『太る可能性が100%と判定された女子高生の話』の、函伊綾音が出てくるシーンの抜粋
Added 2022-11-28 16:55:55 +0000 UTCこの小説では、最後辺りに函伊綾音が登場します。
今日は1129の日ということもありますので、そのシーンだけを全体公開にします。
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私は学校帰りにまた例の施設の前に来た。
特に誰もいないだろうな、と思って中を覗くと一人の女子高生がいる。
「(一体どうしたんだろう……)」
そう思って中に入って見たら……
女子高生が白衣の男性に詰め寄っている。
「あなたはこの街の女子たちに太る液体を飲ませたそうですね?」
「そんな事実はありません……」
目線を逸らしながら白衣の人は言う。
でもこの女子高生は言葉を続けようとする。
「いいや、証拠は揃ってますよ!しらを切らないでください!」
「そ、それは……」
……あれ、もしかして。
私が太ったのも……?
「すみません……」
「な、何ですかこんな時に!」
男性の言うことを無視して、その女子高生に話しかけてみる。
「その話って……本当なんですか……?」
「そうです!あなたも被害者?」
「えっと……多分……」
私がそう言うと、白衣の人がうなだれた。
そして女子高生の方を向いてゆっくり口を開く。
「……もう観念するしかありませんね。私がやりました。
これもテクノロジーの発展に必要不可欠なのですが……やり方がまずかった」
「認めましたね。ではまずこの子に謝りなさい」
「実は測定前、特殊な水を飲ませて体質を変えていました。だからあんな結果になったんです。
太るに決まってるのです。勝手なことをして、申し訳ない……」
「えっと……そうなんですか……?」
「はい……機械の精度自体は確かなのですが……お客様の食欲のブレーキをちょっと弄りまして……」
「そんなこと……できるんですね……」
何だか話が急展開でよく分からない。
でも、この人が私を太るように仕組んだらしいことは分かる。
本当だったら最悪。ただ、この白衣の人自体はそこまで悪意があるようには見えない。
今怒りをぶつけるよりも……
「だったら……痩せる水でも飲ませてください!」
「できます!それも開発してます!だから今回は見逃してください!どうか!」
深々と頭を下げる男性。
そしてその様子を訝しそうに眺めている女子高生。
その両者の近くに置かれている謎の機械。
異様な空間だった。
「分かりました……元に戻れるなら……許します」
「……こんないい子で良かったですね、全く!
他に後何人にこんなことをしたんですか?」
「2人にも似たようなことを……連絡先は分かります。万一の時に控えていますから」
「すぐに連絡して謝罪しに行きなさい、あと痩せる水も持って来るように!」
「はい……取りに行きます……」
そう言ってから、白衣の人は奥にある棚まで行った。
「ありがとうございます……」
「いえいえ!全然礼には及びませんよ!」
ところで、この人は誰なんだろう?
大人の男性相手にもかなり強気で、しかも証拠も揃えてるとか言ってたし……
「何者なんですか?」
「私?私は函伊綾音と言います。あなたの名前は?」
「豊佐藍璃(とよさ あいり)です……」
「私は単なる女子高生ですよ。藍璃さんと同じ」
「そうですか……」
年齢は多分あまり変わらないのに、とてもしっかりしている。
それに雰囲気もただ物ではない感じ。
そんなことを思ってたら白衣の人が戻って来た。
「これが食欲を抑え、脂肪を消費しやすくして痩せさせる水です。
今飲むだけで体質がすぐに変わります!」
差し出された水を私はすぐに飲んだ。
「……ありがとう……ございます」
私たちは全員、建物から出た。
「じゃあ、次また会う日まで!お元気で!」
「はい、お元気で」
綾音さんはそう言ってから、白衣の人の傍に行く。
「今日はずっと見張っておきますからね!早く次に行きなさい!」
「はいっ!」
男の人が女子高生にビクビクしている様子を見ると、何だか面白い。
結局綾音さんの正体は分からなかったけど、とにかくこれで良かった……のかな。