「決まった~ッッ!シャイニングウィザードッッ!!」
プロレスの中でも特に派手なものに入る大技。
直撃を受けた相手は起き上がる気配はない。
「1…2…3…!カンカンカン!勝者ッライトニングー……ケイッ!!」
しかしそこはリングではなく、倒れた者も人ではなかった。
全て、彼女の一人実況だ。
「あぁ~あ、ホントはここで拍手と歓声なのになぁ…。ノリが悪いよ、あんたら」
嘆息して周囲に流す彼女の瞳は、しかし少しも笑ってはいなかった。その底には深い憎悪が宿る。
彼女、七瀬圭は退魔師である。自ら発した“ライトニング・ケイ”という名は、表の職業であるプロレスラーとしてのリングネームであり、裏の職業の退魔師としては忌み名として妖魔の間で通っていた。
それは恐怖と嫌悪の対象であり、同時に、憧憬と劣情の対象でもあった。
幾人かの退魔師は“贄の妖記”と呼ばれる云わばブラックリストに名を連ね、彼女もその一人だった。
「お前らに同情するよ。わたしと出会って、五体満足で帰れると思わないことね」
気勢を上げ、両の拳を打ち鳴らす圭。挑発に乗り、飛びかかった数体が無残に打ち砕かれた。
人間が放棄したかつての地下鉄で繰り広げられる活劇。低級妖魔が数を揃えようと、彼女の敵ではなかった。
「…聞いてたより多い。話違うじゃないの、莉子!」
数時間前、試合後の圭の控室を一人の女性が訪ねてきた。
知的な雰囲気を漂わせ、豊満な肉体をシックなスーツで包んだ美女。
胸元と太腿を大胆に露出した姿は、むしろ蠱惑的ですらある。
出迎えた圭もまた、豊かなバストや足腰の曲線美という女性的な部分を残したまま鍛えぬいた身体を、その大部分を惜しげもなく晒した扇情的な出で立ちである。早い話が、エロい女が二人。
妖魔でなくとも劣情を掻き立てられる。が、人払いを済ませたこの部屋にそんな幸せな男はいなかった。
「莉子、それいつか捕まるよ?」「わたしが捕まえる側だから問題ないわ」
「いやいや、そーじゃなくて…。で、本題は?」
圭の知古である彼女は、立花莉子。警視庁特捜部の特務捜査官だ。
自らの指揮権限を持つ捜査チームもあるが、組織として動きにくい場合もあり、時折こうして莉子個人として、圭たち民間の退魔師に依頼を持ち掛けてくる。
「もちろん妖魔の“駆除”の依頼だ。我々は忙しくて、少し手が回らないのでね」
「わたしもヒマじゃないんだけどー」
圭の苦言は無視して、莉子はビジネスバッグから資料を取り出した。
駅の改札から奥にかけて、数十匹の妖魔が溢れている光景だった。
「この地下鉄に巣食った妖魔共を殲滅してほしいのよ。なに、たかだか3、40匹ってところだ」
「軽く言ってくれるねー…」
「この駅を奪還すれば、我々はまた一つ、妖魔の生息地域を狭められるのだ。」
「ふーん、なるほどねー。でもそれ、莉子んトコの部隊じゃダメなの?」
「…少し訳があるのよ。まぁ、大した理由じゃないわ」「……」
莉子にすべてを話す気はなさそうだ。
「気が乗らないなら他に回すけど?」「う~ん…ん?ちょっと莉子、その写真なに?」
頬杖をついて唸っていた圭は、資料に挟まった写真に気づいた。
「それは今回の件とは関係ないわ。今朝また、妖魔の犠牲者が見つかってね。証言から、酒を楽しんでた会社員のグループがまとめてやられたらしいわ」
「ッッ……!」写真に写っていた20代と思しき女性は、酷い姿だった。
秘所も肛門も拡張しきっており、口も顎が外れたようにだらしなく開いたまま、いずれからも妖魔の精液が漏れ出ていた。
衣服のはだけた腹部は妊婦のように膨張して、注がれた精液の量を、そして表情は彼女が味わった苦痛と絶望を、物語っていた。
圭は無言で、歯ぎしりと共に食い入った。
「…女性のガイシャはもう一人いた。こっちはもっと酷いが、見るか…?」
「…いや、いいよ。それより依頼の件だけど、やっぱわたしやるわ。っていうか、わたしにやらせろ!」
「え…えぇ、頼んだわ」
圭の瞳には莉子でさえたじろぐ、底冷えするほど深い憎悪が込められていた。
そして現在。圭は低級妖魔を次々と血祭りにあげている。
「ここにいるかも知れないんだ。ミカの仇が…ッ!」
写真に写っていた女性の姿を、圭はかつての友人に重ねていた。
彼女がまだこの世界に足を踏み入れる以前のこと。
退魔師であった友人と共に、襲ってきた妖魔を返り討ちにしたことがあった。
その時だ。妖魔にも死の恐怖はあるのか、命乞いをしてきた。圭たちは見逃してしまった。
数日後、あろうことかその見逃した妖魔に、友人は犯し殺された。
悔やんでも悔やみきれない。圭は自らを責めた。それ以上に、全ての妖魔を憎んだ。そして復讐を誓い、退魔師となった。
幾夜を真紅の血で染め上げ、圭の拳は屍を築く。
屍山血河の道を征き、されど彼女は止まらない。
「ちっ!」撃ち損ねて、致命傷を与えられなかった妖魔が、目の前に転がった。
そいつは恐怖に駆られ、圭に拝むような仕草をした。
「………」圭の顔から表情が消える
「あの日、こうすればよかったんだ」
ドブチャアッ!!
圭はその妖魔の躰を無慈悲に踏み砕き、肉片が数メートル四方に飛び散った。
尋常ならざる戦力。半数近くに減った群れに動きが生まれた。
敷地の奥のフロアへと逃走を始めた。
「へッ逃がすと思ってんの!」
消えない闘争心…いや復讐心に突き動かされて、圭は妖魔たちの追撃に入った。
狭い通路で、追いつきざまに一匹、二匹、三匹と始末していき、四匹目を手にかけようと広いフロアに出た。
その瞬間、腹部に衝撃が奔った。
ズブゥ…ッ 「ゲホォッッ……!!」
スローモーションに映る視界の中、人の頭ほどもある拳が圭の腹部にめり込んでいた。
「うぐ……ぐェ…ッ!」苦悶に耐えきれず、膝をついてしまう。何が起きたかわからない。
顔だけをなんとか起こして周囲を見渡すと、さっきまで追い込んでた連中と違う顔ぶれだった。
そもそも、たった今圭を殴った巨躯の個体にしてからが、戦いの中で見ていないものだ。
明らかにランクが一つ違う。それでも一対一で後れをとる程の脅威ではないが、このフロアには最初の群れと併せて百体はいる!
「ッ…これ……どういうこと?……ッ!?」
ようやくダメージを回復してきた圭に、先刻の妖魔が再び襲いかかるが、彼女は軽やかに躱して背後に回り込み、自らの数倍のウエイトはある妖魔を抱え上げて、首から叩き落とした。
ブレーンバスターである。妖魔は完全に沈黙した。
「ラッキーパンチで調子に乗らないでよね」
個々では勝てる。だけど、数の上で圧倒的に劣勢。
圭は薄々感づいていた。これはワナだった。低級妖魔たちは、ここへ誘い込むための疑似餌。
それ以前に、この依頼そのものが…!
莉子が…?いや、違う。彼女に隠した意図があるとしても、圭を陥れる動機があるとはとても思えない。
彼女も誰かに騙されてる。
「!…ちょっと待ってよ!」圭の思考がまとまることを妖魔たちが待つはずもなく次の攻撃がはじまった。
先のものと同等の体格の妖魔が突進してきた。
かと思えば、そいつは走りながら左へ身をずらし、その背後からもう一匹走ってきている。
「…?!は…?えッッ!!」
そして二匹目が今度は右にずれたタイミングに合わせて、更にその背後から砲弾のように巨大な拳が飛んできて、トリッキーな動きに反応が遅れた圭の腹に、背中まで衝撃が突き抜けるほど深く突きささった。
「…が……は…ッ!!…ッ」
床に崩れ落ち、呼吸もままならないまま、辛うじて視線を向けた先にいたのは、目を疑う存在。
“百鬼衆”に名を連ねる上級妖魔、“女貫坊 道盤”だった。
最悪の邂逅。すでに戦闘不能に陥った圭を、女貫坊の手が摘みあげる。
敗者の掟が彼女を待っていた。
「う…ッ」圭は床に大の字で転がされた。地下鉄の天井が見える。体の自由が利かない。
首だけを回すと、360度全てに百体の妖魔が囲んでいるのがわかった。
一様にニタニタと笑っている。気持ち悪い。
「ぐふふ…気分はどうだぁ?“ライトニング・ケイ”」
「…お……に…のな……ッ!」お前にその名前で呼ばれたくない!
そう言ったつもりだったが、声が上手く出ない。
「ん?よく聞こえんな。拙僧の拳が気持ち良すぎてもうイッたか?」
「ふざ…け…ッ」
圭が無抵抗になったと見るや、囲っていた妖魔たちが近づいてきた。しかし、
「止まれ」
道盤の一言で全員が制止した。絶対的な力による階級制だろう。
「お前たちは、これから来るメインディッシュの為に、体力を温存しておけ」
「!?…ど、ど…いう意……うわッ!!」
身体の浮遊感と共に視界が回り、圭の眼前に醜い顔が現れた。
道盤がその巨大な手で、彼女の胴を鷲掴みにして引き寄せたのだ。
「知る必要はあるのか?これからオモチャになるお前になぁ」
圭に見せつけるようにして、道盤の生殖器が反り返り始めた。
怒張が最大限に達した時、その太さは圭の胴回りをも超えていた。
「い…ッ!?」こんなもので自分を犯すつもりなのか!?馬鹿げている!!
「…や、や…てみろ…よ!足で挟…み潰し…てやる!!」
「ぐふふ…ほぅ?わざわざ締めつけを強くしてくれるのか。それは楽しみだ」
圭の身体が高く掲げられ、
「やめ…やめろぉぉお!!」
巨根の上に振り下ろされた。
彼女の穿いたままのホットパンツに、道盤の硬い肉棒がメリ込み、ボタンが千切れ飛び、後背部の布地が破れ、圭の秘所へと挿入に合わせて呑み込まれていく。
子宮口を抜け、下腹部が盛り上がり、根元まで彼女の体内に埋没すると、グロテスクな亀頭の形状がくっきりと浮かび上がった。
肉の凶器は内臓のみならず、圭のたわわな胸も皮越しに押し上げたため、彼女の目からは自らの腹の惨状が見えなくなった。
しかし、見えようが見えまいが感覚は雄弁に語る。一瞬の空白を置いて、激痛の波が押し寄せた。
「ひ……ぎぃいイぃィいッいイッッッ!!」
食いしばる歯の間から泡が吹きこぼれる。常人なら、そこいらの女性なら、この一撃で絶命しているだろう。
事実、道盤が過去に犯した女性は、ほとんどが最初の挿入で痙攣を起こし始め、そのまま動かなくなった。
出産経験のある女なら少しは耐えるだろうかと、母親を選んでレイプしてみたこともあった。
目論見通り、少しはもったが、射精した時にはただの肉人形になっていた。
物足りず、道盤は横で泣き叫んでいた娘も肉棒に押し込み、犯し殺した。その遺体は無残極まるものとなった。
さらに丈夫な退魔師に目をつけたが、彼女たちでさえも道盤の精を受けたところで絶命か、よくても廃人になってしまうのだ。
「が……ほ…ぉ…ッッッ」「む!?」
道盤が過去に想いを巡らせる間に、圭の絶叫はひとしきり終わっていた。壊れてしまったかと気をもんだが、その瞳にはまだ光があった。
プロレスラーとして、退魔師として鍛えた肉体と、妖魔への憎悪が彼女を支えていた。
「いい!いいぞ!!」
道盤は肉棒が抜ける手前まで圭の身体を持ち上げ、また最奥まで押し込んだ。
「はぎゃあぁ!!」
“入り口”に引っかかっていたホットパンツの端が、完全に体内に詰め込まれた。
だが、鋼のような生殖器を持つ道盤にとって、そんなものは些細な問題だった。
ズゴォッ!「うぎぃ!!」
ボゴォッ!「ぐぇえッ!!」
ヌブォッ!「ほごぉおおッッ!!」
壮絶なピストン。それはもはや圭の身体で自慰に及んでるに等しかった。
ズゴズゴズゴズゴッ!!
「ぎゃああああああッッッ!!!」
道盤は狂喜していた。彼は生まれながらに性欲にまみれた人間だった。
齢百を超えて妖魔となり、人外の肉体、いや肉棒を手に入れてからは、その凶器で女性の身体を徹底的に壊して犯し殺すという悦びを覚えた。
彼の射精が終わる時、そこにいるのは常に、精液袋と化した肉人形だ。
昂ぶる道盤の快楽はついに最高潮に達し、圭の中に恐るべき量の精液が放たれた。
圭の腹が、亀頭の形状を隠すほどに膨張し、許容を超えた精液が、臍から漏れ、結合部から激しく逆流していく。
「ッッッ…!!」
白目を剥いて、声なき絶叫をあげる圭。
やがて道盤の射精が止まり、肉棒が引き抜かれて床に転がった圭の孔からは、決壊したダムのように精液が溢れて出て、彼女の腹は徐々に小さくなっていく。
ズンッ、と。道盤も腰を落とした。少し荒い息をついている。
周囲から歓声があがり、そこで始めて他の妖魔の存在を思い出した。
それほどに夢中になっていたようだ。
そっと圭の顔を覗き込むと、彼女は苦悶と屈辱と憤怒と、わずかながら絶望とを混ぜあわせた瞳を返してきた。
道盤は口端を吊り上げ、下卑た笑いを浮かべた。
「ぐふふ…拙僧のモノが回復するまで、少し余興といこうか」
道盤は巨大な手を、圭のよく実った胸へとのばし、五指が肉に埋没するほど思い切りつかんだ。
ムギュゥゥ…ッ!
「ッッ!あッ……ぐぅぅッ…この…変態…!!」
朦朧とした圭の意識が、今までと異なる刺激でよみがえった。
「女の胸は揉まれると大きくなるそうだな。どれ、嬉しいだろう」
「ふざけッ…ぎゃああ!」
もう一方の手も加わり、圭の胸は潰れそうなほど揉みしだかれ、千切れそうなほど引き絞られた。
ひとしきり弄んだあと、道盤は胸を解放し、代わりに下腹部に手を近づけていく。
散々挿入を受けたそこは、ガバガバに拡張した無残な状態となっている。
「忘れ物をした。お前のものだ、取ってきてやろう」「…は?」
あろうことか道盤は、その巨大な手を圭の性器に入れようとしている。正気の沙汰じゃない!
「やめ…やめろッ!!」
ズボォッ!!
「ぐぎゃああッ!!」
拳の形で握りこまれた道盤の手が圭の腹に浮き上がる。
それは俗にいうフィストファックだが、もはやレイプというよりただの暴力だった。
拳の形を解き、圭の子宮内を散々かき回す。
「ひぎッ…うがぁッ!裂けるッ!!うわぁああ!!」
グボッと、引き抜かれた手には、確かに圭のホットパンツがあったが、もう穿ける代物ではなかった。
「そろそろ二回戦に入れそうだな」「ッッ!!」
道盤の巨根が再び怒張を取り戻すと、圭のホットパンツを彼女の口に詰め込んだ。
「むぐ……ッッ!?」
「絶叫もいいが、くぐもった悲鳴もいいものだ」
道盤は圭の身体を後背位で強引に立たせた。
「“こちら”は経験済みか?」「?!ッッ~~」
ズ……ン…!
深く、深く、肉棒は圭の肛門を抉った。括約筋を裂き、直腸を押し広げ、腹部を、性器からの挿入とはまた違う角度で押し上げた。
「むぐ…ッッ!!もごがぁあアッ…!!」
膝をガクガクと揺らし、くぐもった悲鳴、いや絶叫をあげる圭。
鍛えあげた圭の身体は男根をよく締めつけ、道盤を悦ばせた。
その甘美な感触をもっと味わうべく、激しく腰を打ちつけ、肉のぶつかる破裂音が地下鉄の構内にこだまする。
パンパンパンパンッ
「んぐッ!ふぐッ!おごッ!!…もご…ぐぇええ~ッ!!」
圭の口から唾液と精液まみれのホットパンツがずるりと落ちた。
パンパンパンパンッ
「…ッ!……ッ……… … 」
常に敵に挑み続けてきた圭の両腕が、力なく降りはじめた…。
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…というわけで、こちらが“東凶魔京”本編の実質的な第一話のエピソードです。
タイトル通りまだ前編、彼女の受難は続きますよー。
少し用語を補足しますね。
「百鬼衆」
東京に復活した妖魔たちでも特に力のある上位の妖魔たちである。
降魔の閏にて魔界より来たりしもの、封印の崩壊によりこの世での自由を得たものなど、様々であり、中には人から魔へと転生したものまでいると言われている。
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2022-11-19 14:18:10 +0000 UTC