太る液体の実験に同意した結果、想像以上に太ってしまう女子高生の話(1及び2)
Added 2022-11-03 08:32:01 +0000 UTC春休みが近づき、ちょっと暖かくなってきたこの頃。 学校が終わり、私はいつも通りの帰り道を歩いている。 「(あれ……)」 何気なく横を見ると、古びた倉庫みたいな建物に新しいポスターが貼ってあった。 「(実験協力者の募集……?)」 そこには「実験の協力者を募集しています。報酬も用意しています。興味のある方は中にお入りください」と書いてあった。 報酬……いくら貰えるんだろう。ちょっと気になる。 私はポスターの隣にあったドアを開け、倉庫の中に入ってみた。 意外と中は明るく、段ボール箱が壁際に無造作に置かれている以外は結構片付いている。 設置されてる長い机にはビンとか試験管とかが並んでて、パソコンも何台か置いてあった。 そんな理科室みたいな空間が広がっている。 「……もしかして、ポスターを見て来られました?」 中にいたのは白衣を着た男の人だった。 30代ぐらいかな……? 「はい、そうです。実験の協力とか書いてた……」 「おお!ポスターを見てくださったんですね!ありがたい。 じゃあ早速本題に入らせていただきます」 そう言って白衣の人が奥の方から一つのビンを持ってきた。 何の実験なのか気になる。 「これなんですけど、単刀直入に言うと太らせる液体です」 「えっ……?」 思ってたよりも大分ぶっ飛んだ言葉が出てきた。 太らせるって……女子には特にきついよね。 「太るんですか?それ飲んだら」 「はい、その通りです。太ります。でも被験者が足りないんですよ」 「そうなんですか……」 まあ、好き好んで太りたい人なんてそうそういないと思う。 私も太りたいなんて思ったことは無い。 「特に女性の協力者が不足してまして…… あまりに足りないもんだから女性スタッフに頼み込んで協力してもらっている有様です」 「そうですよね……私も太りたくないです、すみません」 太る実験だったら協力できないなぁ。 この人には悪いけど断ろう。 「悪いですけど、断ってもいいですか?」 「……そう言われると思いました。 そこで女性の方には特別に報酬のお金を10万円に増額しています。どうですか?」 「10万円……!」 実験に協力するだけでそんなに貰えるなんて! 10万かぁ……高校生の私にはすごく魅力的に感じる。 太るのは嫌だけどそんなに高額だったら話は別。 「実験と言っても、時折ここに来てもらって、これ飲んでもらうだけですから。 まあ体重も測りますけど、個人情報は守りますから大丈夫です」 体重を知られるのは嫌だけど……別にこの人たちが分かったところで問題は無いよね。 それに液体を飲むだけだから結構気楽。 「毎日来なくていいんですか?」 「新開発の技術で従来よりも効果を高めた結果ですね。 どうでしょう、実験に参加してもらえませんか?」 ……5キロとかそれ位太ったとしても、終わってからダイエットしたらいいだけの話。 それで10万貰えるなら美味しい話だと思う。 「協力します」 「ありがとうございます!それでは契約書に名前を書いてください」 受け取った紙にすぐ"船通実咲"と名前を書いて渡した。 「これがコピーになります。 では、早速ビンの液体を飲んでください」 契約書のコピーをさっさとバッグに入れた後、私は机の上のビンを手に取って飲んだ。 少し甘味があるだけで、変な味はしない。量も少ないしすぐに飲み切った。 「では体重測定をお願いします」 そう促され、私は体重計に乗る。 表示された数字は50キロという何とも言えないものだった。 「50……はい、ありがとうございます。では今日は以上です。 そして……先に」 白衣の人がそう言って引き出しから封筒を取り出した。 「3万円です。後の7万円は最後までちゃんと来てくださったらお渡しします」 「い、今貰っていいんですか!?」 突然お金を渡されて驚いてしまった。 しかも3万円も……とても嬉しい。 「はい、でもしっかり忘れず来てくださいね。次は2週間後です」 「分かりました!」 元気のいい返事をして、私はぺこりとお辞儀をする。 --- あの倉庫に行ってから2週間が経った。 今日また行くことになっているけど…… 「(うぅ……本当に太ってる)」 鏡の前で私はウエストのプニプニしたお肉を摘まんでいる。 元々痩せてた訳でも無かったけど、これは嫌だなぁ。 二の腕も少し柔らかくなった気がするし、太ってきたのを実感してしまう。 桜も咲き始めた良い季節だというのに、ちょっと暗い気分になって私は玄関を出た。 倉庫に入って来た私の姿を見て白衣の人がホッとした様子を見せる。 「ちゃんと来ましたね。良かった。 では今日はまず体重を測ります」 そっと体重計に乗ると53という数字が表示されている。 「53……プラス3」 白衣の人に数字を読み上げられてちょっと恥ずかしい。 「この液体を飲んでください」 体重を測った後、差し出されたビンに入った液体を飲んだ。 味は前と一緒でちょっと甘い。 「ありがとうございました。では2週間後来てください」 「はい」 早速3キロも太ってて残念…… あとどれ位太るのかな……5キロじゃ済まなさそうな気もするけど……7キロぐらい?まさか10キロ……? 少し怖くなりながら私は家に帰った。 --- 少し前に新学期も始まり、また学校に登校する毎日に戻った。 それはいいとして、今日は倉庫に行く日になっている。 また太る液体を飲まされると思うと、この日を迎えるのが憂鬱だった。 「(また太ってる……)」 制服に着替える時に、私はウエストの様子を確認していた。 2週間前よりも贅肉の量が増え、少し出っ張ってるのが恥ずかしい。 括れも申し訳程度で、結構寸胴になってきた。 身体を色々触ってもお肉が摘まめるし、結構太ってる…… 実験を始める前より5キロ位は太ってるよね…… そろそろ本格的に太り気味の体型になってきたし、ここまで太るとちょっと恥ずかしい。 お腹のお肉も苦労しなくても摘まめるし、気分が悪くなる。 倉庫に入ると、また白衣の人だけだった。 この人以外いないのかな……でも最初の話だとスタッフは他にもいるみたいだけど…… 「体重測定をお願いします」 「はい」 体重計に恐る恐る足を載せると、55と表示されていた。 「55……プラス2」 この2週間でまた2キロ太ったって事だよね…… まだ1カ月も経ってないのに5キロも増えてるの? 既にかなり太ってるし、次ぐらいで終わりにしてほしい。 「あはは……かなり増えましたね……次ぐらいで最後ですか?」 何となく私はこう質問してみた。 「いえ、まだですが。契約書を読みましたか?」 「……え?」 契約書……?そういや全然読んで無かった。 期間とか書いてるんだ……ちょっと見てみようっと。 えっと……このファイルに入れたような……これかな? 何々、『契約期間は3カ月間』…… 3カ月……!? そろそろ終わりだと思ってたのに前半戦も終わってなかった。 「3カ月って!?」 「そうですよ。ちゃんと読んでくださいね」 確かにそう書いてるけど……何で契約する時ちゃんと読んでなかったんだろう…… 信じられない…… 「まだ4週間なのに5キロも太ったんですよ!? なのにあと2カ月以上も太るんですか!?」 5キロ太っただけでも結構ショックが大きいのに……まだまだ続くってこと……? ちょっと待って。あと何キロ太ったらいいの? 10キロとかそんなんじゃ済まないよね? 「5キロ位大したこと無いじゃないですか」 「いやいや!女の子にとって5キロは大きいですって!」 「でも……3万円渡しましたし、約束は守ってもらわないと……」 ……そう言われてしまうと何も言い返せない。 5キロが大したことないって……そんな…… 私はこれからどうなるんだろう…… 「次は2週間後に来てください」 「……はい」 どんよりと重い気分になりつつ、倉庫から出た。 これからどれだけ太るんだろう…… --- 実験に参加してから2カ月が経った。 私は液体のせいでどんどん太り、64キロになっている。 60キロの大台に乗るなんて信じられない。 太る実験っていうけど、ここまで体重が増えるものだったなんて…… せいぜい5キロ位かなと簡単に考えてた当時の自分に呆れてしまう。 周りの女子が2、3キロ太ったぐらいでショックを受けたり騒いだりしてるけど…… あんなの全然大したことないし、今の私にとっては誤差みたいなものでしかない。 「(これじゃ本当に肥満体型だよ……)」 鏡を見ると、どんどん気分が下がってくる。 ウエストは……括れなんて綺麗さっぱり消えていた。 代わりに脂肪の段が出来てて、ぽっこりとせり出している。 しっかり丸みを帯びて張り出しつつあるお腹は、そろそろデブの領域になってきた。 脚もかなりお肉が付いて弛んでしまってるし、二の腕なんて贅肉が揺れる位に太くなっている。 太ったからか胸も随分大きくなったけど……お腹を考えると素直に喜べない。 ふわっとした服を着たら胸でお腹の出っ張りを誤魔化せるのはいいけど…… でも、お腹以外にも全体的にお肉が付いてるせいで誤魔化し切れていないのが現実だった。 顔も本格的に二重顎になってきたし、周りからも太ったよねとよく言われるし。 制服もスカートのホックが留まらない上にファスナーもキツくて仕方がない。 ブラウスもボタンを留めるのが段々苦しくなってきた。 5月も折り返しだけど、もう暑くて暑くてベストも着てられない。 普段着てる服もどんどんサイズが合わなくなってるし、そろそろ制服も買い換えないと本格的に入らなくなる。 普通なら急いでダイエットすると思う。でも……まだあと1カ月太るんだよね…… 今でも十分過ぎるぐらい肥満なのに、これ以上太るなんて…… 想像もつかないよ。 倉庫に寄った私は、白衣の人にこう言ってみた。 「こんなに太ったんですから……十分なんじゃないですか……?」 そう言っておへそ周りのお肉を掴む。 制服越しでもお腹が出てるのが分かる位になって来た。 「いいえ、まだ期間は終了していません。 それに14キロ程度ですし、そんなに増えてないですよ」 「滅茶苦茶増えてますって……」 この人たちは実験ばかりしてるから感覚が変なのかも。 1か月後にはどんな姿になってしまってるんだろう…… 気分は最悪だった。 単純に太っただけならダイエットできるのに……あと1カ月はそれすら叶わないんだから。 契約書を読んでなかった私も悪いんだけど、もうちょっと親切に教えてほしかった…… --- いよいよ今日が倉庫に行く最終日。 今日はあの液体を飲まなくていい。 単に体重を測定して報酬の残りを貰うだけ、だけど…… 「(うわぁ……こんなに太るなんて……)」 鏡に映った私は、かなりのデブになっていた。 お腹が出っ張りだした時はすごく気分が悪くなったけど……今から思えばかわいいものだったよね。 一昨日家で体重を測った時は71キロで、70キロの大台さえ超えていた。 しかも、食べる前に測ったりとか服を脱いだりとかして少しでも軽くする努力をした状態で、これ。 BMIとかいう数字を試しに計算したら、25を超えていた。確か保健の授業で25で肥満って言ってたから…… 今の私って見た目だけじゃなくて数字的にも肥満なんだよね…… 他の子が太ったと言っても、どこが?となることが多い。本人しか太った部分が分からないことも。 でも私の場合は一瞬見ただけでも、明らかに太ったと分かってしまう。 ……というか、同じ中学出身の男子と廊下で会った時、 声を掛けてみたら最初「誰?」って素で言われてしまった。 名前を言ったら、「うおっ!?」って感じでびっくりされて…… そりゃこんなに激太りしてたら分からないよね。 顔が二重顎なのは当たり前で、ほっぺも丸々と膨れてしまっている。 二の腕も凄い太さだけど、他がもっと凄いから正直どうでもいい気がしてきた。 お腹はしっかりと前にせり出して丸いカーブを描いてるし、脚は大根足……と言ったら大根に失礼な位太い。 胸はかなり大きなサイズに育ち、他の部分から目を逸らす役目を果たしてくれている。 でもそんなので誤魔化せるような体型でもないし、そろそろ動くのに邪魔になってきたんだよね…… 当然制服は買い替える羽目になったけど、太るのが速すぎて既に余裕が無くなりつつある。 私服も買い替えたそばから着れなくなった服ばかりで、今は大きなサイズのTシャツとゆったりしたスカートで過ごしている。 それでも最近はキツく感じるぐらいで、こんなデカいサイズなのに……と嫌になってしまう。 「(こんなにデブになるなんて思ってなかった……)」 この3カ月で、全身贅肉でつつまれた暑苦しいデブに変わってしまった。 梅雨入りして湿度も高く、汗もたくさんかいてしまう。 「太る」って聞いてたけど……いくらなんでも限度があるよね……? 言い方が間違ってるよ。デブになるの間違い。 あと何キロ太るって事前にちゃんと説明してほしかった。 20キロも太るんだったら実験に参加するわけないよ。 倉庫に入った私は白衣の人に文句を言う。 「どうしてくれるんですか!こんなに太るなんて思ってなかったですよ!」 「まあ、年頃の女の子には少々厳しいとは思いますが」 「少々どころじゃないって!」 私がそう叫んでも、白衣の人には動揺するそぶりも無い。 「あのですね、今回はかなりマイルドにしたんです。 女子高生だからショックを受けると思って」 「どこが……?」 「それは……あ、その前にまず体重を測ってください」 「……はい」 私はどっしりとした身体を体重計に乗せる。 足を載せるたびに軋む音がして、こんな重い人に乗られる体重計もかわいそうだと思う。 表示された数字を読むために一旦降りると、そこには72という数字が。 「7、72キロ……」 60キロの大台がかわいく見える、凄まじい数字。 「72キロですね。最初から22キロの増加です」 「22キロ……これのどこがマイルドなんですか?」 私がそう言うと、白衣の人はため息を付いた。 「はぁ……我々は場合によっては50キロ、いやそれ以上太る実験だって普通にしているんです」 「そ、そうなんですか……」 「本来の濃度なら少なくとも48キロ太りますから」 「48キロ……」 私の場合だと、50+48で98キロ。 100キロ近い、すごいデブになっててもおかしくなかったんだ…… 「自分だって自らを被験者として40キロ太ったことがありますからね。 様々な年代のデータを取る必要がありますから。男性の場合の結果も必要なんです」 でも、この人は太っているようには見えない。顔もほっそりしてるし。 体重はこの人より私の方が重いと思う。 ……普通の男の人より重いってだけで結構ショックだよ。 どうやって白衣の人は40キロも痩せたんだろう…… 1年、いやそれ以上は掛かるよね? 「でも太ってないですよね……頑張って痩せたんですか?」 「実はその件なんですが、効果を打ち消してすぐ痩せられる液体があるんです。 被験者が太ったままなのも気の毒なので、最後に飲んでもらうことにしています」 太った分が打ち消される、ということは体型が元通りになるって事!? すごく嬉しい!嬉しい……けど…… 「それ最初から言ってくださいよ!」 「まあまあ、元の体型にはすぐ戻れますから、クールダウンしてください」 元の体型になるんだったら……せっかく買い替えた制服も無駄になってしまう。 あと、途中で一旦飲ませてくれても良かったんじゃないの? 「何で途中で飲ませてくれなかったんですか?」 「短期の影響を調べる実験もあるんです。 1カ月ごとに体型のリセットをして、計3回という方法なんですが。 この実験は既に協力してくれた人がいて…… 連続して3カ月飲んでもらう実験が中々できてなかったんです」 その人はかなり楽だったと思う。 もっと早く実験のポスターを見てたら、そっちのまだマシな方に参加できたのに…… 「もう制服だって買い替えたんですよ?」 「じゃあその分のお金も出しますから」 「そうですか……」 何か、お金を出したら解決するって思ってそうな気がする…… 実験だって報酬をたくさん出して参加させてきたし…… 「3カ月間お疲れさまでした。それではこの液体を飲んでください」 白衣の人から緑色のビンを貰った。 飲んでみると、ちょっと酸味があるけど美味しくはない。 「これで痩せるんですか?」 「はい。1日もすれば」 「すごいですね……」 「あと、残りの7万円と……8万円をお渡しします。 服などにかかったお金の足しにしてください」 そう言って封筒を渡してくれた。 お金を貰えるのは嬉しいけど、大変だったという感覚の方が強い。 「3カ月間ありがとうございました。 それでは、さようなら」 「さようなら」 私が会釈すると、白衣の人は奥の方に去っていった。 もう用は無いし、倉庫から出よう…… --- 翌日、私はすっかりと元の体型に……全然戻り切っていなかった。 確かに昨日に比べたらかなり痩せてはいるんだけど…… ウエストにはまだ贅肉が残ってて、括れはあるのか分からないレベル。 一方で緩やかなカーブを描いて少しぽっこり出ているのははっきりと分かってしまう。 脚や腕もプニプニしてるし、顔も二重顎は解消されたけど丸っこい。 以前の制服を着てみたけど、スカートがキツいかも。 私はまた倉庫に寄り、白衣の人に会った。 「また来たんですね。別の実験に参加される予定ですか?」 「いや、そうじゃなくて……」 白衣の人は不思議そうな顔をしていた。 「体型が元に戻り切ってないんですよ! 体重も56キロありますし!ちゃんと戻るんですよね?」 「……『液体で太った分は』、すべて消えたはずですよ」 『液体で太った分は』……つまり、6キロは自分の食べ過ぎで太ったってこと……? 嘘……そんなに食べてたなんて…… 「食生活には気を付けてくださいね。そこまではこちらも面倒見れませんから」 「はい……」 食生活に気を付けないと……太ったせいで気持ちが緩くなっていたみたい。 痩せた訳だし、これからはダイエットを…… ぐぅぅ…… 嘘……まだ晩ご飯は先なのにもうお腹が鳴ってる…… (続く)