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太る液体の実験に同意した結果、想像以上に太ってしまう女子高生の話(3)

[3] 夏休みが始まるまであと少しという時期になった。 休みが来てくれるのは嬉しいんだけど……気分はそんなに良くない。 理由の大半は自分の太った体型だった。 実験が終わって1カ月、私はダイエットを……しようと思ってたんだけどなぁ…… 結局ダイエットできないどころか食欲がどんどん増大している。 72キロまで太っていた時、私は食べる量も相当に増えていた。 どうせ何しても太るし、デブなのに食べる量が少ないのも却って我慢してるみたいに見えて変だったから。 お菓子だって休み時間に結構食べてたし。 そして、その食習慣はなかなか消えなかった。 むしろ……もっと食べる量が増えてしまって…… だって我慢せずに好きなだけ食べるデブのスタイルがこんなに気楽で愉快だと知らなかったから。 今まで体型の維持とか考えてたけど、一度知った楽しみを忘れる事などできなかった。 一応は頑張って抑えてみたりしたけど、2日ぐらいで我慢できなくなって食べまくり、また我慢しての繰り返し。 食べ過ぎを指摘されても、まだ前よりは痩せてるから大丈夫だと自分に言い聞かせ、ひたすらご飯やお菓子を食べる毎日…… 気づけば肥満体型の男子に匹敵するような果てしない食欲を持つ女子になっていた。 こんなに食べていたら異様なペースで太るのも無理はない。 それでも実験中でも無いのに急激に太ったことに多少は危機感を持っている。 毎日のように服がキツいとため息を付く羽目になってるし、今も食欲を抑えることを諦めた訳じゃない。 「はぁ……」 私はため息を付きながらタンスに仕舞っていた服を取り出す。 サイズの大きなスカート、ジーパン、シャツとか色々。どれも実験の期間中に買ったものだった。 実験の最終日に、痩せるからもう二度と着ることはないと思って奥に入れたんだけど…… わずか1カ月でまた必要になってしまった。 鏡を見ながら、ぷにょっとしたウエストの贅肉を掴む。 どうみても括れは無く、段になったおへそ周りの贅肉しか見当たらない。 このお腹のせいで春頃まで難なく着ていたはずの私服がことごとく入らなくなった。 お尻も結構大きくなっちゃったし、脚もお肉が…… ただ胸にも栄養が来たみたいで、お腹よりも目立つサイズで72キロだった頃を彷彿とさせる。 バストサイズが戻ったのは良いけど、二重顎まで戻って来たのが残念なんだよね…… 体重は既に65キロに達していて、痩せてた頃の制服もかなりキツくてギリギリ着れるという状態。 スカートを穿く時なんて最初から安全ピンを用意している。 これ以上太ったらまた大きな制服を出してこないといけないし、それは恥ずかしいから嫌。 夏休みにはしっかりダイエットするんだから……いやむしろ今日からでも始めないと…… ぐぅぅ…… ……明日から、そう、明日からにしよっか。 今日は……、今日はまだダイエットしてないから、ちょっとはお菓子を食べてもいいよね? こんなチョコ一粒の糖分なんて誤差だと思う。 よし、食べちゃおうっと。 ……もう一粒ぐらい食べても変わらないよね? あ~甘くて幸せ~…… 机にあったお菓子を一通り食べた後、私はもう一度鏡を眺める。 本当にダイエットしなきゃいけないかを見極めるために。 ……見てて思うけど、そこまでデブかな……私って。 確かにかなり太ったけど……前よりは痩せてるよね? 顔だって、こう……顎を上げたら二重顎じゃないから…… それに胸のおかげで、ウエストはそこまで目立ってないよね? ほら今Tシャツを着てるけど、横から見たらお腹の出っ張りもそんなに分からないし…… 下半身だってちょっとぐらいお肉が付いてても……これ位の人なんて街中でも普通にいるよ。 ちょっと心配のしすぎかも。 まだまだぽっちゃり体型ぐらいだよ。きっとそう。 でも夏休みは太らないように気を付けなきゃ。 --- 夏休みも今日で最後。相変わらず暑すぎて家から出たくない。 こんなに暑かったら外で運動なんて出来る訳が無いよ。 ニュースでも気温が高い日は外出を控えめにした方がいいって言ってるし…… 少しでも涼を取るにはアイスとか食べたりサイザーとか飲んだりしなきゃダメだよね。 ……そういや夏休み前はダイエットとか考えてたような。 確か最初に買った制服がまたキツくなってマズいと思ってたんだけど…… まだまだデブと言う程じゃないと高を括ってて…… それに夏休みだから制服を着なくて済むし、学校に行かなくていいから周りの目も気にしなくていい。 食べる量にドン引きされないのも良いけど、体育の着替えが無いのも大きいよね。 こんな感じで危機感が薄らいだ結果、少し食欲を抑えていた反動が一気に来てしまった。 しかも学校だと授業中に食べる訳にはいかないけど、家だとほとんどいつでも食べ放題。 ダイエットをするという意思も無かった訳じゃない。 でも日増しに私の中で存在感を増す食欲を前に、成す術が無かった。 「(何これ……ぽっちゃりじゃなくて本当にデブだよ……)」 実験のせいで72キロまで太ってた時よりも、更に1周り横に大きくなった私の姿が鏡に映っている。 顔は丸々と更に膨れ、肉まんみたいだしモチモチと柔らかい。 単に二重顎なだけじゃなく、首まで浸食してくる程の顎を見ると……女の子としてすごく恥ずかしくなる。 お腹はでっかい大玉スイカを入れたみたいで、かなり目立つからげんなりしてしまう。 どう頑張っても誤魔化しようの無い見事な段々腹だし、背中にも贅肉の段ができててみっともないよね…… お尻もかなりの横幅で、脚も脂肪が溢れかえっているせいで隙間が埋もれている。 一応胸はこれでもかと大きく育ったけど、ここまで来るとちょっと過剰だし品が無いかも。 それにこんなに太ったらいくら胸が目立ってもデブの印象は変わらないし、第一かなり重たくて邪魔で仕方がない。 この夏休みで、私はすごい肥満体型になってしまった。 体重は怖くて測ってないけど、80キロ位はありそう。 いくらなんでも太り過ぎだよね……すごく恥ずかしいよ…… 3キロ太ったぐらいで「ウエストのお肉が摘まめちゃう……」とか言ってた頃もあったっけ。 今なんて両手でガッツリ掴んでも掴み切れないぐらいで、腕なんてプニプニじゃなくてブヨンブヨンだよ。 太るにつれて当然、着れる服もどんどん減っていく。 今ではいつも穿いているスカートやTシャツ、上下セットのスウェットぐらいしか入らない。 着れる服のバリエーションが殆ど無く、どう考えても買い替える必要がある。 でも、買ってもすぐ着れなくなるし、今更見た目とか気にしても……と思ってしまう。 お金もお菓子やご飯に消えて行っちゃうし…… しかも私に合うサイズがあんまり売ってないんだよね…… 痩せてた頃はそんな悩みがあることすら知らなかった。 それでも以前の服をタンスから取り出して試してみたりはするんだけど…… 「(ふんっ!それっ、あれ……)」 夏休み前によく穿いていた大き目のジーパンを久々に穿いてみた。 ……でも全然無理。キツくてしょうがない。 脚を通しただけでも嫌な予感がしたほど。 ファスナーが閉まる気配がなく、ボタンも留まりそうにないし。 そもそも大きくなったお尻に邪魔されてちゃんと上がり切ってない。 「(う、嘘……買ったときはゆったりしてたのに……)」 確か70キロの時でも一応入ってたはずだけど…… つまり今の私って70キロよりずっと重くなってるって事だよね…… 結局私はいつも穿くスカートを脚に通し、諦めることにした。 これもそろそろボタンが閉めにくくなってきたような…… このスカートが入らなくなったら本格的に着るものが無くなるからすごく困る。 でもヘアゴムをボタンの穴に通してウエストを伸ばせばボタンも留まるし、まだ大丈夫。多分。 私はついでに痩せてた頃の制服も取り出した。 「(この調子じゃ入る訳無いよね……)」 この服を眺めてたら自分が太ったことを改めて実感してしまう。 かなり小さい作りのように感じるけど、大抵の女子はこれ位のサイズでも十分入るんだよね…… 今着ている服と比べるとその面積の小ささにびっくりする。 試しにスカートを穿こうとしたけど、そもそも贅肉に阻まれてウエストまで到達しなかった。 どう頑張っても無理で、もうファスナーが閉まらない以前の話。 ブラウスもボタンがそもそも留まらず、袖が今にも破けてしまいそう。 でも痩せてた頃の制服がまともに入らないなんて当たり前。 問題は買い替えた方の制服。 明日から着ていく訳だし、どうかな……と思って試しに今着てみる。 まずはブラウスから……袖は流石に大丈夫。 「(はぁ……良かった……)」 何だか喜ぶハードルがかなり低くなってしまった気がする。 次いでボタンを留め…… 「(ちょっと……いや結構……キツい……)」 引っ張ったらボタンは留まるけど、それでも結構生地が左右に引っ張られてるしキツそう。 これ以上太ったらブラウスも入らなくなるかも…… ブラウスの次に、スカートを脚に通して持ち上げる。 でも…… 「(う、嘘でしょ?なんでホックが、届かないの……ふんっ……!)」 ホックが留められない。 アジャスターを調節してもまだ足りないし、どうしよう…… 「(また安全ピンで強引に固定しないと……)」 結局、普段通り安全ピンで留めて何とか穿くことができた。 一応ファスナーも閉めて…… あれ……まだ上まで行ってないのにこれ以上ファスナーが閉まらない…… 分かってはいたつもりだけど……買い替えた制服さえパツパツになってきたのは辛いなぁ。 こんな短期間にまた買い替えるなんて……流石にできないよね。 だったらこれ以上太れないんだけど……まだまだ右肩上がりのグラフの伸びは鈍化しそうにない。 鏡に映ったみっともないスカートの状態を見て、改めて不甲斐なく感じる。 「(これで明日登校するのは恥ずかしすぎるよぉ……)」 私はショックのあまり、思わずしゃがみこんでぺたんと床に座った。 ブチっ ……今のって…… 目の前に転がった小さな丸いものを拾い上げる。 これってブラウスのボタン…… 急に屈んだせいでお腹のボタンが飛んでしまったみたい。 どうしよう……これじゃ本当にデブだよ。 明日までに……この体型を何とかできたら……でもそんな訳…… あっ、あの倉庫にいた白衣の人。 その人から貰った痩せる液体をまた貰えたら……! ……あれって太る液体の効果を打ち消すだけだったよね。 だったらダメかぁ…… でも体型とか肥満とかの実験を色々してるみたいだし、痩せる方法も知ってるかも。 それこそ食べ過ぎて付いた脂肪を消してくれる液体とかも開発してるかもしれないよね。 どうせ家で悩んでても明日は来るんだし、ちょっと行ってこよう。 その前にこのピチピチの制服からさっきのスカートとあっちに置いてるゆったりしたTシャツに着替えようっと。 そう、確かこのTシャツはサイズが大きくて……あれ…… こんなにお腹がキツかったっけ……?


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