【設定】フィリア・クルスの統治方法
Added 2024-08-09 14:43:17 +0000 UTCフィリア・クルスの一般的なクルービーは、多くが生まれつきの被差別種族である魔族や、元の世界での居場所を失ったイールデ人であり、「自分は常に被害者である」という意識を自覚なく有している場合が多い。
組織の長であるパシココは、人を惹きつけるカリスマ性はあっても、組織の統率力には長けていない。
故に、パシココの力のみでは陰湿ないじめや分断が頻発してしまい、組織の秩序が保てなくなってしまうのだ。
マキナ曰く、「アイツらは放っておくと勝手に"普通"や"常識"の基準を作り出して、それに当てはまらないヤツを排除、またはリンチすることで自動的に結束して平和を保つ」とのこと。
しかしそれを放置して、クルービーたちのヘイトの矛先がパシココへ向けられてしまっては、最悪の場合、組織の維持ができなくなる恐れがある。
「人の輪を細かく分割するごとに、その輪から追い出される人間が増えてゆく」
「人間は共通の敵を持つことで強く結束する。
マキナはこのふたつの持論をもとに、クルービーたちが持つ不満や怒りの矛先を受け止める「嫌われ役」を自ら買って出たのだ。
日頃から誰に対しても嫌味に振る舞い、放っておけば誰かが勝手にいじめのターゲットにするような悪目立ちするクルービーをいち早く見つけ、誰よりも早くいじめて見せつけるなど、クルービーたちの神経を逆撫でするような政策を定期的に立てるなどしながら、不満を持ったクルービーたちが愚痴を共有し合う組織内匿名SNSをマキナの名を隠してリリースした。
すると、本来なら敵対するような馬の合わないクルービー同士も、肩を並べてマキナへの憎悪をそのSNSに書き込んだのだ。
だが、クルービーたちの力と組織の構造では、武装まみれのマキナを幹部の座から引き摺り下ろしたり、暗殺をやり遂げることができない。
こうしてマキナはクルービーたちのマイナスの感情を逆手にとって組織の結束力を高めたが、それでもマキナの思惑通りに動かず、組織の調和を乱す分子は現れる。
手に負えないレベルの不利益をもたらす者は、処刑が下されることもある。
ここに、マキナはもうひとつの策を講じた。
常に怒りに満ちて暴力と血に飢えているマイヤーに、対象の処刑を任せ、その様子をクルービーに見せつけるのだ。
処刑の対象は船内を追ってくるマイヤーから逃げ回り、無惨に殺される。
マイヤーに対する恐怖と、マキナのやり方に対する「やり過ぎ」という、クルービーたちに共通する感情が、彼女たちを共感させ、より一層強い結束を促す。
同時にマイヤーのガス抜きも兼ねることができ、組織の調和にとっては一石二鳥なのだ。
ただ、恐怖と怒りだけでの統治は、やがてクーデターへとつながる恐れがある。
マキナはそのリスクも見逃さない。
処刑が下される条件のひとつに、「蜂龍神教に入信していない」という項目があるのだ。
パシココを神と崇める蜂龍神教に入信すれば、教徒としての義務が増えるが、あの恐ろしいマイヤーからの処刑から、権利上は護られることになるのだ。
マキナとマイヤーを脅威的な存在としてアピールすると、穏健派のパシココの偉大さや安心感が引き立って見えるのだ。
そして、蜂龍神教の教祖であるペイズリーは、パシココを盲信しているため、入信していると、自然とパシココの良い話ばかりを耳にするようになる。
「パシココ様がいれば安心」
「パシココ様について行けば救われる」
もとから物事を冷静に考えられない者は、簡単にこの魔術にかかってしまうのだ。
これにより、多くのクルービー(主に総合セクション所属)は、マキナを憎み、マイヤーを恐れ、パシココを崇めて結束するのだ。
一方で、この「マキナの配慮」を必要としない者もいる。
そういった者は、元から冷静な判断力を持っているため、技術セクションや武力セクションで能力を発揮しているのだ。
フィリア・クルスは、今日も無自覚な加害者意識を持っている魔族たちによって調和が保たれている。