『大食のバケーションアイランド』プロローグ(1人目)
Added 2023-01-30 11:23:52 +0000 UTC実際のゲームで使うかは未定ですが、1人目の登場人物「智味」編のプロローグです。
---
「やっと着いた……」
住んでいる場所から7時間掛けてこの「バケーションアイランド」、通称VI島までやってきた智味(さとみ)。
彼女は希望していた国立大学に現役で合格できず、浪人生として勉強に励んでいる。
そんな智味だが、決してVI島にリラックスするために訪れた訳ではない。
この島は休暇を楽しむ場所としても知られているが、主にワーケーションを行ったり、独学での勉強をするための施設として整備されている。
海に出て気分転換をしたり、レストランで様々な料理を味わうことができるとはいえ、それは快適に仕事や学習を行うことを目的としているのだという。
離れ小島という邪魔の入りにくい環境で、集中できるワークスペースを作り出すのがメインなのである。
智味も入試対策の勉強をもっと集中して取り組みたいと思って、はるばるやって来ることに決めたのだった。
「おお……広々してる……」
指定されたコテージに入った彼女は、その空間の広さに驚いていた。
一人で過ごすには大きすぎる程であり、4~6人程度が宿泊できる規模である。
一番広い部屋は本当に何も無く、ノイズとなるようなものは存在しない。
シンプル極まりない白い内装はWeb会議にも最適だという。
部屋は、大きな机と空の本棚、高価そうなプレジデントチェアだけが陣取っている。
後は有線ネットワークや電源に接続するためのコンセントが存在しているだけだった。
他にも、使う必要があるかは微妙だがキッチンの設置された部屋もある。
また、寝室は別に用意されており、ダブルサイズのゆったりしたベッドが設置済みだ。
浴室もバスタブが大きく、リラックスできるようになっている。
このような立派な施設を見て、多くの宿泊客は却って身が引き締まるのだという。
しっかりと元を取らないと……等という感情が募るそうだ。
「集中して勉強できそう……」
智味は大半の利用者と同様に圧倒されつつも、入試対策が捗りそうな部屋に来れたことを喜んでいる。
そう、彼女は集中できる環境を求めていたのだった。
どうしても自室だと色々なものがあって気が散ってしまう、というのが智味の悩みである。
好きな小説や漫画といった娯楽には容易に手を伸ばせる上に、お菓子もついつい摘まんでしまう。
他にも、友達から一緒に食べに行こうと誘われることも少なくない。
「後は……ちょっと身体も絞りたいし……」
寝室に入った彼女は、服を捲り上げて腹部を鏡で見ていた。
運動不足にお菓子の食べ過ぎ、度重なる外食のせいで、確実に増量を果たしてしまっている。
1年前の体重は48kgだったが、今では57kgまで増えていた。
ぷにっとしたおへそ周りの贅肉を摘まんでいる智味。
高校時代は括れていたはずのウエストは、現在ではぽっこり出て弛みつつある。
二の腕や太もも、お尻といった場所も確実に駄肉が増えていた。
全身ムッチリ気味になった彼女は、緩んだ食習慣を一旦リセットしたいらしい。
そして、島内の運動施設に通ったり、朝にはジョギング用の道を走って運動する予定である。
「勉強だけしてても集中力切れるし……運動も大事だよね」
浪人生になったばかりの頃、智味は勉強のし過ぎで疲れ果てて、2日間何もせず寝込んだことがあった。
だから無謀なことはしたくないのだろう。
「まあ、ダイエットはメインじゃないけど。
まずは勉強する環境を整えないと……」
彼女は鏡を見るのをやめて、図書センターまで足を運ぶことにした。
その施設には大学受験や国家資格をはじめ、他にも様々な分野の参考書などが置いてあるという。
ちなみに、使っている参考書なども自宅から段ボールに詰めてVI島に送り込めるらしい。
……
こうして、智味は『勉強に打ち込み、そして食生活や運動習慣を改善する』という目標を持って、VI島での生活を始めた。
しかし……「大食のVI島」と形容される原因として知られる、恐るべきレストランの虜にならずに帰れるだろうか。
それはプレイヤーの選ぶ選択肢次第である。