今から15年くらい前、僕はスト4をやっていた。
僕はコンボキャラを使っていたのにコンボが出来ず、毎日トレーニングモードで練習していた。でも出来ない。
仲の良いスト4上級者に僕が出来ないコンボを出来るようになる方法を聞いたとき
「コマンドが出来てない?ボタンが押せてない?原因の切り分けは出来てる?ミスったら1回1回確認してる?」
と答えが返ってきた。
この答えが今まで絵の上達方法を考える指針になっている。
失敗したとき、1つ1つの原因を確認し改善する。
PDCAサイクルを回す方法を僕は格ゲーで学んだ。
添削をするたび、仕事で初心者を見るたびに思うことがある。
独学の練習を正しく行えている人はほとんどいない。
自分の楽な方法に流れていたり、レベル10なのにレベル60の技を習得しようと時間を費やしたり、失敗例は死ぬほど見た。
言葉は強いが、効率の悪い努力を一生懸命して、努力の効率に対して思考がある人はほとんどいない。
それを矯正する一番耳障りの良い言葉が「アニメ塗りをやれ」じゃないかと最近思うのだ。
短期的な完成度で言えば色んなブラシ、ツールを使った方がいい。
今レベルを1上げた絵を描きたいのなら僕は初心者特有のぼかし塗りを咎めない。
何故なら丁寧につけられたグラデーションを消しながら
僕は内心「この陰影をつけるのはこの人にはまだ出来ないな」と思っているからだ。
分かっていてグラデーションを消し、ランベルトの余弦則を説明し、「アニメ塗りやると良いよ」と言っている。
ただ将来的にレベルを50上げたいのなら、ツールは縛りプレイをした方が良い。
普段誤魔化している線、普段適当に選んでいる色が浮き彫りになるのがアニメ塗りだ。
逆に線と色の理解度さえ高ければどこまでもクオリティが上がることはブルーアーカイブが証明したと思っている。
自分の実力の過大評価と、今レベルを上げたいという短期的な思考で絵の描き方を選んだとき、アニメ塗りを除外するんだろうなと思う。
1つ1つのコンボミスの理由を確認するのではなく、なんとなく「コンボ出来なかったな~」と思っている15年前のkainown状態だ。
僕はプロなのでヲタク絵を見る目には自信がある。
思考の跡は必ず画面に宿っている。
その目でイラストを見て過大評価が透けて見えたとき、絶対にアニメ塗りを勧めている。
線と色の誤魔化しの利かないアニメ塗りで過信を叩き壊すためだ。
実力を「分かってもらい」、現実的な改善方法を探す気になってもらう為にアニメ塗りを勧めている。
経験上、改善方法を探すつもりになって初めてアドバイスを聞き入れてくれる。
だからとりあえず今日もアニメ塗りを勧めるのだ。
自分の最低のパフォーマンスを叩き出したときでも商品レベルを超えられることがプロの証だ。過信を持ったままそこにたどり着けるほど甘くないよ。
世間ではイラストレーターは特権階級だとか、才能の民主化だとか色々なことを世の中で言われているんだけど、正しい努力を知らないんだろうなと思う。
努力には2種類ある。
・先駆者の足跡を確認し、そのルートを通ること。
・未踏の場所に一歩を刻むこと。
先駆者の足跡がついている場所だけでプロになれる。
今の時代は先駆者の足跡がついている場所は道路が舗装されていて、僕が通ったときに比べたら随分通りやすくなっている。
でも未だに未踏の場所への一歩が刻み切れていないのが僕なのだ。
僕は今日も絵を描きながらコンボミスの原因を考え過ぎなくらい考えて、未踏の一歩を歩みだせる場所を探すのだ。