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10万フォロワーまでを全部振り返る#8

会社を辞める前、彼女が「そろそろ結婚しよう」と言い始めました。

僕は正直どちらでも良かったし、結婚をするだけで彼女が安心するのであれば結婚したいなと思いました。


上納TV局にいても別に他の女の人に目移りすることもなかったし、

4年間遠距離恋愛をしても別れるのは選択肢に上がらなかったし、

田舎にいるときの暗黒期も、

TV局にいるときどんどん睡眠不足になって僕が嫌なやつになっても、

彼女は僕を好いてくれていました。


彼女はいつも僕の選択を否定も肯定もせずに付き合ってくれて、

父親の会社を辞めても、

TV局を辞めても、

今まで全然描いていないヲタクイラストのプロになると言い始めても、

ずっと「いいんじゃない?」と言いました。


最近聞いたのですが、いきなりヲタクイラストのプロになると言い出したときは「流石にどうなの!?」と思っていたそうです。



24歳くらいのとき、彼女の父親が咽頭癌で亡くなりました。

彼女の父親と母親は彼女が高校生の頃に離婚していて、あまり連絡を取っていないようでした。

彼女の父親が僕に会いたいと言っているらしく、僕は東京まで夜行バスで会いに行きました。


彼女の父親は声帯を全摘していてもう声を出せなかったのですが、

僕の顔を見て、パカパカケータイを取り出して事前に入力してあった文字を見せてくれました。

「娘をよろしくお願いします」

と書いてありました。


僕は不確定な未来に「はい!」と言えるタイプではないので、

「今は結婚しますとも言えないけど、真摯にお付き合いさせてもらってますので安心してください」と言いました。


もちろんそれが全てで付き合っていたわけじゃないし、

交際が続くことは僕の努力も、彼女の努力もあったと思います。

それでもずっと、義父のケータイに書いてあった文字は脳にこびり付いていました。




僕がもし結婚出来るとするのであれば、彼女と今結婚するか、

将来一流のヲタクイラストのプロになれたとき、ファンかコスプレイヤー相手なんじゃないかと思いました。


その2択だったら今まで一緒に過ごしてきた彼女の方が良いなぁと思い、結婚することにしました。



彼女と、彼女の母親と田舎に行って父親と母親に結婚する旨を伝えました。

父親と母親は孫の顔が見たかったようで、すんなりOKが出ました。


そのあと結婚指輪を買いに田舎ではそれなりに大きなアクセサリー屋さんに行き、

2人で指輪を買いました。

今使っている液タブくらいの値段でしたが、TV局では田舎よりかなり多くの給料を貰えたのでお金が貯まっていて、ATMでお金を下ろしてすぐに買えました。

アクセサリー屋さんにはゼクシィが置いてあり、ゼクシィの中にはピンクで印刷された痛い婚姻届が入っていました。


読んでみるとピンクの婚姻届は実際に使えるものだったようで、その婚姻届をもらって帰りすぐに記入して提出しました。

僕は緊張するとゲロを吐いてしまうのですが、婚姻届を書いている最中、何回も嘔吐しました。

嘔吐している僕を彼女は笑って見ていて、自分のことをこれだけ理解してくれる人は他にいないだろうなと思いました。





僕と彼女は結婚はしたかったのですが、結婚式には興味がありませんでした。

結婚式には行ったことがなかったし、招待したい人がいるわけでもありませんでした。


そうしていると彼女の母親がどうしても彼女に着せたい振袖があるようで、

義母、父親、母親の強い希望で結婚式をすることなりました。


結婚式は正直どこでも良かったし、強いて希望を言うなら安いものが良かったのですが、義母が「絶対に椿山荘でしてほしい」と言い始めました。


彼女の母親は見栄っ張りなようで、彼女曰く「kainownの両親に張り合っている」ようでした。


椿山荘で着せたい振袖を着せたとき、値段は300万円を超えていました。

振袖のレンタル代だけで80万円でした。

僕も彼女もそんなに呼びたい人がいないので、祝儀を考えても180万円くらいは出費することになるようでした。


彼女の母親は別に裕福でもなく、何なら少し借金もあるんじゃないか?と彼女は言っていました。

彼女の祖父(義母の父)が交通事故で亡くなっていて、彼女の祖父は町工場の社長だったようで多額の慰謝料?が祖母に振り込まれたようでした。

彼女の母親の見栄のために、祖母はその慰謝料を使い潰してしまったそうです。



僕たちは結婚式よりも新婚旅行で海外に行く方にお金を使いたいので、義母に振袖を諦めて欲しいと言いました。

それが義母に火をつけてしまったようで、次に会うとき80万円の現金を持ってきました。


僕は父親の会社にいるとき、何度か札束を見たことがあったのですが、

札束は基本的には綺麗なピン札で構築されているものが多いです。


彼女の母親が持ってきた80万円の現金はどう見てもピン札ではなく、僕が見たことのある札束とはおそらく出所が違うのだろうなと思いましたが、不気味さを感じながらも受け取ることしか出来ませんでした。



結婚式は毎週式場に通って毎週打ち合わせをして色々なものを決めていくのですが、

結婚式に憧れがある人はそれが楽しいようです。

僕たちは興味がなかったので、毎週土曜日に式場に行くことが憂鬱でした。


300万円の出費は痛いなぁと思っていたのですが、あるとき父親に会うと

「結婚おめでとう」と言って220万円渡されました。

220万円は綺麗なピン札でした。


結婚式は戒能くんや電通に行った同期も来てくれて楽しかったのですが

300万円も出してしたい飲み会ではないなぁと思いました。


ご祝儀が丸々浮いたので、新婚旅行はドイツに行けました。



結婚をしたあと、嫁は嘘みたいに元気になり、毎日会社に行き始め、

仕事も意欲的にこなしているようで、担当した案件で優秀な成績を納め表彰されたという話を定期的にしてくれるようになりました。

結婚式は本当にいらないなと思ったのですが、嫁が元気になっただけで結婚して良かったなと思いました。

10万フォロワーまでを全部振り返る#8

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