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ハンバーガー屋の賄い料理のせいで肥満化してしまう女子高生の話(全体公開(5537文字)+限定公開(11328文字、最終体重109kg))


「すみません、バイトの応募に来ました細身川(ほそみがわ)と言います」

「ああ、入って入って」


今年から私も高校生になった。

色々チャレンジしたい事はあるけど、まずはバイトをしてみたい。

そう思って学校の最寄り駅にある”東案下ビーフマスター”というハンバーガー屋さんに連絡したら、面接を受けることになった。

初めてだけど大丈夫かな、と不安を感じつつ店内に入る。


「今は休憩時間だから、ここに座って話そう」

「分かりました」

お客さんがいないからか、お店のテーブル席に座って面接することに。

緊張してきた……ちゃんと喋れるかな……



……


「じゃあ明日から来てくれるかな」

「ありがとうございます!よろしくお願いします!」

面接は何とか上手く行き、幸いにもこのお店で働けることになった。


「知ってるとは思うけど、この店は僕と妹の旨実(うまみ)の2人で経営している。

小規模で歴史も浅い店だから、色々雑多な仕事をすることになると思う。

それは大丈夫かな?」

「はい、頑張ります!」

「良い返事だね。期待しているよ」

「ありがとうございます」

店長さんからも期待してるって言われたし、いいスタートが切れそう。

早くお仕事を覚えなきゃね。


「後は……妹を紹介するよ。

旨実、降りてきて!」

「すぐ行く!」

そういや旨実さんには会った事がないんだよね。

このお店自体は何回か来たことがあるけど、巡り合わせが悪かったらしく店長さんしか見たことが無い。

どんな人だろう。店長さんは背が割と高くてスラっとしてるけど……


「初めまして!私は丑野田旨実(うしのだうまみ)と言います!

これから一緒に頑張りましょう!」

「お願いします!」

はきはきした声で挨拶してくれた。

背も比較的高くて、結構かわいい顔をしている。

服装は白いスカートと赤いポロシャツで、店長さんと同じ配色。

きっとここの制服なんだと思う。

でも……体型は店長さんとは明確に違っていた。


かわいらしい顔は二重顎も現れてるし、ほっぺが膨れている。

ポロシャツが包む上半身は胸とお腹のふくらみが浮き出て、身体のラインがよく分かってしまう。

バストは見るからに大きそうだけど、ウエストも同じぐらい出っ張ってるよね……

スカートもしっかり育ったお尻の丸みがよく分かる状態。

その下から見える太ももはパッと見でもムチムチと太い……


明らかに肥満体型だけど、当然こんなことを言える訳が無い。

お兄さんの方は太ってないのにどうして差が付いたんだろう?


「見ての通り、僕たちはまだまだ駆け出しだ。

僕は27で妹は5つ下。事業は今の所順調だけど今後どうなるかも分からない。

でも、このお店を繁盛させるために努力したいと思っている。

これから3人で頑張っていこう!」

「お願いします!」

「これで今日の予定は終わりだけど……

あっ、後は仕事着を渡さないと」

「それなら持って来たよ。

はい、明日からこれを着てね」

「分かりました」

旨実さんから赤と白の服、そしてベルトを受け取った。



……


(これ、サイズ大きいなぁ)


家で試しに着てみたら、やけに大きなサイズだった。

もしかして妹さんと同じ大きさだったりして……

シャツもだぼっとしてるし、スカートに至ってはベルトを締めないと落ちそうになる。

明らかにサイズが間違ってるよね。

でもバイトを始めたばっかりだから言いにくい。

着れることには変わりないし、別にいいかな。



---



翌日の土曜日、私は朝から初出勤のためにお店に向かった。

着いてから更衣室に入り、早速昨日貰った制服に着替える。


着替えてから店長さんに会うと、急に頭を下げて来た。

「すまない、制服のサイズがおかしかったみたいだね」

「別に大丈夫ですよ」

「ついつい妹基準で考えてしまって……しばらくはそれで我慢してほしい」

「全然気にしてません」

まあ、キツくてパツパツよりはマシだよね。別に大した問題でもない。


「じゃあ、最初にメニューと価格を覚えてもらおうかな。

そしてレジの使い方や電話の取り方も。事務作業もできたら嬉しい。

一気に理解しようと焦らなくていいから、安心して」

「分かりました。ちょっとずつ覚えます」

どうやら私は調理の方は担当しないらしく、お仕事はお客さんへの応対が中心みたい。

後は細々した雑用とかもあるのかな。


「後……今日は10時から15時までの勤務だったね。

昼食はどこかに食べに行く?それとも賄い料理が良い?」

賄い料理……そういや求人にも書いてあったよね。

このお店って美味しいし是非食べたい。でも流石に多少はお金が掛かりそう……


「それって無料ですか?」

「当然タダで提供するよ。従業員だからね。

勤務が終わる頃にはお店も一旦閉めるし、ゆったりした気持ちで食べてほしいと思っている。

まあ、食べる時間は遅いけど飲食店だから仕方ない。慣れるしかないかな」

「タダでいいんですか!?嬉しいです!」

「いっぱい食べてね」

「はい!食べます!」

ここのハンバーガーって近江牛とか使ってるから高校生には中々手が届かないんだよね。

それがタダなんて……凄い。



……


「いらっしゃいませ!

2名様ですね!こちらにどうぞ!」

私は旨実さんに付いてもらって、接客の方法を教わっている。

この人は声がしっかり通るし、笑顔がかわいらしいからこういう仕事に向いてるよね。

私も頑張らないと……



……


「お疲れ様でした。初仕事はどうだったかな」

「結構疲れますね」

「お客さん相手だし、立ってることが多いから大変だと思う。

よく頑張った」

「そんな、何もしてませんよ」

旨実さんの見よう見まねで動いてただけで、本当にこれでいいのかなと思うけど。

でも頑張ったと言われたら嬉しい。


「じゃあ、お待ちかねの賄い料理の時間だ。

今日はスーパーバーガーとポテトLL。しっかり食べてほしい」

「ありがとうございます!」

こんなに食べれるなんて、凄く嬉しい。

……でも、かなり量が多いような。



「はい、旨実と細身川さんの分」

「ありがとう。食べるね」

「美味しそうです!いただきます!」


私はトレイを取ってテーブルに置く。

そして目の前の料理を眺める。

(やっぱり美味しそう……)


(ぐぅぅぅぅ……)

ハンバーガーを見ていたら、かなり大きな音でお腹が鳴ってしまった。


「あはは、かなりお腹空いてるみたいだね。

早く食べてお腹いっぱいにしないと」

「はい、そうします……」

こんなにうるさくお腹の虫が騒ぐなんて……恥ずかしい……

朝食後から今まで一口も食べてないから凄くお腹が減ってるんだよね……

お仕事してる間は緊張感もあったし、覚えようと必死だったから空腹感を感じる余裕も無かった。

業務時間が終わって気が抜けたのかも。


(美味しい……!)

一口食べてみると……やっぱり美味しい。

使っている材料も厳選してるし、お肉の厚みも凄い。

噛みしめるたびにどんどん美味しさが溢れ出る。


「美味しいです!」

「ありがとう、たくさん食べて欲しい」

「いっぱい食べてねー」

「はい!」

私はポテトやハンバーガーをどんどん食べ進めていく。

最初はかなり量が多いと思ってたのに、案外食べれそうな気がする。



……


「あっという間に食べちゃいました」

「おお、良い食べっぷりだ。

まだ何か食べる?」

「いえいえ、お腹いっぱいです!」

「遠慮しなくていいよ?」

店長さんは優しくそう言ってくれた。でも……


「大丈夫です!」

……本当はもうちょっと食べたいけど、これ以上食べたら凄いカロリーになる。

だから追加は止めておきたい。


それにしても……お腹がペコペコだったとはいえ、この量をすぐに平らげたのが自分でも信じられない。

元々お肉とか脂っこいものが好きな方だけど、ちょっと食べるのが早すぎるかも。



「細身川さん、また明後日に来てね」

「またね、涼夏(りょうか)さん」

「お先です!」

賄いを食べてすっかり満足した私は、更衣室に入って着替えてからお店を出た。



---


6月の初め頃。

いつの間にかバイトを始めて1カ月位が経っていた。

ちょっとずつ仕事の内容にも慣れてきたんだけど……


(あはは、やっぱり太ったなぁ)

毎回の賄い料理が高カロリー、そして量も多いと来れば太るに決まっている。

鏡で見るとおへそ周りがプニっとしてるし、簡単にお肉を摘まめてしまう。


体重を測ると54kgで、入学時よりも4kg太っていた。

でも……だからと言って何か問題がある訳でもない。

ほとんどの人は太った事すら気づいてないし、自分でも大して気にならない。

太ったけどバイトの服はブカブカのままで、サイズは相変わらず大きいし。

気になるのは、せいぜい体重を測る時とじっくり鏡で身体を見つめる時ぐらいかな。


むしろたくさん美味しいものを食べられる方が嬉しい。

ここでバイトして正解だったよ。

まさかこんなに気前よく食べさせてくれるなんて……

逆に申し訳ないような感じがする。



……


15時になり、私は賄い料理を旨実さんと食べている。

店長さんは用事でどこかに出掛けてしまった。

「良い笑顔で食べるね、涼夏さん!」

「そうですか?旨実さんの方がもっと良い顔してますよ」

色んな事を旨実さんから教わることが多く、話す機会も多い。

一緒に賄いを食べていることもあって、自然と仲良くなってきた。


「仕事は慣れてきた感じ?」

「はい、旨実さんと店長さんのおかげで」

「良かった。私たち、バイトを雇うの初めてで心配だったけど……」

「そうなんですか?

でも居心地が良いですし、卒業までここに居たいです」

「そう言ってもらえて嬉しいな」

今の所大きなトラブルも無く、順調にバイトのお仕事ができている。

店長さんも妹さんも良い人で良かったよ。


「話変わるけど、涼夏さんはもっと賄い料理食べたい?」

「それは……」

最近は沢山食べるのに慣れてきたからか、出される量が少なく感じつつある。

だから、正直増やして欲しかった。

でもタダで食べてる以上自分からは言いにくい。


「食べたいなら増やせるけど、どうかな?」

「……食べたいです!」

「そうこなくっちゃ!」

「ありがとうございます!」

旨実さんの方から量を増やすと言ってくれた。

そんな風に配慮してくれるなんて本当に嬉しいなぁ。

もっと頑張って働かないと。



---



今日から7月が始まった。

バイトをスタートしてから2カ月位が経過したことになる。

最近は旨実さんや店長さんに言われなくても大体は動けるように。


そんな感じで順調な事ばかり……という訳にもいかなかった。


(あれ、何だかキツい気がする?)

朝着替えている時、学校の制服が妙にキツく感じた。

ブラウスはともかくスカートのホックが微妙に留めにくい。

別に穿けない訳でもないけど……前まではこんなことは無かったはず。


なんでだろうと思ってお腹を触ってみると、ぷにょっとした柔らかい贅肉をしっかり掴めてしまった。

スカートから伸びる太ももはムチッと太くなってきたし、顔も何だか丸い輪郭に……

腕もちょっと弛んでる気がする……

(そりゃ太るよね……)

ただでさえ多くて脂っこい賄いを増やして貰ったんだから、無事で済む訳が無い。

体重はしっかり増量して60kgを差す程になってしまった。


でも……減らせる訳が無いよ。

だってバイトの時、平日は21時半から晩ご飯だし、休日は15時から昼ご飯だから……

しかも仕事の時間は美味しそうなハンバーガーをずっと目にしてるし、お肉を焼く時の匂いが嫌でも鼻に入ってくる。

こんな環境にいると異様な空腹感を感じるのも無理はないよね。


凄まじい空腹感に耐えてお仕事した後は、当然思いっきり食べたくなる。

だから賄いを少なくすることは不可能と言っていい。

まあ、まだまだ肥満体型と言えるほどでもないし、バイトの服だって余裕だし……

困ったことと言えば元々サイズにゆとりの無かった服が何着か入らなくなったこと、

それと水泳の時にぽっちゃりした体型で水着姿になるのがちょっと恥ずかしい……位かな。


確かにこのままだとマズい気はするけど……

でも旨実さんは太ってても綺麗だし、案外デブっても大丈夫なような……

そんなこと考えてたらダメだよね。



……


「店長さん、最近私太ってきたんです」

お仕事が終わった後、私はハッキリと切り出した。

「……そうかな?僕は何も気にならないけど。

気にしすぎかもね」

店長さんは気を遣ってくれているのかな。

それとも本当に分からなかったりして……どうなんだろう。


「ちょっと位ぽっちゃりしてる方が良いかもしれないよ。

気にせずいっぱい食べるのが一番だと思う」

「……そうですよね。ありがとうございます」

まあ、店長さんもぽっちゃりしてる方が良いって言ってるし、今のままで問題無いかな。

それに旨実さんの方が大分太ってるし……あの人に比べたら私はまだ痩せてる方かも……


「ということで、今日もしっかり食べてね」

出されたのはパティ3枚を挟んだウルトラバーガー、そして何サイズか分からないポテト。

後は何故かメニューに無いはずの唐揚げまで用意してくれた。


(ぐぅぅぅ……)

トレイに乗っている賄いを見た瞬間、『食べる量を減らした方が良いかも』という雑念は頭から消え去った。

「いただきます!」



---



高校生になって最初の夏休み。

私は東案下ビーフマスターで頑張ってバイトしている。

お仕事も最近はしっかりこなせるようになってきたし、

お客さんからも『いつも頑張ってるね』と声を掛けられることもある。

それに……いっぱい賄いが食べられるのがいいよね。いいんだけど……


(ちょっとこれはマズいかも……)

今日はバイトも無いし、朝からお出かけしようと思っている。

でも……久しぶりに脚を通したジーンズが……

(ふんっ、はぁ……は、入らないよ……)

頑張って何度もファスナーを閉めようとしたけど、上手く閉じてくれない。

ボタンも全然留まらなくて、グイっと引っ張っても届きそうにないし……


鏡で見ると、ファスナーの開いたジーンズにおへそ周りのお肉がぽよんと乗っていた。

太ももやお尻もパツンパツンで座ったら破けそうな位だし……

これは結構太ってるよね。もうちょっとしっかり体型を確認しないと。


(大分太ったなぁ……)

服を脱いで下着だけになると、全身のだぶついた脂肪がよく分かってしまう。

お腹はショーツの上で贅肉の段を作っていて、括れなんて跡形もない。

太ももは結構なムチムチでお肉が震えるし、お尻も最近ショーツを買い替えた程に大きくなっている。

二の腕は弛んで柔らかく、顔は二重の顎が出来つつある丸顔になってしまった。

胸もそれなりに膨らみ、Fカップのブラが包むバストはそろそろ自慢できるレベルのサイズに成長している。

ただし他の部分が相応に太くなってるから……そんなに良い事じゃないよね……


かなりのぽっちゃり体型になり、そろそろデブと言われそうな程に太った私。

1カ月ぶりに測った体重は67kgもあった。

こんなに太ったらジーンズも入らなくなるよね……


(そろそろダイエットとか……でもどうやって……)

バイトをしている限り、大量に賄い料理を食べてしまう。

空腹に耐えながらお仕事をしているから食欲がいくらでも増えるし。

だったら運動したらいいのかもしれないけど……苦手だからなぁ……


痩せる方法はまた明日考えようかな。

取りあえず今日は……サイズの大きなこのスカートでも穿いて出掛けよう。

シャツを着て、スカートを脚に通して、ホックを閉めて……

あれ、何だか前よりも余裕がないような?気のせいかな。



---



(嘘でしょ、なんで……!)

夏休みも明けて久々に制服を着た、正確に言えば着ようとした私。

しかしスカートのホックが一向に留まりそうにない。

何度も何度も引き寄せてるけど、どうしようもない気がしてきた。


(……安全ピン付けよう)

デブった女子が仕方なくピンで留めてスカートを穿くというのは聞いたことがあるし、見てしまったこともある。

でもまさか自分がこんなことをする羽目になるなんて……


鏡で見た自分は、もう肥満体型と言っていい程に太っていた。

顔の二重顎は正面を向いても出来てしまってるし、ブラウスはギリギリボタンが留まっていてピチピチ。

スカートは安全ピンが付いててファスナーも閉まり切ってない、何とも情けない状態。

そんなスカートから顔を出す太ももはかなり太く、お尻も大きくなったのが丸わかりで……


8月の初め以来乗っていない体重計に全身を乗せると、75kgという数字が表示された。

70の大台も軽く超えてるなんて……改めて見るとショックを受けてしまう。


どうしよう……水着も入る訳無いし、制服も体操服もまとめて買い替えないと……

でも1年生で制服を替えるなんて勿体ないよね。

今回は仕方ないけど、また買わないといけない事態に陥ることは避けたい。

これ以上は太らないように気を付けなきゃ……



……


(あれ、何だか変だなぁ)

いつも通りお店にやって来て、バイトの服に着替えてるんだけど……

あんなに余裕のあった、というよりブカブカ過ぎたポロシャツが少しキツい気がする。

別に入らない程でもないとはいえ、今まで感じたことの無い感触だった。


そしてスカートも、前まではベルトを締めないとすぐにずり落ちそうだったのに……

今ではそこまで締めなくても問題ない、というかきつく締めれなくなったというか。

こちらもホックやファスナーはちゃんと閉じれるけど、微妙にサイズが小さいような。

最初はブカブカだったはずなのに、こんなに太るなんて……



……


「今日も美味しい~」

お店の営業時間が終わり、私と旨実さんはいつも通り賄い料理を食べている。

それにしても……最初は凄く太ってる気がしていたのに、今見ると大したことが無いように思えてきた。

もしかして今の私ってこの人よりも太ってる?

流石にそこまでは体重が増えてないとは思いたい。


今日はウルトラバーガーに加えてフライドチキンも大量に作ってくれた。

この食事が太る原因なのは分かっている。

(ぐぅぅぅぅ)

でも我慢することは出来そうにもないよ。

日に日に食欲は増えてるし、それなのに勤務中は食べることができないから……

最近はお腹が空き過ぎて、お客さんに出す料理に手を伸ばしたくなる衝動に駆られることも多くなった。

そろそろ危ないかもしれない。


だったらお仕事の前に食べたらいいのかも。

……そんなことしたら余計に太るだけだよ。

幾らなんでもそこまで落ちぶれてはいないと思いたい。


「細身川さん、本当に美味しそうに食べるから嬉しいよ」

「涼夏さんの食べる姿って、幸せ感が溢れてる感じだよね」

「ありがとうございます!」


店長さんも妹さんも、私がもっともっと食べることを期待しているのかな。

そんな風に思いながらバーガーとチキンを完食した。

今食べたものがみんな脂肪に変わって身体に付くなんて、考えたくもない。



---


10月になったのに暑くて仕方がない。

学校から帰って来た私はエアコンをすぐ付けて、着替えるために制服を脱いだ。

手に取ってみると、ブラウスもスカートもシルエットがかなり大きい。

(はぁ……まさか制服を買い替えるなんてなぁ)

そうは思っても、私の食欲は止まりそうになかった。

事実、今日体重を測ってみると83kgで1カ月前よりも8kg増えている。


身体に沢山の贅肉が付いたからか10月になったというのに大量の汗をかいてしまう。

お仕事が終わった後はポロシャツが汗でしっとり湿っていることが多い。

文字通り汗水流して働く姿を見て、お客さんからも『大変だねぇ』と言われることもある。


お肉の増した身体は、まさしく肥満体型そのもの。

既に旨実さんよりも太くなった私の姿が鏡に映っている。


ほっぺが膨れ丸々した顔に、たぷたぷのお肉ですっかり弛んだ二の腕。

ウエストには餅みたいなお肉の付いただらしない段々腹が出来上がっていて、デブとしか言いようがない。

大量の贅肉がショーツに乗っかる姿を見てげんなりする。

お尻もたっぷり付いたお肉のせいで余計に突き出し、穿いているショーツもサイズが大きいはずなのに食い込みがキツい。

太ももはぶよんとした脂肪が溢れてムッチムチになっている。

胸もGカップになり、立派なバストが服越しでも張り出しているのが分かる程になった。

ただ、お腹も同じくせり出してるのが見えるから……バストが増量した嬉しさがあまり無い。


こんな体型になっても、サイズを上げたおかげで制服は難なく着ることができる。

もうスカートが穿けないとか、ブラウスのボタンが飛びそうといった悩みを持たなくて済む。

まあ、これで後2年半は大丈夫だよね。

また買い替えるなんて恥ずかしすぎるし、そこまでは太らないように気を付けないと。



……


(早く食べてお店に行かなきゃ)

もう勤務時間中の空腹を我慢できなくなっている私は、出勤前にご飯を一旦食べて出発するようになった。

そのおかげでお仕事中は何とか耐えられるレベルになっている。

でも賄い料理も以前と変わらず食べるせいで、肥満化が加速してる気がするんだよね。

現に80kgも越してる訳で……こんなに太ったら動くのもちょっと億劫になる。



(はぁ、ふぅ、ひぃ……)

駅の階段を上るだけなのに、お肉が付いた身体が重くて呼吸が乱れる。

太もも、お尻、お腹、胸……色んな部分がたぷんと震えて動きにくい。

運動もどんどん苦手になってるし、最近は学校の体育が憂鬱で仕方ないよ。

こんなんじゃダメだと分かっているのに……勤務が終われば大量に食べまくるんだよね。



(うぅ、スカートが……)

お店に着いた私はバイトの服に着替えようとしたんだけど……

ポロシャツがパツパツで大きな胸もぶよぶよのお腹もくっきり輪郭が見える状態。

そしてスカートのホックが中々留まってくれない。

こんなに大きな服がキツく感じるなんて……

ベルトだって締める必要が無い気がするけど、一応ちょっとは締めている。

着けたベルトがお腹に食い込んで、お肉が上下に分かれているのが無様な感じだよね……



……


もう仕事にも慣れて、私はテキパキと動けるようになっていた……訳でもない。

動きは分かってるんだけど……

「はぁ、さ、3名様ですね!

ふぅ、こちらのお席にどうぞ!」

最近はお店で動き回るのも身体が重くて……

最初の頃は颯爽と歩いていたのが、今でははぁはぁと息を荒げて移動している有様。

特に厄介なのが階段を駆け上がる時なんだよね。


「ひぃ、はぁ、……お待たせしました!」

「大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫です!」

汗をダラダラ流してヘトヘトになっている私は、持久走でも走って来たかのような様相をしてると思う。

一体何事なんだとお客さんもびっくりしてるよね……


(ぐぅぅぅ)

そして食べてきたはずなのにお腹が空いてきた。

運んでいる美味しそうなハンバーガー達が食欲をかき立ててくる。

(あともうちょっと我慢したら……私も食べられるから!)

自分にそう言い聞かせて、お仕事に集中しないと。



……


「お仕事の後に食べるハンバーガーは格別です!」

「やっぱりそうだよねー」

「二人にそう言ってもらえて嬉しい。僕も作り甲斐がある」


今日はウルトラバーガーを2つ、そして山盛りのポテトがトレイに乗っている。

これを女子高生の私が難なく食べてるんだから、普通に考えたら変な話だよね。

実際、隣の旨実さんはウルトラバーガー1つなのに……いつの間にか食事量まで逆転していた。


こんなんじゃどこまでもブクブクと太っていく。頭では分かっている。

でもお仕事で疲れた私に『お腹いっぱい食べたい』という感情を抑えられる訳が無い。

しかも周りはそんな自分を止めてくれないし。


このお店で働いてる限り、太り続けるしかないのかな。

他の場所でバイトした方が良かったのかも……

まあ、ここで美味しいものをたらふく食べるのに慣れ切ってるし、今更遅いんだけどね。



---



11月になったけど、まだまだ気温が高い気がする。

汗をかく事だって普通にあるし……


(はぁ……)

買い替えた制服が早くも余裕が無くなって来た。

まだ着ることは出来るけど、スカートのホックは緩めの位置に調節しないと留まらない。


こんなに太るとどんな服装でも体型がよく分かってしまう。

お腹がドンと突き出ているのは隠しようがない。

特にブラウス姿だとでっぷりしたおへそ周りの輪郭がかなり分かりやすい。

ブレザーを着てても、ふんわりしたセーターを纏ってても太鼓腹が目立ってる……


まあ、学校の制服はサイズを上げてるからこの程度で済んでるんだよね。

バイトの服の方は……



……


(はぁ……はぁ……キツイ……)

服に身体を押し込んで、強引に着用する。

あんなにサイズの大きかった服がはち切れそうな程に。

ポロシャツはおへそ周りを通過させるのが中々大変で、思いっきりお腹を凹ませて何度も引っ張る必要がある。

でも、もっと大変な事になっているのはスカートだった。


ホックを留めるのがとてもキツく、力任せに生地を引っ張っても届かない。

それで……誰も見てないのをいいことに寝転んだりしてスカートを穿いている。

頑張れば何とか留まるけど……もう限界かも。

ファスナーだって本当に閉めにくくなったし……


こんな状態だから、強い圧迫感を感じながらお仕事をしている状態が続いている。

服を替えてもらったら楽になると思うけど……

そんな恥ずかしい事、私から言える訳が無いよ。



……


「ふぅー……はぁー……賄い、ありがとうございます」

「大丈夫?何だか体調悪そうだけど」

「気にしないでください。大丈夫です」

店長さんは私の体調が良くないと思ってるかもしれないけど、単純に服がキツくて苦しいだけ。

本当にサイズ上げた方がいいよね……でも……


「いただきます!」

まずは賄いを食べないと。

ウルトラバーガー2つに加えて、骨なしチキンも3つ用意してくれている。


「美味しいです!」

「いつも良い笑顔で食べてくれてありがとう」

店長さんは度々こういう事を言ってくれる。

意識して表情を作ってる訳でもないんだけど……、ここの味が好きだから、自然と笑顔になってるんだと思う。

そしてお仕事が終わったという解放感もあるのかも。



あっという間に完食した私は、片付けた後で更衣室に向かった。

「はぁ、ふぅー……お腹が……苦しい」

今やこの程度の量ではお腹いっぱいにならない程に食欲が増えてしまった。

しかし、服が締め付けるせいでお腹周りが苦しくて辛い。


(はぁ……疲れたなぁ……)

今日は学校も体育があったし、何だか疲労感が溜まっている。

こんな時は、設置してあるソファーに座るのが一番。


そう思って私はソファーに身を預け……


『(バキッ……)』


……今、変な音がしたよね。

何かが壊れたような、弾けたような……


不審に思って立ち上がってみると、スカートの窮屈な感じが楽になっていた。

おかしいと思って鏡を見たら……


ホックが変形してしまっていて、ファスナーも全開になっている。

ヘロヘロになったスカートがずり落ち、そのせいでお尻もショーツも顔を見せてて……


……誰もいなくてまだ良かった。

もし店長さんや妹さんにこんな姿を見られてたらと思うと……

お客さんの前でスカートが弾けてたら……最悪だよ。


……誰かに見られてなくても十分酷い状況だけど。

限界を迎えたスカートを脱いで手に取ってみると、金具は無残にも壊れていた。

それだけじゃない、勢いが良かったのか少し生地まで破けている。

お尻やお腹の肉厚の凄さがこれでもかと伝わってくるよ……

ポロシャツも汗でびしょ濡れだし、お腹や胸に引き伸ばされ続けたせいで生地がちょっと伸びてる……


こうなった以上、バイトの服を買い替えないとどうしようもない。

服のお金はバイト代から引いてもらっていいから、一刻も早く交換しないと。



……


「すみません、バイトの服がこんなことに……」

「別に構わないから。気にしないで」

「本当にすみません」

「大丈夫だから」

店長さんは怒ることも無く、買い替えに応じてくれた。


「涼夏さん、別に大丈夫だよ。

私だってビリって破いたことあるし」

「そうなんですか……?」

「これ位大したこと無いよ!」

「ありがとうございます」

旨実さんも優しいなぁ。

……もしかして店長さんと一緒に働き始めて太ったのかな?



……


「本当に……あのスカートの金具を壊す位太るなんて……」

帰宅後、鏡を見てげんなりする私。

その姿は旨実さんよりも2周りは横に広く、かなりのデブになっていた。


顔は二重顎の肉が首を覆い始めていて、喋る度にたぷたぷと震えてしまう。

ウエストは立派な太鼓腹が思いっきり突き出し、存在感たっぷりで目立ちすぎる。

ショーツに乗りかかった贅肉が多すぎて、前から見ると下着が結構隠れるレベルになってきた。

お尻は巨大としか言いようが無く、かなりサイズを上げたはずのショーツが破けそうな程に緊張している。

脚は贅肉だらけで内側が擦れまくるし、太ももはその辺の女子高生のウエストより太いと思う。

胸は流石に大きく、着けているブラもかなりサイズアップを果たしている。

でも、アンダーバストが増えるばかりでGカップから変わってないけど……


こんな体型になってしまったせいでまともに入る服を探すのも面倒になってきた。

今では適当なTシャツとでっかいジャージを着て過ごしている。

着たい服というより着れる服を探している状況で選択肢もどんどん狭まっている。

ショーツもブラも私ぐらいの肥満体型に合うものが少なくて……


買い替えるのも段々と億劫でどうでもよくなってきた。

どうせ何着たってデブなんだから……

鏡を眺めるのはこれぐらいにして、さっさとケーキでも食べようっと。



「甘くて美味しい……」

チョコたっぷりのガトーショコラを次々と頬張る。

お店だと甘いものは食べれないから家でしっかり補給しないと。

立派な巨デブなんだし、お菓子をたらふく食べても問題無いよね?


ケーキを完食した私はついでにその辺にあった板チョコも口にする。

どこにでもあるミルクチョコレートだけど、普通に美味しい。

あとは……今日はこれ位にしておこうかな。



「……こんなんだから太るんだよね」

最近、一段と食べ過ぎていることは分かっている。

……でも食欲がどんどん増えて止めようがない。


流石にそろそろ痩せた方がいいんだけど……

91kgにまで増えてるし……そろそろ100kgの大台が見えてきたなんて……



---



12月になり、流石に肌寒い季節になって来た。

私の食欲は相変わらず膨れ上がったままで一向に減る気配はない。

体重も当然ながら増えっぱなし。


「うわぁ、99kg……」

1カ月ぶりに乗った体重計は99kgという数字を示してきた。

ギリギリで100kgは超えていないとはいえ、1週間もしない内に3桁の大台に乗るよね。


制服は増量を重ねた私を頑張って包み込んでいる。

でもかなりパツパツで、カーディガンとブラウスもお腹や胸にぴったり張り付いて身体のラインを全く隠せていない。

スカートもホックが留まらなくなったし、でっかいお尻の輪郭がよく分かる状態。


買い替えて2カ月ぐらいしか経ってないのに……もうキツくなってしまった。

恐ろしい話だよね……こんな短期間でまた買いたくないよ。

お金が勿体ないのもあるけど……何より情けない。


バイト先で異様な量の賄い料理を食べ、そして帰宅後にバクバクとお菓子を食べて……

これ以上太りたくないと思うことも多いのに、食欲はひたすら加速を続けている。

どうしたらいいんだろう……何も思いつかないよ。

バイトを辞めるしか方法がないのかな。



……


お店に着いた私はバイトの服に着替えている。

設置された鏡が容赦なく現実を突きつけてくるから、逆を向いていることが多い。

まさしく現実から背を向けている私だった。


もう鏡で確認したくないぐらい太り過ぎなんだけど……

それでも新しく支給された服は余裕のあるサイズで、特に問題なく着ることができる。

おかげでバイト中も賄いを食べる時も、お腹が締め付けられて苦しい思いをすることが無い。


今脱いだ私服だって特大サイズでゆったりしている。

コートやパーカー、シャツにスカート、どれも今の私でも問題なく着れる大きさ。

ただしショーツとブラはキツくて食い込んでるけど……もう下着は合うサイズが中々なくて……



「はぁ、ふぅ、お待たせしました!ウルトラバーガーセットです!」

100kg近い巨体を揺らしながら店の中を駆け回る私。

こうやって動いているのが良かったのか、巨デブの割にはまだ動ける。

でも動くたびに息がかなり荒れてるけど。階段を上る時がとてもキツいし……


でもお仕事が終わった後は賄い料理が待っているから。

それを食べるために私は頑張れる。

あと1時間耐えたらいっぱい食べれるから、そう自分に言い聞かせながらお仕事を続けた。



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冬休みもあっという間に過ぎて、私は再び登校することになったんだけど……

そういや今体重どれ位あるんだろう。結局休み中も食べ過ぎて太ったからなぁ。


『(ミシッ)』

体重計に重たい脚を乗せた瞬間、軋むような音がした。

壊れるんじゃないかと冷や冷やしながら測定した結果は……109kg。


……前測った時は99kgだったから、3桁になるのは時間の問題だとは思っていた。

でも改めてこの数字を目にすると……自分でもドン引きしてしまう。


(59kgも太ったってことだよね……元の倍以上……)

かつての自分の体重分よりもたくさんの贅肉が身体に付いてしまったという現実。

私は背を向けていた鏡を直視することにした。


顔は二重顎というか首が本格的にお肉で包まれて埋もれてきた。

頬は丸々と膨らみ、ぱっちりしていた目が少し細くなった気がする。

ズドンと突き出した迫力あるお腹は今やつま先さえ見えない程で、階段を降りるのが怖くなってきた。

おへそ周りの贅肉も大量過ぎて結構垂れてきており、ショーツはすでに前からは見えない。

お尻は異様な位にムッチリ膨らんでいて、下着がかわいそうになる程にギチギチに引き伸ばされている。

というか既に2回ぐらい破けてるんだけどね……恥ずかしすぎて誰にも言えないよ。

こんなにも増量したおかげでバストは非常に大きく膨らみ、サイズだけはその辺の女子には負ける気がしない。

まあ、重すぎてだるんと垂れ気味だから形は綺麗でも無いし、着けられるブラが本格的に探しにくくなった。


部屋で着ているTシャツもおへそがはみ出る状態でジャージも前が閉まらない。

着替えのバリエーションがかなり減ってるし、女の子らしさは皆無かも。

下着も私服も何もかもはち切れそうなのに、服はあまり買い替えていない。

サイズの合う服をわざわざ探しに行く手間が面倒で、お菓子を買う方ばかりを優先してしまう。

お腹が顔を出してようが、ブラやショーツが合ってなかろうが、何だか気にならなくなってきた。

賄い料理やお菓子がいっぱい食べれて、満腹になれば幸せな気分になれるから。

周りの女子からすれば今の私は豚か牛みたいなものかもしれない。ただ食べることばかり考える家畜か何かで……あはは。


……自嘲するのもこの辺にして、制服に着替えなきゃ。

鏡を眺めて落胆の思いを抱いたところで時間が過ぎるばかり。


(……まあこうなるよ)

ただでさえ女子高生としてかなり残念な見た目になっているのに、制服を着るとその事実が余計に強調されてしまう。

10月の頃は難なく余裕を持って着れていたはずなのに、今にも引き裂かれそうな程に張り詰めている。

しかもこれがまだ買い替えて数カ月しか経ってないって……


まずブラウスはボタンがまともに閉まらず、胸やお腹を包み込むことができていない。

大きく横に潰れたおへそや深く形成された谷間がしっかりと顔を見せてしまう。

カーディガンも太り過ぎたせいでボタン同士の間に菱形の隙間が大きく開いている。

そして、当然のようにブレザーは前が閉まらない。

スカートは1本の安全ピンで留めることもできなくて、2本使って辛うじて届くレベル。


客観的に見たら羞恥のあまり外に出られない恰好かもね。

でも3桁を超えてるほどの立派な巨デブなんだし、まあ別にいいかな。

ジャージで登校するよりはマシだよね。



……


学校が終わった後、私はいつも通り東案下ビーフマスターに出勤した。

そして、普段と同様にバイトの服に着替えてお仕事の準備をする。

この服すら既に余裕があまりないけど……着れなくなったらまた買ってもらえばいいや。



「はぁ、ふぅ、はぁ……」

この店を動き回ることに慣れたとはいえ、積もり積もった贅肉という負担が私の脚にのし掛かる。

……脚自体もお肉で溢れてるけど。

特大に育ち切った胸がブルンと大きく揺れ動くし、ひたすら大きく膨れたお腹もボヨボヨと振動する。

太ももはたぷんたぷんと震えて頻繁に擦れ合い、盛大に左右に広がったお尻もぶにょんと揺れてしまう。

とにかく動くのに向いていないこのデブった身体を必死に動かして、店内を駆け巡る。



「ひぃ、ふぅ、こ、こちらのお席に……どうぞ……」

ただ……流石に太り過ぎにも程があるみたいで、1時間もすればもうヘトヘトで疲れが蓄積してしまう。

動作はかなり鈍くなるし、これじゃ足手まといになるかもしれない。

私以外の、もっとテキパキ動けそうな子を雇った方が良いんじゃないかな……

そう思うと余計に気分が下がってしまう。



……


お仕事が終わり、賄い料理を食べている私。

でもいつもと違って今日はあまり幸せな感情は沸いてこない。


普段なら賄い料理を食べることに夢中になれるのに……

でも、そもそもこんなものを食べまくってるから100kg越えになった訳だよね?

そのせいで動きも遅くなったし、バイトの服も買い替えてもらうことになったし……

今食べている料理だって普通に食べたらかなり高いはず。


……私って、お店に迷惑を掛けてるんじゃないかな。

動作は鈍くて身体はデカい、大量の賄い料理をタダで食べまくる……

本当に私を雇うメリットなんてあるのかな……


「……何だか様子が変だね?」

いつの間にか店長さんが隣に座っていた。

こんなことにも気が付かなかったなんて。


「……私って、役に立ってるんでしょうか。

デブで、動きは遅くて、食べる量は多すぎる……そんな私がここにいて……」

「細身川さん、あなたはとても頑張って僕達のお店に貢献してくれている。

必要不可欠な人材だと思ってるよ」

「……でも、他の子の方がもっと動きも良いと思います。

それに痩せてる女子はいっぱいいますし」

私がそう言うと、店長さんはニコリと笑った。


「……女子高生にこんなことを言うと失礼かもしれないけど、あなたが太っていく様子はお客様もよく見ている」

「まあ、常連さんは私がどんどん太ってることを知ってると思います」

店長さんは何が言いたいのかな?

「実は……それが結構良い宣伝になってて」

「……どうしてなんですか?」

私が太ることが何故宣伝になるんだろう。

全然意味が分からない。


「知らないと思うけど、旨実はもともと太ってなかったんだ。

でも、このお店で働き始めてから結構増量してしまって……

だけどそれがお客さんが増えるのに繋がった」

「そうだったんですね、でもお客さんが増える理由がよく分かりません……」

旨実さんも私みたいに賄い料理のせいで太ったんだね……

でも体重は現状をキープしてるみたいだし、今では私よりもずっと軽い部類だけど。

それはそうとお客さんが増えるってどういう意味なんだろう。


「……今まで内緒にしていたことがある。

気分を害するかもしれないが許して欲しい」

「何でしょうか?」

「……賄いを食べる様子をSNSやホームページ上に公開してるんだ」

「えっ……!?」

そんな事初めて聞いたんだけど。

じゃあ、私が夢中でハンバーガーを食べてたのも、チキンにかぶりついてたのも……

誰かに見られてたってこと?凄く恥ずかしいんだけど……


「当然顔とかは見えないように加工してるから安心してほしい」

「……それなら良かったです。でもせめて一言言ってくれたら」

「申し訳ない。自然な感じにしたくて……」

「……大丈夫です」

顔が分からない状態なら別に良いけど、事前に言ってほしかった。


「……細身川さんや旨実がいかにも美味しそうに食べる写真には、かなりの集客効果があるんだ。

そしてあなたが太っていくのも、それだけこのお店が美味しいというアピールに繋がる。

だからいっぱい食べるのも、太るのも効果があるんだ」

「……じゃあ、私がこんなに食べて太ったのも……お店のためになってるんですか?」

「その通り。だから気にせずにこれからも美味しく食べてほしいと思っている。

むしろ他の子じゃダメだ。だってこんなにハンバーガーばっかり食べるなんて普通は無理だから」

確かに、普通の女の子なら週に3回も4回もこってりしたハンバーガーを食べるのは難しいかも。

だとすると私って普通じゃないってこと?まあそうかもね。


「……ありがとうございます。私、これからもバクバク賄い料理を食べます!」

「おお、良い笑顔だね」

悩む必要なんてなかった。

私は今まで通り頑張ってお仕事して、そしてお腹いっぱい食べたらいい。

店長さんの期待にしっかり応えないと。


「(ぐぅぅぅ)」

食欲も何だかかなり湧いてきた。

よし、今日もいっぱい食べないと!

そう思ってウルトラバーガーを一心不乱に食べまくる。


「美味しい~!」

「素晴らしい笑顔!それでこそ細身川さんだ!」


店長さんに褒めてもらえて余計に美味しく感じてきた。

今日はもっと食べれるかも!


「店長さん、もっと食べていいですか?」

「どんどん食べて!」

「ありがとうございます!」


私は文字通り喜びを噛みしめた。



---



[END]


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