100kg越えになる夢が正夢になる女子高生の話(全文、13638文字、最終106kg)
Added 2023-09-28 10:03:04 +0000 UTCこの小説は、pixivで公開している『100kg越えのデブになる夢を見た女子高生の話』の続きとなっています。
そちらを先にご覧ください。
以下本文
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私は昨日、悪夢……というより奇妙な夢を見た。
起きたらいきなり100kgはありそうな巨デブになってるし、そして服は引っ張ったら伸びる……
しかも駅のホームに突如出来た食べ放題のかつ丼屋さんで恐ろしい量を食べて、そしてスカートが破けて……
訳が分からなかった。
まあ夢だから意味なんて考えても仕方がないといえばそうだけど。
どうせ所詮夢なんだから。
(……やっぱり別に変わりないよね)
今制服に着替えるために一旦下着だけになってるけど、昨日と変わりなく標準体型のまま。
体重計に脚を乗せると、49.9kgと辛うじて40kg台だったし。
……服着てないとか、食べてない状態で測ってるとか、そんなの気にしちゃいけない。
今日、5月12日も何事もない日常を送ることになる……よね?
……
放課後までは特に取り立てて何か変な出来事は無かった。
だけど、今漫画研究部の部室で私は奈緒(なお)から謎のものを見せられている。
「これ、才華(さいか)が昨日喋ってた夢の内容をネームにした奴。
夢じゃなくて現実に起こったことにしたけど」
当然この部活には漫画を描ける子がいる。
私は全然描けないけどね。見てるだけの人。
「あ、いきなり100kgになるのはちょっと唐突だから過程も足したよ」
「えー……」
奈緒から見せられたネームを眺めていると、私が東案下駅の改札前に出来たばかりのドーナツ屋さんで買いまくるシーンがあった。
そしてハンバーガー屋さんやらにも通うようになってどんどんデブ化し、ダイエットも失敗……
最終的に100kgのデブになってからは夢で見た内容が始まるといった感じだ。
「何でこんなものを……」
私はかなり困惑している。
自分の夢を漫画化するだけでなく、太る様子まで勝手に想像されて描かれてしまったから。
一体なぜ?
「いやだってさぁ、今漫画を描くネタに困ってたんだよねー。
才華が丁度いい題材を持ってきてくれて助かったよ」
「ま、まーこの部に貢献できたんだったら良かった……かな……」
題材に困っていた友達を助けることになったんだからいいか。
どうせ単なる創作だし……
……
私は学校を出て、東案下駅まで来た。
(あれ……ドーナツ屋さんなんてあったっけ?)
しかし見慣れないお店ができている。
移転オープンと書いてあるけど……
まるで漫画に描かれてる内容みたい……
(いやいや何考えてるの私、奈緒がオープンの事知ってただけでしょ?)
普通に考えたらこのお店が移転してたことを分かっててネームに描いただけ。
絶対そうとしか思えない。
(……気になる)
でも、このお店知らないんだよね。
何売ってるか気になるからちょっと入ってみよう。
中に入ると甘い香りが漂ってるし、たくさんのドーナツがひしめきあっている。
しかも他にもカステラやプリンといった他のお菓子も売ってて……
『(ぐぅぅぅ……)』
私はたちまちお腹が減ってしまった。
買わなきゃ……
「ありがとうございましたー!」
(はぁ……いっぱい買っちゃったなぁ……)
私は紙袋を持ってお店から出てきた。
左手で抱えている袋の中にはたくさんのドーナツが入っている。
『(ぐぅぅうぅぅ……!)』
ほのかに発している香りが食欲を刺激してきて、もう耐えれない。
(ちょっとだけ食べていいよね?)
私は一つ袋から取り出し、そして口に運ぶ。
(あっ、美味しい……)
チョコがたっぷり掛かってて、とても甘い。
この甘味をもっと味わいたいという気分になる。
改札を通った私は、駅のホームにあるベンチに座って電車が来るまでバクバク食べ続けた。
……
(あれれ、もうすっからかん……)
流石に電車の中では我慢してたけど、電車から降りてからも私は食べながら家まで歩いてて……
その結果、帰ってくるまでに紙袋の中身は空になってしまった。
私ってこんなに食欲旺盛だっけ?
でも夜ごはん、ちゃんと食べれるかな……
……その心配は杞憂だった。
あんなに『間食』を摂ったのに全然問題なくお腹の中に収まっている。
何かがおかしい。
(こんな日もあるかな……?)
偶にはいっぱい食べちゃうこともあると思うし、気にしなくてもいいか。
それより山ほど出された宿題をさっさと片付けなきゃ……
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2週間ぐらい経った5月25日、私は部室にやって来ていた。
「本当にこれを漫画にするんだ……」
先に来ていた奈緒は持ち込んだタブレットで例のネームを元に漫画を描いている。
まさか本当に描くとは思わなかった。
「そりゃそうでしょー。
ところで才華さぁ、ちょっと太ったよね?」
「えっ?」
「顔とか丸くなってるし、身体にもお肉が付いてるよ?」
「そ、そう?」
急に太ったとか言われてびっくりしてしまった。
特にそんな自覚は無いんだけど……
「気をつけなさいよ?
漫画みたいになっちゃうかもね?」
「そんなことにはならないから!」
ちょっと太る位はあるかもしれないけど……
まさか100kg越えの巨デブになんてなる訳が無い。
「……そういや続き見る?」
「見せて」
奈緒から見せられた漫画には、ドーナツにハマった後は『モーニングバーガー』にもハマる様子が描かれている。
ネームにこんなシーンあったっけ?あー、あった気がするなぁ。
何これ……どんだけ食べてるの……
「食べ過ぎだよこの子」
「この姿は明日の才華かもね」
「そんな訳ないでしょ!?」
私は声を大にして、そう言った。
……
(でも、マズいかも……)
家に帰った私は制服を脱いで体型を確かめている。
……確かに太ってるのは否定できない。
顔は以前よりも丸みを帯びていて、顎もちょっとお肉が増えている。
二の腕を見ればプニっとしたお肉が摘まめ、脚を見れば何となく太さを増していた。
考えてみれば胸はDカップのブラがキツくてホックが留めにくくなってるし……
お尻もお肉が増えてショーツがキツくなってきたかも……
そしてお腹は括れがあまり見えなくなり、寸胴みたいになってしまった。
おへそ周りを触るとムニっとした贅肉が容易に摘まめてしまう。
最近はスカートもアジャスターを広げてゆったり目で穿いてるし、私服もタイトなものは避ける傾向がある。
だけど私はあまり気にしてなかったみたい……
「えっ、こんなに太ってるの!?」
体重計に脚を乗せたら57.5kgという数字が表示されてしまった。
50kg台に乗ってしまったどころかそろそろ60kg台まで見えている……
だけど太った理由は明確だった。
何せあのドーナツ屋さんにすっかりハマってしまい、毎日のように買っているから。
しかも帰り道に食べる分と、帰ってから食べる分まで買ってる始末。
こんなんじゃ太るのは当たり前だ。
(ちゃんとこれからは気をつけて、ダイエットもしなきゃ……)
食べ過ぎてた気もするけど、ここまで太るとは思わなかった……
明日からしっかりダイエットしよう。
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翌日、私はいつも通りの時間に起きて、そしていつもと同じ時間の電車に乗っている。
だけど……
『(ぐぅぅ)』
朝ご飯を食べたはずなのにもうお腹が鳴っている。
今まではバターを塗ったトースト1枚でも十分だったのに……
これじゃ足りないというの?
東案下駅に到着した私は、改札を出て学校に向かおうと……
(こんなお店あったっけ?)
いつも通ってるドーナツ屋さんのすぐ近くに、また見知らぬお店が出来ている。
しかも朝限定の『モーニングバーガー』というものが売られていた。
近寄って確認してみると、どうやら目玉焼きとベーコンを追加で挟んだハンバーガーらしい。
そしてセットでコーラも付けてくれるという。
『(ぐぅぅぅぅ……)』
見てるだけでお腹が更に空いてくる。
私はもう我慢できなくなった。
(美味しい~♪)
左手に袋を抱え、そして右手にはバーガーを持っている。
そんな状態で私は通学路を歩いていた。
最近歩きながら食べるのに慣れてしまってて、特に違和感はない。
小腹も満たせて丁度良かったかも……
でも当分は控えなきゃなぁ。
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更に2週間ぐらいが経過した。
今日は6月9日だ。
私はいつも通りの時間に起きて、そしていつも通り着替えてる最中なんだけど……
「き、キッツいなぁ……」
最近制服がキツくてしょうがない。
ブラウスも胸の辺りが窮屈で生地が張ってるし、お腹もボタンが閉めにくくなってて……
スカートはもうサイズが合わなくなってしまっている。
何度引っ張ってもホックは留まらず、ファスナーも半分は開いたままになってしまう。
一応悪あがきはしてみるけど、2分経ったら諦めて安全ピンで強引に穿いている。
数日前からこんな感じになってしまった。
(私、すごく太ってる……?)
そうは思うけど、現実を見るのが怖い。
とにかく今はさっさと着替えて学校に向かわなきゃ……
……
放課後、私は部室に行った。
「才華~、大分お肉が増えちゃったね~」
先に居た奈緒は、私を見るや否やニヤニヤと笑っていた。
「な、何笑ってんの……」
「いやぁ、だってさー、スカートのホック留まってないとかかなり太ってるよね?
しかもお腹のお肉がスカートの縁に乗ってるし。
ブラウスもパツパツになってんじゃん」
「うぅ、それはそうだけど……」
全部正しいから私は反論できなかった。
「面白いなぁ。漫画の通りになってる」
「い、いやそうはならないよ!
これからは食べ過ぎには気をつけるし、しっかりダイエットするんだから!」
私は拳を握り締め、やる気に満ちた発言をした。
だけど奈緒は笑っている。
「あはは、本当にできるとは思わないね~。
制服、そろそろ買い替えた方がいいんじゃない?」
「そんな……!
そんな恥ずかしい事する訳ないって!」
「じゃあ頑張って痩せなさい」
「痩せるから!」
……私は威勢よくそう言ったけど、でも漫画の通りになってしまっているのは事実だった。
まるで私の行動を予告してるかのような……
「……また漫画を読ませてもらっていい?」
「別にいいよ」
奈緒から受け取ったタブレットを見ると、次は制服を買い換えた『私』がダイエットに挑むけど全然続かない様子が描かれている。
そして『運動したから大丈夫』と言って馬鹿みたいに食べるのを正当化して、余計に食欲が増しているって感じで続く……
あれ、どんどん内容というかページ数が増えてる気がする……
(……これは私じゃない、私じゃないから)
……
家に帰った私は、現実を直視するために下着だけで姿見を眺めることにした。
(……もうデブの領域かも?)
太ったなぁと思った2週間前と比べても明らかに贅肉の量が増えている。
もう太り気味というより太り過ぎのレベルだ。
顔は丸みが更に増し、ほっぺが随分と膨れてしまった。
そして顎はお肉が増えて二重顎になっちゃってる……
二の腕は贅肉がプルっと揺れるのを感じる程になり、ふくらはぎもパンパンに……
そして太ももはかなり太くなってしまい、履いている二―ハイソックスがキツイのか赤い跡が出来てる……
お尻もプルンとしたお肉が大分付いていて、ショーツがパツンパツンでお肉がはみ出てしまう。
ムッチリと太くなった下半身は、見方によっては随分といやらしい雰囲気も漂っている……
それは胸も同じで、太ったせいでGカップまで膨らんだ立派なバストが突き出す程になっていた。
谷間もくっきりできた胸は、妙ないやらしさを纏っている……
だけどその下のお腹はだらしない段々腹で、見事に弛んでしまっていた。
ショーツの上にだるんと乗っかったおへそ周りの贅肉を見ると、胸がデカくなった嬉しさも半減してしまう……
もにゅんとした腹肉がたくさん掴めてしまうし、折角胸が大きくてもお腹がこれじゃ情けない……
制服はとてもキツくてスカートはこれ以上太ったら穿けなくなる。
私服も下着も大きなサイズに替えてはいるけど、太るペースが異様で追い付いていない。
(流石に太り過ぎだよね……)
女子高生としてはかなりデブな部類になってるし、こんなに太ったことにびっくりしている。
……でも毎日ハンバーガーを食べながら登校し、下校時にはドーナツを食べてるんだからこうなるのもしょうがない。
何だか食事量自体も増えてきてるし、食欲がどんどん止まらなくなっている。
(うわっ、これはマズいなぁ……)
恐る恐る体重計に乗ってみると、67.5kgという数字が表示された。
あともうちょっとで70kgの大台だ。
見た目だけでなく数字の上でも『肥満』になりつつある。
……まるで漫画みたいになってしまってるよね。
そしていずれあの夢が、正夢になってしまう……
いや、そんなのダメだから!
ちゃんとダイエットして、元の姿に戻ってみせる!
私はそう意気込んで、開けかけたポテチの袋を仕舞い込んだ。
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翌日の6月10日。
私は普段よりも1時間早起きしていた。
今日からダイエットのために土日はランニングすると決めている。
早速朝ご飯を食べずに体操服に着替えた。
(……パツンパツンだなぁ)
胸やお腹、そしてお尻と色んな場所がピッチリ身体に張り付いてしまっている。
体型がかなり出てるし、ちょっと恥ずかしい。
でも運動しなきゃこの体型のままだから……
そう思って私は外に出た。
だけど……
『(ぐぅぅぅ……)』
走り始めて5分。
もう早速限界が来てしまった。
空腹で運動するのが良いとは分かっている。
だけど、あまりにお腹が空いて走る元気がなくなってしまう。
(食べたい……何か食べたい……!)
空腹感に私は耐えられなくなり、すぐに家に帰ってしまった。
自室に戻った私は、机の上に置いてあったポテチを直ちに開ける。
そして貪るように食べまくっていく。
「はぁ、おいしい……」
朝ご飯をまだ食べてないのに、もうお菓子に手を伸ばすなんて……
でもちょっとは運動したし、別にいいよね?
全く動いてない訳じゃないから……
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それから2週間ぐらいが経ち、日付は6月23日になっていた。
祝日がないから6月は長く感じる……
それはそうと、この2週間で私はちゃんと運動して……いなかった。
いや正確には土日に数分走ったりはしている。
でもそれ以上の運動をしたいと思えない……
だって朝ごはんも食べずに動くなんて私には無理だよ……
そんな感じで自分を甘やかした結果がこれだった。
「うわぁ……こんなに太ってる……」
登校前、私は姿見の前で呆然としていた。
鏡に映る下着姿は2週間前に見た時と比べても1周りは横にデカくなっている。
デブかも、じゃなくてはっきりとデブと断言できるレベルだ。
顔は凄くほっぺが膨れていて、ぱっちりしていた目がほんの少し細くなっている気がする。
顎も二重顎が更に深みを増してて貫禄さえ感じる顔になった。
二の腕もふくらはぎもかなり太くなったけど、他がもっと太いから今ではあまり気にならないように……
脚を見ると大量の脂肪で溢れかえっている。
太ももの贅肉は前よりも更に増えてしまい、走っているとタプタプ肉が揺れて走りにくい……
履いていた二―ハイソックスは入らなくなり、今は素肌をそのまま晒してる状態だ。
その上のお尻はムッチムチになってて迫力を感じる程。
今穿いている白いショーツは買い替えてそこまで経ってないはずなのに、ミッチリと食い込んでしまっている。
たっぷりと贅肉の付いた下半身は、品の無いいやらしさを感じはするけど……
いや単に肉が多くてだらしないと思われてるだけかも……
だらしないと言えばお腹もかなり弛んでいる。
段々腹というより大きくせり出た太鼓腹で、狸の置物のように丸く膨れてしまった。
ショーツの上にどっかりと贅肉が乗ってるけど、肉が多すぎて垂れてきてる……
ここまで太ったからかバストも更に育ってて、今やHカップにまで膨らんでいた。
しかも、こちらもショーツと同じくサイズが合っていない。
アンダーバストも増えてるし、あともうちょっとでホックが止まらなくなりそう……
ここまで太ると当然だけど、どう頑張っても今まで着ていた制服を着ることができない。
だから私は止む無く制服を買い替える羽目になった。
なので今から着るブラウスもスカートも、快適に着用することが……
(……あれ、おかしいなぁ?)
……既にちょっとキツい気がするのは何故だろう?
(はぁ……これ以上太ったら本当に奈緒の漫画通りになってしまう……)
恐ろしいことに、制服を買い替えたりダイエットしようとして失敗する下りも現実になってしまった。
漫画では『運動したから大丈夫』とか言い訳して前以上にたくさん食べるようになるって感じだったけど……
実際『土日にちょっと走ったからダイエットしてる、だからもっと食べてもいいよね』って……
そう自分に言い聞かせて以前よりも余計に食べるようになってしまっていた。
(……81.5kg)
夢で見た私は100kgを超えていたと思う。
でもあのブクブク太った私と、今の私は20~30kg程度しか変わらないかもしれない。
これ以上太ったら……本当にあの夢みたいなことに……
……
放課後、いつも通り私は部室に行っている。
「ふふふ……順調に漫画の通りになってるね~才華ちゃん」
「うるさいなぁ!」
そしていつも通り奈緒にからかわれてしまっている。
「制服も買い換えて、そして形だけのダイエットをして慢心して……
その結果がこの体型かな?」
「う、うぅ……!」
実際正しいから何も反論できない。
「さてさて、続きを見たいかな?」
奈緒の手にはタブレットがあった。
きっとまた1歩、漫画が完成に近づいたのだろう。
「見たい」
「じゃあどうぞ」
私は漫画の続きを読む。
……次は『私』が朝に登校しているシーンが描かれている。
しかし更に肥大化した私は、新調したはずの制服でもぱつんぱつんになっていた。
そしてデカすぎる胸がたゆんと大きく揺れ、そしてスカートが捲れてショーツがチラリと見え……
でも手は食べ物で塞がってるからスカートを抑えてガード出来ない……
というより食べるのに夢中で気づいてないような……
「ちょ、ちょっと何描いてんの!?」
「まあまあサービスシーンだよ、こういうの要るでしょ?」
「いや誰が見たいのそれ!?」
スタイルが良くてかわいい女の子だったら、まだ男子たちを興奮されられるのかもしれないけど……
こんなデブに需要なんてないでしょ!?
てか『私』は私がモデルなんだから普通にこういうの描かれたら恥ずかしいって!
「ちょっと位良いじゃない。
そもそも才華をモデルにしてるだけで別人なんだから」
「はぁ……」
そう言われてしまうと……何も言えない。
というかそもそもこの漫画に出てくる『私』は私じゃないし。
(……こんなに食い意地張ってるデブには……流石になりたくないよ)
食べる事ばかりに気を取られて、下着が見えようが気にしなくなるなんて……
そこまで私は堕落しないと思う。
……思ってはいるけど……今までずっと漫画の通りになってるから……
こうならないように気をつけよう。
まずは本気でダイエットでもしないと。
---
更に2週間ほどが経ち、7月6日になっていた。
私は本気のダイエットでとうとう痩せて……いる訳も無く。
「ふんっ……はぁ……!」
私は制服のスカートのホックを留めようとしてるんだけど、全然閉まらない。
お腹を引っ込ませたり、色々頑張ってみても届く気配は無かった。
「……これ以上太ったら安全ピンでも無理かも」
安全ピンを取り出して無理やり留めようとするけど……それでも足りない。
……しょうがないからもう1本取り出して、2本使って強引にスカートを穿くことになった。
最初から2本必要だって分かってはいても、でも穿けるかどうか試しちゃうんだよね……
時間の無駄だって分かってるんだけど。
(……この制服、まだ買い替えたばっかりのはずなのに)
確か6月に買い替えてて、1カ月も経っていない。
制服……流石にまた新調するのはちょっと……
こんなに太り過ぎている現状が怖くなる……
……
今日も私は東案下駅でモーニングバーガーを買って、食べながら通学路を歩いている。
いや、実は最近はバーガーを2つ、そしてポテトまで増やしてるんだよね。
「おいしい~♪」
朝に食べるハンバーガーはやっぱり格別だなぁ。
風がちょっとキツい気もするけど、気分が良いから全然気にならないや。
(あれ、前で歩いてる子……)
……少し先に見える女子がスカートを抑えながら歩いていた。
風が強いからか、スカートが捲れ上がりそうになっている。
……これって……
「……あっ!?」
また風が吹いた。
私も中が見えないようにスカートを……
「はわわ……!」
だけど……手が塞がっててスカートを抑えられない。
おかげで汗ばんだ白いショーツがチラリと見えてしまっている……と思う……
(……もしかして、さっきから何回も下着が見えてたんじゃ)
私はぞっとした。
こんな巨デブが短いスカートでショーツをチラ見せしてるんだ……
……急に自分の姿がとても恥ずかしくなってきた。
(凄く恥ずかしいよぉ……)
そもそもすぐに中が見えそうになるほどスカートが短いってことは、太ももがかなり見えているということ……
この贅肉が呆れるほどに付きまくった、ぶよぶよでたぷんたぷんの太ももが……
脂肪が震える様子も、隙間のない両脚が歩く時にみっともなく擦れるのも……
それだけじゃない。
大きなメロンのような胸が歩く度にゆっさゆっさと激しく上下に揺れてしまっている。
持っているブラで着けられる物がもう無いんだよね……
しかも汗だくで制服はびしょ濡れだし、お腹はぼよぼよ揺れてるし……
(わ、私……何で今まで気づかなかったの……!?)
顔を真っ赤にしながら、私は学校まで歩く羽目になった。
……それでもバーガーとポテトは全部食べたけど。
……
「いよいよ100kg越えも夢じゃない、って感じかな~?」
放課後、部室で奈緒からまたからかわれる私。
「……そうなりたくない」
だけど、ここまで太ってしまうと……本当に100kgになるのも時間の問題だ。
逆に100kgにならないと否定する方が難しいかも。
「でもさ、これ以上太ったら制服破けるんじゃない?
新しいの買ったら?」
「いや……買ったばかりだから買い替えるなんて……
というかそもそもサイズが無い……」
「それもそうだねー」
「他人事みたいに……」
奈緒は如何にも気楽そうだ。
まあ実際私がどんなに太ろうともこの子には何のダメージも行かない。
「だったら、ジャージとかで登校するのはどう?
デブって制服が入らない子は特別に許されてるからさぁ」
「い、いや……!
それだけは無理……!」
私は必死に首を横に振る。
……ほっぺのお肉が震えてしまったことは気づかなかったことにしたい。
「……そう。
本当にこの漫画みたいになっちゃうかもね?」
私はまた奈緒からタブレットを手渡された。
「あっ、完成したんだ」
「とうとう出来上がったよ!
……あとは現実がこうなるだけ」
「うるさい!」
……でも実際こうなってしまうのかもしれない。
漫画の『私』は、あの夢のように100kgを超えていた。
そして無理やり制服を伸ばして着て、電車の中で女子高生たちに笑われ……
駅のホームにあるかつ丼屋さんに入って食べまくり……制服がビリっと破けて……
そこで初めて自分の増量の深刻さに、本当の意味で気付くという感じで終わっていた。
「絶対、こうは……こうはならないから!」
「……まあ、頑張って」
奈緒の目は、どこか哀れむような感じだった。
---
それから私は太らないように食欲を抑えようとしたり、ダイエットしようとしたんだけど……
何もかも上手くいかなかった。
恐ろしく常に食べまくるという食習慣は私の身体にしっかり定着してしまってて……
食事制限をしようと思っても1日も経たずに挫折するという有様だった。
じゃあせめて運動でもしようとは思ったんだけど……
土日に数分走ることさえ億劫になってしまっている。
何せ身体が重すぎて、もう走ることさえまともにできない……
だから朝ご飯をたっぷり食べてから、少しウォーキングすることにしている。
……空腹にしなきゃ運動の効果が薄れるのは分かってるんだけど。
でももう今じゃ朝起きて即何か食べないと気が済まないって感じだし……
それで、形だけダイエットしたら……あとは食べまくっている。
こんな調子だから、私はもう太るのが止まらなかった。
私は朝起きてすぐに朝ご飯を山ほど食べてから……
パジャマを脱いで下着だけで体重計に向かっていた。
「う、嘘……106kg……?
本当に100kgを超えちゃうなんて……!」
……最近あまりにも食べ過ぎだと思ってて……
それで今何kgあるんだろう……って気になって測ったら100kgを超えていた。
「……夢で見た、あの時と同じ……」
姿見の前に来てみたんだけど……夢で見た私と同じ体型だ……
顔は首が埋もれ、ほっぺも丸々膨れてるしデブの顔そのもの。
元々ぱっちりしてたおかげで目は比較的大きいけど……でもほっぺのせいで目元が圧迫されている……
そしてハムのような二の腕、極太のふくらはぎ……
胸はひたすら巨大に育ち、まさしく大ぶりのスイカを思わせるデカさだ。
サイズの合うブラを買うのも億劫になり、ノーブラで放置してしまっている。
そのせいでだらしなく位置は下がり、下のお腹に支えられて何とか丸みを維持している状態に……
バストの台座となったお腹はこれまた巨大な球体のよう。
横幅はかつてのウエストの倍を軽く超えてそうだし、お肉が付き過ぎて前から見るとショーツが埋もれている。
背中を見ても肩、アンダーバスト、脇腹……どこを触ってもたっぷりお肉が掴めてしまう。
ちなみにお腹のお肉はあまりにも量が増えすぎて、両手を使っても全然掴み切れない。
お尻はショーツがはち切れそうになるほどギチギチに引き伸ばしてるし、スパッツもタイツも何もかも入らなくなった。
ドン引きする程にぶっとい太ももは頻繁に内側が擦れて赤くなっちゃうし、歩くだけでブルンブルン駄肉が暴れまわる。
すぐに股の部分が擦れて破けるし、そもそもサイズが合わなくなって穿けなくなるからパンツスタイルの服装は全然してない……
前まで着てた服はどれも全く入らないし、買い替えるのも面倒なんだよね……
今は適当に買った凄くデカいTシャツとウエストがゴムになっててとても伸びるスカートをいつも着ている状態。
そして、当然制服もピッチピチになっていて……
「はぁ……はぁ……!
もう本当に限界かも……!」
学校に行くために私は今制服を着ようとしている。
だけどあと1kgでも太ったらビリビリに破けてしまうかも……というレベルだ。
ブラウスのボタンは留めれる方が少なくなり、胸元やみぞおちの辺りが辛うじて留まる程度。
一応頑張って生地を引っ張ってみるけど、おへそ周りやバストの頂上の部分は到底届きそうにもない。
「あの時みたいに伸びたら……はぁ、いいのに……!」
確か夢の時は生地を強引に引っ張ったら、なぜか伸びてしまった。
だけど今は現実だ。
何度力を入れたところでスウェットの生地みたいに伸びる訳も無い。
ブラウスはこの状態で諦め、次はスカートを穿く。
だけどファスナーもホックも閉まる訳が無い。
それでウエストを無理やり伸ばすゴムを使って穿いてるんだけど……
「ふぅ、これを使っても……穿けなくなりそう……」
かなり長いタイプを使ってるのにゴムは伸び切っている。
……何とか力任せに引っ張って、辛うじてスカートを穿くことができた。
「はぁ、はぁ……と、とりあえず学校に……行こう……」
既に制服と格闘したせいで汗だくになった私は、バッグを持って外に出た。
……
私は少し早く駅に着き、いつもと同じ時間の電車に乗れた。
そこまではいつもと変わらなかったんだけど。
『(うわっ、凄いデブ……)』
『(制服パツパツで破れそう……)』
『(あんなに汗かいて大丈夫なのかな)』
『(ちょっと、聞こえてるかもよ)』
……何なの、この女子高生たちは……
思いっきり聞こえてるよ!
だけど……100kg越えでサイズも碌に合ってない制服を着てるんだから……
はぁ……こう言われても仕方ない……
『次は~東案下、東案下です。
東案下線へはこの駅でお乗り換えです。』
……さっさとここから出たい。
東案下駅に着いた瞬間、私は即座にドアから出た。
……電車の中はそこまでだったけど、外は暑いなぁ。
学校まで歩くのもダルいかも……
『(ぐぅぅぅ……)』
いつも通りお腹が空いてしまった。
まぁ、改札を出てからハンバーガーをたくさん買ったらいいんだけど……
(あっ、かつ丼屋さんがオープンしてる……)
この間まで準備中だったけど、今ふと見ると『オープンキャンペーン実施中!』と書いてあった。
……何だかヒソヒソ話を聞いて気分も下がってるし、寄ってみようかな?
というか朝早くから営業してるんだね……
お店の中に入ると、『朝の食べ放題キャンペーン』という文字が。
どうやら普段は食べ放題の対象外になってる、メガかつ丼と言ったメニューが食べれるらしい。
まあ何でもいいや。いっぱい食べよう!
……
「美味しい~♪」
私はもう我を忘れて、メガかつ丼や唐揚げなどを食べまくっていた。
(デブでいいじゃない!別に!)
あの女子高生たちにちょっとムカっとしていたからか、普段以上に食が進む。
「はい、30分終了です!」
そしてあっという間にこの楽しい時間は過ぎて行った。
「ふぅ、流石にお腹いっぱいになっちゃったなぁ」
お腹を擦りつつ、私は重い腰を上げて……
『(バチンッ!)』
「何!?」
よく分からない音が私の耳に届く。
そして……下を見るとスカートを留めていたゴムが千切れてしまっていた。
だけど、幸い……スカートは出っ張ったお尻に引っ掛かってくれている。
(はぁ、夢みたいにビリビリに破けなくてよかった……)
お金を払ってお店を出た私は、スカートを手で支えながら学校に向かった。
この状態だと流石にハンバーガーは買えないね……
……
放課後、私は部室で奈緒に会った。
「100kg越えがついに正夢になっちゃったね~。
そしてゴムが千切れたんだ~。
まさに夢と漫画の通りだね」
「……で、でも夢みたいに服がビリビリになったりしてないから!」
大体の事は奈緒の漫画の通りになってしまった。
だけど、まだ……外で服は破けていない。
一番悲惨な事は回避できた……と思う。
これだけは漫画とは違う結果になった。
「だったら今から破けちゃうかもよ?」
「そ、そんな変な事言わないで!」
「でも今まで全部その通りになったじゃん!」
「服は流石に破けないって!もう!」
そう言って、私は奈緒の隣の椅子にドスンと勢いよく座……
『(……バチンッ!)』
……あれ?
「……どうしたの?」
「いや待って待って……!」
「……うわぁ、これは派手にやっちゃったね~」
慌てふためく私を見て、ニヤニヤと笑う奈緒……
……そう、ブラウスのボタンが胸元の一つを残して全部飛んでしまっている。
荒っぽく座ってしまったから、だと思う……
「ふふふ~、ブラウスもスカートもダメにするとは夢以上に凄いことになっちゃったね~」
「うるさいうるさーい!見ないで!」
私は必死にブラウスの生地を引っ張り、できるだけ素肌を隠そうとした。
「こうなるからジャージで登校したらいいって言ってたのに~」
「う、うぅ……!」
私はやけになって、更に無理やりブラウスを引っ張……
『(ビリッ!)』
「う、うわっ!」
「……本当に破けちゃったね」
元々強引に着てたせいで生地にダメージが行ってたからか……
とうとうビリっと破けてしまった……
スカートじゃないけど、まさしく夢と同じ……
涙目になった私は、バッグに詰め込んだお菓子を取り出した。
そしてとにかくバクバクと食べて行く。
「お菓子を食べなきゃやってられないよ、こんな状況……!」
「この場に及んでまだ太ろうとするんだ……」
「私の勝手でしょ!」
さっきまでニヤついてた奈緒も流石に引いている。
まあそんなことはどうでもいい。
「それにしても、2カ月間でここまで太るとはね~。
……ん、2カ月であってるよね?
確か夢を見た日が5月11日で、今日が7月13日だから……」
「7月13日……?」
この日付には覚えがある。
「……あっ!
夢で見た日付だ!」
……本当に……制服がはち切れた日付まで一致してるなんて。
「まさに、正夢だね」
「あんな変な夢が……正夢になるなんて……!」
私は……夢が現実になったことを受け入れて……
うなだれるしかなかった。
(END)