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演劇部で大食いデブの役をした部長が、更に肥満化した役をする羽目になる話 全文(pixiv基準で10770文字、最終129kg)

文化祭が終わった次の週の月曜日、私は一人きりで演劇部の部室に居た。

普段はこの時間に来るはずなのにまだ真咲は来ていない……


「はぁ……ミニ文化祭はどうしよう……」

無事に文化祭は乗り切れたし、比較的順調だったのは良かった。

だけど次が心配になる。


何せみんなが今の体型……何ならもっとデブった姿で私が派手に動くのを見たがっているから。

ただでさえ身体の重いデブなのに、これ以上太ったら軽快に動くことなど絶対不可能だと分かっている。

今の体型を維持するという条件でも吞みたくない。

60kgぐらいでいいんじゃないの?十分ぽっちゃり体型でしょ?

そうは思うのだが、周りがどう言うか……

特に真咲……



「ごめんごめん!遅れちゃった!」

「遅かったね、真咲……」

「それでさ、ミニ文化祭は何するか決めた?」

「ええ。今以上に太った役はしたくないということだけは」

「またそういうこと言う~」


そう言いながらヘラヘラと笑う真咲。

あんたは全然『肥満化する』という実害を被ってないから気楽で居られるんでしょ?


「ねぇ、真咲」

「急に真剣なトーンになってどうしたの?」

「私ばっかり太ってあんたがちっとも太らないのは不公平だと思うけど?」

「……まあ、そうだよね。ごめんなさい」


意外にもあっさりと謝って来た。

「……本当にこれ以上太りたくない感じ?」

「そりゃそうでしょ」

「だったら現状維持でいいんじゃないかな?

また似たような役をするってことで」

「……ちょっとは痩せていい?」

「少しぐらいなら……」


何だ、案外聞き分けの良い子だった。

これなら大丈夫そうだ。

だって私がデブになったのはそもそもこの子が変な事を言いだしたせいだから……

真咲さえ何とかすればこっちのものだろう。


「はい、それだったら別にいいよ」

「ありがとう」

急な態度の変化に驚いてしまうけど、まあ私にとっては都合の良い変化だから別に気にしなくていいかな……



……


しばらくの間は二人で部室に居た。

その間は次の芝居で何をしようかと色々考えてたんだけど……


「先輩たち、おはようございます!」

「おはよー」

後輩たちが部室にやって来た。

何故か部活っていつでも『おはようございます』だよね。

それはどうでもいいんだけど……


「滝井先輩!お菓子です!

みんなで買ってきたんですよ!」

「えっ……?」

「ほら、次のミニ文化祭までにしっかり『体づくり』しないといけないじゃないですか!

いっぱい食べてください!」


3人の後輩から、次々と大袋のスナック菓子を手渡された。

一体どういうこと……?


「ねぇ、もう文化祭は終わったし、これ以上役作りのために太る必要はないんだけど」

「でも次の芝居の時はもっと太りますよね?」

「はい?」

「もっと大きくなってパワフルになった先輩の演技が見たいです!」

「私も見たい!」

「拝見したいです!」


……何この人たち。

私にもっと太れって言いたいらしい。

いやいやそんなつもりは全くないけど?


「あのね、これ以上太るつもりは無いの。

仮に次も太った役だったとしても、これ以上は絶対太らないから」

「そうなんですか……」

何故か後輩たちがしょんぼりしている。

そんなに私のデブった姿が見たいの?


「……分かりました」

「はい、じゃあ今から発声練習でもしよっか」


こんなくだらない話は置いておいて、基礎的な練習を頑張った方が良い。



---



10月になり、段々と暑さも落ち着き始めた。

思えばあの文化祭から既に1カ月が経ったんだ、と思う。

……そろそろミニ文化祭をどうするか決めなくちゃいけない頃だ。

ぼうっとしてると時間はどんどん過ぎてしまう。



私と真咲は部室で悩んでいた。

文化祭をどうするかで頭を抱えていた時と同様に。


「真咲、次はどうしよう……」

「まあ継実は大丈夫だよ。

だって『役作り』も順調みたいだし」

「な、何ですって!?」

「いや~、次に向けて更に自分を肥えさせるとは」

「そんなつもりじゃない!」


私は必死になって手を横に振って否定したんだけど……

……二の腕のお肉がぶるんと大きく震えている。


そう、真咲の言う通り私の贅肉は減るどころかまだまだ増加傾向だ。

だって後輩たちが大量のお菓子を頻繁に渡してくるし……

それに加えて私にファンが出来たらしく食べ物の『差し入れ』が部室に届くことも多々ある。

しかも大食い力(?)を鍛えた結果普段の食事量もかなり多くなっている。

減らそうと頑張ってはいるのだが、大量のお菓子や差し入れを消費しないといけないから……

結果、ダイエットどころではない状態に陥っている。

怖くて測ってないけど、体重は恐らくかなり増えているんだろう。


「制服だって買い替えたんでしょ?」

「そ、そうだけど……」

太り過ぎたせいでブラウスもまともにボタンが留まらなくなり、とうとう観念して最近制服を新調した。

しかし買い替えて圧迫感が一旦消え失せたせいか、自分でも油断してしまっているように感じる。

『お菓子を食べなくちゃいけないから』『役作りが求められているから』と思ってしまうことさえあるし。


「今何kgあるの?」

「……分からない」

「折角だから測ろうよ」

「じゃあ分かった」

……私も現実を直視しないといけない。

何故か部室にある体重計に脚を乗せ、体重を測ることにした。



「86kg……!?」

1カ月前の文化祭の時は74kgだった体重。

それが12kgも増えてしまっていた。


意識的に体重を増やしてた時よりも早いペースで増えている事実に自分でも引いてしまう。

このままじゃミニ文化祭の時に100kgどころか150kgとかとんでもない巨デブになってしまうかも……


体重計から降りた私は呆然とせざるを得なかった。

「お腹もかなりぷよぷよしてて揉みごたえがあるねぇ」

「ちょ、ちょっと!?」

……しかも後ろから真咲にお腹を揉まれてしまっている。

でっぷりせり出してしまったおへそ周りのお肉が、真咲の手の中でもにゅもにゅと形を変えていて……

何とも情けない。


「やめてよ!?」

「ごめんごめん、つい柔らかそうだな~って思って」

「……これ以上は、絶対太らないんだから。

今でも身体が重すぎて動き回るだけでヘトヘトになるのに……」

「そうだねぇ。もう十分太ったんじゃない?

動けるデブなのが大事なんだからね~。軽快に動けない程太るのはマズいと思うよ」

「分かってる、分かってるけど……」

後輩のお菓子や差し入れを断るのも何だか悪い気がするし……

食欲も段々と抑えられなくなってきてて……

私、このままどんどんとブクブク太る一方なんじゃないかと思えてしまう。


「継実、あんまり思いつめない方が良いよ~

文化祭も上手く行ったんだし、きっと次も大丈夫だと思う」

「また勝手な事を……」

「いや、本当にそう思ってるから」

いつになく真剣な表情で真咲は見つめてきた。

きっと本心で言ってるのだろう。


「……最低でも現状維持、できれば痩せてみせるから」

「無理しない程度に頑張って」

この子は普段不真面目なように見えるけど、そうじゃないのかもしれない……



……


部室から出た私は、正門から出て家に向かっていた。

「はぁ……はぁ……」

周りの子たちよりも若干遅いペースで歩いている私。

それなのに息は荒れてしまっている。


ただ歩いているだけなのに……全身にこれでもかと付いたお肉が揺れて邪魔で鬱陶しい。

太もものお肉がたぷんたぷんと揺れ、お尻がぶにょんと鈍く震え……

メロンを思わせる巨大な胸は歩くのに合わせてブルンブルンと激しく上下に揺れまくってしまう。

当然お腹の贅肉もぶるぶると震えまくっていた。


既に冬服に衣替えする子もいる時期なのに、汗がダラダラと流れる。

動けるデブどころか、動けないデブに変わりつつあるのかも……

そんなの、情けなさ過ぎる……



……


家に帰った後、私は久々に家の姿見で自分の下着姿をチェックしていた。

最近は無意識の内に鏡から目を逸らすことが習慣化してたから……


(これが86kgの身体かぁ……)


段々腹は更に厚みを増してしまい、大きく前に張り出して激しく自己主張をしてしまっている。

真咲がしてたように自分でもお腹を揉んでみたけど、たっぷり付いた贅肉の中に手が埋もれて行くような感覚がした。

括れなんてある訳が無い、ただただでっぷりと出っ張ったおへそ周り……

パツンパツンのショーツの上にどっさり贅肉が乗っかってて、垂れた脂肪が少し下着を隠してしまっている。

お尻は100cmを超えた時がかわいく思える程に育ち、立派な特大サイズになってしまった。

サイズを上げたはずのショーツは既にキツキツに食い込むほどで破れるのも時間の問題だろう。

太ももは丸太の如くぶっとく膨れ、最近は両脚同士が擦れて歩きにくい……


顔は頬がかなり膨れてしまい、そろそろデブの顔という印象が本格化してきた。

二重顎だって更にたぷたぷしてきたし……

デブった結果胸は更に育ち、とうとう今まで着けてたGカップのブラのホックも壊れてしまった。

持ってるブラで入るものは無く、下着を着けずに過ごす羽目になっている。

おかげで歩くだけでも凄い揺れ方だし、制服越しでもハッキリ分かってしまう程。

流石にちゃんと買い替えるつもりだけど、どうせすぐに入らなくなるだろうなぁとも思ってしまう……


まぁ、こんな感じで中々凄いデブになってしまっている。

当然姿見を視界にも入れたくはない。

だけど、私は見たくもない自分のデブった姿を目に焼き付けていた。

これ以上太らない、ちゃんと食欲も抑えて痩せるという決意を固めるために。

ただでさえ太り過ぎなのに、これ以上太るなんて絶対あってはいけない。

そんな思いが自分の中で強まってくる。


「今日から、ちゃんと痩せるからね」


私は自分自身に向けてそう宣言し、今からお菓子を食べるのをやめることにした。

これからはしっかり体型を元に戻していくんだから。

……できるよね?ねぇ、私?



---



それからは、もう一生懸命頑張ってダイエットを……

ダイエットを……

していたはずだったのに……


(お餅美味しい~)

コタツの中でゴロゴロしてお餅を食べまくり、そしてついでにポテチやビスケットなど色々摘まんでいる。

ちなみに今は冬休みなので一日中こんな感じだ。

当然ダイエットなんて全然していない。


確かに10月の間はこれ以上太らないためにお菓子を我慢し、食事量も控えめにはしていた。

体重も一応は若干減りつつあったんだけど……

でも、11月に入ると全然ダイエットができなくなってしまった。


所謂『食欲の秋』という季節のせいかもしれない。

いつも以上に食べたくなるから。

……それは冗談として、本当の原因は差し入れだ。

だって後輩たちやファンから食べ物を貰うのはずっと続いていた訳で。

真咲も最初は『ダイエット中だから止めた方が良いんじゃないかな~』って言ってくれてたらしいけど。

全く効き目が無かったらしい。

最初の内は真咲が代わりに食べてくれてたけど、結局私の方へ回ってくることになった。


それでダイエットは頓挫し、再び食べまくる毎日に戻ってしまっている。

……ただし、1カ月間お菓子も食べずに痩せる努力を続けてて、『食べたい』という思いがかなり募っていたのは事実だ。

私にも問題があるんだろう。


明日から学校が始まるから、今日はもうダラダラ過ごそうっと……



---



翌日になり、私は久々の通学路を歩いて学校に向かっている。

「はぁ……ひぃ……あ、歩くだけなのに……」

冬休みの間だけでも随分増量してしまったのか、元々重すぎるのか……

とにかく私の身体は重たかった。


ぶっとい脚は贅肉が擦れ合い、腹肉はぼよんぼよんと震えている。

むやみに大きすぎる胸は着けているスポブラを無視するかのように暴れまわっていた。

しかも風が強いせいでスカートが何度も捲れ上がるのがキツい。


ショーツが見えないようにスカートを抑えつつ、もう片方の手でドーナツを口の中に運びながら高校まで向かった。



……


放課後、部室に入った私を出迎えたのは真咲だった。


「継実、冬休みはダイエット……できなかったみたいだね」

「はぁ……結局ダラダラしてお餅もお菓子も食べ過ぎちゃった……」

「……体重は今何kg?」

「ううっ……」


体重なんて毎回増えていくし、どうせ測らなくても見た目で巨デブだって分かってるから全然乗っていない。

だけど、今から体重計に載せられるんだろう。


「測ろう?

私も乗るから」

そう言ってまず真咲から脚を乗せた。


「……あ、やっぱり冬は太っちゃうなぁ」

「何kgだった?」

「62kgもあるよ……

60kg台の大台に乗ると流石に焦るかも……」

「いつの間にかそんなに増えてたんだ」


細すぎる訳でもないけど、太っているイメージも特になかったんだけどね。

だけど私に贈られたお菓子を代わりに食べてくれたりしてたから段々太ったんだろう。

それはちょっと申し訳ない。

でも……私に比べたら全然大したことは無いのは明らか。


制服姿の真咲を眺めても、セーターに包まれているからかそこまで太っては見えない。

……胸はこんなに育ってたかな?と思う程度で。

でもよく見たら脚はムッチリ太くなってるし、顔も丸みを帯びてる感じはする。


「……じゃあ乗るよ」

次は私の番だ。


かなり太くなった脚を体重計に乗せて行く。

……出っ張ったお腹と胸が邪魔で中々数字が見えない。


頑張って読んでみると、99kgと書いてあった。

「99kg……嘘でしょ……」

贅肉だらけの身体という表現がまさにピッタリだろう。

あと少しで100kgのとんでもない大台に乗ってしまうのだから。


「99kgね……今どんな体型なの?」

「……見りゃ分かるでしょ?」

「下着姿も見せて?」

「……はいはい」


私は素直に制服を脱ぎ、そしてブラとショーツだけになった。

正直もう恥ずかしいとかそんな領域を通り越している感じがする。


「お、おぉ……」

「これ以上は、本当に太りたくない……」

姿見に映る私の姿は、文化祭の時と比べてもかなり横に育っていた。

男子の100kgクラスも凄いデブだが、ずっと身長の低い女子だともっと凄まじい。


まずお腹は段々腹というか巨大な太鼓腹になってしまい、ひたすら真ん丸に育っている。

既に重すぎるのか、大分贅肉が垂れていて前から見るとショーツが見えにくい程。

腹肉を掴むと量が多すぎて全く掴み切れない。

そしてお尻はパツンパツンのショーツが食い込んでTバックみたいになっている。

これでも自分で引いてしまう位デカいサイズなんだけどなぁ……

太ももは当然ぶっよぶよの贅肉がこれでもかと付きまくり、内側がかなり擦れて赤くなってしまう……


顔はまさしくデブの顔で、ほっぺは見事に真ん丸だ。

二重顎どころか首が見えなくなってきた。

そしてバストは馬鹿デカくなり、多分Iカップはあるんじゃないかという巨大な胸が突き出ている。

流石にノーブラはマズいと思ってとりあえず買った大きな白いスポブラを着けてるんだけど……

胸の重みに負けてしまうらしく、ブラをしてるのに位置は大分下がっている。

おまけに今ではお腹の方が出っ張ってる感じで存在感は低下気味だ。


「はぁ……こんなに太ったら……もうミニ文化祭で全然動けないかも……」

既に通学路を歩くだけでもはぁはぁと呼気を荒げて疲れている状態で。

前みたいに舞台の上で走ったりできないだろう。

太ったらこうなると分かってはいたけど……


「……継実、しょうがないよ。

次は動かなくてもいい役にするからさ」

「で、でも……私はちゃんと今から痩せて、また動けるデブの役を」

私の言葉を聞いて、真咲は首を横に振った。


「ダイエット、できる?」

そう言って、またこの子は私の贅肉を掴み始めた。

私の大きすぎるお腹、そして太い木のような脚を……

この子の手が贅肉に沈んでいく。


「ちょ、ちょっと……」

「今から3カ月ちょっとで20kgは痩せなきゃいけないと思うけど」

「……」

私はまた目の前の鏡に目線を移す。

隣に立っている真咲は女子高生としてはぽっちゃり体型なんだろう。

でも私と並ぶと凄く痩せているように錯覚する。


私は、もうどうしようもないデブなんだ……


「……分かった、もうデブ全開の役をするよ。

前の文化祭でももっと太った体型の私を見たいって声が多かったんでしょ?

そして今でも差し入れをくれるって太れってことなんじゃないの?

じゃあ、デブの役で良いよ」

そう言うと、真咲はニコッと笑った。

「オッケー。でも次は残念ながら『正義の味方』じゃないと思うけど」

「大丈夫だよ」

「はい、じゃあ脚本用意するね」


……次はどんな役を演じることになるんだろう。



---



4月、私は高校3年生になった。

いよいよ明日がミニ文化祭。

これで私の演劇部の活動も終わりかぁ、と感慨深くなるけど……


「太っちゃったなぁ……」

部室で私は腹肉を触りながら嘆いていた。


体重は118kg。

3桁になっているのにまだ体重は増え続けている。


(今どんな見た目なんだろう……)

まあ大体わかってるけど、改めて確かめたくなった。

姿見の前に行き、そして自分の身体を眺める。


「……すごい、デブ」

当然のことながら私の姿は凄まじいことになっている。


お腹を見ればブラウスにおへそ周りの贅肉が収まっておらず、でっぷりしたお腹がはみ出てしまう始末。

どの角度から見てもズドンと激しく突き出たお腹が嫌と言う程目立っている。

そして胸はとにかくデカすぎる……二つの立派過ぎる球体がブラウスの生地を引き伸ばし、ボタンは閉まっていない。

おかげで谷間がハッキリと見えてしまっている。それでもみんなはデブったお腹にしか目線が向かないけど。

以前よりも更に大きなサイズのスポブラを着けてるけど、到底胸を支えることができてない。

ただし真ん丸なお腹の上にどっかり乗ってるから『支え』はある。


スカートもパツンパツンでホックは当然壊れてるしファスナーも全然閉まってない。

そして規格外にデカくなったお尻がぼよんと大きく突き出ている。

巨大なはずのショーツさえビリっと破いてしまうお尻を短いスカートで包み込むのは至難の業。

歩く度にお尻と汗で湿ったショーツがちょっと見えてしまう……

あと、ついでに太ももの贅肉がぶよんぶよんと揺れまくる。

顔はお肉が付き過ぎてボールのようにパンパンに膨れ上がってるし、首はもう顎肉で見えない。


これが今の私の姿だった。

制服は10月に買い替えて以来そのままになっている。

理由は単純明快で、もうサイズがない。

上着を羽織ればまだ隠せるかもしれないけど、もうどうでもよくなってしまった。

だってみっともなくお腹を晒しても、晒してなくても巨デブなのは変わらないから。

しかもそんなの着たら暑くて汗を凄くかいてしまう……

今の制服が入らなくなったら、ジャージで登校したりしようかなと思っている。



「継実、何してんの?」

「あっ!真咲来てたんだ」

身体を眺めてたらいつの間にやら時間が過ぎてたらしい。


「……まあ太ったのはしょうがないよ。

明日ちゃんと芝居ができたら大丈夫だから」

「そうだね。頑張るよ」

この子の言う通り、とにかく今は明日の芝居をちゃんとしなきゃ……


「じゃあ、最後の練習をしよう」

「オッケー!」

「……その前に」

「?」

だけど、ちょっと気になることがある。


「何であなただけダイエットしてるの?」

「えっ!?や、痩せてなんか」

「私だけブクブク太ってるのに!」

「ご、ごめんって!」

60kgを超えてたはずの真咲がいつの間にやら元に近い見た目に戻っていた。

顔も脚も以前に近い状態……

こっちは倍以上の体重になったというのに……


「私みたいに100kg超えろとは言わないけど、80kgぐらいまで太って肥満体型の辛さを味わった方がいい」

「ごめんごめん!ダイエットも協力するからさ」

「……はぁ」



---



翌日のミニ文化祭。

私は舞台の上に設置されたソファーにどっかりと座っていた。


今回の芝居は真咲が主人公「マサキ」を演じる。

パティシエを目指す女子高生だ。

ある時、マサキは地元の大金持ちが主催するお菓子づくり大会に応募して参加することになった。

その審査員が、私が演じる「大食い女王ツグミ」。

大金持ちのお嬢さんで当然大食いの設定だ。

そしてツグミの日常風景を、まさしく今演じている。



「早くピザでも寄こしなさい!」

「はいっ!」

そして渡された特大ピザをバクバク食べまくる。


「実に旨いわねぇ!

もっと食べ物をもってきなさい!」

「仰せの通りに!」


そしてズラッと机に並べられた恐ろしい量の食べ物を食べまくった。


「大食い女王!」

「すごい!」


私の食べっぷりに観客も歓声を上げた。



……


芝居も終盤になった。

マサキの作ったケーキを高速に食いつくした私は満足げな笑みを浮かべる。


「なるほど……これは上出来かしらね。

もう少し量が多かったら100点だったけど、90点はあげましょう」

ホールケーキを食べ尽くし、すっからかんになった皿を持ち上げて眺める私。


「90点!?ありがとうございます!」

びっくりした表情を作り、嬉しそうな声でマサキは叫んだ。

今回の最高得点を叩き出したのである。


「あなたの優勝よ。

これからも頑張って作りなさい!」

そして私はマサキをハグした。

「うう!!!苦しいです!!」

「何よ!」

わざとらしく苦しい顔をする真咲と怒った声を上げる私。

これで私の出番は終わりだ。



……


「素晴らしかった!お客さんからもかなり好評だったよ!」

顧問の先生が満面の笑みを浮かべる。

「何と、入部希望者が既に10人もいるからね!」


「すごいですね!」

「おおっ!」

部員たちも喜んでいる。

既に今年は8人入って来てるのに、10人も増えるのだから。

これで演劇部はしばらく安泰だろう。


私はこれで安心して引退できる。

部長として頑張って努力したし、もうこれでやることは無い。



私は真咲と二人で廊下を歩いていた。

「真咲、今までありがとう」

「今日は卒業式じゃないよ?」

「ま、まあそうだけどさ」

「……でも、本当に継実が頑張ってくれたから今の演劇部があると思う。

私も感謝してるよ」


……何だかしんみりとした雰囲気になった。

このまま穏やかに今日という一日が終わったらいいんだけど……



「ほら、こんなお腹になるまで太るのも頑張ってくれたわけだし」

「さ、触んないで!」

しかし真咲はやっぱりこういうことをする。

私のはみ出たタプタプの腹肉を掴んでは揉んでいく……


「もう、元はと言えば真咲が変な事を言うから!」

「そ、そうだね」

「……ねぇ、ちょっと」

「えっと?」

……正直、真咲だけが標準体型をキープして私が100kg越えになってるという事実に不満はある。

この子だって頑張ってたのは認めるけど、このまま痩せた身体で卒業させる訳には行かない。


「あなただけ太らずに終わるのは不公平じゃないの?」

「えっ?」

「デブの味わう気持ちをあんたも体験しなさい」

「い、いやそれはご遠慮したいと思います」

「逃がさないよ?」

「顔が怖いって!」



---



時は流れ、7月になった。

今でも時折部室を覗いては1・2年生がしっかりやってるかをチェックしている。

新しい部員たちも頑張ってるし、顧問の先生も一生懸命。

去年から引き続いて演劇部に所属している子たちはアイデアを出してみんなを引っ張っている。


さて、新しい部長である未央(みお)は色々努力しているらしい。

……体型の事も。


「未央ちゃん、大分丸くなったよねぇ」

「そ、そうですかー?」

真咲が未央に絡んでいる。

去年から真咲と未央は度々一緒にご飯を食べに行く仲だったけど、今でもそうらしい。

そしていっぱい食べさせてるんだとか。


1年生の時はスラッとしていた未央も今ではかなりのぽっちゃり……いや正直言うとデブだ。

私と同様役作りのためにデブっているらしい。

……こんな伝統を作ったら部長になりたい人がいなくなるんじゃないかなと心配になる。


無事(?)二重顎になった丸々した顔、そして括れなどないウエストには段々腹が出来上がっていた。

ピチピチのブラウスを無理やり着てるせいでお腹のラインがはっきりと分かる。

スカートは安全ピン2つでかなり無理に留めてるし、そこから伸びる太ももはムッチリとかなり太い。

そして控えめだった胸も今ではボタンを弾き飛ばしそうな程に大きく育っていた。


ちなみにこの場に及んで真咲はまだ太っていない。

『第二の私』を育てておきながら、自分は太らないのは相変わらずだ。


「でも、継実レベルになるにはまだまだこれからだよ」

「そうですね!私もこんな立派な体型になりたいです!」

「ならなくていい!!」


今の私は129kgで、体重計の針が振り切れるのが心配になるレベルの百貫デブだ。

特大サイズのスカートとブラウス(制服っぽい私服)を買って着ているけど、それでもお腹は顔を出している。

最近はまたホックやボタンが飛んだりするし、スポブラに胸が入りきらなかったりと大変だ。

お尻なんてあまりにデカくてスカートが耐えられず普通に歩いてもショーツが見え放題になってしまう。

もう最近だと見える前提でブルマを穿いてる程……


「未央、これ以上は太らなくていいからね」

私がそう忠告すると、真咲は笑った。


「あはは、まあこれ程じゃなくても……あと10kgは」

「またこんなこと言って!」


……これからも真咲は部員たちを太らせまくるんだろうかと心配になる。

でも、本人たちが嫌じゃないなら放っておいた方がいいのかも。

まあ、そもそもまずは自分の体型をどうにかしなきゃいけないよね。


どうやって痩せたらいいんだろう、と考えながら私は部室を後にしたのだった。



(END)


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