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クリンナップの方法論

まず初めに、これはあくまで僕流のやり方であって、万人がこの方法で出来る、という保証はない。

しかし、こういう方法もある、という武器が増えることは悪いことではない。

それに、知っていれば、ふとしたきっかけで使えるようになるかもしれない。

そういった引き出しを増やすための、鍵の一つだとでも捉えてもらえると、僕としても嬉しい。

1.人は簡単に惑わされる生き物

さっそく方法論を述べていこうと思うが、先に結論を述べると、これはあくまで心構えみたいなものである。

要するに、ラフに惑わされず、ラフよりもっと良いものを描こう、という心構え一つで、クリンナップはとてもよくなる、ということだ。


人間は簡単に騙されてしまう。

自分が好きと思っていたものが、実は自分自身が好きであろうとしていただけだった、なんてことも珍しくはない。


これはクリンナップする時にも起きる現象だ。

ラフは線が多くなるものだけど(中には一本線で最初から完璧なラインを引ける人もいるので全員がそうというわけではない)、この線が多い、という現象が人の目を欺く。

線が多いので、自然と自分が気持ちいという線を視線でとらえて、それはもう魅力的な絵に見えるのだ。


※ラフを描く時は、やはり勢いで描くことが多い。それもあって、線は生き生きとしているし、重ねた線がいい感じに視線を誤魔化してくれるので、好きな線を拾いやすい。


もちろん、線が多い=情報量が多いので、よく見える、というのもある(ただし、判別できないくらい線がとっちらかってるのは論外とする)。

ラフではめちゃくちゃ良かったのに、クリンナップすると突然あっさりとした絵になったり、なんか思ってた印象と違う、なんてことを経験したことがある人は多いのではなかろうか。

これは単純に線の情報量が減ったから、というのもあるが、あまりにラフが魅力的に見えてしまったせいで、それを再現しようとラフの線を追ってしまい、ラフの時にあった勢いがなくなり、線もたどたどしくなった結果、思ってたのと違う絵が出来上がってしまう、というわけだ。


こうして記事を描いている僕ですら、ついこの現象が起きてしまい、いかんいかんと頭を振り、改めて心構えを変えて描き直すなんてことがよくある。


しかし、この心構え一つで、解決できるとしたらどうだろうか。

是非、一度試してみてほしい。きっと少しは上向くだろうと思う。

2.ラフはあくまで通過点

だらだらと文章を連ねてもあまり意味はないので、さっさと方法を話そうと思う。


とにかくラフをなぞろうとするのではなく、ラフ以上に良い絵を描こうとする。


これだけ。この意識があるかないかで、クリンナップの成功率は圧倒的に変わる。

は?何言ってんの?そんなんで上手くいくなら苦労しないよ。バカなの?

と思ってるだろうが、まあ騙されたと思ってやってみてよ。やるのはタダさ。


まず、ラフは透明度5~10%程度まで落とす。

どこに何があるのか、うっすらと判明出来るくらいでいい。

※これは8%まで下げたもの。僕は大体この8%くらいから描き始め、どうしてもラフに引っ張られるなと感じたら5%まで下げる。そして、どこになにがあるか判別付かないなと思ったときは、10%まで上げて形を確認した後、自分がラフに惑わされない透明度まで下げる、ということをやる。



ラフが良いと感じている自分は、そのラフに酔っていると考えていい。

だが、しょせんラフはラフでしかない。


勢い任せで描いていることもあって、時には体のバランスがおかしかったりするし、その絵の魅力は、たくさんある線のおかげで誤魔化されているだけだったりもする(例えばキャラクターの目でいうと、右目は一番外側の線をたどっているけど、左目は一番内側の線をたどっている、という風に、脳が勝手に視線を補完する。自分自身では認識できないので、クリンナップ時にその線を拾えず印象が変わってしまう、というわけ)。

中には数回に分けてクリンナップすることで少しずつ線を減らしていく人もいるけど、僕は同じものを何度も描くのが嫌なタイプなので、ラフ→クリンナップの回数は基本的に1回で済むようにしている。


そこで決め手となるのが、最初に述べた、ラフより良いものを描く。である。

ラフをなぞっているようでは、ラフより良い物を描けるはずはない。


ラフよりいい物を描こうとする場合、ラフが明確に見えていると惑わされてしまうので、透明度を下げて、それ以上に良いものを描く。

目や鼻の位置が変わっても、その絵がより良くなるなら気にしない。

あくまでラフは通過点としてとらえる。

ラフを見た時に、どこが魅力に感じる部分なのか、その要素だけをしっかりと把握して描けばよい。

目の大きさ?顔パーツの配置?手の長さ?胴から足にかけたライン?

重要な要素が必ずラフには存在しているので、その部分の魅力をよりアップさせるように描く。

※このキャラをクリンナップする際は、左肩と胴が離れていたため、胴の厚みと腰→太ももにかけてのラインを調整し、へその位置も変えた。

目も、ラフよりも黒目の面積を広くとることで可愛らしさを上げ、口も少したゆませる事で困惑感を出した(←どうでもいいけど、困惑感の惑と感が重なると、文字が似てるせいか見辛い)。小さいちんちんも、棒の向きが変だったので調整している。


なんか魅力が落ちたな?と感じた時は、その絵がもっと良い絵になるチャンスだ。

ラフより良い絵を描く、この心構えを頭において、一度描いてみてほしい。


これがあるかないかで、随分と変わってくるはずだから。

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