SakeTami
黒ZEM
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きっかけは突然にextra(ver.恵美梨)

こちらは本編の番外編になります。


■本編:

https://www.pixiv.net/novel/series/11645894


本編では触れなかった番外編。

急遽テスト撮影で榊原 伊織の着ぐるみを着ることになった相田 恵美梨の視点からのお話です。






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相田 恵美梨


私の名前は相田 恵美梨。

とある離島の温泉街にで旅館を営んでいる両親と一緒に暮らしながら、本土の高校に通っている高校3年生。

どちらかというと大人しい?タイプで、いわゆる真面目系の女子高生。

仲良くしてくれる友達はそれなりに居るし今の高校生活もすごく楽しんで過ごせてる。

毎朝フェリーに40分も揺られながら学校に通う事を除けば・・・


その通学自体が嫌な訳じゃなくて、私が嫌なのは頻繁に起こる船の遅延。

冬から春から特にかけての時期は気温の変化や風の影響もあって、天気の良い日でも海が荒れることがある。

そうなると船は出なくなるから本土とこの温泉地の行き来が困難になってしまう。


恵美梨「あぁ。。。また遅れてるんだぁ。。 今日の撮影大丈夫かな〜」


恵美梨はスマホに表示された通知を確認するとそのまま足速に旅館へと向かった。


今日はこの温泉地がモデルになっているキャラクターである榊原 伊織(さかきばら いおり)ちゃんの撮影当日になっている。

この温泉撫子シリーズの人気によって地元である温泉地や、両親が経営する旅館も観光客で潤っている。

そんな人気のキャラクターが直接紹介してくれるという事は恵美梨にとっても非常に嬉しく思える案件だった。


撮影スタッフは前日入りしており、撮影場所の確認や当日の流れも打ち合わせ済みである事から問題な無い。

ただ当日に榊原 伊織を演じるモデルは撮影日当日にしか来れない為、本当であればこの時間はフェリーに乗ってモデルが向かっているはずだった。



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恵美梨が旅館に到着すると、ロビーでは既に撮影スタッフが待機していた。

その少し離れたソファーには学年が一つ下の幼馴染である川上 悠太(かわかみ ゆうた)が一人で座っていた。


ロビーの慌ただしいような、少し張り詰めたような空気を感じ取った恵美梨はすぐにその理由がわかった。

恵美梨はゆっくりと悠太の方に向かっていき話しかける。


恵美梨「悠ちゃんおはよ」

悠太「恵美ちゃんおはよ。疲れてない?」

恵美梨「大丈夫だよ! それより。。。」

悠太「何かあったのかな?」

恵美梨「うん。。フェリーが遅れてるみたいだよ?」

悠太「あ~またかぁ。。」


少し慌ただしい雰囲気で時間だけが過ぎていく中、外で電話を掛けていたディレクターの山中さんが帰ってきた。

そして山中さんの所に撮影スタッフが集まってくるとそのまま話し合いが始まった。


山中「モデルのRINさんは今向こうで待機してます」

カメラマン「う〜ん、じゃあ午前中は無理かぁ」

山中「そうなりますね… テスト無しでも大丈夫ですか?」

カメラマン「工程考えると、テストはやっときたいんですけどねぇ。。都度調整してたらきっと間に合いませんよ?」

山中「そうですよね。。」


この温泉撫子の撮影は、現地の観光客に出来るだけ影響が出ない日を設定し一般人に影響が出ない事を条件に許可を取っている為、次の日に繰り越したりは出来ない事となっていた。

更にタイトなスケジュールになっている為、出来るだけ効率良く撮影を行う為の事前準備は入念に行っておく必要があった。


カメラマン「通常のモデルを撮るのならなんとかって感じですが。。。今回は着ぐるみさんですから、人間を撮るのとは違うことは、この前の撮影で山ちゃんも分かったでしょ?」

山中「。。。はい 確かに」

コーディネーター「どなたか代役とか頼めないですかね。。」


山中は無言のままその場に居るスタッフを見つめた。

まずキャラクターの性別が女性である以上、着ぐるみに入るのは当然女性になる事が前提である。

今この場に居るのスタッフのうち、女性は山中を含めスタイリスト、コーディネーターの3名。

だがその全員が自分の専門的な役目がある為、出来るだけ負担はかけたくなかった。


山中「やっぱり、テスでは私が…」

カメラマン「いや、それはちょっと非効率ですねぇ 確認はディレクターが行わないと!」

山中「う〜ん そうなんですけど…」


スタイリスト「あの、あそこに座ってる相田さんは?」

山中「え?」


山中、コーディネーターの二人は恵美梨の方に視線を移す。


スタイリスト「相田さんなら、RINさんとほとんど体系変わらないし」

コーディネーター「あぁ、確かに」

山中「… でも あの子は善意で昨日から手伝ってくれてる方ですし、さすがに。。」


スタイリスト「他にお願い出来る人もいないですし。。 テストだけならなんとかなりませんかね」

コーディネーター「あの子が着てくれるなら、テストは問題無く行えますよ」

山中「…… 分かりました、ダメもとでお願いしてみましょうか」

スタイリスト「私も行きます!」

コーディネーター「よろしくお願いします」


山中、スタイリストの2名は小走りで恵美梨の元に向かった。



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山中「すいません、お二人ともお待たせしてしまってて。 実は、今日フェリーで来る予定の伊織役の子が足止め食らっちゃってて。。到着は午後になるみたいなの。」

恵美梨「そうですか。。」

悠太「よくあることですが、こればっかりは。。」

恵美梨「でも、撮影は午後からの予定ですよね? それなら間に合うんじゃ?」


山中「午後には動くみたいだし、撮影は行えると思うんですけどね。。。ただ。。」

恵美梨「ただ?」

山中「相田さん。。その、ちょっと折り入って相談。。というかお願いがありまして。。。」

恵美梨「え? 私にですか?」

山中「はい。。ちょっと、いいですか?」

恵美梨「あ、はい。」


山中、スタイリストさんは申し訳なさそうな表情をしながら恵美梨に話しかけるとそのまま悠太の元から離れるようにして恵美梨を連れ出した。


山中「ごめんなさいね、急に」

恵美梨「いえ。 それで相談というのは」

山中「その、こんな事お願いするのは大変恐縮なのですが。。」

恵美梨「は、はい」

山中「テスト撮影の時だけ、榊原 伊織役をお願いできないでしょうか」

恵美梨「??? はい?」


スタイリスト「もともと、本番撮影の前にテスト撮影を行う予定だったんですがRINさんが足止めになっちゃってて」

恵美梨「はい」

山中「他の誰かが伊織ちゃん役をやらないと、テスト撮影が出来ない状況でしてぇ…」


恵美梨「は、はい。 状況はなんとなく察していたのですが。。 伊織ちゃんを、私が?」

山中「お願いできませんか?」

恵美梨「え、でもどうして私? 私モデルなんてやった事ないですよ!?」


山中「テスト撮影だから、基本的にはそこに立っておいてくれれば大丈夫です」

恵美梨「でも、伊織ちゃんって。。 私が着ぐるみを、着るんですか?」

山中「はい。。。」


恵美梨「い、いやでも。。。(ち、ちょっと待ってよぉ! どうしよ、これ大丈夫??)」


少し考える素振りをしている恵美梨に、山中とスタイリストが続けて話しかける。


スタイリスト「相田さんなら、後で来るモデルと体型が殆ど変わらないと思いますし」

山中「無理を承知でお願いです、どうか力を貸してください!」


次の瞬間、山中とスタイリストは恵美梨に向かって深々と頭を下げる。


恵美梨「わわわ! ちょっと二人ともやめてください!」

恵美梨「分かりました、私なんかでいいなら是非ご協力させていただきますから!」


山中、スタイリストは恵美梨の声ですぐに顔を上げると安堵したような表情で再び恵美梨に頭を下げた。

そして恵美梨は再び悠太のもとに戻ると、一言告げて再び山中達の所へ戻った。



ーーーーー



恵美梨は山中、スタイリストに連れられ奥の控室に誘導されていた。

誘導されている途中、コーディネーターさんが恵美梨を笑顔で見ていた。

恵美梨は少しはにかんだ笑顔でコーディネーターに答えると、そのまま控室に通された。


今回モデル用の控室として使っているのはロビー奥に位置する「晴天の間」である。

普段は旅館の利用客が食事を摂る時に使用される部屋で、恵美梨もこの部屋の事はよく知っていた。


中に入るとテーブルは部屋の隅に移動され、椅子は3脚ほどを残し残りは綺麗に片付けられていた。

部屋の奥にはたまに使うパーティションで半分が仕切られ、その横にはハンガーラックが配置されている。

そして、そこには榊原 伊織の衣装が綺麗に掛けられていた。

スタイリストに連れられた恵美梨、山中が控室に入ると山中は中から鍵をかけて恵美梨に話しかける。


山中「相田さん、協力してくれて本当にありがとうございます! 助かりました」

恵美梨「いえ、そんな。 大丈雨ですけど、本当に私でいいんですか?」

スタイリスト「相田さんみたいなスタイル抜群の女の子がやってくれるなら問題ないですよ!」

恵美梨「いやいやw そんなやめてくださいw」

山中「あははw でも確かに、相田さん素敵だからテストだけじゃもったいないかもですね!w」

恵美梨「もういいですから〜w で、私は何をすれば。。。」


山中「それじゃ早速着替えましょうか! 説明お願いできます?」

スタイリスト「はい! じゃあちょっと説明しますね〜」


山中はスタイリストに説明をお願いするとそのまま何かの準備をするように部屋の奥へと移動した。

スタイリストは肌色の全身タイツと中に着るインナーのようなものをテーブルに広げると説明を始めた。


スタイリスト「まず、この肌色の全身タイツを着てください。これが伊織ちゃんの肌になりますので。」

恵美梨「はい。 キャラクターショーとかで着てるようなやつですか?」

スタイリスト「素材は違いますけど、そんな感じです。ひょっとしてご存知ですか?」

恵美梨「あぁいえ、友達がキャラクターショーのアルバイトしてるのでなんとなく。。」

スタイリスト「続けますね。 このタイツを着る前に、このインナーを着てください。これは汗を吸収してくれるものですけど、構造はパッド付きのインナーだと思ってくれて大丈夫です」

恵美梨「分かりました」

スタイリスト「では、早速着替えましょうか! こちらにどうぞ〜」


スタイリストが恵美梨に一通りの説明を終えるとスタイリストは肌タイツ、インナーを持ってパーティションの奥へと恵美梨を案内した。


パーティションの奥には2畳分程度のスペースが設けられ、そこに簡易マットと着替え用の椅子が備えられていた。


スタイリスト「ごめんなさいね、ここでしか着替えるとこがないんですけど。 一応歯科医は遮られるのと、ここには誰も入って来ませんので」

恵美梨「いえいえ、大丈夫です! お気遣いありがとうございます」


恵美梨はそう言うと履いていた靴を脱ぎ、着替え用のスペースに入って手荷物や肌タイツ、インナーを椅子に置いた。


スタイリスト「では、タイツまで着れたら教えてください。 背中のファスナー閉めますので」

恵美梨「はい」


そう言うとスタイリストは着替えのスペースから離れた。

恵美梨は足元に置かれた肌タイツを見つめながら、大きく息を飲み込んだ。





ーーーーー




初めての着ぐるみ


恵美梨は着替えのスペースで着ている服を脱ぎ下着姿になった。

パーティションの向こうでは微かに山中、スタイリストの話し声が聞こえる。


恵美梨「(えっと、まずはこのインナーで。 ブラは… 取った方がいいよね、パッド付きだし)」


恵美梨は自分のブラジャーを外すと足元に置き、続いてインナーを着込んだ。

そして肌タイツを手に持つとゆっくりと右足から履いていった。


恵美梨「(結構ツルツルしてて気持ちいい)」


恵美梨は両足をタイツに通すとそのまま右腕、左腕と順番に通して今度は自分の胸をタイツの胸に当てて位置を調整した。


恵美梨「(すご、おっぱい大きい… 何カップあるんだろ…)」


恵美梨は黙ってそのままタイツを肩まで着込むとフードを胸元に垂らしてスタイリストを呼んだ。


恵美梨「すいません、一応着れたんですけど」

スタイリスト「あ、は〜い」


スタイリストはすぐにパーティションの中に入ってきた。


スタイリスト「うん、大丈夫そうですね! じゃあ後ろ閉めますね」

恵美梨「はい、お願いします。(この格好裸みたいでなんだか恥ずかしいな)」


スタイリストが背中のファスナーをゆっくりと引き上げると恵美梨の身体を絞めつけるようにフィットしていった。

そのまま恵美梨の首元までファスナーを引き上げると恵美梨から少し離れた。


スタイリスト「苦しくないですか?」

恵美梨「は、はい。大丈夫ですけど、結構締め付けますねw」

スタイリスト「あ、ごめんなさい! 言い忘れてたんですけど、このタイツには体型を補正するパッドが胸とお尻周りに入ってまして。。大丈夫ですか?」

恵美梨「あぁ、それは大丈夫です」

スタイリスト「そうですか! では次にこの黒いストッキングを履いてください。 衣装はここにかけておきますけど、これは普通の服と同じ構造なので、大丈夫だと思うんですけど」


スタイリストは黒いストッキング恵美梨に渡し、プリーツのミニスカートとジャケットが掛かったラックを持ってきた。


恵美梨「はい、多分大丈夫です」

スタイリスト「では、着れたらこの靴を履いて出て来てくださいね」


スタイリストは恵美梨に向かってニコッと微笑むと再び着替えのスペースから離れていった。


恵美梨「(なんだか、至れり尽くせりだね。。女優さんとかってこんな感じなのかな)」


恵美梨はいつもとは違う待遇に少し落ち着かない気分を味わいながら、残りの衣装を全て着ていった。




ーーーーー




恵美梨はストッキングを履き終わり、榊原 伊織の衣装を手に取った。


恵美梨「(すごいしっかりした生地で作られてる。。さすが、本格的だ〜 可愛い!)」


プリーツスカートのサイドには綺麗な和柄あしらわれた可愛いデザインが恵美梨の好みでもあった。

スカートを履き終えると次にジャケットを着て左脇のファスナーを閉じた。


恵美梨「(えっと、こんな感じでいいのかな?)」


恵美梨は足元に置かれたローファーを履くと着替えのスペースから表に出た。

表では椅子に座った山中とスタイリストさんが話しているが、恵美梨が出てくるとすぐに気付いて山中は恵美梨に向かって小さく拍手をしている。


恵美梨「すいません〜 こ、こんな感じでいいでしょうか。。」

山中「おおお!!」

スタイリスト「似合ってますよ! さすがです!」

山中「羨ましいな〜」

恵美梨「そんなw だからやめてくださいってw」


恵美梨は少し恥ずかしそうな表情をしながら表に出てくる。

体型の補正によって大きく膨らんだ胸に、ウエストからヒップにかけてのキレイなくびれのラインを描いている。

頭は恵美梨であるが、首から下は本物の榊原 伊織が現れたように見えた。


榊原 伊織の衣装を着た恵美梨に盛り上がる山中とスタイリストだったが、すぐに恵美梨をテーブル付近まで誘導し、そのままゆっくりと椅子に座らせた。


山中「それじゃあ、今からお面被るんだけど。 大丈夫?」

恵美梨「はい。ここまで来てやっぱやめますは言えないですw」

山中「うふふw ありがとうございます。 じゃあ」


山中がスタイリストの方を向くと、スタイリストの両手には榊原 伊織のお面が抱えられていた。

スタイリストがゆっくりと恵美梨の方に近づいていくと、恵美梨もスタイリストに気が付き、すぐに伊織ちゃんの顔が目に入ってきた。


恵美梨「うわ〜すごい〜い!」


恵美梨は少し驚いたが、直後満面の笑みに変わって伊織ちゃんのお面を凝視している。


山中「うふふw 可愛いでしょ?w」

恵美梨「へぇすごいですね〜 こんなの見るの初めてです!」


山中はスタイリストから伊織ちゃんのお面を預かると、そのまま恵美梨に見せながら説明した。


山中「それじゃ、今から伊織ちゃんのお面を被ってもらうんだけど。 先に少しだけ説明しておきますね」

恵美梨「はい、お願いします」


山中は伊織ちゃんのお面の左右に取り付けられたパーツを外すとお面を前後に開き、お面の中を恵美梨に見せた。


山中「このお面はFRPっていう固い素材で出来ていて、頭全体をすっぽりと覆う構造なっています」

山中「で、中に薄いスポンジのようなクッションが付いてるので、それに顔を密着させることで顔とお面が固定されるように出来ています」

恵美梨「はい」


山中「次に視界なんですけど、この瞳の上部分がサングラスみたいになってて、そこから外が見えるようになっています」

山中「外はちゃんと見えるんですけど、色が濃い上に面積も小さいです。最初はかなり見辛いと思うけど、歩くときはゆっくりで大丈夫ですからね! 目の前はかなり暗くなるはずですから」

恵美梨「わ、わかりました(なんだか大変そう。。。)」


山中「最後に呼吸なんですけど、口の部分に少しスリットが入ってるのでそこから呼吸ができます」

山中「ただ凄く小さいので出来るだけ息を吐くようにして息をしてくださいね。それに目の上にも小さくスリットが開いてるんですけど、これは通気口みたいなものなので目の位置を合わせる時はこの瞳の部分でお願いしますね!」


恵美梨「はい」


一通りの説明を聞き終えた後、恵美梨は少し不安そうな表情をしていた。

山中は恵美梨に向かってニコッと微笑むと、伊織ちゃんのお面をスタイリストさんに渡して立ち上がった。


山中「あとはかぶるだけだけど、本当に大丈夫ですか? 何か聞いておきたい事とかありますか?」


恵美梨は少しだけ考えた後、山中に向かって話しかける。


恵美梨「あの、山中さんもこの着ぐるみきたことあるんですか?」

山中「え?」

恵美梨「いえ、すいません。。なんだか凄く詳しいというか、経験者みたいだったので。。」

山中「え〜っとぉ。。。」


山中はゆっくりとスタイリストの方に視線を移動する。

スタイリストさんは少し微笑みながら小さくうなづいている。


山中「実は一度だけ、試着程度で私も伊織ちゃんを着たことがあるんですよ。。w」

恵美梨「そうなんですか! その、着ぐるみってどんな感じなんですか? 私こういうの初めてで全然分からなくて。。」

山中「まぁ、それはもうすぐ分かると思いますよ!w 相田さんなら全然大丈夫だと思いますし!」


恵美梨「………」


山中「大丈夫そうですか?」


恵美梨は黙ってゆっくりと深呼吸をした。


恵美梨「はい、大丈夫です! お願いします!」


山中は恵美梨に向かって再び微笑むとスタイリストの方に移動した。

直後、スタイリストが伊織ちゃんのお面を抱えて恵美梨の方にやってきた。


この時、恵美梨はあることを考えていた。

これから人生初の着ぐるみを着ること、そのキャラクターは大好きな地元温泉地のキャラlイターであること。

そして、お面を被ったらもう別の人物になるということ。

恵美梨はあくまでテストで、自分は代役であるという事を自覚してはいたが、なんだかワクワクしている自分も感じていた。




ーーーーー



恵美梨は山中さんに髪の毛を束ねて貰い、胸に垂れていたフード部分を被るとそのまま頭の上までファスナーを上げてもらった。


スタイリスト「それじゃ、お面被せますね」

恵美梨「はい」


恵美梨の頭の真上で伊織ちゃんのお面が前後に開かれると、スタイリストはそのまま恵美梨の顔にお面を当てがった。

恵美梨は伊織ちゃんの顔を両手で支えながら持ち、そのまま自分の頭をお面の中に埋めた。

目の前は真っ暗になったが、位置を調整するとすぐに視界が開けたが目の前はかなり薄暗くなっていた。

恵美梨はそのままユックリとお面を自分の顔に密着させるように両手でお面を固定した。


スタイリスト「位置は大丈夫ですか?」

恵美梨『はい、大丈夫です』


お面の中から恵美梨のくぐもった声が聞こえる。


スタイリスト「では、後ろ閉めますね。 キツかったら言ってくださいね」


スタイリストはお面に固定された伊織ちゃんの髪の毛を丁寧に掻き分けながら、後頭部のパーツをゆっくり下ろしていく。


恵美梨『(うぅ、顔が圧迫されるぅう。。。)』


スタイリストがお面で恵美梨の頭をすっぽりと覆うと、左右の耳上に隠された金具で伊織ちゃんのお面を固定した。

同時にスタイリストがお面から手を離すと、恵美梨に頭全体に伊織ちゃんのお面がしっかりと固定された。



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