、誰にも気づかれぬまま、スクラップに埋もれた愛車の中で、光を想い、泣いていた。

「光くん……もう一度、走りたいよ……」

その想いが、霊となった彼女をこの地に縛りつけていた。

やがて、冷たい夜風が吹いた。
霧の中から、小さな影がふわりと現れる。

「あら……ここにも、壊れた魂がひとつ……♡」

それは、さすらいの小悪魔・アイヴィーだった。

彼女は、涼子の姿を見つけるなり、ふと目を細める。
涙で濡れた頬、ボロボロの体、そして何よりも――壊れた心。

「アンタ、ずっとここで泣いてたの?」

涼子は気づかぬふりをして俯いた。だが、アイヴィーは構わず続ける。

「そんな想い、永遠に続けるには……ちょっと、素敵すぎるわね♡」

アイヴィーは笑った。そして、ポケットから赤黒い石を取り出した。

「これ、契約の印よ。魂を捧げれば……あたしが、あんたに“永遠に走れる体”をあげる」

「……どうして、そんなこと」

「ん~? 退屈だっただけかも。あたし、イケメン集めに忙しかったんだけど……ま、ちょっとだけ道草ってことで♪」

アイヴィーは手を差し出した。

「ねぇ……そんなに会いたいの? だったら――永遠に走り続ければいいじゃない♡」
涼子は、ためらいながらも、その手を取る。

哀れな魂に興味を抱いたアイヴィーは、涼子に「永久に走れる体」を与え。
魂と鉄をこねて練り上げ、執念を魔力でコーティングした存在。
それが、霊と鋼で編まれた純白のマシン――亡霊RX-7

その車体は、涼子の未練と想いを焼き付けたように、
かつての白をそのまま残しながら、魂の炎をその内に灯していた。

だが、契約には代償があった。

「光の魂をあげる代わりに――あたしに“イケメンの魂”を永遠に捧げること」

数日後――。

椋島 光は走り屋を引退し、三十路を迎えていた。
すでに愛車のスポーツカーを手放し、ファミリーカーへと乗り換え、レースをすることもなくなっていたが、ある夜、ふと導かれるように――再びワルハラ峠へと足を踏み入れる。

その峠には、白く輝くRX-7が待っていた。
そして、涼子の声が聞こえた。

「光くん……今度は、あたしの方が先にゴールするから――」

挑 戦状だった。
想いを断ち切るための、最後のレース。

光は応じた。
再び、走り屋として。
最後の一戦として。

夜霧の中で始まった、亡霊と人間の異界のレース。

だが――
勝負は、涼子の勝利だった。

白きRX-7は、かつてよりも速く、冷たく、情熱的だった。
そして、敗北の瞬間――光の魂は抜け落ち、白いキーへと封じ込められた。

それが契約の履行だった。

想い人との再会を果たすため、涼子は自らの手で光を破り、
彼の魂を“キー”として手に入れた。

しかし、その魂は――
かつて自分が追っていた時の光ではなかった。

知らない女性と結ばれ、家庭を持ち

すでに彼の中から、涼子の記憶は色褪せていたのだ。

彼女が守りたかったもの。
彼女が欲しかったもの。
それはもう、届かない場所にあった。

アイヴィーは微笑んで言った。

「ほらね、手に入れたらもう、満足できないものよ♡」

だが涼子は、それでも――彼との記憶を胸に、峠に残った。
亡霊RX-7となって、誰にも負けない走りを繰り返す。
愛した人の魂を抱いたまま、
終わることのない契約と走りを続ける。


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