SakeTami
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ウルトラティール第四話

「ねぇ聞いた?」

「なになに?」

 騒々しい朝の昇降口にふと噂話が耳に入ってくる。

「また、ティールとカレンが怪獣を倒しちゃったんだって。しかも今度は軍隊が出撃するよりも早かったみたい!」

「へぇー!すごいじゃん。カレンの方もはじめは、ん?ってなってたけど、だんだん動きもティールにあってきているって話だよね」

「そうそう、あ、ホラこれニュースの画像」

「わぁ、にしても二人ともきれいだなぁ……」

云々。

 私は最高に上機嫌。

「おっはよーございます!」

 ガララ!と教室のドアを勢いよく開け放ち、さささと着席する。

「おはよう華恋。元気そうね」

「おっはよー、瑠璃ちゃん。何読んでるの?」

 挨拶を唯一返してくれたのは隣の席の瑠璃ちゃん。席替えで奇跡的に隣の席になった憧れの女の子はクールに分厚い本を読んでいた。

「『フィネガンズ・ウェイク』っていう本。読む?」

「あ、うん。ありがと」

「……」

「……どう?」

「あ、うん。面白い本だね?」

 ちなみに中身はさっぱりだった。そもそも文字が読めない。

「そう、私はわからないけど」

「わからないんだ!」

「そんなことよりも」

 瑠璃は読んでいたなんちゃららとか言う本をぱたんと閉じて、私に向き直りました。

「昨日はお疲れ様。変身、慣れてきた?」

「うん。もうだいぶ慣れたかな。ちょっとだけ瑠璃ちゃんみたいに変身した後にかっこよくなれるようになったし」

「あ~、ほとんどノーマル状態だったからね。エナジーを使いこなせるようになってきた証拠だよ」

「ノーマルって?」

「んー。私も初めての頃はあんな感じだったと思うんだよね。素っ裸みたいなものというかなんというか……」

「素っ裸って……」

 そんな他愛もない会話をしていたとき。

 ブゥゥゥーーン!! 

 町中にけたたましいサイレンが鳴り響き、あたりがざわざわとしはじめました。

怪人警報。近くに怪人のエナジー反応が検出されたことを示す非常事態。

「また……最近多いわね。カレン?」

「うん。いこっか。またみんなにカッコいいとこ見せないとね!」

 スカートのポケットにそっと忍ばせているカラータイマーをぐっと握りしめて、私たちは先生の避難誘導をうまくかいくぐって外に出た。

 空を見ると、修繕中のビルの上空にぐにゃりとゆがんだ空間が形成され突如として巨大な怪人が現れた。

 ただ不思議なことが一つだけ。

「下半身がない?」

 上半身しかないその怪人は空間のゆがみが止まると、そのまま重力に従って、修繕中のビルにずしんと突き刺さった。

「いや、あれは……」

 瑠璃とともに怪人の方を見ていると、怪人はゆっくりと上体を起こして、ビルから両腕を生やした。

「うっそぉ!!」

そのまま、腕を一振りしあたりのビル群をあっという間にがれきの山へと変えてしまった。

「カレン!」

「うん!」

「「変身!」」

 私たちの身体は光の粒子に包まれて、あっという間に巨大化、ウルトラカレンと、ウルトラティールへと変身を遂げた。

「っと」

「よいしょーっ!」

 ずぅぅん、と思い振動が私たちの着地に合わせて鳴り響く。

「はぁぁっ!!」

 着地するや否や、ティールが怪人に肉薄し強烈な回し蹴りを浴びせる。

「せいやぁっ!!」

 私も続けざまにパンチを胴体(?)にあたるビルに叩き込む。ごぉん!という音とともにそれらすべてがはじき返されてしまう。

「くっ。硬いね。こいつ」

「いったたた……」

 ひりひりする手をさすっていると、怪人が言語を理解して語りかけてくる。怪人の学習能力はすさまじく、二言三言聞いただけで違和感のない会話ができるようになってしまうのだ。

「私の名は……ドレス・ドロワ。カレンとティール。邪魔をするなら叩き潰す」

「やれるものな……らっ!!」

「ま、負けません!!」

 怪人に対してティールは再び蹴りで、私はタックルで答える。

「ぬ?」

 ガシッと腕を回すことはできないけれど、しっかりと怪人を押さえつける。

「ティールっ!」

「そのままでいて!!」

 ティールの角による振動攻撃。打撃攻撃が効かないのならばと、とっさに二人で息を合わせて攻撃。

「はぁっ!!」

 ブゥゥゥンと、重低音が鳴り響き、ドレス・ドロワの胴体にビシビシっとひびが入る。

「やった……!って、うわぁっ!」

 ドレス・ドロワはその場で高速回転して、私たちを振り払った。

 尻もちをついてしまった私、そのまま宙返りできれいに着地したティール。ティールはそのままドレス・ドロワをかく乱するように高速移動をはじる。

「小癪な!」

 ドレス・ドロワの腕を上空に飛んで回避し、そのまま背後に回る。

「これで……!」

 ティールが再び振動攻撃を食らわせようと突き刺そうとしたその時だった。

「なっ!!?」


 ドレス・ドロワの上半身が分離してそのままティールごと合体しなおしてしまった。

「かかったな。ティール。貴様の対策くらいしておる。」

「ティール!!」

 助けに向かう私にドレス・ドロワの四本の腕が射出されて私は拘束されてしまった。

「うぐっ……」

「貴様はそいつらにもてあそばれているがよい。私はティールと戯れておる。」

「待って……!ティールに何する……がはっ!」

 不意に鳩尾に強烈なパンチが食い込む。日本の腕で両手両足を拘束されてしまった私は、無防備な状態で残った日本の腕にされるがままになってしまった。

「がっ……!」

 執拗にねじ込まれる拳。お腹が貫通するのではと錯覚してしまいそうな激痛が走る。


「はぁっ……!はぁっ……ティー……ル」

 絶体絶命だった。

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