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陸上部を引退した女子高生がクラスメートに誘われて食べ過ぎる話 全文(全体公開4527文字+限定公開6249文字、最終85kg)

「早香(はやか)、2年間おつかれさまー!」

「ありがとう、貴奈(たかな)」

始業式が終わり、今私は貴奈の家でゆったりと過ごしている。

春休みも明けて、私たちはいよいよ高校3年生になった。

私の通っている東案下商業高校は、運動部は3年生になった時点で全員引退となる。

もっと続けたかったんだけど……ルールである以上しょうがないか。


ちなみに今喋ってる貴奈は3年間ずっと同じクラスだけど特に同じ部活ではない。

それどころか何も入ってない帰宅部で、のんびりお菓子を食べるのが好きな子だったりする。

だから体型も緩んでてぽっちゃり気味なんだけどね。


「それにしてもさー、やっぱり運動してて鍛えられてるねー」

「あ、ありがとう……」

今、そんな貴奈にお腹や脚を色々触られている。

まあ誰にもこの光景を見られてないからいいけど、ちょっと恥ずかしい。


「腹筋とかあるんでしょ?見たいなー」

「別にいいけど……」

「じゃあ見ようっと。

うわぁ、凄いなぁ!」

「ま、まあね……」


貴奈に制服を捲られ、そしておへそ周りをじっと見つめられていた。

今までトレーニングでしっかり身体を鍛えてきたし、当然ウエストには腹筋が現れている。

余分な贅肉が欠片も無く、美しい括れも形成されたお腹周りは私の自慢だ。

そして脚も引き締まっていて、筋肉がある影響で多少は太いけど決して弛んではいない。

贅肉の少ない、比較的小さなヒップも魅力的だと思う。


見られて恥ずかしいのは事実だけど、羨むような目線で見られることに心地よさも感じていた。

優越感、というものだろうか。向こうが帰宅部の弛んだ身体だからなぁ。


「私も早香みたいになりたいなぁ」

「特別な事じゃないよ。毎日しっかり身体を動かす事が大切だから」

「そんなのできないよー。

私、ジョギングだって4日ぐらいで飽きるのにー」

「もうちょっと運動しなさい」

「面倒だなぁ」


この子は相変わらず運動が嫌いだ。

お菓子を買ったり美味しいものを食べに行くことには労力を惜しまないのにね。

顔だって丸っこくて俯いたら二重顎が出来上がるし……

胸はかなり大き目だけど特に羨ましくはない。動くのに邪魔そうだから。

冬服の制服だとお腹はそこまで目立たないけど、下着姿だと結構おへそ周りがポッコリ出ている。

スカートから出してる脚もムッチリ太いし、大分ぽっちゃりした体型だと思う。


「まったく、だから太るんだよ」

「別に太ったって気にしてないしー

好きなだけ食べれるのは楽しいんだよ!」

「はいはい、分かったから」

「早香もいっぱい食べる楽しさを味わった方が良いよ」

「間に合ってます」

「もう引退したんでしょ?ちょっとぐらいいっぱい食べてもいいじゃん」


今日の貴奈はちょっとばかりしつこい。

……『別に要らないって言ってるでしょ!』と拒絶しようかと思った。

でも……確かにこの子の言う通り、私はもう陸上部を引退してしまっている。

今までのように体型をしっかりと管理する必要はないかもしれない。


「……分かった。だったら今日の夕食は食べに行こう」

「そう来なくっちゃ!食べ放題のお店に行こうよ!」

「どこか知らないから連れて行って」

「オッケー!」

私は珍しく、貴奈の誘いに乗ることにした。

別に1日ぐらい過食気味になっても大した影響はないだろう。

仮に少し太ろうが、運動を欠かさず続ければすぐに元通りになる。

今まで鍛えて来れたんだから何の心配も要らない。



……


午後6時、待ち合わせ場所の東案下駅に着くと既に貴奈の姿があった。

「早香、早く行こうよ!」

「はいはい、そんなに焦らなくていいって」

「だってお腹空いてるし!」

そこまで食に夢中なんだ……と思ってしまう。

というかそんな旺盛な食欲でよくこの程度の体型で済んでるなぁ。

もっと凄い、それこそ巨デブになっててもおかしくなさそうな思考回路だけど……



店に着いた私たちはまず食べ放題の料金を支払い、それからテーブル席に座った。

どうやらここはハンバーガーの食べ放題の店らしい。ブランド牛を使った高級なハンバーガーなんだとか。


「今から60分間いっぱい食べようね!しっかり元を取らなきゃ!」

「それはそうだね」

事前に3000円も払ってるんだから、私も元は取っておきたい。


「私と早香、どっちが多く食べれるか競争だね!」

「競争……?レース……」

「そう!レースだね!」

「……」


……中々面白いじゃない。

元々私は負けず嫌いなところがあるし、折角だから受けて立ってみようか。


「分かった。でも貴奈の方が有利だと思うけど」

「まあね。私が勝つよ!

じゃあ、早速頼もう!」



……そうやって、60分間の食べ放題がスタートしたんだけど。

50分が経った頃……


「ふぅ、もう食べれないよぉ……

早香……凄いなぁ……」

「意外とギブアップ早かったね」

貴奈は4つ目のバーガーを頼んだ時点でもうお腹いっぱいという感じだった。

そしてそのバーガーを何とか食べ終わってからは……何も注文せずにお腹を擦って休憩している。

一方私はというと……5つ目のバーガーを食べ終わり、そしてついでにポテトまで食べている状況だ。


「何で……?そんなに食べれるの……?」

「甘いね。運動するにはしっかり食べる力も必要なんだよ。

大量に摂ったエネルギーを使って筋肉を鍛えて走ってるし、時にはガッツリ食べることもあるからね。

こう見えて食べるのは得意だから」

「うぅ……大食いまで早香に負けるとは……」

「もっと胃袋を鍛えてから勝負を挑むことね」

「は、はい……」


こんな勝負でも勝ったら嬉しい気分にはなる。

正直こっちもお腹パンパンでこれ以上は食べれないレベルではあるんだけど……

服の上から擦ってみると、お腹の辺りが妙に膨れていた。

今だけでも1日、いや2日分のカロリーは摂取してしまったと思う。

さっさと運動して消費しないと。


「……次は勝つんだからね!」

「またやるの?でも私が勝っちゃうと思うけどな」

「そう言われたら余計にリベンジしたくなってきたよ!」


あんまり食べ放題に何度も行きたくはないんだけど……

お金だってそれなりに掛かるし、しかも過剰な栄養が身体にどんどん溜まっていくし……

でも、勝負に勝てて気分が良いのは事実だった。


「また1週間後に再戦しよう!」

「分かった」



---



始業式のあの日から、私は貴奈との大食い勝負を毎週行う羽目になっている。

しかも向こうも頑張っているらしく、3回目からは貴奈が勝つケースもでてきた。

確かにこんな勝負、どうでもいいといえばどうでもいい。

だけど、どんな試合でも負けたら次は勝ちたくなる。

気付けばこんな生活が1カ月半も続いていた。



『(ぐぅうぅぅ……)』


時計の針はまだ11時を指している。

でも私はお昼ご飯を食べたくてうずうずしていた。

元々現役時代から食べる量は多めで、時には男子に匹敵する程にバクバク食べることもあったっけ。

陸上部員として駆け抜けるには大量のエネルギーが必要だった。


その時の食欲が……今でも続いているらしい。

むしろ貴奈との大食い勝負で余計に食べる量が吊り上がった程だ。



(我慢できない……!)

チャイムが鳴ってから、私はお弁当箱を開けて早弁することにした。



……


(はぁ、今日も結構食べちゃったな……)

帰宅した私は、自室の椅子に座ってため息をついていた。

現役並み、いやそれを上回る食欲が続いている。

食べ放題で大食い勝負なんてやってるからだろうか。それとも元々私には大食いの気質があるんだろうか。

でも、たとえ食べ過ぎたとしても……運動を現役並みに頑張っていれば理論上太ることは無い。

だから私は引退しても、一生懸命走り込みやストレッチを続けるつもりだった。


しかし、現実はそれほど甘くない。

3年生になって進路のためにすべきことが一気に増えた。

2年生までも勉強はそれなりには頑張ってきたつもりだけど、進級した現在は今までと段違いの努力が求められている。


4月当初はしっかり運動しようと思っていたのに、少しずつ勉強やら色んな事の比重が増えていった。

必然的に体を動かす時間はどんどん短くなってしまっている。

なのに食事量は現役の時と変わらない……むしろ貴奈につられて増えてるぐらいだから……

当然の結果として、ボディラインには変化が着実に現れている。



「……はぁ……あっという間ね……」

私は制服を脱ぎ、下着だけになってから姿見の前に立ったんだけど……

さっきからため息しか出ない。

筋肉質な身体を維持するのは本当に大変だと聞いていた。

特に皮下脂肪が纏わり付きやすい女子は……

しかし、たった2カ月足らずで見る影もない体型になるなんて……


くっきりと括れて腹筋の浮き出ていたはずのウエスト。

しかし今やすっかりと様変わりし、括れはあるか分からない程度まで埋まってしまった。

筋肉など見える訳も無く、代わりに柔らかい贅肉がポコっとせり出している。

丸いカーブを描いて膨らんだおへそ周りは、あの貴奈とそう変わらないかもしれない。


……この私が、あんなお菓子ばっかり食べてる帰宅部の女子高生と大差ないお腹になってる?

信じたくはない。でも……お腹を触った感触はとても柔らかくて……

現実を認めるしかなかった。


お腹以外にも贅肉は容赦なく付いてしまっている。

引き締まっていたはずの脚はどんどん脂肪が纏わり付いてしまっている。

筋肉もしっかり使えてないせいで減ってしまったらしく、かつての洗練されたフォルムはすっかり消え去った。

今目の前に見えるのは……運動不足で弛んでるようにしか見えない、ムッチリした太ももだ。

お腹と同様、こちらも帰宅部の運動など無縁の女子と変わらない見た目になっている。

むしろ元々筋肉があった分、余計に太くなってるかも……


お尻は小さかったはずなのに、いつの間にやら普通より大きいぐらいに膨れていた。

胸も大きくなり、今までずっとBカップだったのに今ではDカップの下着が必要なほどだ。

元々胸なんて走るのに邪魔だとしか思ってなかったし、膨らんだところで別に嬉しくも無い……

膨らんだと言えば……顔も大概膨れてしまった。

輪郭が丸みを帯びてしまい、パッと見でも丸顔という感じになっている。


当然体重も大幅に増えていて、今測ったら12kgも増加していた。

元々が46kgだったから、まだ58kgで済んでいる。

でも、既にこんなに弛んでるなんて……


(この調子だともっと太っちゃうよね……)

今の体型ですら……周りの女子と比較しても太目な位だ。

この食生活が続けば、貴奈よりもずっと太いデブになるのは目に見えている。

本当に今から手を打たないと……


『(ぐぅぅ)』


……手を打つ前に、チョコでも食べて気分転換しよう。

大丈夫だよ。私なら何とか上手く対処できると思う。

そんな根拠のない自信を抱きながら、チョコの袋を開けた。



---



季節は梅雨に入り、雨も続いている。

でも今日は珍しく天気は快晴だ。

土曜日だから学校の授業も無いし、折角だからランニングでもしようかな。


そう思って私は久々にランニングウェアを引っ張り出してきた。

現役時代に着ていた競技用の運動着で、かなり布地の面積は小さい。

おへそがハッキリ見えるレーシングトップとブルマみたいなレーシングショーツ……

鍛え上げられた脚や腹筋を見せ、そして空気抵抗も抑えられる衣装だ。


……だけど、それが様になるのは『鍛え上げられた身体』を持っている場合だけである。

(はぁ……何これ……?)

5月と比べても一周りは太ってしまった私のボディ。

そんな状態でこんな服を着たところで似合うはずがなかった。


まずレーシングショーツはピチピチに引き伸ばされ、今にも生地が破けそうになっている。

今ではどう見ても大きい……いや大き過ぎるレベルに育ったお尻を、こんな小さなショーツで包み切れる訳が無い。

そしてすっかりたくさんの贅肉が付いてムッチムチになっただらしない太ももが丸見えになっている。

こんなに贅肉がたっぷり付き、筋肉の見えなくなった下半身で陸上競技などできるはずもない。


上半身も悲しい状態で、でぷっとしたおへそ周りが露出してしまっている。

本来は括れと筋肉の美しさを見せつける服なのに、弛み切った段々腹を公衆の面前に晒す衣装に様変わりしてしまった。

柔らかい贅肉はレーシングショーツの縁にぼよっと乗っかり、歩く度にぶるぶると鈍く震えている。

元々丈の短いレーシングトップは胸が大きくなったせいで更にずり上がってて、もうスポブラ同然だ。

胸はDカップどころかFカップの領域になり、ウェアがぱつんぱつんでバストの形が浮き出てしまっている。

まあ、女子高生としては自慢できる程のサイズだけど……こんな運動の邪魔でしかない贅肉の固まり、要らないって……

ちなみに二の腕もタプタプだし、顔もかなり丸くて二重顎が段々と当たり前になってきている。


こういう感じで、かつて似合っていたはずのウェアは今や羞恥心を抱かせる衣装でしかなかった。

(どれ位太ったんだろう……)

気になった私は体重計にそっと脚を乗せたんだけど……

「66kg……もうデブだよね……」


3月までは颯爽と軽快に走っていたのが嘘みたいな、デブった身体。

現役だった頃の写真や動画を見せなかったら、私が陸上部だったなんて誰も信じてくれないと思う。

こんな肥満体になってしまったのは……


(貴奈……あの子が悪いんだから……)

元はと言えば貴奈が食べ放題で大食い勝負を挑んできたせいだ。

そして今でも毎週2人でいろんなお店を巡って食べまくる状態が続いている。

これ以上は太りたくないと言ってるんだけど……それでも勝負は終わりそうにない。

……確かに私が負けた時は『次は勝つからね!』とか言っちゃうから……こっちにも落ち度はあるけど……



だけど、こんなに太ったのは碌に運動できなかったのが大きい。

食べる量自体は現役時代と変わらな……

ま、まあちょっとは増えたかな……という感じだから、しっかりとハードな運動をこなせば脂肪を燃やせるはず。

何せこの間までは縦横無尽に駆け抜けていた訳だし……なまったとはいえランニングぐらい楽勝だよね?

そんな風に自分に言い聞かせながら、この恰好のまま外に出た。

恥ずかしいとはいえ、これが自分の本来の服装なんだから……恥じらう必要はないはず……



……


「はぁ……!ひぃ……!

全然、違うよぉ……!」


別に競技でも無いし、1時間ゆっくりと走るぐらい難なくこなせるだろうと高を括って外に出た訳だけど……

現実には10分で息が上がり、もうヘトヘトになってしまっている。


かつてと身体の重さが全然違う。

現役時代から20kgもの増量を重ねたボディはとても重たく、走るのがかなり辛い。

それでいて脚の筋肉量は平均的な女子高生と大差ない水準にまですっかり落ちてる訳だから……

何の問題も無くランニングできる訳が無かった。


全身のお肉がプルプルと揺れるのもかなり怠い。

太ももにたっぷり付いた駄肉がタプタプ震えるのが……すごく屈辱的に感じる。

『こんなはずじゃない!』と叫びたくなってしまう。

お腹も歩いてる時同様に揺れ動いてるし……

何より、無駄に大きく育った胸がブルンブルンと大きく上下に揺れるのが一番しんどい。

Bカップの頃でさえ邪魔者に感じてたのに、今はその比じゃない程に鬱陶しく感じる。

しかも大げさに揺れるせいで通行人からバストを凝視されることも……


とても情けない……3カ月前まで陸上競技をしてたはずなのに……

これじゃデブがサイズの合わないウェアを無理やり着て、ひぃひぃと言ってるだけだ。


「もう無理……歩こう……」

これ以上走る体力も気力も無い。

私はただゆったりとウォーキングして帰ることにした。



……


「これじゃ痩せる訳が無いよね……どうしよう……」

汗だくになって家に帰った私は、シャワーを浴びてから自室のベッドに寝転んでいる。

正直、もう現役時代の脚力を取り戻すなんて不可能な気がした。

2年間入念に鍛え上げた身体が、いとも簡単に帰宅部の女子たち並み、

いやそれ以上に緩んだボディに変わってしまうなんて……

女子の身体というのはこんなにも贅肉が付きやすく、筋肉が維持しにくいとは思ってなかった……


今からあの筋力を取り戻すには、毎日何時間ものトレーニングが必要だろう。

でも3年生になり、受験も少しずつ迫って来た私にそんな暇なんて残されていない。

……これ以上太らないためには、食事量を制限するしかないよね。

だって運動してないんだから。

現役時代からグッと抑えて周りの小食気味の女子たちに合わせる程にしなきゃ……


(よし、今日から食べ過ぎないように……)

『(ぐぅぅぅぅ……)』

……曲がりなりにも長時間運動したからか、お腹が空いてしょうがない。

でも今我慢しなきゃもっと太ってしま……


あっ、貴奈から連絡が来てる……

『今日も大食いに行くよね?』って……


『今日で最後にして欲しい』って書いておこう……

そう、さっき運動したから……今日は多少食べ過ぎても大丈夫だ。

明日から食事量を真っ当にして、空き時間に多少運動すれば何の問題も無い。

だって私は元々は腹筋も割れて括れはくっきり、下半身は引き締まっててスポーティーな女子高生なんだから。

勉強で時間が無いって言っても多少は走れると思う。

今のぽっちゃりした身体は一時的な姿でしかない。


……今日の大食いは勝ちたいなぁ。

だって最後の試合は有終の美を飾りたいし。



……


「いやーごめんねー。今回は勝っちゃったよ!」

「ま、負けた……」

しかし、お腹をかなり空かせて挑んだはずの大食い勝負は……まさかの敗北だった。

貴奈も相当に胃袋を鍛えているらしく、中々の強敵になっている。

……食事量を増やしてるせいか、もっと丸っこい体型になってるような。


顔だって完全に二重顎で頬は丸々してるし、お腹はかなり前にせり出してしまっている。

胸はとても巨大になり、今に突き破るんじゃないかと思えるほどにトップスの生地が張り詰めていた。

スカートはデカいお尻にピッチリ張り付いてるし、太ももはかなりのタプタプ。

気付けばぽっちゃりどころか随分と立派なデブに変化している。


……こんなだらしない体型の子に比べたら、まだ私はそこまでデブじゃないよね?

だって今の貴奈は70kgどころか80kgはあってもおかしくないし。

私はまだ66kgだから相対的に痩せている方だ。


まあ、そこまで私は太り過ぎてる訳でもないし。

元々ちゃんと運動する習慣は付いてた訳だから、帰宅部や文化部の女子たちとは訳が違う。

今は受験やらで忙しいから太っちゃっただけ。

本気を出したらあっという間に元の美しいボディラインを取り戻せるはずだから。



だから……もう一回大食い勝負をリベンジしてもいいよね?

「どうするの?今日で終わりにする?」

「……いや、もう一回だけ勝負しよう」

「そうこなくっちゃ!今度も勝つからね!」

「次こそは勝つんだから……!」


本当に次で食べ放題に行くのは終わりにするから。



---



7月に入り、やっと雨も少なくなってきた。

しかし暑さは本格的に厳しさを増している。


(あっつぅ……しんどい……)


汗をたっぷりと流しながら、私は通学路を歩いている。

最高気温が33度なのもあるけど……一番大きな要因は贅肉の付きすぎだと思う。


私はもう全身に大量の脂肪が付いてしまっている。

顔は二重顎が常に出来てしまう程で頬はかなり丸っこい。

二の腕はハムみたいでどこまでも柔らかく、筋肉質という言葉と無縁の姿をしている。

胸は着けてるGカップのブラがキツい程に膨らんでしまい、制服のボタンが今にもブチっと弾け飛びそう。

ウエストに至ってはでっぷりした段々腹がせり出し、とうとう留まらないボタンが出てきた程。

スカートなんてホックは当然飛んでるしファスナーさえ上手く閉まらない。


サイズがもっと大きくなったお尻はミニ丈のスカートに何とか収まっているけど、かなり際どくなってしまっている。

おかげで山ほどの贅肉が余すことなく付いてしまった太ももがガッツリと見えてしまう。

こんな下半身じゃ、去年まで運動部だったこと自体が悪い冗談にしか聞こえない……


痩せてた時は当然かなり余裕のあった制服なんだけど……今ではキツいというか破けるのが怖い。

夏休みまでは何とか強引に着て行くつもりではある。

でも太り続けることが根本的に悪いんだけどね。


帰宅部の女子たちのグループと比べても、随分とだらしない身体になってしまった。

私よりも太ってるのはせいぜい貴奈ぐらいだと思う。



……


「はぁ……ふぅ……しんどいよねー……」

「流石にしんどいとは思わないけど……」


帰り道、私は貴奈と一緒に歩いていた。

理由は当然、食べ歩きのため。

しかしこの子は更に増量したようで、今では坂道を歩くのも少し億劫な感じになってしまった。

ちなみに大食い勝負は向こうの方が常に勝つようになったから中止している。

だって食べる量が凄いから……そのせいで体型も余計に丸々していた。


顔は真ん丸で首は徐々にお肉に隠れて見えなくなりつつある。

お腹はボンと大きく張り出し、もうブラウスも役立たずだ。

ボタンも留まらず、おへそ周りがぼよっとはみ出てしまっていた。

お尻はかなり巨大で、スカートを穿いていてもサイズ感がよく分かる。

よく見ると穿いているスカートは制服とちょっと柄が違う。

本来のスカートはまともに穿けなくなったらしく、市販の制服っぽいスカートで誤魔化しているんだろう。

しかしそれでもサイズが合わずに安全ピンで無理に留めてるのが不格好だ。

太ももは丸太そのもので、ぼよぼよ震える贅肉が何とも哀愁を感じさせる。


……流石に制服を買い替えた方がいいような。

ブラウスもまともに着れてないし、スカートなんて誤魔化すぐらいならちゃんと買い替えたらいいのに……


「ねぇ、流石に買い替えたら?」

「それは、はぁ、早香も一緒でしょ?」

「う、うぅ……」

「分かるでしょ?買い替えたら負けだって……」


正直、私も制服を新調したら『正真正銘のデブ』になったと認めてしまう気がして……中々踏み切れない。

貴奈もきっと同じように思ってるんだろう。


「私たち、デブなんだから細かい事気にする必要ないよ。

それよりもっといっぱい食べよう?」

「……今日だけだからね?」


大食い勝負は終わったけど、こんな感じで食べ歩きは続いてるから結局食べる量がなかなか減らない。

しかも最近は露骨に貴奈がデブ仲間扱いしてくるし……

あの子、私よりも20kgぐらい太ってるんじゃないの?

今の私が75kgだから向こうは95kgぐらいあっても不思議じゃない。


そう思ったら……私もまだデブの領域に入って……ないよね?

なんて自分に言い訳をしながら、食べ放題のお店に入る貴奈に付いて行った。



---



いつの間にか、8月に入ってそれなりに経っていた。

まだ夏休み中ではあるんだけど……

勉強が多くて全然休んでいる感じがしない。


一応はダイエットしようと考えてはいる。

でも……全く着手出来ていない。


(このまま先延ばしにしてたらいつまで経っても運動できないよね……?)

全然身体を動かしてないことに危機感を覚えた私は、ランニングウェアを取り出してきたんだけど……


(これ……着れる……?)

2カ月ぶりに見たレーシングトップとレーシングショーツだけど、何だか凄く小さく見えてしまう。

当然、放置して縮んだ訳ではない。


私は下着姿になり、それから慎重に運動着を着ようとして……


「あ、あれ……!

えいっ、ふんっ……!入らない……!なんでぇ……」


かなりみっともない声を上げながら、私はショーツを引っ張り上げてお尻を包もうとしている。

でも立派過ぎるでっかいヒップをこんな小さな布に押し込めることなど不可能だった。


「ぐぬぅ……!とりゃ……!」

『(ビリッ……)』

「嘘!破けた!?」


強引に引っ張り続けてたんだけど……何だか嫌な音が聞こえてきた。

慌ててレーシングショーツを脱いで確かめてみたら……ちょっと生地が破けてしまってる……


「こんなの……嘘……だよね……」

私がずっと着てたウェアが、とうとう着る事さえ不可能になってしまった。

でも、鏡に映る姿を見ると納得するしかない。


まずお尻は横にも後ろにもぼよんと大きく張り出していて、見るからに巨大になってしまった。

そんなヒップを包む下着も……買い替えてるのにキツくてしょうがない。

こんなデカいお尻じゃ入る訳無いよね……

しかも、その下の太ももは呆れるほどに大量の贅肉が溢れかえっている。

内股も擦れる程に脂肪の付いた脚は、もう陸上競技どころか普通の速さで走ることすら叶わないだろう。

筋肉などどこにも見当たらないし、触ってみても掴めるのは柔らかい駄肉だけ。


そして上半身も同じくだらしない状態だ。

バストはとても大きく育ってしまい、レーシングトップも結局上手く入らなかった。

着けているGカップのブラが今にもはち切れそうになっていて、背中にはブラがミッチリと食い込んでしまっている。

はっきり言ってキツ過ぎるから家では外してるんだけど……

そうしたら今度は歩く度にプルンプルンと激しく揺れて鬱陶しいんだよね……

こんなに膨らんで重たくなった胸を抱えて早く走るのは……無理に決まってる。

そしてお腹は胸に負けず劣らず前にせり出していて、太鼓腹と言うしかない。

おへそ周りのお肉が嫌になるほどショーツに乗ってるし……


……体重を測ると、とうとう85kgになっていた。

女子高生どころか、男子ですらデブの領域……


(……運動のために着る服すらない……)

学校の体操服なら辛うじて入るかもしれない……とは思った。

でも仮にも元陸上部員、かつて着ていた服以外は着たくない。

だから……運動が出来ないのもしょうがないよね。


(……せめて食事量でも減らすしかないかな)

勉強のストレスもあるし、中々お菓子の量とか減らしにくいんだけど……

意を決して今日から食べる量を普通にしないと……

だって陸上部時代よりも余裕で多くなってるし……流石に早く何とか……


そして、一刻も早く減量して、またあの服を着たい……


……と思ってたら貴奈から電話が掛かって来た。

『もしもし、早香?

今日一緒にドーナツのバイキングに行かない?

最近勉強ばっかりでストレス溜まっててさー。

行くよね?』


……折角誘われた以上、無下に断る訳にもいかない。

「分かった。行こう」


……あのウェアを再び着る機会は訪れるんだろうか。

そう思いながら、電話を切った私は運動着を仕舞い込んだ。


(END)



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