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作品解説「ありし日の狂人族」


「マイノリティという属性にすら加われない、理解者の現れなかった単数派」

そんな人間が、本来の望む姿で生きられる世界の一つをコンセプトに提唱される形で

ビャッコパシティは生まれた。


しかしその世界は長く存続することはなかった。

一般的な感覚を持つ人間から「狂人」の蔑称を受けるような人間を集めた結果、

シティで発展した文化の異常性だけが目立ち、差別と権利侵害を許容しない多世界人権団体の

「異世界ライツキーパー」の目に止まってしまった。


ビャッコパシティは「すべての属性からあぶれた人間を受け入れる世界」としては完璧ではなく、

シティにも秩序の形があり、そこに順応できない人間は受け入れなかった。

ビャッコパシティはあくまでも、サンプルが少ない多様性のひとつでしかなかった。


さらに、この世界の人間の形であるびゃッこパス族の色や形も、

ライツキーパーから見れば「正常でない」と見なされていた。

そんな中、別世界からビャッコパシティに来た有色人種の人間が

白い肌のびゃッこパスに生まれ変わったという事例が発覚し、多くのイールデ人

(この世界でいう地球人のような存在で、最も数の多い種族)

からの顰蹙を買った。


びゃッこパスの肌は、イールデ人における「白人」のものとは言えないほど白く、

また肌に落ちる影の色や模様の色にも大きく個人差があり、

それぞれの人生哲学や生き方などにも個性が溢れ、ビャッコパシティにも多様性はあった。

イールデ人の認識する多様性とは、ただその形が違うだけだった。


だが画一化された多様性の、コントラストの強い虹色の価値観が浸透した

ライツキーパーの人間たちは、青と白だけのビャッコパシティの美しさを理解できなかった。


ライツキーパーはビャッコパシティを全世界の人間に対する重大な人権侵害として

賛同者を募り、ビャッコパシティを襲撃、シティの「狂人族」を 駆除 した。


この出来事に関わった人間に、明確な悪意を持った人間はいなかった。

誰もが善意で行動を起こしたのだ。


孤独に生きる者へ向けたびゃッこパスの優しさがイールデ人を傷つけ、

人間の心と権利を守りたいと願ったライツキーパーがビャッコパシティを滅ぼした。



そしてこの事件を知った、さらに別の人間達の心に傷を残し───────



誰もが「優しさが人を傷つける」という"呪い"から永遠に逃れることはできなかった。




【別カラー差分】


(左上から)

制裁狂人シオキス、 刺激狂人ブロビ、 抱溶狂人トロビヤス、 畜群狂人フターツァショツァーシィ

こみやにくる、 発明狂人マデンス、 創造狂人パシン、 アグリンブス、 追夢狂人キメラビ。


それぞれの生い立ちは後日びゃッこパスのウェブサイトに書いていく予定なので、お楽しみに。

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