言いたいことは作品の中だけで語るのがクリエイター、そう考える人もこの世にたくさんいることと思いますが、私は違うんで好き放題語ろうと思います。CDをもう持ってる人は是非楽曲を一通り聴いてもらってから解説を読んで理解を深めてもヨシ、最初にネタバレ読んでから楽曲聴いてなるほどなーになるのもヨシ、CD持ってない人もこれを読んでみて興味があるぜ!ってなったら是非通販からゲットしてみてください
https://ecs.toranoana.jp/tora/ec/item/040031133192
アヒル先生にボイボ寮祭いっしょに出んか?と言ってもらえて、当初毎日狂ったようにずんつむイラストを量産していたので、ずんつむ漫画を描くかCDを作るかで割と悩んでいました。2人の関係性を明確に描くためにはやっぱり漫画って表現方法は強いなーでも不慣れだからなーと悩んだ結果、やっぱり従来のコンテンツ力を活かすためにも今回はCDにしようということにしました。当時CDも出して漫画も出せば良いのでは?と気楽に考えてた自分はアホです。自分のキャパシティを知れ
11月のはじめの方にアヒル先生と一緒にボイボカフェに行ったのですが、その時に「動画どうしよっかーアハハ」的なノリで話してたのを覚えてますが、この頃まだ「何も出来ていない」のである。怖。
それから「えだまめカレークッキング」に着手し、動画制作と並行してCDの楽曲制作を進めていきました。アキロゼさんのミュージカルもこの頃同時進行で制作していたのでもう頭の中がブレーメンとずんつむでハッピーセットかよ。
通常であればもっと余裕があったはずですが、12月に入って持病の腰痛が過去最高に悪化してしまいほぼ寝たきりで、ベッドと病院とパソコンを行ったり来たりするだけの毎日、この頃が精神的に一番キツかった…。曲作るのって無の状態から色んなことを考えて完成が見えないまま組み立てていく作業なので、ちゃんと自分の実力で出来るのかっていう恐怖心とプレッシャーで実はかなり精神力を使うやで。創作に使うための精神力を別の要因で削られるとホントにそれが苦しくて、余計に何も出来なくなっていくので、普通に働きながら創作やってる奴らはみんなバケモンです。
ボイボ寮祭当日の様子
前置きが長くなりましたがそんな具合で文字通り命を削りながら作ったずんつむパラダイスの全曲セルフレビューをしていきます
性癖のプロパガンダ作品として最初にどんなアプローチが必要か?
百合というのは人によって様々な解釈があれど、自分が好きな百合は「心と心の繋がりを大切にする」関係性です。
でも世間的なずんだもんのイメージとそういう真面目な純愛百合像の乖離もある中で、視聴者を惹きつけるためにはどういう表現が適切なのか。まずは「ずんつむ百合」というものを初めて知る人にも楽しく見られるライトなノリの電波ソングを作ることにしました。
プロパガンダ作品というのは、まず視聴者を引き込むところからはじめるべきで、思想を植え付けるには段階を踏まなければいけません。
意味を考える隙もなく連呼される「ずんつむてぇてぇ」という文字列、「カワイイはDNAに素早く届く」「百合は一般性癖」などのパワーワード、みんなで応援しても結局爆破される埼玉、楽しみながら動画を見た後に視聴者の頭の中にしっかりと刻まれる「ずんつむてぇてぇ」という謎の呪文 。
それの意味をまだ深く理解しなくても、その呪文が刻まれた時点でプロパガンダの第一段階は成功と言えるのです。
(あと全編通して電波ソングに見えつつもここのすれ違い純愛すぎて大好きさ。)
ずんつむてぇてぇという壮大な入場ゲートをくぐったら、おめでとうございます、ここはずんつむパラダイスです。
新生活で一緒に暮らしはじめるずんつむの曲、よく男女カップルが一緒に住むと「同棲」と表現されますが、「ルームシェア」というタイトルは同性間の友達としての延長線上になりたっている恋愛関係っていう感じがすごく気に入ってます。友達同士みたいな百合が好きやで。
ボイボ寮で普段は収録の仕事とかしながら、休日は一緒にショッピングモールとか出かけて服買ったり映画見たりして、カフェに入って映画の感想言い合ったりして、特別高くもないファミレスでごはん食べて美味しいねって笑い合って、一緒に帰るみたいな。特別でもないことに幸せを見出していて欲しい。
一方で誰かと一緒に生活を共にすることで、相手や自分の中で気持ちがどういう風に動いていくのか分からないという不安も描きたい。恋をするって楽しいだけじゃなくて、違う価値観で生きてきた人間同士がとても近い距離で接することだから、そこで修復不能なくらいの軋轢が生まれることって割とよく起こることだと思っているし、今は良くても気持ちが永遠に同じことなんてないからこそきっと怖いことも多いんだろうなと思います。このCD通して出てくる「知るのが怖い」「知りたくない」というワードはそんな気持ちを表してるんですね。
始まりがあるなら終わりもあって
今この瞬間をここに留めてはおけない
流れる街並みもこの喜びも
永遠じゃないから
大切にしたいと思う
この楽曲でも移ろっていく街並みに関係性を重ねて思案するシーンがあります。でもそんな風に移ろっていくものって分かってるからこそ大切にしようって2人で思えるんですね。ガラス細工みたいな恋をしろ、ずんつむ。
一般的な百合フェチ論を熱く語りましたが、2人で歌う曲だからこそ歌い分けによって2人の具体的なパーソナリティを描写しています
🍛脱ぎっぱなしの服
🫛狭くなったベッド
🍛かわいい寝顔
🫛変な寝言
これ、お互いが見て思ったことを言ってるから、ずんは服脱ぎっぱなしにするんやろなとか、つむは寝相悪くてベッド占領するんやろなとか、考えたら可愛すぎるだろ天才か???
その中でも2人のそれぞれのパーソナリティ表現としてすごくこだわったのが、
🍛悲しい時の顔
🫛嬉しい時の顔
🫛何が好きなの?
🍛何が嫌いなの?
🫛今日は何したい?
この部分です。お分かりいただけただろうか?
つむはずんの悲しい時や嫌なものを観察してる
ずんはつむの嬉しい時や好きなものを観察している
これが後述していくこのCDにおける2人の重要なパーソナリティのチラ見せになっています。
CD唯一のずんだもんソロ曲。まあ、つむぎちゃんに好かれてめっちゃ浮かれてるってだけの曲なんですけどずんだもんはカワイイですね。
東北家で家族に愛されて生きてきたずんだもん、必死に自分を磨いてきた訳ではないけど愛を真っ直ぐに受け止められる器が出来てると思うんですよね。人格形成において家庭環境はめちゃくちゃ大事。だからこそ恵まれなかった場合、残酷なんだよなぁ…。
つむぎちゃんみたいな完璧美少女に好かれて、頭に隕石が落ちて来たくらいの衝撃を受けるずんだもん。今までモテたことないからこそ自分と全然違う世界でキラキラ生きてるつむぎちゃんに好かれたら、自分の何が良いんだろう、からかわれてるだけなのかな、って懐疑的になりつつも「やっぱり好かれたら嬉しい」の気持ちが勝ちまくっちゃって、細けえこたぁいいんだよ!状態になってそう。
しかしながら、相手が自分の何が好きなのか分からないって無意識でも割とストレスある状態だと思うんですよね。何が好きなのか分からないって裏を返せば何で嫌われるかも分からないからね…。だからこそつむの気持ちをちゃんと知るために近づきたいけど、自分の鼓動がうるさくてつむの声が聞こえないんですね。これは童貞(処女)ずんだもんですわ…。
君も誰かのこと羨ましく思ったり
妬むことなんてあるのかな
後ろ手に隠した翳りの花束を
僕はただ見間違えたのか
見ない振りしようとしたのか
これ気のせいかなって思っちゃうのマジでずんだもんなんだよなーーーーー
大抵あれ?って思ったことって気のせいじゃないことが多いけど、正常性バイアスというか、そういうシグナルを見落として何も問題ない方向に思考の舵を切ってしまうの普通にありがち…特に東北家ですくすく育ってるずんだもんはそうしそうだなってイメージが滲み出る……
ファンアートでつむが後ろ手に隠している「ヤブラン」の花言葉は「隠された心」
全てのオタクが好きなやつ
つむぎソロ曲。そしてこのアルバムのコアとなるストーリーです。
完璧に見える人ほど完璧じゃない。完璧に見せるための努力をしているからだ。知らんけど。
超超天才的な0.1%の人間を除いて、完璧に見える人って努力の上に成り立ってるんですよね。つむぎちゃんにはそうあって欲しい。
つむぎちゃんの一般的なイメージ「いい子」「優しいギャル」があると思うんですが、その部分を個人的に掘り下げみたかった。
きっと最初は褒められて嬉しかったから、そういう単純な理由でいい子でいようって思ってたのが、そのうちいい子でいない自分は必要ないと考えるようになって、「いい子でいなきゃいけない」になっていく。
自分で決めた選択が人生の呪いになってそれに縛り付けられてしまうのは、真面目な人ほどよくあることだと思います。
いい子でいるためには、周囲にプラスの作用を与えることより、マイナスを与えない方が重要なんですよね。だから人の悲しみや怒りに対して敏感になって、傷つけないために自分を押し殺して生きていく。そんな生き方を続けているうちにだんだん自分自身が空っぽで透明な人間になってるとつむぎちゃんは感じはじめます。
(正直私自身の意見では、そうやって生きると決めてそれを貫こうとする意思がある時点で全然空っぽなんかじゃないと思うんやが?俺ならつむぎにそんな思いさせないのにな…)
って思うけど本人はそう思ってるから仕方ないんですね。
そんな時にずんだもんみたいに素直な子に出会ったらやっぱり自分に無いものに惹かれつつも比較してしまうし、嫉妬もしてしまうんですよね。
そして自分のことを完璧だと思ってるずんだもんがこんな空っぽの自分を知ったら、どんな風に気持ちが変わってしまうんだろうという恐怖もすごくあると思う。
いい子だね 言われて傷ついた
愚かな自分を見透かされるみたいで
いい子だね 何も知らないくせに
臆病な猫みたいに爪を立てた
なんでこんなはずじゃなかったのに
いい子だねって言われるために頑張ってる自分は全然いい子じゃない。そう自覚した途端に、いい子だねって褒められる言葉がナイフのように自分を刺してくる。人間が一番弱るときって自分自身に疑問を持った時だと思っていて、そうやって弱ってると自分をなんとか守ろうとして攻撃的になってしまうものなんですよね。そんな自分に気付いてまた絶望して、心がぐちゃぐちゃになってしまうつむぎ…
(俺はそうやって真面目に悩んでしまうところまで含めていい子なんだなって思ってるよ。俺ならつむぎのこと幸せにしてあげられるんだけどな…)
本当は全然器用でもないくせに
意地を張った 素直な君が羨ましかっただけ
ここでやっと自分の本当の気持ちを口にすることが出来たつむぎ。言えたじゃねえか…。本当は最初から分かってたのにきっと自分の気持ちと向き合うのが怖かったんだよね。分かるよ、君の気持ちがよく分かる。でも認めて口に出したことで気持ちが整理出来てようやく前を向けるのだ。
そして一番大切にしたかったことはずんだもんと一緒にいることだって気付いたから、今までの自分を壊して新しい自分に生まれ変わる決意を固めます。
新しい自分に気付くきっかけも、葛藤するきっかけも、変わる決意をするきっかけも、好きになった人との触れ合い。変わっていくのは怖いけど、変わろうとしなくたって時間と共に変わっていくから、せめて自分が決めた方法で、勇気を出して変わっていきたい。相手との未来のために。これが私の描きたい百合なんすね。ずんつむはてえてえなぁ…
ここまで全く触れてこなかった音楽面の話にも少し触れるんですけど、この曲の最後普通にトニックのトライアド打ちっぱなしで終わってて…、音楽理論なしの直感的に解説すると、すごく安定した素直な終わり方をしてるんですよね。普段だったらもうちょっとオシャレな演出をするために複雑な音を鳴らして終わるんですけど、この曲の場合は歌詞とのリンクを重視してこれを採用しました。素直に生きるって決めたんだもん。
この分量でお分かりいただけたと思うが、私は春日部つむぎを愛している。
自分にいいところなんてないと思ってるずんだもん
いい子を演じようとしていた自分に葛藤するつむぎ
そんな中でも相手と一緒にいる理由として2人が出した結論が「キミが望むなら」なんですね。
自分の好きな人が好きになってくれた自分を信じてみようっていうとてもシンプルな回答なんですけど、きっと人間って弱いから、自分を肯定するのに自分1人じゃどうしても足りない時があるものだから、この2人にはそれを補い合う関係でいてほしい。
好きだけでは
いられなくなってくのが
本当に好きっていうこと
君は完璧といい子のストーリーを経るとこの言葉にすごく重みが出る…。
相手に興味を持って好きになると自分が想像している以外の相手の一面が見えてきて、それが不安になったり、嫉妬したり焦ったり色々するけど、きっとそういう色々な感情が絡まるほど相手のことが気になっていくのが好きっていうことだから、ルームシェアのただ楽しかっただけの頃よりしっかり恋してるずんつむがてぇてぇすぎる…。これからもずっと仲良くしててほしい。
触れ合い混ざって
私の一部になる
変わっていくのは
いつも嬉しくて怖いけど
同じこと思ってくれる?って
不安そうな顔
可愛くて心が解けてしまう
ここめっちゃ好き…。誰かと一緒にいることで影響しあって変わっていく、口癖が似てきたりとか、そういう変化ってすごく嬉しいけど、最初に好きだった2人から変わっていくのって怖くもあるんですよね。そんな不安を自分だけじゃなく相手も感じてくれてるって知ったら安心してもっと心を許しちゃうよな。ずんつむは可愛いなぁ……てぇてぇ
この曲作業の順番的にはずんつむてぇてぇとえだまめカレークッキングを除いて一番最初に作って、それから間の3曲でストーリー補完していったのですが、めちゃくちゃ綺麗に繋げられて非常に満足しています。熱い自画自賛。
はい!こちらがネット公開二曲目になるプロパガンダ作品です!
ずんだもんとつむぎが枝豆カレー作るだけの曲なんですけど、これまでのストーリーを通過してから聴くと、エッッッッモくないですかねこれ????????
甘さも辛さも一緒に感じたい
毎日の何気ないあれこれの重なりが
明日の僕らを作るから
人生を彩るスパイスはね
ほらもう隣で笑っているんだな
歌詞が!!新たな意味を持って襲いかかってくる!!
これはそう、ボスラッシュです。この楽曲を単体で聴いた後に、アルバムを通してこの楽曲にたどり着くことで新たな意味を持った歌詞たちが襲いかかってくる、百合のボスラッシュや!!
なんか最後つむぎちゃんが媚薬盛ろうとしてるけど気にしてはいけません。アルバム買った人だけがこの体験を出来る、それだけでもお得です。一家に一枚、ずんつむパラダイス!
おかわりもあるぞ!!!!!
自分の代表百合ソングといえばやっぱりくじらライダーだと思ってどうしても2人に歌ってもらいたかった…
若干メタ的なことをいうとずんだもんに「わたし」って歌詞を歌わせないように歌い分け調整するのに地味に苦労してる。ずんだもんはやっぱり「ぼく」って言っててほしいのだ。
というわけでとんでもない熱量と心血を注いで作ったアルバムです。
全体を通してこんなにストーリーにこだわって作ったのはほぼ初めてだと思います。こういう濃密なストーリー描写の楽曲をアルバム単位で楽しむというのは昨今の流行りに逆行しているとは思うのですが、やっぱり個人的にはすごく好きな表現なのでこういうCDが世界にあってもいいのかなと思って作りました。
これからもずんつむだけに限らず、自分の音楽のあり方を模索していこうと思っています!
音楽ッテ楽シイネェ!!!!