親戚から「テスタロッサをそっちに持っていくから富士に来い!」との連絡を受け行ってきた数年前のお話です。もちろん私の車ではありませんw
まさか実車をサーキットで走らせてもらえる機会がくるとは…ということで「壊れても私は責任取れませんよ!あなたを訴えます!とか言わないでくださいよ!いいですね!?」と何度もオーナーに断ります。それくらいビビリがありました。
「怒らないから安心して」
「まじか~!乗る!!」
私はプロドライバーではありませんが一応ド素人ではありません。
https://www.youtube.com/user/reactracing
車を走らせるのが好きな人の感想文ですので、そういう意見もあるんだ的に読んで下さい。
縁がない車なので中身は全く興味がなかったものの、クローズドで走らせる為に軽く調べてから行きました。
5000ccのV12エンジン。
390PS/6,300rpm 50.0kgm/4,500rpm
車両重量 1,660kg
パワーだけなら当時競技に使っていたエボ3とだいたいおんなじ数値です。しかしMRは未経験です、こわい。
さぁいよいよご対面です。
詳しい年式を確認しそこねちゃったいましたが、外装を見るに89年以降の後期型です。
前期のテスタはドアミラーが片方しか無い&ホイールの固定方法がセンターロック式になっています。立体化されるのは後期が多い印象です。
「おっちゃんこれ本物?よくあるレプリカじゃないの?中身MR2みたいな」
「エンジン見てみろ」
エンジンでっか!キャビンよりエンジンルームのほうが広く見えます。本物ってリアセクションはパイプフレームなんですね。ダンパーも車輪一つに付き2本、リアだけで合計4本ついています。サスペンションストロークはあまりありそうに見えません。
ボンネット開けてもらっていいですか?(壊したくないのと開け方がわからない
へーこうなってるんですね。外装はFRPみたいですがやけに薄いのが気になります。特にエンジンフードは薄すぎて両手で持ち上げないと反ります。いつもの癖で片手で扱ったあげく締める際にバン!と落として怒られました。怒らないって言ったのに!これからコースインだし不安が高まってきました。
「走行時間が近づいてきたからピット前に移動して!」「え、もうそんな時間!?」
ニード・フォー・スピードで512TRを扱ってきたのでなにげに見覚えのあるインパネです。国産車もですが当時のアナログメーターは機械味があって好きです。
リアタイヤのサイズが特殊なために一時期テスタはリアタイヤの供給が無く、10年単位で古いタイヤを履きっぱなしのオーナーが多いとのこと。この車両は新品のミシュランがはいっています。
さぁ移動しましょう。エンジンが一発で掛かります。コンディションは良さそうです。
「おっしゃピットへ移動するぞ!え?ハンドル重!!」
「パワステ?そんなのあるかい!」
パワステが無いので低速だと重いですが走り出すと軽いです。カートみたいだなぁ。で、左ハンドルなのはわかるけどなんでサイドブレーキが左にあるの?
走行開始まで車内で待っている間、左からラジエタファンの轟音が響きます。フェラーリと言えばもっと優雅で上質な印象だったのですが、90年代頭頃の競技車両のようで各部の作りが荒々しいです。
さぁコースインです!まずは各部を温めるために流します。1週回ってストレートで全開!ギアがワイドレンジでパワーで無理やり引っ張っていく印象。
昔見たF1グランプリのマシンのような甲高い音が車内に響きます。V12いい音するな~!テンションが上ります。
1コーナーで減速すると減速Gが弱い!それもそのはず390PSもあるくせにブレーキが15インチ!本当に止まりませんしコントロール幅も狭いです。
16インチタイヤです。昔はこれが当たり前だったので仕方ないですが…。最近の軽自動車でも純正で17インチとか履いていますから凄い時代ですね。
で、パワステ無しのこの車両、走行中はステアリングが軽いのですがコーナーの侵入でフロントに荷重をかけるとものすっごい重くなります!肩で一生懸命押しながらコーナーリング!箱車なのにカートみたいな印象になりました。
走行が終了して戻ってきました。壊さずに済んで何よりです。
テスタロッサで一番印象だったのが異様に重たく高い重心です。
比較があるとわかりやすそうなので簡単に描いてみます。低重心のハンドリングマシンと名高いマツダのロードスターと比較してみました。
「旋回軸」は限界付近での車のコーナーリング時に軸となる位置。右の重心の赤い丸は、スポーツ走行中にこの鉄球をリアタイヤに繋いで引っ張って走っていると考えて下さい。大雑把に言うと、ドライバーは加速や減速、コーナーリング中にこの鉄球をコントロールしています。
車両はこの鉄球の重さと位置によって、引っ張られてリアがスライドしたり車両が左右に傾いたりします。
ロードスターは図のような印象ですがテスタロッサは…
車高が低く見えるのに重心がこれくらい高い印象。そのうえボディがぐにゃぐにゃで足も殆ど動かずトラクションのかかりが非常によろしくない、縁石は危なくて踏めません。湾岸ミッドナイトで「詐欺みたいな車だがエンジンは超一流」と書かれているそうですが的を得ています。さすが楠先生!
見た目の美しさと走行中のエンジンサウンドの魅力に包まれるようなすばらしさがある、そんな車でした。
珍しい車両がありましたらどなたか乗せて下さい。